DSEI Japan 2025 出展リポート:衛星通信を活用した次世代通信の可能性
2025年7月7日掲載
2025年5月21日から23日にかけて、国際防衛・安全保障総合展示会「DSEI Japan 2025」が開催されました。ソフトバンクは本展示会に初出展し、低軌道衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb(ユーテルサット ワンウェブ)」を中心とした衛星通信技術を提案しました。本リポートでは、そのブースの様子と提供する衛星通信サービスの概要をお届けします。
470社以上が集結、DSEI Japan 2025とは?
DSEI(Defence & Security Equipment International)は、もともとイギリスで始まった展示会です。その日本版である「DSEI Japan」は2019年に日本で初開催されて以来、日本で唯一の国際防衛・安全保障総合展示会として、2年に一度開催されています。
3回目となる「DSEI Japan 2025」では、国内外から470社以上が出展し、陸・海・空・宇宙・サイバーといったあらゆる領域の最新の防衛・安全保障に関する技術やサービスが一堂に会しました。安全保障業界に関わる企業や関係者にとって、最新動向を把握し、ネットワーキングを深める貴重な機会となっています。
機密性の高い通信が可能:閉域接続・帯域確保型の低軌道衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb」
ソフトバンクのブースでは、企業や政府機関向けの衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb」を展示し、その活用事例や技術的な優位性を紹介しました。
「Eutelsat OneWeb」は、電波が届きにくい山間部や災害時、有事の際など、従来の通信手段が途絶または利用困難な状況下でも、通信が可能な閉域接続・帯域確保型の低軌道衛星通信サービスです。ソフトバンクの閉域網「SmartVPN※」とダイレクトに接続できるため、機密性の高い情報通信にも対応可能です。また、通信速度は最大195Mbpsのダウンロード、32Mbpsのアップロードにも対応しており、画像や映像、音声などのデータのやりとりをスムーズに行うことができます。
ソフトバンクブースで衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb」を紹介
ブースには、防衛・安全保障・宇宙・航空分野の方々が来場され、技術的な仕様や災害時の通信手段としての活用など、「Eutelsat OneWeb」への高い関心が寄せられていました。
「Eutelsat OneWeb」は、お客さまの用途に応じてさまざまなアンテナを選択できる点も大きな特長です。今回の展示では、陸上向けかつ折りたたんで持ち運べるInster社の「Foldsat LEO」と、陸上および海上設置にも適したKymeta社の「Kymeta u8」の2機種を実機展示したので、それぞれご紹介します。
Inster社の「Foldsat LEO」:持ち運び可能な陸上向けアンテナ
「Foldsat LEO」は、可搬性に優れた折りたたみ式のアンテナです。防じん・防水性能(IP65)を備え、米国の軍用規格(MIL規格)にも対応しているため、砂漠や極寒地といった厳しい環境下でも安定したパフォーマンスを発揮します。
「Foldsat LEO」(手前)とバックパック(奥)
パネル部分がフラットになっており、使用しないときはコンパクトに折りたたむことができます。実際に展示品をみると、隣に置かれていたバックパックにすっぽり収まるサイズ感で、非常にコンパクトでした。
災害現場や山間部、仮設拠点といった通信インフラが整っていない場所でも、スピーディーに通信環境を立ち上げることができ、現場からの情報発信や遠隔地とのスムーズな連携に活用できます。
Kymeta社の「Kymeta u8」:陸海問わず活躍するフラットパネルアンテナ
「Kymeta u8」は高さ14センチのフラットパネル型のアンテナで、陸上・海上問わず幅広い用途に対応できる製品です。
「Kymeta u8」のアンテナ
車両や船舶への取り付けがしやすく、波の揺れや風の影響を受けにくい形状で、安定した通信環境を提供します。IP66の高い防じん・防水性能を備えており、マイナス40度からプラス70度という過酷な気象条件下でも通信ができます。
特に海上での利用において、航行中の船舶からの位置情報の共有や洋上からのデータ送信、乗組員とのリアルタイムな連絡手段の確保など、業務の効率化や安全性確保に大きく貢献します。
実際に2つのアンテナを見比べてみると、コンパクトで携帯に優れた「Foldsat LEO」と、設置や安全面に優れた「Kymeta u8」という印象でした。用途に応じてアンテナを柔軟に使い分けられるのは、「Eutelsat OneWeb」の大きな特長の一つです。
最後に
今回はソフトバンクが紹介した2つのアンテナに加えて、Intellian社の協力のもと、「Manpack」のアンテナも模型展示という形でご紹介しました。MIL規格相当の堅牢性を持ちながら、コンパクトかつ軽量で、持ち運びもできるアンテナです。
「Manpack」の模型(展示のみ)
今回の「DSEI Japan 2025」への出展は、「Eutelsat OneWeb」を中心とする衛星通信サービスの有用性と最新の通信技術をご紹介する貴重な機会となりました。
ソフトバンクは地上系ネットワークに加えて、非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)ソリューションの強化を積極的に進めています。「Eutelsat OneWeb」をはじめとし、より低コストで手軽に衛星通信を取り入れやすい低軌道衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」も提供しており、お客さまの用途やシーンに応じた最適な通信環境をワンストップでご提案できる体制を構築しています。
各サービスの詳細は、以下よりご覧いただけます。
3日間、ソフトバンク社員とともにブースを見守りました(キリッ)
関連サービス
Eutelsat OneWeb(ユーテルサットワンウェブ)
電波が届きにくい山間部や災害発生時でも、機密性の高い通信が可能。帯域確保型で、「セキュリティ」と「品質」を重視した低軌道衛星通信サービスです。
Starlink Business
通信環境が整っていない地域や、事業継続計画(BCP)対策、海上・船舶などにおいても、高速かつ低遅延なデータ通信を利用できます。ソフトバンクはStarlink認定インテグレーターです。すべてのお客さまに安心してサービスを導入いただけます。