Oh! B2Bマーケティング 第15回レポート
マーケターのための数字の見方

2022年12月8日掲載

Oh! B2Bマーケティング 第15回レポート マーケターのための数字の見方

マーケターの皆さん、こんなことを思った経験はありませんか?
「マーケティングは数字で語れと言われるけれど、何をどう見たらいいの?」
今回は、マーケティング初心者がつまずきがちな数字の見方について、お話しします。

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目次

第15回出演者紹介

山田泰志

山田 泰志

長年BtoBマーケティングを専門とし、ソフトバンクのBtoBマーケティングの戦略から実行まで広く行う役割を担う。世界レベルのBtoBマーケティングの仕組みや実践を知る専門家。

ソフトバンク 早川真理奈

早川 真理奈

BtoBマーケティング経験は3年目。現在はソフトバンクで主にマーケティングオートメーション(Marketo)を使ったメールマーケティング活動を行う。

ソフトバンク 竹之内彩歌

竹之内 彩歌

2021年に、全く違う職業からBtoBマーケターに転身。日々BtoBマーケティングを学習中。現在は、早川さんと同じくソフトバンクでメールマーケティングを主たる業務として行う。

数字を見る=○○する

まず、数字を全く見ずにマーケティングを実行しているマーケターは少ないでしょう。ただし、数字は正しく見なければ次につながりません。正しく数字を見るにはどのような観点が必要なのでしょうか。

メール結果サンプル

今回は、メールの配信を例に考えていきましょう。画像はメール結果の典型的なサンプルレポートで、配信数、開封率、クリック率などが記載されています。

山田さん: この数字だけ見て、竹之内さんなら何を考えますか?

竹之内さん: まずはクリックをちゃんとしてくれたか、そしてその先のダウンロードや申込につながったか否かを確認します。また、過去に同じようなテーマで違う切り口やキーワードで配信したメールの結果と比較して、その変化を見ることも多いです。

マーケティングの担当者として最初に気にすべきことは、そのメールがもたらしてくれている価値を見極めることです。しかし、単発のメール結果を見ても良いのか悪いのか判断がつきません。

そこで必要になるのが「比較する」ということです。比較するにあたって、一番簡単かつ明確に比較できるのが数字です。逆に、文章の良し悪しを一目で正確に判断することは難しく、比較には向いていない要素だと言えます。
また、比較する対象の選び方も重要です。意味のある比較とは、比較したい内容以外の条件がほとんど変わらない、という比較です。メールの内容を比較したいのであれば、配信対象や配信時間、配信数などが変わらないメール配信結果を比べてみるのが良いでしょう。

比較する際に注意したいポイントがもうひとつあります。
何かの数値を比較したら、それを基に考察を行い、改善点や次の行動を具体的に思いつくか、というポイントを気にしてみましょう。もし具体的な行動に移せない場合、自分が思いつく改善の引き出しが足りないことが可能性として考えられます。マーケティングは、使っているキーワードの選び方や件名の書き方、CTAの置き方など、改善ポイントに気づけるかどうかマーケターとしての力が試されます。ここでつまずくときは、勉強でインプットを増やすことはもちろん、お客さまのニーズを深く理解するためにお客さまと直接会話してみることもとても有効です。また、意味のない数字を追いかけていることもあるかもしれません。その数字が何を意味しているのか、そしてどのような行動につなげられるのかを意識して数字のトラッキングを行いましょう。

マーケティングで扱う数字は、比較をして、具体的な行動につなげることで初めて価値が生まれます。まずはそこを押さえておきましょう。

どちらを見るべき?実数 or 割合

マーケティング活動でよく出てくる数字の種類は、大きく実数と割合の2つに分けられます。実数はその施策が影響するボリュームをイメージする際に必要です。どのくらいの数のお客さまとコミュニケーションが成立したのかということは、施策を語る上では欠かせない数値です。
一方、割合を表す数字は、他の施策などとの比較を行うときに重要です。マーケティング施策において、全く同じ母数で施策が実施できることは少なく、2つの施策の比較をする際には割合で比較することが多いでしょう。

山田さん: 例えば、クリック数(実数)とクリック率(割合)の片方だけを指標として選ぶときに、2人ならどちらを選びますか?

竹之内さん: より多くの人にメールのクリックをしてもらうのが私たちの目的なので、実数のクリック数かなと思います。

早川さん: 何人にゴールにたどり着いてもらえたかというボリュームはやはり大事なので、実数ですかね。

マーケティングツールのシステム上では割合がフォーカスされていることも多く、割合が先行して話が進むことが多くあります。しかし、まず最初に見るべき数値は実数です。まず何人の方とマーケティングコミュニケーションを成立させられたのか、その実感を持ちましょう。

特にBtoBのマーケティング活動を行うときは、目の前にお客さまがいるわけではありません。数字でお客さまの存在を明確に感じるには、実数として何人のお客さまとコミュニケーションできたのか、もしくは何人の方から振り向いてもらえなかったのかを把握することが第一歩になります。

【視聴者からの質問】

自社の取り組みを始めたばかりで傾向などがわからない段階で、比較するべき数字は自社で取っている数字の方がいいですか?それとも、あるべき論で業界平均などと比較した方がよいのでしょうか?

初めてマーケティングの担当者になった方や、マーケティング組織を立ち上げたばかりの組織では、こういった悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。2021年にマーケティング組織に参画した竹之内さんも、当時同じような悩みを持っていたそうです。

竹之内さん: 初めてマーケティング担当者になって、比較するものがなかったのを思い出しました。その時に比較したのは、自分が1回目に送ったメールと2回目に送ったメールの結果です。自社内の平均は知っていましたが、あくまで自分が書いたメール同士を比較していました。

業界平均などのベンチマークと比較することは常套手段としてよくある話です。業界平均と自社の取り組みとの乖離を知ることで、自分たちに改善の余地があるのか否かを計ることが可能です。ただしここでも重要なのが、業界平均と比較することで具体的な行動に落とし込めるか、というポイントです。もし行動に落とし込めないのであれば、無理にベンチマークを外部に置かず、自分たちが積み重ねていく数字を比較することで、次の行動に繋がる数字の使い方をしていきましょう。
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宮野 綾
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
宮野 綾
2019年よりB2Bマーケティングに従事。サイバーセキュリティ、デジタルマーケティング分野のマーケティングを行っている。
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