宮川 潤一 基調講演

宮川 潤一 基調講演

「SoftBank World 2022」の基調講演で、ソフトバンクの宮川潤一は「日本の国際競争力を取り戻す鍵は、デジタルの社会実装である」と提言しました。基調講演の内容から見えてきた未来に向けた具体的な取り組み例をご紹介します。

※記載内容は2022年7月28日時点のものです。

登壇者

ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役 会長兼社長執行役員 ソフトバンク株式会社 創業者 取締役 孫 正義

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO
宮川 潤一

デジタルの社会実装の実現を目指して

冒頭で昨年の基調講演の様子が動画で紹介されました。その中で宮川は「日本の未来のためには、海外とのデジタルの格差を解消し日本がデジタル先進国になる必要があり、そのために産官学が一体となってDXに取り組むべきです」と語っています。この講演から1年ほどが経った現在、日本のDXは果たして進んでいるのでしょうか。

宮川「最近はデジタル化の進展を実感できるようなことが増えてきましたが、日本の企業、特に中小企業のデジタル化はまだ始まったばかりです。大企業でさえ、効率を上げるためのデジタル化がようやく始まった段階だと思います。

一方で欧米ではデジタルを軸にした攻めのIT投資が盛んで、企業の成長も加速しています。日本の企業と欧米企業とのデジタルの格差はさらに広がったと感じています。

こういった環境の中で我々ソフトバンクは、あらゆる産業におけるデジタルの社会実装の実現を目指して、日本のDXを加速させていきたいと思っています」

産官学が一体となったスマートシティ

宮川「都市の交通渋滞だとか死亡事故、地球温暖化による気候変動、そこからもたらされる自然災害、新型コロナウイルスの感染防止などのさまざまな課題解決に向けて、スマートシティの取り組みが加速しています」

そう話しはじめた宮川は、2022年のSDGs達成度ランキングで世界3位のスウェーデンの取り組みを紹介しました。

宮川「スウェーデンは日本と同じで化石燃料が乏しい国ですが、環境問題に対する意識が高く、石油に依存しないグリーンエネルギーを実現しています。国を挙げてデジタルを活用した脱炭素化に取り組んだことで、電力に占める化石燃料の割合は2%未満になったそうです。

このような取り組みが評価され、146ヵ国、700都市が参加したスマートシティの国際的な賞でスウェーデンの首都ストックホルムが1位となっています」

スウェーデンのエネルギー・デジタル開発のハシャヤル大臣から届いたビデオメッセージを紹介した宮川。そのビデオメッセージでは、スウェーデンが目標とする2045年までの脱化石燃料化を世界で初めて実現するための取り組みが紹介されました。「日本とスウェーデンが協力して課題解決に取り組むことで、世界へデジタル革命を広げていくことを願っている」と締めくくったビデオメッセージを受け、日本が取り組むスマートシティに関して話を進めます。

宮川「地域ごとに課題が異なるため、解決方法も地域ごとに異なるというのが重要なポイントです。地方においては過疎化が深刻な課題です。今年の4月には、過疎として認定された自治体が全国で半分以上にのぼりました。一方で、都市においては、人口が集中することで感染症や災害時のリスクが増大しています。2021年の調査では、G7の中で東京が最も混雑レベルが高い都市になっています」

そう語った宮川は地方のスマートシティにおけるソフトバンクの取り組みを動画で紹介しました。その中でソフトバンクのグループ会社であるMONET Technologiesによる長野県伊那市での医療MaaS・行政MaaSの取り組みや、ソフトバンクのグループ会社であるBOLDLY(ボードリー)が協力している茨城県境町の自動運転バス、福島県会津若松市でのデジタル防災を取り上げています。

続いて都市の課題をテクノロジーで解決していくために、ソフトバンクの本社で実施しているさまざまな取り組みや、膨大なデータを使用したデジタルツイン(現実世界をデジタル空間上に再現する技術)について、動画を用いて紹介しました。

宮川「日本でスマートシティを実現するためには、ベースとなる都市OSに公共や民間のデータを連携する基盤が必要です。皆さまと一緒に日本流のスマートシティを構築し、新たなサービスを実現してまいりたいと思います」

進化を続けるスマートリテール

宮川「リテール業界の最も大きな課題として、慢性的な人手不足があげられます。日本の約27%の企業が人手不足に直面しているというデータがありますが、リテール業界に限っては50%を超えるということです。さらに直近では、物価上昇も追い打ちをかけているのではないでしょうか?

