AIによる働き方改革事例3選

ソフトバンクのAI活用ノウハウ

AIによる働き方改革事例3選

(2018年10月26日掲載)

AIは働き方を変える? ソフトバンクの実証実験の結果を公開

「ディープラーニング」の登場とともに世間は第3次人工知能ブームの様相を呈している。そして「働き方改革」の名の下、業務効率の改善を求められている多くの企業からも、人工知能(AI)への大きな期待が寄せられている。

しかし、企業のAI活用の歴史は浅く、多くの企業はまだ手探りの段階だ。AIソリューションを提供しているソフトバンクでは、社内でAIを活用した働き方改革を実践。社内で蓄積したノウハウをお客さまに還元し、効果的なAI導入をしていただくため、多数の社内AI活用プロジェクトを立ち上げ、それぞれにおいて実証実験を行っている。

本記事ではソフトバンク社内の働き方改革事例をもとに、企業のAI導入に関するノウハウを惜しみなく提供していく。

AIには何ができる?

企業がAI導入を検討するにあたって、まずは「何ができて」「どのような効果をもたらすのか」を知る必要がある。AIは日々の業務データを活用し、そのデータを「識別・認識」「予測・分析」「実行・処理」を行うことが可能。これらをAIが繰り返し学習していくことで、その効果は増していく。

「IBM Watson®」では「自然言語での対話が可能なAIアシスタントの作成」「データの探索や抽出」「画像データや音声データの認識」「言語変換におるリアルタイム翻訳」「性格・感情分析」と、さまざまなAPIをすぐに利用することができる。

「お客さまに提案するテクノロジーはまず自社で使ってみる」を基本理念とするソフトバンクでは、多数の社内AI活用プロジェクトが立ち上がっている。以下に代表的な事例を紹介する。  

ソフトバンクのAI導入事例-窓口支援

従業員数約17,000人を抱えるソフトバンクでは総務や経理、福利厚生、OA関連などさまざまな社員からの問い合わせに対応する必要があり、その件数は月に約8,000件にも上る。問い合わせに対して1件あたり5分程度の対応時間を要し、単純計算でも月の合計所要時間は667時間、4名のフルタイム社員が対応しても足りない計算だ。

ソフトバンクのAI導入事例-窓口支援:導入前

これらの問い合わせへの対応として、ソフトバンクでは社内AI「社サポ Brain」を活用したチャットボットUIによる社員サポートを開始。例えば源泉徴収票が欲しい、出張精算の方法を知りたい、社員証を紛失したなど、さまざまな問い合わせに対して、AI導入後はチャットボットが送られてきた内容を自然言語解析。対応方法を記載した社内イントラネットのURLを探索し、即座に回答することができるようになった。

ソフトバンクのAI導入事例-窓口支援:導入後

ソフトバンクのAI導入事例-「G Suite™ 」と連携した社内業務・作業改善

「Gmail 」「Google カレンダー」「Google ドキュメント」「Google スプレッドシート」などGoogle の提供するクラウドサービス「G Suite」を利用している企業にとっては、業務プロセスからこれらのツールを切り離すことはできない。逆に言えば、これらのツールとAIを連携させることで大幅な業務効率の改善をできる可能性がある。

活用例1:営業からの支援内容精査と担当割当

ソフトバンクでは営業担当者がお客さまのところへ商談に行く場合、営業支援担当者とチームを組むことがある。チームは固定ではなく、商談ごとに担当の割り当てをするため、営業担当者は商談に行く度に営業支援部門の管理者に「Google フォーム」から依頼を送り、「Gmail 」でその後の連絡をしていた。

営業支援の割り当てをする管理者は依頼内容を1件ずつ確認して、どの案件にどの担当を割り当てるのが適正かを精査する。繁忙期になると商談も多く、営業支援の依頼も増えるため、その作業だけで1日が終わってしまったり、また割り当てをするのに最大3日かかるケースもあり、営業支援がタイムリーにできないこともあった。

活用例1:営業からの支援内容精査と担当割当:導入前

そこでソフトバンクでは「G Suite 」と「Watson」を連携させ、次のような業務プロセスを構築。

活用例1:営業からの支援内容精査と担当割当:導入後

営業支援管理担当者が行っていた割り当て業務は、事前学習した「Watson」に行わせ、「G Suite 」を使ったデータの入力から出力までをシームレスに構築することで、問い合わせから約1秒で営業支援担当者に割り当てのメールが送信されるようになった。これまで月に175時間かかっていた一連のプロセスがAI導入後は23時間になり、全体の工数では76%の業務改善を達成している。

活用例1:営業からの支援内容精査と担当割当:定量効果

活用例2:ニュースから競合案件を分類し、配信

ソフトバンクの営業推進部門では、情報共有のため、ニュース記事の中から自社や競合案件に関するものを分類し、社内にメールで配信している。AIの導入前は人の手によって1日に300件程度のニュースの収集・選定を行っていた。ニュースの選別やまとめにかかる工数のみならず、人が作業を行うことにより、偏りが出たり、また誤って関係のない記事を送信するなどの人的ミスもある。

活用例2:ニュースから競合案件を分類し、配信:導入前

膨大なデータの探索はAIの得意とするところ。ニュースの選別を「Watson」が実行することで、大量のニュースを即座に漏れなく精査。最終的なチェックのみ人が行うことで、配信されるニュースの質の向上とともに、工数を66%削減することができた。

活用例2:ニュースから競合案件を分類し、配信:定量効果

今回の事例で示したように、社内にはAIで効率化可能な作業が多く存在する。それが1つの部署の中のみの作業だとしても、小さな効率化を積み上げていくことで、会社全体で大きな効果を得ることもできるのだ。

ソフトバンクのAI活用ノウハウを提供する「AIスターターパック」

AI導入は、「AIの得意分野を理解し、要件定義を行う」「学習データを作成する」「アプリケーションを開発し、トライ&エラーを繰り返す」という流れで実行される。しかし、当初考えていたことが机上の空論となり、失敗に終わってしまったというケースも少なくない。

集めた学習データが実際の現場を反映したものではなく、実務とはかけ離れたアウトプットが出てきてしまった、導入したものの社内で浸透していかないなど、さまざまな壁が存在する。

ソフトバンクでは社内でさまざまなAI活用を行った知見を活かし、「Watson」の提供とパッケージで「AIスターターパック」という導入支援も行っている。

初めてのAI導入をソフトバンクがサポートします

「Watson」の利用方法の講習からハンズオンでアプリケーションを作成するまでをサポートするため、AIや「Watson」について学ぶのに最適な内容だ。なかでもスターター編では、「IBM Cloud」や「Watson」で何ができるのかという基本的なことをソフトバンクの社内事例を混じえて説明するところから、実際にチャットボットや分析アプリケーションの作成をするところまでをカバーするため、AI初心者でも安心。

AIというと人の代わりに働く、自動化する、というイメージを持たれることが多いが、AIの役割はそれだけではない。例えばAIが情報を選定し、最終的な判断は人の手によって行うなど、人をサポートする役割を担うこともできる。

大量のデータを取り扱う、一定のルールに基づいてデータ処理を行うなど、AIの得意分野を理解しながら、業務を人がやるべきこととAIがやるべきことで役割分担することで、AIはあなたの最高のパートナーになり得るだろう。