プロジェクトPickUp 2010年

選手とファンをつないでプロ野球を盛り上げる 福岡ソフトバンクホークス株式会社、福岡ソフトバンクホークスマーケティング株式会社

今シーズン、悲願のプロ野球パシフィック・リーグ(以下 パ・リーグ)制覇を果たした福岡ソフトバンクホークス。その球団運営には、福岡ソフトバンクホークス株式会社(以下 福岡ソフトバンクホークス)と、福岡ソフトバンクホークスマーケティング株式会社(以下 福岡ソフトバンクホークスマーケティング)が携わっています。今回はその事業内容や今シーズンの総括などを、福岡ソフトバンクホークス広報室および福岡ソフトバンクホークスマーケティング広報室の室長である新井 仁と、次長の井上 勲にインタビューしました。

今シーズンのパ・リーグ制覇は、選手とファンが一体化した成果



ソフトバンクグループの中で福岡のプロ野球事業は、福岡ソフトバンクホークスと福岡ソフトバンクホークスマーケティングの2社体制で運営しています。まず野球の試合を行う球団そのものである福岡ソフトバンクホークスが、選手への年俸の支払いや、フリーエージェント(FA)やドラフト、トレードといった制度による選手の獲得や補強など、野球事業とチームの運営を担当。一方福岡ソフトバンクホークスマーケティングは、チケットやグッズの制作・販売、スポンサーの募集、広告宣伝やイベントの企画・実施、放映権や製造権の管理などを担当しています。またヤフードームの管理も事業の1つで、野球だけではなく、ヤフードームで開催するコンサートやライブといったイベント運営なども行いながら球団を支えています。この両輪で、2010年のシーズンも戦い抜きました。

その2010年のシーズンは、残り6試合の時点で首位の埼玉西武ライオンズに優勝マジック4が点灯、福岡ソフトバンクホークスは首位と3.5ゲーム差の3位という状態から、奇跡的な逆転でパ・リーグ優勝を果たすことができました。

「特に、本拠地ヤフードームで開催する最後の4試合となり迎えた9月18日~20日の対西武3連戦、ここが大きな山場となりました。ここで2敗してしまうと、ヤフードームで西武の優勝が決まってしまいますので、本当に負けることのできない試合。この危機的状況に陥ったとき、あるファンの方から7月に開催した『鷹の祭典』と同様、もう1回『カチドキレッド』のユニフォームを着て応援しよう、というご意見をいただいたのです。その結果、真っ赤に染まったヤフードームで、ファンの皆様と選手が一体化し、3連勝を掴み取ることができたのです」(井上)。

「鷹の祭典」とは、祭典期間中に選手が「カチドキレッド」と呼ばれる特製の赤いユニフォームを着用し、またヤフードームにご来場いただいたお客様にも同じユニフォームを配布し、応援していただくというイベントでした。このとき、当時首位だった西武に3連勝することができました。シーズン最終盤でこれを再現しようと、球団からファンの皆様に赤い「カチドキレッド」の応援を呼びかけ、さらにこのことを知った秋山幸二監督からも、「ぜひ『カチドキレッド』を着て応援してほしい」とファンに向けて呼びかけたのです。

「福岡の街・ファンの皆様から球団に寄せていただいた熱い思いに選手が応え、まさに奇跡の3連勝というすばらしい結果を残すことができた天王山となりました。その勢いのまま、レギュラーシーズン最後の144試合目で優勝を決め、とても良い形で7年ぶりの、ソフトバンクとしては初めてとなる、パ・リーグ制覇を果たすことができました」(新井)。

一方、クライマックスシリーズファイナルステージは、残り3試合のうち1勝を挙げれば日本シリーズに進出できる状況でしたが、残念ながら無念の涙を呑む結果となりました。

「終盤戦の勢いを信じて『カチドキレッド』で応援してくださったファンの皆様を、非常にがっかりさせてしまったと思っています。しかし、そこは勝負の世界。チーム自身が次の高みに向けて、何が足りなかったのか、なぜこのような結果になったのかを分析して、足りない部分を反省し、11月1日から19日に行った秋季宮崎キャンプから、来シーズンに向けての戦いを始めています。今シーズンのこの悔しさを、必ず来シーズン、さらに将来への糧として取り組んでいます」(井上)。

惜しくも日本シリーズ進出を逃した福岡ソフトバンクホークスでしたが、11月20日に行われたパ・リーグの優勝パレードには、福岡市中心部の約2.9キロの沿道に、25万人ものファンの皆様にお集まりいただき、大きな歓声をいただくことができました。

「ファンの皆様に喜んでいただき、本当に良かったと感じています。今シーズンを振り返って改めて実感したのは、プロスポーツはギリギリの世界で戦っているということです。常に真剣勝負、力と力のぶつかり合いこそが、プロスポーツの良さであり、プロスポーツが素晴らしいコンテンツであるということを再認識したシーズンでした。我々としては、この魅力を来シーズン以降も伝えていきたいですし、ファンの皆様にも楽しんでいただきたいです」(新井)。

