ソフトバンク法人の5G戦略―「活用事例」と「プライベート5G」

ソフトバンク法人の5G戦略―「活用事例」と「プライベート5G」

ソフトバンクは、2020年5月20日、法人事業に関する説明会を開催。代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの今井康之と常務執行役員の藤長国浩が、新型コロナウイルス感染症の影響下での事業継続を支援する各種ソリューションと、法人事業での5G戦略について語った。
法人事業説明会の全体のレポートは下記からご確認ください。
ソフトバンクの新たな法人事業戦略―「事業継続支援ソリューション」と「プライベート5G」

ソフトバンク法人の5G戦略

ソフトバンクは2020年春から5Gの商用サービスをスタートさせており、5Gの実用化を前提としたユースケースの創出にパートナー企業らとともに取り組んでいる。法人事業での5G戦略について常務執行役員の藤長国浩が説明した。

  • 藤長 「生産労働力の創出と5Gは、切っても切れない関係であると考えています。ソフトバンクとしても、今春から『超高速』を中心に5Gの提供を始めていますが、5Gの特性である『低遅延』『多接続』も踏まえたソリューション提供を考えています。
    ソフトバンク法人部門では、実用化を前提としたユースケースを創出しています。こんなことができたらいいのにという空想ではなく、今、業界や産業が抱えている課題を5G を使ってどう解決していくか、ということにお客さまと一緒になってチャレンジしていくステージです。」

「実用化」を前提としたユースケースの創出

インフラの点検、設備の異常検知、建機の遠隔操作など、さまざまな産業で5Gサービスを活用した実証実験がはじまっている。
人手不足の解消・コスト削減など、各産業・社会課題の解決を目指した具体的な事例が紹介された。

  • 藤長 「5Gの実用化を支えるパートナー企業さま、お取引のあるベンダ企業さま、そしてソフトバンク法人事業のお客さま、自治体。そういった皆さんを1つの『ONE SHIP』というブランドへ乗せて、統合的に私どものソリューションをお届けする体制を整えています。
    そしてそれを実際に体験していただく『5G×IoT Studio』のお台場ラボが2020年の6月にリニューアルオープンいたします。実際の商用環境と同等の設備で、技術の検証が可能になっていますので、いわゆるリアルに物事を検証していくスタジオという位置づけになります。」

ビジネスパートナープログラム「ONE SHIP」
高い技術力や経験を持つパートナー企業と連携し、幅広いフィールドで、新たなサービスの共創を目的とする

  • 藤長 「すでにプレスリリースでも発表済みですが、さまざまな業界のお客さまと5G・IoTを使ったソリューションの組み上げを行っております。
    例えば、パシフィックコンサルタンツ株式会社さまとは、道路や橋梁などの社会インフラを IoT を使ってどうやって監視・管理していくのかという部分に取り組んでいます。本田技研工業株式会社さまとは、『コネクテッドカー』、未来の車に対してどういう取り組みができるのかを、実際に現場で一緒になって検討しております。」

製造業での5G活用事例

  • 藤長 「製造業のパートナーさまとの取り組み事例を説明いたします。
    今まで工場の中の生産ラインは全て有線で結ばれており、生産体制を増強したり縮小したりというレイアウトの変更は非常に困難な状況です。それを無線で代替すると確かにレイアウト変更はしやすくなりますが、無線 LAN やアンライセンスなバンドを利用するとなると、ノイズや途中で接続が切れたりなどの障害がどうしても起こってしまいます。

    そこでライセンスバンドである5Gを利用できるのではと考え、ある製造業のお客さまと一緒に取り組んでいます。ただ生産ラインのレイアウトを自由にするというだけではなく、無線通信で集まったデータをクラウドで管理することによって、生産効率をより高めていくことにもチャレンジしています。この取り組みの中では、クラウドが非常に重要になってきます。

