AIエージェントは新たな”デジタル労働力” ソフトバンク社長 宮川潤一 特別講演レポート

2025年7月16日掲載

AIエージェントは新たな”デジタル労働力” ソフトバンク社長 宮川潤一 特別講演レポート

「自ら考え、行動していくAIエージェントによって、今までの産業革命とは全く比較にならない、社会に大きな変革をもたらしていくと思っています」

2025年7月16日に開催されたソフトバンク最大規模の法人向けイベントSoftBank World 2025において、ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川 潤一は、AIエージェント時代の到来によるビジネス環境の変化と企業が取るべき選択について講演しました。

本記事は、2025年7月16日に開催されたSoftBank World 2025での講演を再編集したものです。

目次
SoftBank World 2025にて特別講演を行う宮川

歴史が示す、社会を変える「原動力」の変遷

講演の冒頭、宮川はニコラ・テスラとトーマス・エジソンが繰り広げた「電流戦争」を例に挙げ、新たなテクノロジーが社会の原動力となった歴史を振り返りました。

「当時の電気は、ただ明かりを灯すだけでしたが、テスラの交流モーターの発明によって機械が動くようになり、第二次産業革命の起爆剤となっていきました。これは社会構造を根本から変えた大発明でした」

機械の原動力となったモーター(第二次産業革命)、情報の原動力となったICチップ(第三次産業革命)に続いて、新たな原動力が登場したと宮川は語ります。

「ついに『知能の原動力』としてAIエージェント※1が登場してまいりました。自ら考え、自ら行動していくこのAIエージェントによって、今までの産業革命とは全く比較にならない大変革をもたらしていくと思っています。第四次産業革命がいよいよ本格的に動き出したということです」

※1 AIエージェント:ユーザーに代わって目標達成のために最適な手段を、自律的に選択してタスクを遂行するAIの技術。
AIエージェントは知能の原動力となる

知識から「行動」へ。自律的に進化するAIエージェント

AIが進化するスピードは我々の想像を絶するレベルに達しています。宮川は、「AIモデルは4年で1,000倍進化する」と語り、その進化がさらに加速している現状を具体的なデータで示しました。

「AIの進化は、単なる知識量の増大(知識モデル)から、自ら考える推論能力の獲得(自律モデル)へとシフトしました。そして今年ついに『自ら考え、自ら行動するAI』、すなわちAIエージェントが登場したのです」

2025年、ついにAIエージェントが登場した

AIエージェントの象徴的な例が、プログラミングを行うOpenAI社のAIモデル「Codex」です。生成・テスト・修正・機能の追加といった作業のサイクルを何度も実行し、自律的にプログラムを完成させます。プログラミングスキルのコンテストで人類のトップランカーに匹敵するスコアを叩き出すこのAIは、もはや専門家だけのものではありません。宮川は、自身が「Codex」を使ってオセロゲームを開発したデモを紹介しました。

「このオセロゲームは、AIに作りたいものを一言伝えるだけで、わずか数分で完成しました。さらにAIとの対戦機能も5分とかからず追加できました。たったそれだけで、私でもソフトウェアが作れるようになったのです。
これまではエンジニアの専門スキルが必要であった高度な開発工程も、『誰でも扱えるような時代へと変わっていく』ということです。本当に今年を起点にガラっと変わると思っています」

AIエージェントは、専門的なスキルを民主化し、あらゆる人々が創造性を発揮できる時代の到来を告げているのです。

AIエージェントは専門スキルがなくてもあらゆる価値創出を可能にする

「デジタル労働力」として社会実装されるAIエージェントの現在(いま)

では、自ら考え、自ら行動するAIエージェントは、具体的にビジネスをどのように変えるのでしょうか。宮川は「ついに、AIが『デジタル労働力』として社会実装され始めるということだと思います」と述べ、具体的な事例を紹介しました。

