Oh! B2Bマーケティング 第6回レポート
BtoB企業における顧客中心マーケティングとは

2022年09月29日掲載

SoftBankのBtoBマーケティング担当者が語る「Oh! B2Bマーケティング」

BtoBマーケティングを実践的に深く取り組みたい人が集まり、BtoBマーケティングを探求する仲間が増えることを目指したオンライン番組、Oh!B2Bマーケティングを毎週木曜日に配信しています。

第6回は、BtoB企業における顧客中心のマーケティングについてお話しします。

目次

第6回出演者紹介

山田泰志

山田 泰志

長年BtoBマーケティングを専門とし、ソフトバンクのBtoBマーケティングの戦略から実行まで広く行う役割を担う。世界レベルのBtoBマーケティングの仕組みや実践を知る専門家。

早川 真理奈

BtoBマーケティング経験は3年目。現在は主にマーケティングオートメーション(Marketo)を使ったメールによるマーケティング活動を主たる業務として行う。

竹之内 彩歌

2021年に、全く違う職業からBtoBマーケティング担当者に転身。日々BtoBマーケティングを学習中。現在は、メールによるマーケティング活動を主たる業務として行う。

顧客中心マーケティングとは

皆さんの組織では、顧客中心のマーケティングができていますか?

ソフトバンクでも同様の意味で、「オーディエンス・セントリック(audience centric)」というキーワードを日々の業務の中で大事にしています。この「オーディエンス・セントリック」とは、お客さまのことを第一に考えて行動をする、という考え方です。

お客さまにマーケティングコミュニケーションを行う際は、そのお客さまが実際に何に課題を感じているのか理解した上でコミュニケーションを設計する必要があります。第3回の配信でお話しした通り、BtoBマーケティングは販売する製品を自分自身で使うことが非常に少ないため、お客さまの課題がわかりづらい分、往々にして適切なコミュニケーションが行われていないことがあります。社内できちんと議論を行い、お客さまにどのようなコミュニケーションを行うべきかを決定する必要がありますが、その議論においても顧客中心な議論が行われなければ、本当にお客さまが求めている情報提供やコミュニケーションを行うことはできません。

“顧客中心”な組織の見分け方

カスタマーサクセスやマーケティングの高度化が進む昨今、カスタマーファーストを意識した取り組みを行う組織も増加しています。その中で、本当に顧客を中心とした議論ができているかどうか、わかりやすく見分ける方法がひとつあります。それは、話の「主語が何か」です。

会議や社内のコミュニケーションの中で、オーディエンス・セントリックな会話ができていれば自然と主語が「お客さま」になるはずです。例えば、「お客さまは○○を課題に感じているのではないか」「お客さまが欲しい情報は××ではないか」「お客さまが普段触れている情報は△△だから、この切り口で訴求するべきだ」など、推測できるお客さまの状況に合わせたコミュニケーションを行うことができます。

反対に、オーディエンス・セントリックではない会話になっている場合は、主語が別の単語に置き換わります。例えば、「この製品は○○という機能が追加されたから訴求したい」「営業が××と言っているから」「A部長が~~とおっしゃっているから」というように、社内や関係者が主語になると、お客さまに提供する情報も自然と自社本位なものになってしまいます。

早川さん: ウェビナー担当時代に、登壇者とウェビナー内容の打ち合わせをする際など、お客さまを中心にした話ができずとても苦労しました。製品担当者がその製品の特長をアピールしたくて登壇されていたり、企画の際も営業の偉い人が言っているからやる、という思考を持たれている方も多くいらっしゃいました。

もちろん、製品の特長を理解しておくことや広い視野でビジネスを俯瞰している上位職者の考えを汲み取ることは重要です。しかし、あくまでお客さまを主語にした話をしなければ、なぜこの機能が良いのか、なぜそのメールを送らなければいけないのかを本当に理解したことにはならず、結局お客さまにとって価値のない情報提供となってしまいます。

顧客中心マーケティングを行うために必要なこと

顧客中心マーケティングを行うにあたって、自社と関わるお客さまがどのような方なのかを十分に知っておく必要があります。また、複数人でマーケティングを行う場合は、そのお客さまについて全員が共通理解を持つことが重要です。そのために有効なのがBtoB向けのペルソナを設計することです。BtoCにおけるペルソナでは年齢や性別、居住地などが代表的な項目ですが、BtoBにおいては購買活動においてそのお客さまがどのように関与するのかが最重要項目となります。

ソフトバンクにおいても、想定するお客さまのペルソナをマーケティング資産として管理し、実際のマーケティング活動で常に利用しています。例えばメールを配信する際には、そのペルソナを参照しながら配信先のセグメントを決めたり、配信するメッセージ内容の調整を行っています。

では、ペルソナを考えるにあたってどのような情報源からペルソナ像を組み立てていくべきなのでしょうか。有用な情報源は大きく2つあります。

【ペルソナ像の情報源】

①直接お客さまにお会いする
一番精度が高く、多くの情報量が得られる方法です。マーケティング担当者からコンタクトを取りづらい場合も多い方法ですが、信頼できるペルソナを作成するためには必須と言っても過言ではないでしょう。事例取材や営業同行などを活用して、マーケティング担当者が直接お客さまとお話しする機会を設けることをおすすめします。

②専門誌を読む
専門誌も、お客さまが普段どのような情報に触れているのかを理解する上で重要な情報源です。また、お客さまとお会いする前に専門誌等で自身の知識レベルをお客さまに揃えておくと、お聞きできる情報の質が大きく変わります。
専門誌を読む場合は、バックナンバーを半年分ほど一気に目を通し、よく上がる話題や業界として何が新しい情報として扱われているのかを把握すると良いでしょう。全ての情報を完全に理解することは難しいですが、まずは傾向を知ることが第一歩となります。

またメンバーの中には、新卒採用ページなどに載っている「1日の流れ」のようなものを参考にしてその職種の方が日々どのような動き方をされているのか情報収集している人もいました。

特にBtoBマーケティングにおいて意外と抜けがちな「オーディエンス・セントリック」の視点を改めて考え直す機会を持ってみてはいかがでしょうか。

また次回、木曜日にお会いしましょう!

BtoBマーケターのためのオンライン番組「 Oh! BtoBマーケティング

BtoBマーケティングを実践的に深く取り組みたい人が集まり、BtoBマーケティングを探求する仲間が増えることを目指したオンライン番組。
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宮野 綾
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
宮野 綾
2019年よりB2Bマーケティングに従事。サイバーセキュリティ、デジタルマーケティング分野のマーケティングを行っている。
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