    ソフトバンクはMicrosoft社、 Google 社の2社の認定パートナーを受けています。 Microsoft Azure のパートナー認定は、日本で初の『 Microsoft Azure Expert MSP 』『 Microsoft Azure Networking MSP 』の2つを取得しており、通信キャリアの中では世界で唯一の2冠を達成しています。自信を持って、クラウドをお届けする体制を整えています。」

建設業での活用事例

  • 藤長 「建設業の実用化に向けた検討の一例です。皆さまご周知の通り、建設業界では労働力が不足すると言われて久しいと思います。職人の方々の不足を補うためには、1人1人が複数の作業を遂行できるよう推進していく必要があるのではないでしょうか。

    そこでソフトバンクでは、建設業の皆さんと議論を重ね、例えばドローンを使った自動測量や、タワークレーンなどの遠隔操作など、労働力不足を補うテクノロジーについて実際に現場でさまざまな試みをしています。そこで分かったのは、やはり測量ひとつにも非常に精度が高いものが求められることです。

    それでは、1つ商品をご紹介させて頂きます。 GPS だけではどうしても数メーターずれてしまう位置情報に、準天頂衛星を用いて独自の補正をかけ、数センチ以内の誤差で位置情報を提供するサービス「ichimill」です。すでにサービスリリースをして、現場でご活用いただいています。この誤差の少ない位置測量で、精度に関する課題を解決していきたいです。」

高精度測位サービス「ichimill」詳細
衛星による測位と独自基準点による測位の組み合わせで誤差数センチメートルの測位を実現

プライベート5Gを2022年度から提供開始

次に、2022年度から「プライベート5G」を提供予定であることが発表された。
プライベート5Gとは、全国に順次展開されるパブリック5Gと、企業や自治体が個別に構築するローカル5Gの中間的な立場にあり、キャリアであるソフトバンクとしての力を発揮できる領域だという。

藤長 「今、世の中では通信キャリアが全国に準備をするパブリックの5G、そして通信事業者ではない企業さまや自治体が免許を取得されて、ご自身の設備の中で5Gを利用するローカル5G、この2つがよく新聞などで取り上げられていると思っております。
ソフトバンクはその中に、1つ新たな概念を追加したいと思っております。『プライベート5G』です。これを2022年度から提供していく予定です。

プライベート5Gとはどのようなものかと申しますと、お客さまの敷地内にローカル5Gのように5Gを提供させていただき、そしてそれは、パブリック5Gであるソフトバンクの無線電波を使って、お客さまに必要な帯域、必要な容量を提供していくということになります。

パブリック5Gとローカル5G のちょうど中間のようなサービスですが、お客さまにとっては面倒な免許の取得や、保守運用がなくなり、ソフトバンクのパブリック5Gをあたかも自社の5G のように使っていただけるサービス、という位置付けで2022年度からご提供させていただきたいと考えています。

当社のお客さまにもヒアリングをさせていただく中で、やはりローカル5Gやプライベート5Gなどの、個別に5Gを使うということへ高い興味関心をいただいておりますので、2022年度の実現に向けて邁進してまいります。
5Gの時代、実用的なサービスを念頭に、さまざまなお客さまといろいろなチャレンジ、取り組みをしていきたいです。」

説明会の終盤で行われた質疑応答では、参加したメディア各社から5Gサービスに関する質問が多く寄せられ、関心の高さがうかがえた。

5Gサービスにおけるソフトバンクの競合への優位性とはという質問については、「いち早くデジタルトランスフォーメーション本部という組織を作り、お客さまとともに『共創』という形で、それぞれの業界にあった形の5Gの仕組みを提供していくのが、ソフトバンクの一番の優位性である」と今井副社長が回答している。

また、プライベート5Gの提供開始が2022年度になる背景としては、スライシングなどで各企業にあった機能を個別に提供するために、SA構成でのサービスが展開できる、またそれに見合った端末が展開されることを踏まえて、2022年度を予定しているとの説明がされた。

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