人事
ソフトバンクのDX人材育成 ~DX時代の人事の在り方とは~

国内でDX推進が急拡大する中、「DX人材の確保・育成」は企業にとって大きな課題です。ソフトバンクでは人事本部が牽引するかたちで、DX人材育成に注力。どのような取り組みでDXを推進し、イノベーションを起こす人材育成を行っているのか。「SoftBank World 2021」Day3(Communication DX 新時代に求められる働き方)に行われたセッションから、ソフトバンクのDX人材育成法に関する対談をお伝えします。

※記載内容は2021年9月時点のものです。

登壇者

法政大学
キャリアデザイン学部・大学院 教授
一般社団法人 プロティアン・キャリア協会
代表理事 Glosa 代表取締役
田中 研之輔 氏

ソフトバンク株式会社
コーポレート統括 人事本部 本部長
源田 泰之

ソフトバンクの人材育成

当セッションは第一部「ソフトバンクの人材育成」、第二部「田中教授とのフリートークセッション」の2部構成で行われました。まずはソフトバンク 人事本部 本部長の源田が「ソフトバンクの人材育成」の全体像について解説します。

源田「ソフトバンクはBeyond Carrierを掲げ、通信事業基盤をより強固にすると同時に、ソフトバンクグループの企業群が提供するさまざまな最先端テクノロジーやサービスを活用した新しいビジネスモデルを立ち上げ、さらなる成長を目指しています。時代は事業、そして人材戦略の転換期。それを背景に取り組む全社教育機関『SoftBank University』では『手を挙げた人に機会を提供する』をコンセプトに、自主性・当事者意識をしっかり持って前に進んでいく人材を応援しています。

特にこの1年間は、コロナ禍でも学びの機会を提供するため、集合研修の56%をオンライン化。全ての研修のリアルタイム配信、Zoomの機能を活用したグループワークの実施等にもチャレンジしています。研修内容は『ビジネスプログラム』『テクノロジープログラム』『階層別プログラム』など、時代のニーズに合った多様なコンテンツを提供しています。

中でもテクノロジープログラムである『SBU Tech』は、テクノロジースキルに特化した人材育成プログラムです。最初にアセスメントとしてIT検定を設計し、自分がどの程度ITの知識を持っているのか理解してもらったうえで、各人に合った研修プログラムを実行。評価・能力に応じて多少のレコメンドは行いますが、基本的には各自が『学びたい、伸ばしたい』と思うスキルを自分の意思で選び学ぶプログラム構成です。今年度はAIに特化したコンテンツ『AI Campus』を新たにリリースしました。

本日もう1つご紹介したいのが、いくつかの企業との共創プロジェクトを通じ業界・社会の課題をIT・デジタルで解決する当社法人事業DX本部『DX人材育成』の実践的取り組みです。

DXの実践は、旧来の事業活動より中長期かつ不確実、そして成果が見えづらい側面があります。求められる役割も事業企画・開発・事業運営などフェーズごとに様変わりします。当社『事業プロデューサー制度』では対象となる人材を明確化したうえで、OFF-JTとOJTを連携させながら、各自のスキルをアセスメント指標で診断しています。」

企業として目指すべき人材育成の未来像

第一部を受け、第二部ではキャリア論を専門とする田中氏がDX時代の人事の在り方を語りました。

田中氏「長年勤める社員は目の前の業務に真面目に取り組んでいます。しかし激しい時代の変化の中で、彼らのスキルが活かしきれなくなりつつあり、会社側もどのように応援していったらよいか分からない。そうした悩みを抱える企業が昨今増えているように感じます。

5,000人以上規模の大企業群であれば、そのほとんどがキャリア開発研修に取り組んでいますが、その実態は1年のうち3日間行う強制参加の研修プログラムです。ある種、形式的なキャリア開発プログラムが拡がってしまっていることに、私も問題意識があります。しかし本日源田様からお話のあったソフトバンクの人材育成は、継続的にトレーニングプログラムが回されていることに特長があり、やはりリーディングカンパニーだと実感しました。

キャリア論の考え方では、経営戦略、事業戦略、キャリア戦略の3つは『フラットな関係性』で、そこに優劣をつけてはならず、総合的に取り組む必要があります。しかし長年、キャリア戦略はいつも“置いてけぼり”の状態で、経営戦略、事業戦略と同じレベルで一番大切な社員のことを考えることができていませんでした。これからのDX時代に必要なのは全ての社員が自分のキャリアについて意識できる『キャリアの日常化』であり、もっと言えばキャリアのトランスフォーメーションなのではないでしょうか。

しかし、『キャリアの日常化』を進めると1つ問題が発生します。それは工数が増えることです。人事が一人一人の社員の日常を点で取っていくことは非常に難しく、労力がかかります。だからテクノロジーの活用が必要なんです。社員をアセスメントしきれない所にDXが入ってくることで『キャリアの日常化』が達成できると考えています。

人材育成の未来像を考えるうえで皆さまにお伝えしたいのは、時代の変化に翻弄されるのではなく、変化を楽しみながら、一人一人の社員の方の人的資本の最大化に寄り添う企業としてのキャリア戦略を構築していただきたいということです。

これまでの『キャリア開発1.0』では、人と人とのアナログで場当たり的なコミュニケーションが常態化していたと思います。それが本当に『人材育成』なのかといえば、私にはいささか疑問符がつきます。これからは『キャリア開発2.0』の時代です。最新のテクノロジーを用いることで、これまでアナログに捉えてきた漠然とした評価等もデジタルでアセスメント、人材にカスタマイズしたフィードバックが行えるようになります。

キャリアは“点”ではなく、“面”であり“線”として捉えなくてはいけません。人生100年時代に寄り添う企業としてキャリア形成、人材開発をしていくという意気込みのもと、経営戦略、事業戦略、キャリア戦略の3に重点を置いた活動に期待しています。」

<編集後記>
田中氏からはセッションの最後に「ソフトバンク様は最新の取り組みをされており、人材育成の未来は明るいと感じた」とのコメントをいただきました。これからもソフトバンクではそれらのご期待に添えるよう、各人が「何を目指していくのか」を明確にしながら、またしっかりとコミュニケーションとりながら、ソフトバンク流の人材育成を推進していきます。

このセッションはオンデマンド配信でご覧いただけます

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