このような厳しい環境が続くリテール業界で勝ち抜いていくためには、デジタルの力が欠かせないと思っています」

そう語った宮川は、ソフトバンクの子会社であるAgoopが提供する人流データによる店舗開発、AIの活用により店舗運営を効率化し、進化した顧客体験を提供する神戸物産様の次世代スーパー、ファーストキッチン様の顔認証による決済という3つのスマートリテールの実例を動画で紹介しました。

宮川「今後デジタル化がさらに進むことで、サプライチェーン全体が最適化されていきます。まさにそれがDXで、顧客の属性データがデジタルマーケティングに活用され、売り上げの向上にも寄与していきます。

今後、店舗DXはさらに進化を続け、リテール業界は大きく変わっていくのではないかと思います」

真の5Gが産業のDXを加速させる

宮川「デジタルの社会実装が進み、産業のDXに欠かせないのが5Gです。

今までの4Gは人とインターネットがつながるコミュニケーションツールでした。5Gは、人とモノ、モノとモノがつながり、産業の礎となっていきます。

5Gの人口カバー率は、今年3月末時点で90%を達成しました。今年も積極的に5G投資を行うことで、エリアカバレッジをさらに拡大してまいりたいと思います。

しかし、現在の5Gは4Gから5Gへの移行期で、5Gの基地局が4Gのコア設備につながっている状態です。コアというのは通信ネットワークの頭脳に当たる部分です。デバイスは5Gの基地局と接続されていますが、頭脳は4Gのままということです。

よって現在の5Gは高速通信のみが実現しているという段階で、まだ5Gの全ての機能がフルに活用できているわけではありません。

5Gの基地局が5Gの頭脳につながった真の5G。それがこれから普及していきます。そうなると、大容量に加えて、低遅延や同時多接続といった5Gの機能がようやくフルに活用できるようになります。

超高速大容量によって、スマホの通信速度がさらに上がり、オンライン会議やVRなどがより快適に利用できるようになりました。

ここに低遅延の機能が加わってきます。遅延が少なくなるということは、離れた場所で通信をしても距離を感じることがないほど反応速度が速くなるということです。これを活用すると工場の自動化や店舗の無人化、遠隔手術などが実現します。

さらに多接続という機能が加わってきますと、多くのモノを同時にネットワークにつなげることができるようになります。街全体のありとあらゆるモノがつながってくると、自動運転やスマートシティなどが実現します。

このように、5Gというのは産業を変革する基盤です」

5Gを利用した新たなサービスの創出に向けた取り組みについて、宮川は人手不足が非常に深刻化している建設業界における5Gの活用例として、カナモト様とソフトバンクで進めている建設機械の遠隔操縦の実験の様子を動画で紹介しました。

宮川「高精細な映像を送ることができる大容量の通信と低遅延という5Gの特性を組み合わせることで、実現したソリューションです。これにより、1人のオペレーターが複数の現場で作業できるため、建設業界の人手不足の解消につながります。

今後、真の5Gが広がっていくことによって、さまざまな産業の進化が期待できます」

続いて交通事故を少しでも減らすことを目指した本田技研工業様とソフトバンクで進める5Gの活用例の実証実験映像を紹介しました。それは車と対向車、そして、歩行者がデータを連携することで交通事故を減らすことを目指した取り組みです。

宮川「今後、さまざまな業界で5Gが活用されることで、便利で安全な社会の実現に期待しています。

5Gと一言で言っても、実はいろいろな方式があります。普段皆さまがお使いの5Gは『パブリック5G』と呼ばれているものです。一方で『ローカル5G』は、企業や自治体が自ら5Gの環境を構築して利用できるものです。

ただこのローカル5Gは、お客さま自身でネットワークを構築をして運用するという大変な作業が必要になるため導入のハードルが高くなっています。

そこで、お客さま専用の5Gネットワークをソフトバンクが構築し、運用する『プライベート5G』を提供していきます。

プライベート5Gは、パブリック5Gとローカル5Gのいいとこ取りをしたサービスで、お客さまの敷地内にお客さま専用のネットワークを作ります。お客さまが必要な容量・エリアを確保することができます」

日本の国際競争力を取り戻す鍵

宮川「ソフトバンクはデジタルの社会実装で、あらゆる産業の変革をお手伝いしたいと考えています。そして我々は、通信インフラの枠を超えて、次の時代の社会インフラとして、皆さまのデジタル化をサポートしてまいります。

日本の国際競争力を取り戻す鍵は、デジタルの社会実装です。

『暮らす人、働く人、社会全体をより良くするために、誰一人取り残されないデジタルの社会実装』これをスローガンに、これからも皆さまのデジタル化や、DXを全力でサポートさせていただきます」

このセッションはオンデマンド配信でご覧いただけます
※8.31(水)まで

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