OD調査はどう進める?〜位置情報データを活用した方法とは〜

2022年12月15日掲載

OD調査はどう進める?~位置情報データを活用した方法とは~

交通インフラの整備や防災・都市計画を進める上で、人がどこからどこに移動したのかを把握することは非常に重要です。これをもとに円滑な輸送や地域の安全・活性化に向けた検討を行うことができます。こうした人の動きを把握する方法に「OD調査」があります。本記事では「OD調査」の説明や調査方法をご紹介します。

目次

OD調査とは?

OD調査は、ある出発地点(発地=origin)からある目的地(着地=destination)まで人やモノが「いつ」「どのように」「どれくらい(人数や量)」「なぜ」移動したのかを把握するデータです。どこから来ている人やモノが多いのか、あるいはどこに向かった人が多いのか、2地点間の人やモノの流れを表します。

▼調査の例(自動車のOD調査)

OD調査の利用用途

OD調査の利用用途にはどのようなものがあるでしょう。

交通インフラ整備

交通インフラ整備の面で活用が進んでいます。例えば、ある地域では、バスの路線や便数の再編を行うためにOD調査を利用しました。バス停周辺の住民の移動状況を把握し、現状のバス路線との違いを見つけることで、路線の新設や便数の変更を行い、住民のニーズに応えながら収益面の改善につなげました。

防災計画

大雨や大雪などの自然災害に備えるためにもOD調査は活用されます。災害時に幹線道路がマヒしてしまった時を想定し、日頃の交通量を把握しておく必要があります。また、災害時の人やモノの動きを事前に把握することで、今後起こるかもしれない災害の対策につながります。

まちづくり

OD調査は住みやすいまちづくりの計画にも有効です。観光施設や公園などの人が集まる場所を新たに作る際には、人の動きや行動パターンからニーズを把握することで、どこに作るのが最適なのか、どの程度の広さがよいのかといった判断材料にすることができます。

OD調査の方法

OD調査にはいくつかの方法があります。

対象者へのヒアリング

無作為に選定された人へのヒアリングを行う方法です。調査員が家庭を訪問して直接ヒアリングをしたり、調査票を郵送し回答してもらいます。例として国土交通省がおおむね5年ごとに行う自動車のOD調査があります。この調査では、自動車の保有者に対して調査票を郵送配布し、郵送回収やWeb回収を行います。

位置情報データの活用

スマートフォンの普及により進んでいるのが位置情報を利用したOD調査です。位置情報の取得には携帯電話基地局やアプリのGPSを利用しています。携帯電話基地局の場合は、取得した携帯電話の位置情報と携帯電話の契約情報から分かる性別や年代などの属性情報をもとに、エリアごとの属性別人口情報を把握します。スマートフォンのアプリであれば、アプリ内でユーザの許可を得て位置情報を取得します。いずれの方法も統計処理によって個人が特定できないデータとして利用します。

▼GPSによる位置情報取得のイメージ

ヒアリング調査と位置情報データ活用の違い

ヒアリング調査と位置情報データ活用の大きな違いは2つあります。

サンプル数

ヒアリング調査の場合、ある1日の人やモノの動きを対象者に直接ヒアリングすることで、発着地や出発・到着時刻、交通手段、目的を把握します。この場合、対象者にはある1日の動きしかヒアリングできないため、サンプル数に限りが出てきてしまいます。一方の位置情報データの活用は、携帯電話基地局やアプリのGPSを活用することで、数万〜数千万のサンプル数を得ることができます。

データの鮮度

ヒアリング調査は準備から集計に時間がかかってしまうため、常に最新のデータを活用することが難しくなってしまいます。一方で位置情報データは24時間365日のデータを取得できるため、常に新しいデータを活用できます。また、〇月〜〇月というように時系列での比較分析も行うことができます。

目的にあわせた調査が必要

OD調査は目的にあった方法を用いることが重要です。位置情報データの活用はサンプル数やデータの鮮度の面でヒアリング調査より優れていますが、移動の目的や対象者の属性情報といった詳細を把握するためには、ヒアリング調査が有効です。自社のOD調査の目的にあわせてOD調査の方法を検討してみてはいかがでしょうか。

ソフトバンクが提供するサービス「全国うごき統計」はソフトバンク携帯電話基地局のデータをもとにした数千万台の位置情報データをもとに人の移動や滞在を高い精度で把握することが可能です。サービスの詳細やOD調査を活用した活用例は資料をダウンロードしてご確認ください。

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金子 拳也
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
金子 拳也
2021年からソフトバンクでマーケティングに従事。主にデジタルマーケティングや中小企業向けのコンテンツ制作を担当。

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