店舗運営に必要な ”商圏分析” とは?
2022年11月2日掲載
店舗運営を進める上で「来店者数を増やしたい」「新店舗の出店はどのエリアがいいか」といった悩みを抱える担当者は多いのではないでしょうか。こうした悩みの解決には、商圏分析が有効です。お客さまや周辺環境の変化を細かく把握することで、退店リスクを減らし、店舗の持続的な成長へとつなげることができます。今回は商圏分析の目的やメリット、必要な分析項目についてご説明します。
そもそも商圏とは
商圏とは、来店しているお客さまの居住範囲のことです。各店舗の規模や業種業態によって異なりますが、一般的に最寄り品(日用品や食料品)は狭く、買回り品(耐久消費財や趣味品)は広範囲になります。また、徒歩生活者が多いのか、車を利用する人が多いのかなどの地域特性、河川や混雑する幹線道路といった地理的条件によっても変化します。
商圏分析とは
商圏分析とは、商圏を分析しどのエリアからお客さまが来店し、そのエリアにはどんな嗜好の人が何人住んでいるのか?店舗まで徒歩、電車、車、何で移動してきたのか?をデータにもとづいて把握することです。自店舗のお客さまの属性(年齢や行動属性など)を理解することでニーズをつかみ、店舗運営の改善につなげます。
商圏分析に必要な分析項目
商圏分析にはどのようなデータが必要なのでしょうか。
(1)人口・世帯特性
人口や年齢・性別、家族構成といった属性の構成比率からターゲット層が多いのか少ないのかを判断できます。また、人口が増えているのか減っているのかという点は、出店エリアを決める際に重要なポイントとなります。
(2)ライフスタイル
商圏に住んでいるお客さまがどのようなライフスタイルなのかも重要なポイントです。平日はオフィスに出社しているのか、家にいるのか。徒歩や電車、車といった移動手段や週末の過ごし方などを把握すれば、お客さまのニーズにあった店舗運営につなげられます。
(3)地理的条件
大きな河川や開かずの踏切があれば、距離の近い店舗でもお客さまが来店する導線を狭めてしまいます。このように河川や路線、道路、勾配といった地理的条件も商圏分析では重要な項目です。
(4)競合店舗の影響
店舗運営を進める上で避けて通れないのが競合店舗の存在です。商圏エリアに競合店舗が何店舗あり、何時に何人のお客さまが来店しているのか、マーケットシェアはどれくらいかといった競合店舗の特長を把握することは、自店舗の強みと弱みを理解することにつながります。
商圏分析の活用
商圏分析を行う目的は次のようなものが挙げられます。
新店舗の出店エリア選定
新店舗を新たに出店する場合、候補エリアの商圏分析を行い、人口や世帯特性、さらには競合店舗の影響を把握することで、ターゲットが来店しやすいエリアを選ぶことができます。例えば、学習塾の教室を新たに新設する際、単身者の多く住むエリアより、ファミリー層が多く住むエリアに教室を設けた方が多くの生徒獲得が見込めます。しかしファミリー層の多いエリアでも、電車通学者が多く、ほとんどの子供が駅前の学習塾に通っているような場合は生徒獲得が見込めません。このように商圏分析は、効果の出る出店候補地の選定に活用できます。
ターゲットにあわせた広告出稿
商圏分析を行うことで、ターゲットや来店見込のあるお客さまがいるエリアを把握することができます。これにより、ポスティングやWeb広告を配信する際、やみくもに周辺エリアに配信するのではなく、戸建て住宅の物件情報であれば、ファミリー層の多いエリアにポスティングや公告を配信するといったように、ターゲットに適した形で広告出稿ができ、広告効果の最適化につながります。
ニーズにあった店舗づくり
店舗にどんなお客さまが来ているか把握できれば、お客さまにあったサービス提供や品揃えを進めることができます。また、商圏分析は来店見込のあるお客さまの把握にも役立ちます。例えば、集合住宅近くのスーパーマーケットは、集合住宅に高齢者が多く住んでいる点に加え、食事は家で食べる傾向が強い点に着目。食事にプラス1品おかずがほしいというニーズに答える形で総菜の種類を増やしたところ、来店数を増やすことに成功しました。
データ収集の方法
商圏分析の活用方法を説明しましたが、分析に必要なデータはどのように収集すればよいのでしょうか。
統計データと自社データの活用
商圏の人口や世帯数、地理的条件は、国勢調査データやGIS(Geographic Information System:地理情報システム)によって収集が可能です。こうしたデータに加え、POSデータから分かる購買品目や単価情報、アプリ会員など自店舗が保有するお客さまデータも商圏分析に活用できます。
▼国土地理院の地図で標準地図・陰影起伏図・人口集中地区を重ねあわせている様子 (群馬県沼田市の例)
フィールドワーク
商圏エリアを実際に歩いて自分の目で競合店舗の状況や地形を観察することも重要です。データでは夕方の帰宅ラッシュ時に混雑するとされる幹線道路も、どれくらい混雑するのか、抜け出すにはどれくらい時間を要するのかより具体的に把握することができます。こうして収集したデータを地図にマッピングし自店舗の商圏を把握します。
商圏分析の注意点
商圏分析を進める際に注意しなければならない点は、データの鮮度です。例えば、コロナ禍以前は多くの方がオフィスに出社していたため、単身者が多く住むエリアは日中よりも夜のほうが外食需要が高い傾向がありました。しかし、コロナ禍の在宅勤務の浸透により、こうした傾向は通用しなくなっています。これはデータでも明らかで、コロナ禍以降は昼間人口が減少しています。しかし、こうした最新のデータは、調査結果が公開されるまでに数年を要してしまう国勢調査からは把握が難しい場合があります。
最新データで商圏分析を行うためにはツールの活用が有効
国勢調査や自社データ、フィールドワークで収集したデータと最新のデータを組み合わせることで、自店舗の商圏を把握し、さらには商圏に住む人の人口や属性、ライフスタイル、地理的条件も考慮しながら出店計画や販促を検討することができます。
ソフトバンクでは、分析したいエリアを自由に設定し、居住地別や性年代、ペルソナ別の来店者数などの最新のデータを確認できる人流マーケティングツール「マチレポ」を提供しています。店舗運営において「来店者数を増やしたい」「新店舗の出店はどのエリアがいいか」といった悩みを抱える担当者はぜひ資料をご確認ください。
参考:中小企業庁「消費者にとって魅力あるまちづくり I-5.商圏調査」
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