「今年はやらんといかんばい!」のスローガンと応援隊長の活躍

今シーズン、チームとファンの皆様の思いをひとつに結集するために効果を発揮したのが、「今年はやらんといかんばい!」というスローガンでした。もともとホークスは、「グラウンドで戦う選手も応援するファンも一緒に戦う」という思いを込めた「WE=HAWKS」をコンセプトに掲げています。残念ながら優勝からやや遠ざかっていた今シーズンは、ファンの皆様も含めて、もう一度「皆でお互いに頑張ろう」という思いを新たにし、共有できるスローガンを掲げたいと考えました。その結果、プロ野球チームのキャッチフレーズとしては異例の、「今年はやらんといかんばい!」という、地元の方言を用いたストレートなスローガンが生まれました。その効果に加え、“あるキャラクター”の登場が決定的だったと、新井は語ります。

「おかげさまでこのスローガンは、ファンの皆様に思いをご理解いただけ、シーズン終盤に向け、どんどんその重みを増していきました。さらにグループ企業で球団のスポンサーでもある、ソフトバンクモバイル株式会社のテレビCMでおなじみの「お父さん」の応援隊長就任は、球団とファンの皆様の心をひとつにするのに、非常に大きな効果をもたらしました」(新井)。

「お父さん応援隊長」は、2月の宮崎春季キャンプでお披露目され、シーズンを通して活動しました。シーズン終盤戦には「勝たんといかんばい!」という、非常に直接的に勝利への思いを押し出したスローガンを打ち出し、関連のイベントや企画が展開されました。その中でも、「カチドキレッド」のユニフォームを着た「お父さん応援隊長」は、大活躍だったと言います。

「優勝のときは、ぬいぐるみが胴上げにも参加していました。選手もファンも『お父さん』を応援隊長として受け入れ、その存在を喜んでくれています。『お父さん』の『今年はやらんといかんばい!』も、シーズンが進むにつれて大きな力になったと思います」(新井)。

TwitterやUstream、iPhoneを活用したソフトバンクならではの球団運営

室長 新井 仁
次長 井上 勲

2010年3月25日からは、ソフトバンクグループの球団ならではの試みとして、Twitterを活用した「つぶやきタカ!ボード」が開始されました。これは、福岡ソフトバンクホークスに関連するTwitterでのつぶやきを、「Team's tweet(選手とチーム広報のつぶやき)」、「Staff's tweet(公式アカウントも含めたスタッフのつぶやき)」、「Fan's tweet(ハッシュタグ『#sbh2010』をつけたファンのつぶやき)」の3つに分けて掲載するものです。ただTwitterを閲覧いただくのみではなく、ハッシュタグをつけることで、ファンの皆様にもご参加いただき、チームとファンの皆様の絆をより深めていくことを目的としています。ハッシュタグ「#sbh2010」を付けて投稿されたツイートは、試合中にヤフードームのホークスビジョンにも表示され、今までにないリアルタイムの応援スタイルを実現しています。

「まずファンの皆様にTwitterを知っていただくために、昨シーズン新人王を獲得した攝津 正選手(@hawkssettsu)が初めて選手でTwitterを開始という話題を提供しました。その後もオフィシャルレポーターやホークス公式アカウント(@HAWKS_official)、マスコットのハリーホーク(@hawksHarry)など、それぞれポジションを使い分けながらツイートしたりと、さまざまな工夫を凝らしています。それぞれのキャラクターが出ていることで、“つながっている”と感じていただけるようで、福岡ソフトバンクホークスの公式アカウントだけでも現在約3万もの方に、公式アカウントや選手には延べ約17万人もの方にフォローいただいています。選手自身もツイートすることを楽しんでいるようです」(井上)。

「つぶやきタカ!ボード」を始めたことで、ファンの皆様からの反応がダイレクトに返ることに加え、地元福岡以外で福岡ソフトバンクホークスを応援いただいているファンの皆様との交流や、ファンの皆様同士のコミュニティが大きく拡がることで、全国のファンの皆様をつなぐこともでき、「大きな効果が得られた」(井上)ということです。特に、ハッシュタグ「#sbh2010」を付けて球場内から投稿される「わー!」「チャンス!」といった熱気を伝えるツイートや、正確に試合経過や結果を伝えるツイート、さらにチームに対しての応援ツイートなどがTwitterに投稿されると、文字だけでも試合の様子や臨場感が、どこにいても感じることが可能となりました。

「本拠地から離れて観戦しているファンの皆様も、球場の臨場感と一体感をTwitterによって感じていただくことで、スポーツの醍醐味の1つである、皆でワイワイと観戦して盛り上がるといった点を、ご体感いただけると考えています。非常に面白いツールで、12球団一のサービスだと自負しています。親会社であるソフトバンクが、Twitterを積極的に利用していますので、ファンの皆様のご期待に応えられるようなサービスを展開し、来シーズンも楽しいことを企画していきたいです」(新井)。

