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【書き起こし】2017年3月期 決算説明会(後編)

アーム事業

アームを買って本当に良かったとつくづく思う。第5世代のネットワークを世界で最も早く実現できると発表できるのも、アームを買ったおかげ。世界No.1の通信技術を持っているクアルコムのCEOが直接私に会いに来てくれる。そして、私が会いたいと声を掛ければいつでも会える状態にある。それは、クアルコムにとって最大の技術パートナーがアームだからだ。世界中で売られているスマホの99%にアームのチップが入っている。

われわれは、日本だけでなく米国でも通信事業をしている。従って、端末メーカーからもたくさんの製品を買っている。それでチップの設計からクアルコムの通信技術、そして事業オペレーターとしての両方の立場で、向こうから最先端の技術について提携しようと声が掛かってくる位置づけになった。しかも、第5世代で一番有利なBand 41 2.5GHzの電波を一番多く持っており、誰よりも早く戦略的提携ができる。これはアームのおかげだ。

そのアームは、売上高が前年対比8%増、チップの出荷数も17%伸びている。

今までに1,000億個のアームのチップが、世界中に出荷された。1,000億個出荷するまでに26年間かかったが、その倍の2,000億個にあと4年で到達するだろう。26年かかったものが、4年で倍になる。アームの業績が加速度的に伸びていくということだ。

アームに関してもまだ達成感はなく、これからIoTに向かって積極的に進化させていきたい。アームの場合、設備投資はほとんどなくて、経費の多くが人材。人材の頭脳がほとんどの経費で、エンジンである頭脳への投資として、エンジニアを中心に社員数を21%増大させるなど攻めにいっている。その結果、アームは開発を加速している。

ARM DYNAMIQ

マルチコアを再定義する「ARM DYNAMIQ」を今回発表した。レイテンシーが少ない新しいシングルクラスタ。つまり、遅れの時間が少なくパフォーマンスを最大化する柔軟なコアの構成になっている。マルチコアが再定義される。

  • ※1
    データ処理などを要求してから、その結果が返されるまでにかかった時間

今後あらゆるところに普及するAIのためにアームのDYNAMIQは設計された。パフォーマンス50倍、レスポンス10倍のAI専用プロセッサーがこれから「ARM DYNAMIQ」で世の中に何十億個というレベルで出荷されていくことになる。

戦略

スマホの出荷数がだいぶ成熟したことで、一部の人は「アームは成長しないのではないか」と言っている。世界で見てスマホの出荷数は3%しか伸びていないが、アームのロイヤリティ売上は18%伸びている。アームは高機能の技術を毎年続々と開発しているからだ。さまざまな機能を追加することによって、ロイヤリティ売上が伸びている。

また、これが端末だけではなく、今までIntelの牙城であったデータセンターにアームは続々と入っていく。先日、Microsoftのパソコンに入ることを発表したが、ついにMicrosoftのデータセンターサーバーの半数超でアームが使われることになった。

また、Amazonの「echo」や「fitbit」、「iRobot」など、いろんなところにIoTが広がっていっているわけだが、今後さらに爆発的に広がるだろう。今から20年以内に1兆個を超えるIoTのチップがアームによって出荷されると見込んでいる。これから加速度的に増えていく。

単に端末を買ってきて売る、単にネットワーク機器を買ってきて設備投資するのではなく、業界の成長エンジンそのものを、われわれの手に100%保有で持ったということだ。世界中のIT業界のエンジンの決定的ポジションを傘下に持った。先ほどのクアルコムとの提携が一つの事例だが、これから続々と技術を進化させる側になったことは、ものすごく大きなことだと思っている。

金の卵を産むガチョウ

冒頭にも申し上げたが、ソフトバンクは金の卵を産むガチョウなのか。
2年前に言った時には、皆さんポカンとしていた。金の卵には価値があるけど、それを産むガチョウには価値があるのかないのか。2年間経って、そのガチョウがどういうパフォーマンスをしたのか、ガチョウは何を成したのかということを申し上げたいと思う。

