リテールメディアとは? 注目される理由とメリットを解説

2023年6月23日掲載

リテールメディア

近年、新たな広告や販促の手法として「リテールメディア」に対する関心が高まっています。リテールメディアは小売業者が自らの顧客データを分析し、Webサイトなどのデジタルな媒体を使って広告を配信するもので、より適切なターゲティングができるようになるだけでなく、広告代理店などを通さない分、コストを抑えやすいなどの特長があります。本ブログではそうしたリテールメディアについて、概要とメリットを紹介します。

目次

リテールメディアとは何か

リテールメディアとは、リテール(小売)業者が保有する顧客の購買データなどを自ら活用し、自社のWebサイトやアプリケーション、店舗のデジタルサイネージなどにコンテンツや広告を配信する仕組みを言います。広告代理店などが仲介していた従来のマーケティング手法とは異なり、企業自身のメディアを使って情報を提供することで、顧客との間により直接的な関係を築くことができるのが特長です。

具体的には、顧客の購買パターンを分析し、購入されそうなタイミングで割引クーポンをアプリケーションなどで配布したり、顧客の好みに合わせた広告を店頭で配信したりすることが挙げられ、それぞれの顧客の購買行動に沿った提案が可能になります。

また同時に、店舗内やWebサイト上に広告枠を置くことにより、消費財を生産するメーカからメディア収入を得られる(小売業者が広告を新たな収益源とできる)ビジネスモデルでもあります。

リテールメディアが注目される背景

顧客のプライバシー保護強化

従来、広告や販促といった活動は Google など大手企業が収集した「3rd Party Cookie」の顧客データを利用していました。しかし近年、世界的な消費者プライバシー保護の機運により、3rd Party Cookieは順次廃止されています( Google Chrome は2024年後半対応目途)。このように、プライベート情報の取り扱いは今後厳格なものになるため、従来の方法では顧客の動きや関心を追うことが困難になります。

こうした変化を背景に、3rd Party Dataの代わりに、自社の販売活動で得られた顧客データである「1st Party Data」を活用することが小売業界で注目を集めており、リテールメディアはその代表的な活用施策です。

顧客の情報収集方法の変化

オンラインショッピングの利用は年々増加しており、経済産業省の調査では2021年の国内EC市場(BtoC)は20 兆 6,950 億円と、2013年の倍近い規模となりました。それにともない顧客の情報収集の方法が変化しています。従来は紙広告やテレビCMから情報を得るのが主流でしたが、現在はWebサイトやアプリケーションで情報を収集して購買を決めるスタイルが広まっています。

こうした変化に対して、リテールメディアはオンラインでコンテンツを提供することにより、企業と顧客の関係を太くしロイヤルティの強化にも繋げられることが可能です。

参考資料:経済産業省 令和3年度 電子商取引に関する市場調査 2022/8/12

コスト面での優位性

従来、小売業界の販促活動は新聞の折り込みチラシやテレビCMなど、外部のメディアに依存していました。しかし、自社で作った広告をWebサイトなどで配信すれば、販促費用の節約に繋がる上、得た収益を次の広告施策費用として自社内で循環させることもできます。

加えて、こうした経験を蓄積することで、メーカなどに対し広告の作成・提供や、販促企画の提案なども可能になり、新たな収益源にもなり得ます。

海外市場からの影響

アメリカのリテールメディア市場は6兆円規模に達し、検索広告、SNS広告に続く3番目の広告市場になっています。その中でもAmazonの広告サービス売上は21年12月期で4兆円を超えて全体の8割を占め、次点のWalmartも同分野で約3千億円と巨額の売上を得ています。海外の小売業者が広告サービスでこれほどの成功を収めていることが、新たな収益源を作りたいと考えている日本の小売業界からも関心を持たれています。

リテールメディアの実践で得られるメリット

小売業者のメリット

1st Party Dataは小売業者が自らの活動で獲得したものであり、収集方法や出所が明確な分、高い信頼性があります。それを活用すれば、個別の顧客に最適化された広告や案内を届けることが可能になり、購買意欲を促進してロイヤルカスタマーの育成へと繋げられます。

また、実店舗だけでなくWebサイトやアプリケーションを作り、パーソナライズされた広告やクーポンを配信することで、幅広い顧客に対して来店や購買の動機を与えることができます。

さらに広告配信により、製品を生産しているメーカなどからメディア収益も得られます。

広告主のメリット

メーカなどの広告主は小売業者の1st Party Dataを活用することで、自社の製品やサービスを顧客のニーズにフィットした形でアピールすることができます。

店舗や小売業のWebサイトなどを訪問する顧客は欲しい商品を探しているため、購買意欲が高い状態と言えます。リテールメディアではそうした顧客に対し商品のアピールを適切に行うことができるので、広告主にとって販売を増やすきっかけになります。

また、データを活用して小売業者と協働で販促活動を行えば販売の現場でその効果を検証することが可能になり、より現実的な課題や仮説に基づいた施策を実施することもできます。

顧客のメリット

リテールメディアでは、商品の販売や顧客の行動といったデータをもとに広告を配信するため、顧客は商品の情報を最適なタイミングで得ることができます。

例えばトイレットペーパーは定期的な購入が必要な消費財ですが、買い忘れてしまうこともあります。そのため、ストックを切らしたころに広告と割引クーポンが送られてくれば、顧客は必要な物をお得に買う機会を得られます。

このように、リテールメディアは顧客の購買活動をより快適なものにすることが可能です。

リテールメディアにはデータ分析が必要

リテールメディアは、顧客の嗜好や行動パターンに対応し、「欲しいと思っている情報」をリアルタイムに提供する広告メディアです。それにより小売業者やメーカなど広告主は、顧客の製品に対する認知やロイヤルティなどを向上させることができるだけでなく、顧客にとっても必要な情報を適切に得られるメリットがあります。

そして、その実行にはデータ分析が欠かせません。

例として、「豚バラ肉を買う人は焼肉のタレも買うことが多い」ことがデータの分析で判明したなら、それらを活用したメニューを開発し、ターゲットに対して広告配信することで、小売業者とメーカにとっては製品の販売量やファン層の拡大、顧客にとっては新たなメニューを楽しむ機会とすることができます。

ソフトバンクではリテールメディアの実践に適したデータ分析ソリューションを提供しています。詳しくはこちらのリンクをご確認ください。また、リテールメディアについて、より詳しく知りたい方は下記からウェビナーをご視聴ください。

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