CSRトピックス 2011年

障がい児の学習支援を行う「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」

ソフトバンクモバイル株式会社(以下 ソフトバンクモバイル)は、2009年6月より、国立大学法人 東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野(以下 東京大学)と共同で、携帯電話を使用した、障がい児*1の学習支援事例研究プロジェクト「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」を進めてきました。そして2011年1月、研究内容を拡充し、iPadを活用した学習支援事例研究「魔法のふでばこプロジェクト」を開始。またプロジェクトに、ソフトバンクグループで教育事業を担う株式会社エデュアスが、新たに加わりました。2011年4月からは、全国の協力校にiPadを無償で貸し出し、実際の教育現場でご活用いただいています。

「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」を開始するまで

障がいのある子どもたちの中には、学習への意欲があっても、「紙の教科書や本が読みづらい」「紙とペンでメモを取りづらい」「コミュニケーションが取りづらい」などの困難を抱えている子どもがいます。東京大学では、ICT(情報通信技術)の活用により、学習やコミュニケーションといった面で、このような子どもたちの支援を行うための研究が行われてきました。その研究のひとつが携帯電話の活用に焦点を当てたもので、「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」の前身となる「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」でした。「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」では、携帯電話が学習や生活の助けとなっている事例を収集・分類し、携帯電話の活用方法をまとめました。そして、障がいのある子どもたちがどのようにして、携帯電話のさまざまな機能を活用できるかということについて、セミナーなどで具体的な事例を提案し、啓発活動を行ってきました。
こうした活動を実施する中、Twitterを通じて、「ろう学校にiPadを配布してはどうか」というご意見をいただきました。そこで、「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」を拡充し、iPadを活用した障がい児の学習支援を行う事例研究プロジェクト、「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」を2011年1月より開始しました。

「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」の概要


iPadで文字を拡大して書き取りをする子ども

「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」では、より多くの子どもたちの参加を目指し、ご協力いただける日本国内の特別支援学校、特別支援学級を募集しました。その結果、約180件のご応募の中から、18都道府県34校を採択し、計100台のiPadの貸し出しを行いました。これらのiPadは、2011年4月から2012年3月末までの1年間無償でご提供し、教育現場でご活用いただきます。実際にiPadを活用していただく先生方には、「障がいのある子ども達のためのタブレット端末を用いた学習支援マニュアル」を参考にしていただきながら、独自のアイデアを自由に取り入れた授業を展開していただきます。また、貸し出し期間中は、協力校の先生どうしがWEB上で情報交換を行うことができる仕組みを設け、他校の事例を即時に活用できるようにしています。

さらに、「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」において効果が実証された、「言葉で表現できないことを写真で伝える」「紙とペンで文字を書けない場合は、キーボードでメモを取る」「音声の聞き取りが困難な場合は、筆談のツールとして使う」など、100を超える活用事例や、特別支援教育に有効なiPhoneやiPadのアプリケーションを広く周知するとともに、具体的な事例研究を進めています。

活用事例
(「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト —障害のある子ども達のためのタブレット端末を用いた学習支援マニュアル—」より抜粋)


あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト —障害のある子ども達のためのタブレット端末を用いた学習支援マニュアル—

肢体に障がいを持つ子ども

肢体に障がいを持つ子どもの中には、先生が黒板に書いたことをノートにとったり、教科書をめくったりすることが苦手な子どもが多くいます。
iPadの「オンスクリーンキーボード」でタッチ入力をすることで、文章作成を補助したり、「録音アプリ」を使って、録音ボタンを押すだけで先生の声をそのまま録音することができます。また、電子教科書であれば、パネルを触るだけで、ページをめくることができます。

視覚に障がいを持つ子ども

視覚に障がいを持つ子どもが、点字で本を読むのには、非常に時間がかかってしまいます。
「音声読み上げ機能」を利用することで、自分でタブレット端末を操作して、インターネットの電子図書館や電子書籍など、さまざまな情報にアクセスすることができます。

聴覚に障がいを持つ子ども

聴覚に障がいを持つ子どもへのコミュニケーションにおいては、「電子メール」や「SNS」が不可欠なコミュニケーション手段です。さらに、iPadでは、画面上に直接字を書き込める「筆談アプリ」をコミュニケーションに活用することができます。

「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」への期待

「あきちゃんの魔法のふでばこプロジェクト」では、実際にiPadを教育現場や日常生活で活用していく中で、どのような使い方が効果的だったか、どのアプリケーションが役に立ったかという成功事例だけではなく、失敗事例についても、セミナーやワークショップなどの啓発活動を開始する2011年秋以降に向けて集めていく予定です。これにより、教育現場や障がいを持つ子どもたちの日常生活の中で、具体的な事例を発見できることが期待されています。

ソフトバンクグループは、このような障がい児の学習支援活動を通じて、「携帯電話を活用してすべての子どもが自信を失わず自己実現できる社会」の実現を目指しています。多くの努力を重ねても、思いどおりに行動することが難しい子どもが、スマートフォンやタブレット端末に備わる機能を「魔法」のように使うことで、経験の幅を拡大、さらには意欲の向上を実現できると考えています。個々の持つ障がいに注目するのではなく、「何に困難を感じているのか」ということに目を向けることが、新たな「魔法」の発見につながります。

ソフトバンクグループは、パートナーである東京大学、参加校の皆様とともに障がいのある子どもに役立つ「魔法」を考え、より多くの子どもが自己実現できる社会に向けて取り組んでいきます。

(掲載日:2011年7月8日)

[注]
  • *1認知やコミュニケーションの面に困難のある障がい児、読み書き障がいや自閉症、知的障がい、肢体障がい、聴覚障がいを含みます。
  • *Apple、Appleのロゴは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
  • *iPhone、iPadはApple Inc.の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。