※2 オーケストレーター:複数のAIエージェントやシステムを連携させ、あたかもオーケストラの指揮者のように全体を制御する仕組み。

これらの事例は、AIエージェントが単なる業務効率化ツールではなく、業務プロセスそのものに組み込まれ、自律的に価値を生み出す「デジタル労働力」であることを示しています。この変化は、企業と消費者の関係性(BtoC)や企業間取引(BtoB)の構造すら変え得ると宮川は予測します。

「企業側も積極的にAIエージェントを取り入れなければ、消費者のニーズに応えられない時代が来ると危惧しています。これから消費者も企業側もAIエージェントの導入が進んでいけば、最終的にはAtoA、すなわちAIエージェント同士がつながりだす時代がやってくると思います」

「静観は退化」――"創る"文化を醸成するソフトバンクの実践

驚異的なスピードで進化するAIに対し、企業はどう向き合うべきか。宮川は、強い覚悟とともに自社のスタンスを語ります。

「AIの進化が加速する中で、企業がAIを活用せず、静観という選択を取ることは退化を意味することだと思っています。我々ソフトバンクは、『静観は選択しない、許さない』という姿勢のもと、AIの徹底活用を推進しています。2年前に生成AIを全社員に導入し、そこから始まった生成AI活用コンテストをすでに社内で9回開催し、社員からの応募件数も累計21万件を超えました」

このコンテストから生まれた、象徴的な2つのAIエージェント事業が紹介されました。

※3 EDR(Event Data Recorder):車両に搭載され、事故前後のアクセルやブレーキの操作、速度などの運転データを記録する装置。

こうした個別の事業化に留まらず、全社員を巻き込むムーブメントを創出する取り組みも行っています。

「6月の朝礼で『AIエージェントはこんなに簡単に作れる』と10分ほどの実演をしました。そして今年の8月末までの夏休みの宿題として、1人100本のAIエージェントを作ろうと社員に号令をかけました。それから6週間が経ち、2万人の社員で取り組んだことで一気に90万本のAIエージェントが出来上がりました」

エージェントの数は世界最多を更新し、その勢いは今も継続していると話しました。

AI時代のパートナーとして共に創る未来

宮川は、ソフトバンクが社会に対して果たすべき役割、すなわち「次世代社会インフラ構想」へと話をつなげます。

「自社でGPUをたくさん抱えることは、莫大な初期投資になります。そこで我々がクラウドとして提供することで、例えば24時間365日稼働するコールセンターなどをどの企業でも利用できるようになります。
ただ、我々がいくらAIエージェントだと大騒ぎしても、やはりお客さま自身のデータの整理・統合というものがあってこそです。少しでもお役に立てるのであれば、ソフトバンクがそのようなデータ整理や統合のご支援をいたします」

AI活用にはデータ整理・統合が不可欠

最後に宮川は、AI活用に悩む全ての経営者に向けて、あらためて行動を促しました。

「AIのシステムは導入後も進化し続けます。『導入するタイミングはいつがいいんだ』とよく聞かれますが、『今だ』というのが答えです。まずは考えているより、行動してみることをおすすめします。
これからは間違いなくAIが社会の原動力になります。そして、そのAIの力をどう生かせるかは、我々経営者のAIとの向き合い方にかかっています。ここにいる皆さまと一緒に次世代の強い日本を創ってまいりたいと思っています」

AIを前に「静観」という退化を選ぶのか、それとも「現在(いま)」行動して未来の原動力を手にするのか。未来に向けたパートナーシップへの熱い呼びかけで講演を締めくくりました。

次世代の日本を共創

講演の内容をYouTubeで配信中

レポートではお伝えしきれなかった講演の様子を動画でご覧いただけます。ぜひご視聴ください。

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AIによる記事まとめ

ソフトバンク宮川社長は、自ら考え、自ら行動するAIエージェントが登場したと語り、「デジタル労働力」として社会実装されつつあると述べました。企業はAIの進化を傍観するのではなく、AIを駆使して自社の未来を切り拓く主体性が不可欠になると説いています。

※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。

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