スターリンク(Starlink)とは? 高速衛星通信のメリットや設置方法を解説【法人向け】

2025年3月26日掲載

スターリンク(Starlink)とは? 高速衛星通信のメリットや設置方法を解説【法人向け】

スターリンク(Starlink)は、低軌道衛星を利用したブロードバンドインターネットサービスです。通信環境が整っていない山間部や海上といった地域でも、スターリンクを利用することで高速かつ低遅延のインターネット接続が可能になります。
本記事では、スターリンクのメリット・デメリット、法人利用における導入事例をご紹介します。実際に屋外でスターリンクをセットアップする様子も動画で解説していますので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

▶関連サービス:法人向け低軌道衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」

目次

スターリンクとは

スターリンクは、スペースX社によって提供されている低軌道衛星ブロードバンドインターネットサービスです。地球の低軌道(約550km)に多数の小型衛星を配置することで、高速かつ低遅延のインターネット接続を実現しています。同社の発表では、約6,750機以上※1の衛星が稼働しており、このネットワークは世界中をカバーし、都市部から離れた場所や海上・山間部など、従来通信インフラが届きにくい地域でも安定した通信を提供しています。

※1 出展:スペースX社(STARLINK SATELLITE DEMISABILITY)2025年3月時点

静止軌道と低軌道の違いは?

衛星の軌道高度は、地上から2,000kmの範囲の「低軌道」と、36,000km付近の「静止軌道」の2つに大きく分かれます。

静止軌道上にある衛星は広範囲な地域に信号を送ることができるため、数個の衛星で地球全体をカバーすることができます。一方、低軌道上にある衛星の場合は1機のカバー範囲が狭いこととカバー範囲が移動するため、多数の低軌道衛星を連携させることで、通信を途切れなく広範囲をカバーする工夫がされています。
また、静止衛星は特定地域の通信や放送を提供することに適しているのに対して、低軌道衛星はリアルタイム性を要求されるサービスや移動体に、広範囲の地域において高速・低遅延通信をシームレスに提供する通信に適しています。

▶関連記事:衛星通信とは? 地球と宇宙をつなぐ通信技術の活用方法

スターリンクとは

スターリンクの仕組み

スターリンクの通信システムは、主に以下の3つの要素から構成されています。

  1. 低軌道衛星:約550kmの低軌道に位置する約6,750機以上の小型衛星が地球を周回し、高速データ通信を支えています。
  2. 地上局:衛星との通信を行うための地上設備で、インターネットバックボーンと接続されており、ユーザーからのデータをインターネットに中継します。
  3. ユーザー端末(Starlinkキット):専用のStarlinkキットには、衛星と通信するためのアンテナ、電源装置、そしてWi-Fiルーターが含まれています。アンテナは自動的に最適な衛星を追尾し、安定したインターネット接続を提供します。

スターリンクのメリット・デメリット

通信方法は利用用途やコストなどを考慮して最適な手段を選択していく必要があります。そこでスターリンクのメリットとデメリットについて確認します。

メリット

  • 通信インフラが整っていないエリアでインターネットを利用できる
    固定・モバイル回線などの通信インフラは、都市部や人口密集地には十分に整備されているものの、山間部や離島、海上などは未整備のエリアが存在しています。スターリンクは、こうした地域でも安定したインターネット接続を提供します。高層階などの工事現場や遠洋漁業など従来の通信手段では困難だった場所でも高速インターネットが利用できるようになることで、地域格差の解消だけでなく、新たなビジネス機会の創出や業務効率の向上が期待されます。

  • 高速・低遅延である
    スターリンクは、低軌道(約550km)に位置する多数の小型衛星を用いて通信が行われ、地表と衛星との距離が従来の静止衛星に比べて近くなるため、通信遅延(レイテンシ)が大幅に低減されています。これにより、Web会議などのようなリアルタイムデータの送受信など、低遅延が求められるアプリケーションにも利用が可能です。


<スターリンクの通信速度※2

アップロード8~25Mbps
ダウンロード40~220Mbps
遅延時間

25~50ms

スターリンクの通信速度

※2 上記数値は法人向け固定設置アンテナの場合における数値です。通信速度、通信遅延はいずれもベストエフォート値になり、記載されている速度と中断のないサービスの使用は保証されておりません。

  • 設置が簡単
    ユーザー端末であるStarlinkキットは、設置が非常に簡単です。専用のアンテナとWi-Fiルーターがセットになっており、アプリケーションの指示に従うだけでセットアップが完了。数分でインターネット接続を開始できます。また、アンテナは自動で衛星を追跡する機能が搭載されているため、専門的な知識や技術がなくても安心して利用できます。法人ユーザーにおいては、複数の拠点への迅速な導入が可能であるため、新規オフィスの設置や移転時にも柔軟に対応できる点が大きな利点です。

  • 災害時の通信手段になる
    非常災害時には、地上の通信インフラが断絶されるリスクが高まります。しかし、スターリンクはこのような状況下でも衛星を介した通信手段を提供するため、インターネット接続を維持しやすくなります。例えば、地震や台風による通信障害が発生した際でも、スターリンクを利用することで、企業や自治体が緊急情報の伝達や業務の継続を図ることが可能となります。また、災害支援活動においても、現地の通信手段として活用できるため、迅速な対応が求められる場面で大いに役立ちます。