この2年間で純有利子負債は2兆円増えた。「借金のソフトバンク」「借金大好きなソフトバンク」とよく言われるが、実際に純有利子負債が増えたことは事実。

一方で、これはガチョウにとっての餌代だと。餌をたくさん食べた結果、ソフトバンクグループが持っている企業群の時価が、2年前は18兆円だったのに対し、25兆円に増えた。つまり、餌代を2兆円食べたが、結果ソフトバンクグループが持っている資産が7兆円増えたということであり、決してマイナスではない。

資産の価値は増えたが、そこから純有利子負債の増加を差し引いたのがネットの株主価値。その価値が12兆円から17兆円になり、5兆円増えたことになる。

今日現在のソフトバンクグループの時価総額は約9兆円だが、われわれが持っている金の卵の価値は、借金を差し引いても17兆円になったということ。

株主価値は2年前に比べて5兆円増えたが、毎年一方的に増えているわけではない。デコボコではあるが、過去を振り返ると、金の卵はおおむね増え続けている。

金の卵を1個1兆円と換算してほしい。なんと10年前は0個で、1兆円の規模にも達していなかった。もしかしたら、ソフトバンクグループが普通の卵を抱いたら、餌を食べて大事に温めたら金の卵に化けるのではないかと。

われわれはアリババ、ヤフー、Supercell、ボーダフォンジャパン、スプリントなどに投資してきた。スプリントですら借金を使ってレバレッジを効かせて、その上でエクイティ価値を増やした。私に言わせれば、借金はレバレッジを効かす餌代である。エクイティの規模を最小限にして株式価値を増やす。これがIRR(内部収益率)で現れる訳である。

これはいい例ばかり取ったと思われるかもしれないが、一切合切全部足してどうなのか。借金を差し引いた株式価値としての累積投資が11bnドルで、それが175bnドルまで、15倍に増えた。

この規模で、IRRで毎年平均的な成長で44%増えたという例はなかなかないと思う。私自身は株の売り買いはしておらず、ソフトバンクグループの株以外は持っていないが、もし私が個人投資家や機関投資家だったら、皆さんが驚くほどの成績をあげると思う。でも、そういう小さな勝負をするつもりはない。こうやって大きな勝負を何兆円規模で動かしてきて、言い訳無しに毎年44%成長させてきた。

17兆円というのは、ソフトバンクグループが保有している株式の時価から8兆円の借金を差し引いた価値。ガチョウが金の卵をどんどん増やしたが、本当は卵以上にガチョウに価値があると思っている。皆さんがどう思われるかはわからない(笑)。でも金の卵に価値があるのではなくて、それ以上にそれをコンスタントに産み続けるガチョウにこそ価値があると思っている。

イソップのガチョウと卵の話では、ガチョウが毎日1個卵を産むが、欲張ったおじいさんが1日1個では待てずに、ついにガチョウを殺してしまう。それでガチョウのお腹を見たら、まだ金の卵はできていなかった。欲張ったためにガチョウを殺してしまったというお話だが、ソフトバンクグループは借金という餌を食べている。
先ほども言ったように、2年前に比べて借金は2兆円ぐらい増えた。しかし7兆円、7個分金の卵を産んだから、そんなに「早く借金を減らせ減らせ」と言うなと(笑)。「イソップのガチョウと卵の話を読んでください」と申し上げたい。

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」でさらなる進化へ

過去の話より、大事なのはこれからの話だ。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」によって、ソフトバンクグループはさらに進化する。

なぜファンドを作るのか。それはビジョン、やりたいという思いがあるからだ。
先ほどから金の卵に例えているが、インターネット業界が始まって以来、特にこの10年間でAmazon、Google、Facebookと続々とヒーローが生まれ、まさにゴールドラッシュのように企業価値をどんどん増やす会社が現れた。でも、本当のゴールドラッシュはこれから始まると思っている。今までは前哨戦に過ぎないだろう。

今までのインターネット業界のビジネスモデルは、人が作ったデータをプラットフォームを通じて、課金するモデル。

これからは、人が作るデータだけではなくて、あらゆるモノにインターネットが入って、モノが作るデータがプラットフォームを通じて活用される。データが最大の資産になり、超知性が生まれていく訳だが、IoTに入る90%のモノにアームのチップが入る。アームが設計したチップを通じてデータが生成されて流れていく。オセロで言えば、四つ角の一つを取ったというのが、アームの保有した部分である。