選手にiPhoneを配布(2011年シーズンに向けてはiPadも配布予定)し、選手向けに過去の試合での投球やバッティングの内容やフォームなどを確認できるアプリを配信している点も、ソフトバンクグループならではの特徴です。

「選手は移動中などにiPhoneを非常に活用しています。野球に関するアプリだけではなく、iPhone自体を楽しんで使っている選手も多いようです。プロ野球選手は、自分のプラスになることは取り入れたい人が多いため、こういう環境を提供できることは、非常に効果的です。選手の意見を反映したアプリのバージョンアップも、グループ内でiPhoneを取り扱う会社とアプリの開発ができる会社があるからこそ実現できたこと。手元でいつでも動画を見ることができるため非常に便利ですし、移動が多い野球選手にとっては、移動時間を無駄にしない有効なツールです。我々としては、選手の求める環境を先回りして提供していきたいですし、それを提案して実行してもらえることが、ソフトバンクグループならではの強みだと思います」(新井)。

現在はUstreamを活用した試験的な試合中継や、優勝パレードの放映やファン感謝の集いの生中継など、グループを挙げてさまざまな取り組みを行っています。Ustreamをはじめとしたグループ資産の積極的な活用により、日本全国の野球ファンに、いっそうのお楽しみをお届けする仕組みづくりを、ソフトバンクグループでは推し進めています。

「王貞治ベースボールミュージアム」で野球の魅力を伝える

2010年の福岡ソフトバンクホークスの特筆すべき活動として、「王貞治ベースボールミュージアム」の設立がありました。「王貞治ベースボールミュージアム」は総面積2‚150m²。ヤフードームのバックスクリーン一帯に、球団の取締役会長である王 貞治の野球との出会いから、50年間のプロ野球人生を彩った約600点の輝かしい展示品と栄光を振り返る映像、さらには実際のプロ野球の迫力を体感できるスタジオを完備し、王がたどってきた足跡を通じて、来場いただくお客様に「野球」の魅力を存分に感じていただける施設です。

「日本人が一番熱狂した時代に、一番輝いていた人のことを知っていただき、改めて野球というスポーツの素晴らしさを伝えることで、野球界を盛り上げたい。また、王が努力してたどり着いた足跡を伝えることで、『頑張れば自分もあんなことができるのではないか』『子どもたちの夢へつなげたい』という思いをベースにしています」(井上)。

この施設では、王の足跡を振り返る展示のほかにも、体感・体験型の89スタジオが設けられています。89スタジオには、馬原 孝浩投手が投じる球速150kmものボールの体感ステージ、自分の球速を測れるピッチングチャレンジ、スイングスピードが測れるバッティングチャレンジ、さらに川崎選手が試合中どれ位1塁ベースからリードしているかを確認できるエリアなど、さまざまなゾーンが用意されました。自らの五感で、野球の魅力を体感・体験できるようになっています。

「王 貞治という1人の人物は、小さなお子さんからおじいちゃんの世代まで、三世代ぐらいが一気につながることができる稀有な人物だと思います。おじいちゃんが孫と来館して、『選手時代の王 貞治はこういう人物で、テレビや球場で実際に見たことがある』という話をしたり、『帰ってから一緒にキャッチボールしよう』という話になったりすると、一番喜ばしいことですね。さらにコンセプトや思いを伝えていくことで、多くのお子さんに足を運んでいただけるように取り組んでいきます」(新井)。

愛され、一緒に頑張ろうと思っていただける存在に

新井も井上も、福岡ソフトバンクホークスがより身近な存在として、ソフトバンクという企業グループと人々をつなぎ、ソフトバンクの魅力につながる存在でいられるよう、また福岡ソフトバンクホークスが頑張る姿によって人々の心に潤いを与え、情熱を燃やすことができるような存在でありたいと、異口同音に語ります。

「来シーズンは前年の優勝チームとしてさらなる高みを目指すチームと、そのチームを応援するそれぞれのファンの皆様をつなげることで、お互いを盛り上げていくことができる企画を展開していきたいと考えています。今シーズン以上にファンの皆様に応援していただける企画を展開することにより、チームはそれに応えるためにより頑張ることができますし、レギュラーシーズン優勝、日本一、日韓クラブチャンピオンシップ勝利と、来年は11月半ばまで試合を続けられるようにしたいですね。試合結果に一喜一憂しながらも、最後はファンの皆様と選手とで盛り上がり、喜びを分かち合えるような結果を残せるよう、取り組んでいきます」(井上)。

今シーズンの福岡ソフトバンクホークスへの応援、ありがとうございました。
来シーズンもホークスは熱い戦いを繰り広げてまいります。皆様からの熱いご声援を、よろしくお願いいたします。

(掲載日:2010年12月15日)

[注]
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