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こんなオフィスで働きたい! 話題のコワーキングスペース「WeWork」レポート Vol.1

2018年に日本上陸が予定されているコワーキングスペース「WeWork」。第一印象は“インスタ映え”しそうなおしゃれなオフィス? でも、WeWorkが世界各国に広がっている理由はそれだけではないんです。米国で実際にWeWorkを利用しているジャーナリストの松村 太郎さんに、オフィスの様子や利用のメリットなどを3話連載でレポートしていただきます。

第1回 WeWorkを選んだ「合理的」な理由とは?

日本に限らず、世界中で進む「はたらき方の変革」。変化が大きくまた速い時代に対応すべく、さまざまな取り組みが行われています。その中でも注目を集めているのが、コワーキングスペースを世界16カ国、50都市で展開しているWeWorkです。

ソフトバンクグループと、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、米国ニューヨークに本社を置くWeWorkに44億ドルの出資を行い、2018年初頭の日本進出も発表されました。

カリフォルニア州バークレーに在住している筆者は、2016年4月から、バークレーの駅前にある「WeWork Berkeley」のメンバーになり、毎日の仕事場として活用しています。

WeWorkを選んだきっかけや、そこでの日常、日本進出に向けた期待などを、ご紹介していきたいと思います。

筆者・松村太郎(まつむらたろう)
1980年東京生まれ。米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了後、テクノロジーとライフスタイルをテーマに執筆活動を続ける。テクノロジーと教育で問題解決に取り組むキャスタリア株式会社取締役。プログラミング必修の通信制高校コードアカデミー高等学校の創立副校長を務め、現在スーパーバイザーを務める。
Web https://tarosite.net/ Twitter @taromatsumura

一目瞭然のコワーキングスペースを選ぶ合理性

サンフランシスコと近郊都市を結ぶ高速鉄道BART(バート)のダウンタウン・バークレー駅から1ブロック歩いたところに、7階建てのビルが見えてきます。ここが、私が仕事場にしている「WeWork Berkeley」です。

サンフランシスコ市内には既に9カ所のWeWorkが開設されており、バークレーに加えて、秋には隣の街であるオークランドの中心部にも新設される予定。WeWorkはサンフランシスコ・ベイエリアでも、その勢力を拡大しています。

私は2016年4月にWeWorkのメンバーになり、毎日通って、原稿執筆の仕事をしています。
必要な仕事道具はノートパソコンぐらいなので、個室ではなく、空いているスペースで仕事ができる「ホットデスク」というメンバーになっています。

WeWorkを利用し始めた理由は、単純明快、非常に経済的だったからです。
日本の東京からサンフランシスコやシリコンバレーに移り住むと、不動産の価格の高さに驚かされます。サンフランシスコまで電車で30分の郊外にあたるバークレーの駅の徒歩圏内で2LDK(2ベッドルーム)の部屋を借りようとすると、毎月の家賃は3000〜6000ドル(33万〜66万円)。郊外の住宅地であっても東京の中心部の2倍になってしまいます。

オフィスも同様で、机がかろうじて1つ置ける程度のオフィスを借りる場合、3000ドルで見つかれば良いほう、というのが相場です。

WeWork Berkeleyでは、ホットデスクメンバーなら、月額350ドルで広々とした作業スペースを見つけることができます。個室が必要という人も、1人が入れるスペースは600ドルから。家賃だけでも、自分でオフィスを見つける場合の1/8で済みます。

これを見るだけでも、コワーキングスペースを選ぶことが合理的である理由がわかるのではないでしょうか。

個人でも、安心して仕事ができる環境

日本でも「ノマド族」がいるように、アメリカでもカフェで仕事や作業をする人は数多くいます。WeWorkを利用する前、私もカフェで仕事をする機会は少なくありませんでした。
そうしたノマド族も、WeWorkに定住したほうが合理的かつ、安心して仕事をする環境を手に入れることができます。

またコストの計算になりますが、カフェで仕事をする場合、例えば1日4杯コーヒーを飲むとします。1杯4ドル程度とすれば、1日16ドル、これが20日間になると320ドルになります。毎週金曜日の夕方はビールを飲みながら、なんて考えると、これに8ドルのビールが4杯で32ドル。カフェで仕事をするにも352ドルがかかる計算です。

WeWorkのホットデスクメンバー費用350ドルより高くなります。次回の原稿でご紹介しますが、実はWeWorkではコーヒーやビールは飲み放題。WeWorkの利用は、仕事中の飲み物代だけを考えても、十分安いのです。

加えて、カフェでの仕事は、快適な机とイスの取り合いです。また、Wi-Fiネットワークは貧弱で速度が遅いことがほとんど。写真やビデオをアップロードする機会も多い私の仕事には向きません。

そしてトイレの問題。アメリカでカフェのテーブルの上にパソコンやスマホを放置するなんて「持っていって下さい」と言っているようなものです。信頼できそうな人に「ちょっとみてて」といちいち頼んだり、そういう人がいなければ片付けてトイレに持ち込むのも手間です。

WeWorkでは、絶対確保できるお気に入りのカードキーのセキュリティがかかった作業スペース、高速インターネットはもちろん、キレイなトイレが揃っています。安心して仕事に集中することができる環境を、手に入れることができるのです。

持たない時代だからこそ手に入れる「グローバルギルド」

今回は、私が住むバークレーでWeWorkを仕事場として選ぶ理由をご紹介してきました。コストの問題、そして仕事に集中できる環境を手に入れることができる、非常に合理的な選択であることが分かります。

世界中の若い世代は、物質的な豊かさから、経験や精神的な豊かさを求める傾向にあります。簡単に言えば、物を買うこと以外に、豊かさを求める、ということです。

立派な会社を持ち、大きなオフィスを構え、高級車に乗ることは、仕事や人生の成功の象徴的な要素だったかもしれません。しかし今は、どう生きるか、自分らしくいられるかが大切な時代です。これが、「持たない時代」なのです。

WeWorkを選んで利用していると、WeWorkというコワーキングスペースがまさに「持たない時代」の産物であると気づかされます。オフィスに必要な設備を共有することで、安い価格で高い品質のサービスを手に入れる、シェアのメリットを享受しています。

そして、WeWorkに毎日通って仕事をしている多様な人々が「集まる」という新たな価値が生み出されています。WeWorkのメンバーになると、世界中のWeWorkメンバーとつながることができるネットワークに参加できます。

例えばニューヨークのメンバーが、サンフランシスコでプログラマーを探したり、ベルリンのメンバーがソウルでアプリの翻訳ができる人を探したり、ネットワークの中で活発に求人や仕事の受発注が行われているのです。

WeWorkの本質は、持たない時代に共感し、自分らしく仕事をする人たちの「グローバルなギルド」でした。

そんなギルドが、日本にもやってきます。東京オリンピックを前にして、世界中のメンバーが日本の人たちと一緒に仕事をする、そんなシーンを思い浮かべると、わくわくしてきませんか?

次回に続きます。

  • ホットデスク以外に、自分のデスクが利用できる固定デスク(月額450ドル)、1人から8人程度までのデスクを置ける個室のプラン(650ドルから)がありますが、個室の大半は既に入居者で埋まっている状況です。

(掲載日:2017年10月13日)
文・写真:松村太郎