これによって、あらゆる産業が今から再定義される。自動車の交通産業は「Uber」や「滴滴(ディディ)」などによって再定義されようとしているが、同じように、これから医療の分野も、食料、農業、生産の分野など、あらゆる産業が再定義されるだろう。つまり、真のゴールドラッシュはこれから来る。人が作るデータの何百倍ものデータが、これからIoTによって作り出されていく。待っていられない。そんなチャンスを逃すわけにはいかないという気持ちだ。

ちょうどネットバブルがはじけた2000年に、私は「今こそがチャンスだ!」と叫んだ。そしたら「You are crazy」「目を合わせないほうがいい」と言われた(笑)。

あの時にもう少しお金があったならばと思うが、今から本当のゴールドラッシュが来るならば、借金を増やさずにお金を用意しようと。そのための構えが「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」だ。

「ガチョウが餌ばかり食う」「借金ばかり増やす」と皆さん心配するが、今後は借金を増やさずに、ファンドを通じてパートナーからお金を集めて、われわれのノウハウとビジョンにお金をかけていく。

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」というガチョウがこれからさらに羽ばたいていく。
その辺の庭をちょろちょろしているだけでは物足りない。
今こそ飛べと。ついに飛んで金のガチョウになるぞと、これからバーっと飛んでいく(笑)。

決算発表でこんな笑い話をすることもあまりないが、物事は真面目に小さく考えても仕方がない。1回の人生、1回のまれにみるゴールドラッシュのチャンスの時こそ、ぜひ心を解き放って、スケールを大きく考えてみたくて、今日は決算発表にそぐわない大ぼらを久しぶりに吹かせていただいた。

皆さん、これから卵をたくさん食べたほうがいいですよ。卵を食べるたびに私のことを思い出してください。

質疑応答

営業利益1兆円を達成して

10年前は夢の数字だった1兆円を達成したが、感動がないとのこと。
1年前に(社長)続投を決められた中で、夢の捉え方、覚悟が違ってきているのではないか。

 やはり、シンギュラリティーの時代が来ること、アームをついに買えたこと、時が来たということで、とても興奮している。しかし、これから真のゴールドラッシュが来るという時に、引退を考えること自体が早過ぎた。自分自身が反省する点は、もう60年近く人生を過ごしていて、まだ何も自分で誇れるものを達成できていないこと。その悔しさというか、じくじたる思いがある。「やっとここから、本当に俺の人生が始まるんだ」という思いでいっぱい。今はまだまだ通過点。ここから始まると思っている。

ソフトバンクの企業価値について

10年前に比べると株価が3倍に上昇しているが、今の水準、市場からの評価をどのように捉えているか。

 10年前は、まだ実力値がなかった。実力値はないが、世の中の人が先買いのようなかたちで高い評価をしてくれたと思っている。先ほどの卵の数で言えば、10年前は金の卵が0個だった。保有している株式価値は1兆円に満たず借金の方が多かったが、時価総額は3兆円ぐらいあった。でも今は、実力値は付いてきたが、逆に世の中の評価が実力値にまだ付いてきていない。17兆円の株主価値に対して、借金を差し引いて9兆円というのは、私としては今こそ買いじゃないかと思っている。

伸びる余地があるという意味でも、過小評価されているくらいの方がうれしく思う。実力以上に評価されている時は、いつかメッキが剥がれるんじゃないかという不安でいっぱいになるが、むしろ伸びしろがある方が、きっと今に評価が上がるという楽しみでワクワクする。

米国の移動通信業界再編への戦略

米国の移動通信業界再編について、従来の戦略のとおり、T-Mobileの買収を考えているのか、それとも新たに戦略を立て直すのか。

 基本的には何でもありだが、当然一番の本命であり、一番シナジーが早く出るのは、最初の想定であるT-Mobileだと思う。そういう意味でも、これから真摯に心を開き誠実に交渉に入っていきたいと思うが、当然相手があることであり、いろんな条件がある。
われわれは、もし他にもよりよい条件で、業界再編につながるチャンスがあれば、当然、心を閉ざさずにオープンマインドで検討していく。われわれだけでなく、相手も当然そうだと思う。