<スターリンク個人向けサービスとの主な違い>

カテゴリー項目個人向け(レジデンシャル)STANDARD KIT法人向け(ビジネス)HIGH PERFORMANCE KITビジネス優位点
サービス通信優先度法人向けより劣後個人向けより優先(プラン毎の容量まで)特に使用量のピーク時により高速で安定したダウンロード /アップロード速度が確保※3
期待される速度25-100Mbps(DL)
5-10Mbps(UL)
40-220Mbps(DL)
8-25Mbps(UL)
スペック差分
端末性能耐環境性IP54(水噴霧耐性)IP56(水流耐性)
  • IP54:いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない
  • IP56:いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない
融雪機能最大40mm/時最大75mm/時降雪時のパフォーマンスの向上: 1.7 倍の融雪能力 (インチ/時)※3
動作温度-30°C ~ 50°C-30°C ~ 50°C高温時(35°C以上)のDLパフォーマンスが3倍※3

視野

100°140°上空の視野が広いため、より多くの衛星に接続可能※3

※3 2025年3月現在 https://support.starlink.com/ 掲載

スターリンクをビジネス用途でご検討の場合は「Starlink Business」がおすすめです。ソフトバンクはStarlink認定インテグレーターとして、法人のお客さま向けサービス「Starlink Business」を提供しています。スターリンク自体の機能差分に加え、アンテナ設置などのオンサイト工事・保守支援といったサポートや「Starlink Business」と組み合わせて活用できる、無線LANの環境構築や音声通話ソリューションなどさまざまな法人向けソリューションもご提案可能です。

スターリンクの設置方法や使い方【動画で解説】

スターリンクの設置方法や基本的な使い方は直感的でシンプルです。以下に、法人向けの「HIGH PERFORMANCE KIT」を例に、具体的な設置手順と使用方法を詳しく解説します。また、実際の設置作業を動画で確認したい方は、動画リンクをご覧ください。

※Starlinkアプリのアップデートにより、実際の操作画面と異なる場合があります。
※動画のような設置方法の場合は、ポータブルブランの契約が必要となります(2025年3月時点)

手順1: Starlinkアプリでの見通し確認

広い視野を確保できる屋外の開けた場所を選び、スマートフォンからStarlinkアプリを使って障害物が通信に影響しないか見通し確認を行います。

手順2: アンテナ本体と付属機器、電源との接続

設置場所が確定したら、Starlinkキットの内容物が揃っているか確認し、アンテナを台座に設置したり、その他の機器同士と電源を接続します。電源をONにしてStarlink衛星のサーチ完了を待ちます。(つながらない場合は再度見通し確認を実施)

手順3: 電波受信後にスマートフォンとペアリング

Starlinkアプリで設定したSSIDを利用し、スマートフォンのデバイス設定でStarlink Wi-Fiネットワークと接続します。アプリ上で「オンライン」の表示がでたら接続完了です。アプリ上でスピードテストを行うことも可能です。

スターリンクのアンテナは非常に重量があるため、持ち運びにはあまり適していません。使用用途上、持ち運びが多いケースが想定される場合には便利なキャリーバッグのご用意もありますので、併せてご検討ください。

Starlink Business専用キャリーバッグ
Starlink Business専用キャリーバッグ

スターリンクの法人導入事例

法人の導入事例を通じて、スターリンクがどのように企業で活用されているかを紹介します。

【建設業】超高層の施工階でもネット接続が可能に(三井住友建設様)

超高層住宅や橋梁などの建築・土木事業を手掛ける総合建設会社である三井住友建設株式会社(以下、三井住友建設)。物流・物量が複雑化する建設現場ではICT活用が生産性に直結するものの、高層階においては通信キャリアの電波が届かないため、業務に不可欠な通話や生産管理システムなどが利用できないという課題がありました。そこで、高層階での通信環境改善のため衛星通信サービス「Starlink Business」とメッシュWi-Fi「PicoCELA(ピコセラ)」を導入。

高さ100メートルを超える建設途中の施工階でも、通話や図面確認、遠隔監視用のWebカメラの利用が可能となり、“人をつなぐICTシステム”を利用してコミュニケーションの改善と業務効率化を実現しました。

三井住友建設様の導入事例詳細はこちら

【海運業】海上での通信環境改善で船内生活の質が向上(旭タンカー様)

石油などエネルギー資源の海上輸送事業を担う旭タンカー株式会社では、業界課題である人手不足が深刻化しており、乗組員の労務環境改善に注力する中で従来からの課題である「海上での通信環境」に着目。インターネットにつながりにくい環境が、乗組員の満足度を低下させてしまう一つの要因であったことから、低軌道衛星通信サービス「Starlink Business」を導入しました。これにより、乗組員は余暇時間にインターネット経由での娯楽が可能となり、船内生活の質を大きく向上させることに成功しました。また、さまざまなデジタルツールを海上で活用できるようになったことで業務効率化も実現しました。

旭タンカー様の導入事例詳細はこちら

【自治体】町民のもとに出かける行政サービスを衛星通信の活用によって拡大(鳥取県江府町様)

中山間地域では、交通や通信の不便さに加え、コロナ禍以降は人との交流が希薄になってきています。鳥取県江府町は町民のもとへ行政サービスを届ける「出かける役場推進室」を令和6年4月に新設。利便性を高めるため、衛星通信も導入しました。

鳥取県江府町様の導入事例詳細はこちら

スターリンクをビジネスで利用するなら

スターリンクは、これまであきらめていたエリアでも高速かつ低遅延なインターネット接続を可能にします。特に法人向けとしては、スターリンク単体での導入に留まらず、ソフトバンクが提供する包括的なサポートや周辺ソリューションと組み合わせて活用することで、より効果的なビジネス運営が実現します。

当社からデモ機の貸し出しも行っておりますので、想定されている場所で利用ができるかお試しされたい企業や自治体のお客さまはぜひご相談ください。

Starlink Businessサービス概要・料金などのご紹介

法人のお客さま向け衛星通信サービス「Starlink Business」の具体的な特長や利点をユースケースを交えてご紹介しています。

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