経営者が自ら働き方改革を推進した意味とは

2022年1月19日掲載

経営者が自ら働き方改革を推進した意味とは

パーソル総合研究所が2021年8月に実施した調査によると、「上司からの期待を超えるパフォーマンスを発揮している」テレワーカーは、出社者の約1.4倍という結果が得られました。 この結果から、テレワークなど社員にとって働きやすい環境を整えることが業務のパフォーマンスの向上につながることが分かります。 本ブログでは、生産性向上を目的として自ら100以上の働き方改革を行った、河村電器産業株式会社の会長である河村幸俊氏に、取り組みの内容とそのベースとなった考え方についてお話を伺いました。

目次

お話を伺った方

河村 幸俊 氏

河村電器産業株式会社 代表取締役会長
名城大学商学部卒。1976年、河村電器産業に入社。
1983年代表取締役副社長、1991年代表取締役社長。
2014年1月、代表取締役会長に就任。

制度から変えないと本気が伝わらない

働き方改革への取り組みを始めたきっかけについて、河村氏は次のように話します。

「私が社長から会長になったとき、役割はなんだろうと考えました。 組織、人事、経営資源の配分、それに伴う業績向上への取り組みは社長の役割です。そこで、社長のときにやり残したことの1つだった『社員の働き方の見直し』に取り組もうと思ったのが始まりでした。

まずは働いている社員が今どんな現状で、どんなことに困ってて、どうしたいと思っているか、ランチミーティングで気軽に話してもらいました。 そこで、有給が1日単位でしか取れない、産休や育休に対する社内の雰囲気が良くないなど、制度や考え方が働き方に合っていない現状を改めて知ったのです。

『すでに根付いている文化を変えることを目的として、会社が本気で取り組んでいる』と社員に伝えるためには、人事基盤という根本から整備する必要がありました。

当社は全国に60ヵ所の拠点があり、地方には数名のみが所属する営業所もあります。その営業所で働いている社員の退職、産休や育休の取得などで人数が減ってしまうと、業務に大きな負荷がかかります。それを忌避する社員がいたため、産休や育休に対する考え方が良くない状態でした。そこで、営業所同士でネットワークを作り、人数が少ない営業所に気軽にヘルプへ行ける制度を作りました。

次に人事制度や給与制度の見直しを行って人事基盤も整え、それから生産性を上げることを目標として本格的に働き方改革へ乗り出しました」(河村氏)

生み出した成果は給与に還元させる

基盤を整えたときと同様、働き方改革においても根本から見直したと河村氏は話します。

「本社はスタッフ部門ですから工場などの生産ラインと異なり、集中しない時間ができやすい。社内を見渡しても、定時に仕事が終わってから喫煙所に行くことや、雑談をして残っていることがありました。鍵を各部署で管理していたので、どうしても帰る時間に区切りをつけづらく、ダラダラと業務を続けてしまいます。

そこで、まずは時間制限を設けました。 鍵を総務管理にして、定時以降に仕事をする場合は理由を総務部に届け出て鍵を受け取るという運用にしました。さらに、各営業所の業務用PCは20時に自動的にシャットダウンされるようにしています。 一方で、お客さまの見積りや書類作成など、急ぎの対応も確かにあります。そのときは所課長に届け出れば業務を許可しています。ただし翌日、PCは延長した分は起動できないようにして、メリハリのある働き方を習慣づけました。

社内の出向制度も新設しました。 経理など専門的な業務は、年度末など繁忙期に大変な負荷がかかります。 社内出向を利用して平時に専門的な業務の知識を習得してもらい、負荷のかかる時期には、フレキシブルにフォローができる制度として整えました。

全て合わせると、100以上の項目を行いましたね。 多くの改革を行ったことで、生産性は上がりました。 最後の問題は、この努力をどのように社員に還元するのか。これが一番大切です。 当社では生産性が上がった分を金額に換算して全体の原資を作り、成果の分だけ給与に還元しました」(河村氏)

実行前の徹底的なリサーチが最も重要

なぜここまで大胆に改革を行ったのでしょうか? その根底にあった河村氏の会長としての考え方をお話いただきました。

「個人の問題、部署の問題だけを1つずつ解決しても、全体は何も変わりません。やるからには抜本から全てを見直して一気に変えないと、どこかに不満や抵抗感が残ります。 『こう変えていくことを目指すのでこんな制度にします』と社員にきちんと理解してもらい、『制度を変えたから皆さんも働き方を変えてください』と進めていく。 そうすると、社内の雰囲気や社員の考え方が、制度に合わせて変わっていきます。

大切なことは、一方的に変化させるのではなく、実行の前に必ず現場を見たり社員にヒアリングをしたり、徹底的なリサーチをすることです。 社員の働きやすさを第一にして制度を変えていくために、このリサーチが最も良かった取り組みでした。

今まで働き方改革は総務や部門長が旗振りでしたが、それではやりきることができません。 私が会長として取り組む意味はここだと思っています」(河村氏)

根付いた文化や雰囲気を変えることは容易ではありません。 河村電器産業では、もう1つ大きな変革をやり切りました。オフィスで当たり前のようにある固定電話を、全国60ヵ所の拠点から全て撤廃したのです。

なぜそのような大胆な取り組みに踏み切ったのでしょうか?それによって、どのような効果が生まれたのでしょうか? 詳細は、ダウンロード資料からご確認ください。

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