スプリントとソフトバンクの技術提携

スプリントのHPUEやさまざまな基地局の技術的な話をされていたが、これらを日本のソフトバンクに導入する計画や構想はあるのか。

 今もスプリントのチーフネットワークオフィサーを務めており、何がなんでもスプリントのネットワークをNo.1にすると、私のプライドにかけて誓っている。

今日も朝からスプリントのネットワーク会議を行い、毎週夜の22時とか23時に開始して、夜中の24時過ぎまで電話会議をやっている。どっぷりと浸かって、さまざまな開発を行っている。
ある意味では、ソフトバンクが日本で培ったノウハウ全てをスプリントに導入して、さらにスプリントが今抱えている問題を解決するために、世界に先駆けた新たな道具の開発を進めている。
今日の発表でも、クアルコムとスプリント、ソフトバンクグループ3社の提携の話があったが、これからさらにスプリントとソフトバンクグループがお互いに技術で刺激し合い、協業していく話が続々出てくると思う。

純増数について、ソフトバンクの伸びもあると思うが、ワイモバイルとの合算の数字だと思う。ワイモバイルが増えれば増えるほど、ARPUを押し下げてしまう可能性があると思うが、どう考えているか。

 純増数については、当然ワイモバイルとの合算であり、ワイモバイルの方がARPUが低く、引っ張られがちになるが、当然増益させないといけない。
そこで光ファイバーのバンドルによる、1ユーザー当たりの総売上を増やすとか、あるいはコンテンツやサービスで増やすなど、トータルで増やすということを積極的に取り組み、今年も年間通じては増益できると思う。

第1四半期・第2四半期はいろいろな販売促進を行うため、利益については一時的に若干のマイナスの影響があるが、投資ということで、第3四半期・第4半期で取り返すことになり、年間を通じては国内通信も増益し、逆に数字は順調に伸び続ける。今、ヤフーと「ソフトバンクユーザーならいつでもポイント10倍キャンペーン」を行っているが、幸いなことに売上がどんどん伸びており、その分、販促費が先に立つというかたちになる。

スプリントの最終黒字達成への見通し

スプリントの次の目標は最終黒字化だと思うが、2017年度に達成する自信があるか。

 スプリントの最終利益についてだが、営業利益では2,000億円近い黒字になってきた。今年もさらに伸びるものの、過去に発行した非常に高い利率の社債がまだ残っているので、現時点ではその分が圧迫している。一巡すると当然その分の金利負担も半減するとともに、業績そのものが伸びていることもあり、最終黒字化は時間の問題だと思う。ただ、いつかというところについては、まだスプリント側も発表していないのでコメントを控えたい。

アームが苦手とするサーバー分野おいて、いつぐらいまでに、どのくらいのシェアを取れるのか。その期待と見通しを教えてほしい。

 現在、サーバーについては、圧倒的にインテル社の独断場である。そのため、ほぼゼロに近いところから這い上がって行くことになる。何年かの内には、2割ぐらいまでには持っていきたいというのが目標であるが、いつかというのはもうちょっと待ってもらいたい。

5G対応が与えるインパクト

5Gによって、テクノロジー業界や通信業界にどういったインパクトを与え、世界をどのように変えていくと考えているか。あるいはソフトバンクがその中でどういう位置を占めていくのか。

 ソフトバンクは5G技術の最先端の企業でありたい。当然のことながら、新しい世代の技術というのはレイテンシーが短くなり、接続速度が5Gbit(ギガビット)という世界にまで増えていく。5Gは非常に高い性能を出せる根本な技術であり、他社に先駆けて、いろんな周波数で行っていく。

5Gにおいての一番の問題は、高い周波数を使うため屋内に浸透しにくいこと。自宅や会社などの屋内ではデータ通信量の8割のトラフィックが発生するため、いかに浸透させるかというのが鍵になる。
そこで、圧倒的に有利な電波である2.5GHzで実施する。今回、その点をクアルコムのCEOと合意できたことは、ものすごいメリットであり、朝から非常に興奮している。

ガチョウと金の卵の話をした狙いと、どういう意図があるのか。

 なぜ今、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」をつくろうとしているのか。「ソフトバンク2.0」とは何なのかということを説明するための分かりやすい事例である。それをどう受け止めるかは皆さんそれぞれの解釈。

アーム買収によるリスク

アームの買収も加わって、のれんが4兆円超えているが、失敗しない自信はどこにあるのか、またなぜなのか教えてほしい。

 世の中でチップの無い生活が成り立つとは、もう考えられない。昨年1年間で、アームベースのチップを177億個出荷しているが、26年間かかった出荷数は、次の4年間でまた倍増すると考えている。2次曲線で伸びているわけである。

圧倒的マーケットシェアかつ2次曲線で伸びている時に、のれん代を特損しなきゃいけないような状態に陥るとしたら、それはよっぽど経営に能力が無いということ。それほどいいポジションに現在いる。なので、アームののれん代の特損を立てなければいけないような状態になるということは全く心配していない。

アームと自動車業界との親和性

車に関しては、何か考えていることがあったらコメントをいただきたい。

 あります。いろいろとやります。
そこには当然、これからアームのチップは続々と入っていきますし、今、事業会社にも着々と手を打っており、自動車業界も非常に重要なマーケットとして捉えている。

総務省主導による端末の値引き規制の影響

国内通信事業について、純増が続いていた時期と比べ、転換期に差し掛かっていると思うが、戦略にどのように影響するかを教えてほしい。また、総務省が主導した端末の値引き規制によって、営業コストはどのくらい削減できたのか。

 総務省主導での端末の値引き規制というのは、世界でもなかなか例のない規制だと思うが、それは総務省の考えあってのことなので、その良し悪しについてはあえてコメントしない。

結果何が起きているかというと、国内の端末メーカーはほとんど全滅してきている。
端末が売れないことで、世界の中で取り残されてしまっているというぐらい悲しい状況にある。二つ目は、良い悪いは別として競争があまりできない状態になっている。従って、マーケットシェアはあまり変わらずじりじりと動く状況である。それの良し悪しについてはコメントしないが、総務省が最終判断することであり、当然法に従い、国のルールに従うしか選択肢はない。

業績については先ほど発表したとおり。劇的にシェアを変えることはあまり望めない状況なので、光ファイバーのユーザー数やコンテンツを増やしたり、さまざまなサービスを付加していくことで、1歩ずつ健全に努力したい。

半導体メモリー事業への出資について

東芝が半導体メモリー事業を売却するにあたり、経済界の一部から孫社長に出資してほしいという声があったと思うが、シェアが圧倒的ではないため金の卵ではないのか。また、国内の技術が流出することを懸念し、政府が介入することについてどのように考えているか。

 これまた政府に対しての良い悪いや批判めいたことを言える立場にはない。以前は、若気の至りですぐ政府ともけんかしていたが、少しは大人にならなければいけないと、一生懸命自分に言い聞かせている。

良い悪いは別として、メモリーは基本的にコモディティである。どこか1社が圧倒的シェアを持っているわけではなくて、価格の安いほうに顧客は流れていく。また設備投資にも競争の波があり、膨大な設備投資を毎年行う必要があり、その設備投資の競争に少しでも躊躇すれば、あっという間にマーケットシェアが落ちてしまう。思い切った意思決定が求められる、そういう業界だと思う。

ですから、ソフトバンクグループがそこに関わるのかと問われると、われわれが主体となって積極的にやることは、基本的にあまり考えられないが、いろんな相談は受けるという立場。

アジアスーパーグリッド構想の進捗状況

アジアスーパーグリッド構想について、去年9月にはもう採算が見えてきたといった話があったが、再生エネルギーの発電コストが下がってきている今、実現性やスケジュールの前倒しなど進捗状況はどうなっているのか。

 少なくともソフトバンクグループは、再生可能エネルギーについて国内有数の規模をつくったことは事実の一つ。

現在インドで、世界で5番目ぐらいに大きいメガソーラーの設備をすでに稼働させた。先月か先々月からもう稼働しており、実際に発電を始めている。さらに昨日、追加の入札にわれわれが勝ち、さらに取り組むことになった。インドではこれからも続々と規模を増やし、世界でトップレベルの太陽光発電の事業者になると思う。中国やロシア、モンゴル、韓国など、さまざまな潜在的パートナーの国々や企業と話し合い、非常に前向きな形で盛り上がっている。

ただ、勝手につなぐわけにはいかないので、最終的にはこれまた国・政府という手続きを経る必要がある。コスト的にはもう採算が合うレベルにあると思うし、技術的にも接続可能なレベルにきたと思う。しかし、国の許認可あっての話なので、そういう機運が盛り上がってからでないとなかなか進めないという現状にある。

多くの国々の、多くの人たちがつながることで、電気がつながり、心がつながり、それがよりアジアの国々の平和につながると思う。ぜひそういう声がいろんなところから出てくるといいなと思う。

クアルコムとの提携について、3月20日に発表したアームの新しいCPUクラスタアーキテクチャー「DynamIQ」は、AIや自動運転、5Gにも転用でき、2020年のアームベースのスマホチップの半分が「DynamIQ」ベースに置き換わると公表されている。そうすると、2019年にサービス提供を予定しているクアルコムの5Gのチップは、この時点で2.5GHz帯のクアルコムのモデムを積み、enhanced LTEとNew RAT、New Radio Accessの両方に対応した、しかも「DynamIQ」アーキテクチャーベースの特別な「Snapdragon」プロセッサーがソフトバンクとスプリントに提供されるということを意味しているのか。

 個別の設計は、まさに今日からがキックオフなので、これから双方の一番良いところを持ち寄ってやっていくことになる。これからなので、コメントはできないが、なかなか良いところをついておられると思う。

ソフトバンクグループの中長期戦略

時価総額を上げるためには、投資家に対して分かりやすい説明が必要だと思うが、ディスクロージャーについての考えを聞かせてほしい。また、中長期的にどんな姿を描いているのか、将来の姿を教えてほしい。

 その将来の姿を説明するために、空飛ぶ金のガチョウの例え話をしたわけだが、「ソフトバンク2.0」というのは、基本的には事業会社各社のCEOに経営を委ねて、私はそれらを束ねた事業グループとしてシナジーを出し合うような集団をつくっていく。そのポートフォリオカンパニーの中からは、成熟したと判断し、ポートフォリオから徐々に卒業させる会社も出てくると思う。

今回の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」では、これから投資する30社近い企業とすでに話し合いを始め、いろんな交渉をし、条件設定をやっているところである。ソフトバンクグループのこれまでの歴史の中で、最も早く、最も大きな規模の投資が、一気に加速し同時に起きていく。

全ての案件に、私自身が直接関わっている。
もちろん意思決定はチームでやっているが、事業はそれぞれのCEO・CTO・CFOに委ね、彼らの意思決定を尊重し、今までそのために使っていた私の時間と頭は、グループをどう構成していくのかというところを中心にやっていく。そのための軍資金として「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」をつくった。

今までは目先のお金がないということでアームの買収も10年待つ必要があり、他にも泣く泣くチャンスを見送ったケースはいっぱいある。その制限が取り払われることによって、われわれの業界で今から一番伸びるであろう最先端の会社、しかもその分野でNo.1の会社を続々と仲間に入れることができる。そういった発表がこれから毎月おそらく連発して出ていくことになり、ソフトバンクグループの成長がここから一気に加速するということになる。

われわれは情報テクノロジー業界に特化し、しかも筆頭株主のほとんどの人が長期保有である中で、戦略的シナジーを出し合えるNo.1集団をつくろうとしている。

このような事業グループというのは世界で初のケースだと思う。ファンドとしても世界最大規模だが、会社の経営形態が世界で初の形態になる。ベンチャーキャピタルとも異なる。シナジーを出し合い、しかもIPOの後も、基本的に伸びていれば仲間に入れたままシナジーを出し合う。今のアリババやヤフーのような存在のように。
そういう組織論のモデルを世界で初めて構築したのが、ソフトバンクグループだと思う。

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資料

(掲載日:2017年5月19日)

  • 特段の記載がない限り、「当社」はソフトバンクグループ株式会社および子会社を示しています。また原則として、株式会社や有限会社、社団法人などを省略して社名・団体名を表記しています。
  • ログミー株式会社の提供を受け掲載しています。全文はログミーサイトをご覧ください。