IoT(モノのインターネット)の現状と導入事例を一挙紹介!業界ごとの活用を知ろう

2019年11月18日掲載

日常生活において、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)という言葉が頻出するようになりました。しかし、IoTの活用によって、何が変わるのかといった具体的なIoT活用のメリットを理解している人は多くないようです。今回はIoTを導入した各分野の事例を見ながら、IoT導入によってもたらされる効果と注意点を探ってみましょう。

目次

身近なIoTから理解しよう

IoTを導入すると何ができるようになるのでしょうか。理解しやすいのがネット家電での活用でしょう。例えば外出先からスマートフォンで自宅のエアコンを操作したり、電気をつけたり消したりできるネット家電がその一例です。さらに今、注目されているのが自動運転技術です。この技術を少し見てみましょう。自動運転のIoTの仕組みは次のようなものです。

まず、車に搭載されたセンサが位置情報、速度情報、走行環境、走行状態といったさまざまな情報を取得します。

収集された情報を車からネットワークを通じてクラウド上のサーバなどに送信します。送信されたデータをコンピュータや人工知能が解析して、その結果を車に伝えます。それにより、走行環境と走行状態を照らし合わせて、常に安全と定義されている運転状態を保つように自動に変更されるのです。

日本は超高齢化社会を迎えようとしています。当然、ドライバーの年齢も高齢化の傾向にあります。一方で、高齢になっても、安全に運転を続けたい人もいます。安全に運転できる状況を必要としている人は、今後ますます増えるでしょう。政府が、2019年10月29日に行われた「未来投資会議」において、増加傾向が続く高齢運転者による事故対策のひとつとして、自動ブレーキシステムといった安全運転支援機能の搭載車を普及させる必要性に言及するなど、今後、こうした社会のニーズはますます高まるでしょう。それに応えることも、身近なIoTが実現できるひとつです。

IoTの活用は特定の分野だけでなく、多様な産業、自治体、医療・介護の分野においても普及し始めています。

IoT導入事例

では、具体的にどのような分野でIoTが導入されているのかを見てみましょう。

地方自治体

自治体で活用されている事例を紹介します。
京都府与謝野町でのIoT活用事例です。与謝野町では農家の後継者問題が顕在化するなか、経験によって培われてきた農業技術が途絶えることを危惧していました。そこで新規就農者が農業に打ち込みやすい環境を作ることと、技術継承ができる手段を確立するためにIoTの活用を始めました。
導入したのはソフトバンクが提供している農業IoTソリューション「e-kakashi」です。「e-kakashi」のセンサから取得された湿度、温度、積算日射量、土壌水分量などの環境データを解析し、ベテラン農家が行う農作業のタイミングなどに紐付けして、栽培方法のマニュアル化を実現。さらに、こうしたデータを科学的に裏付けるための情報として活用し、効率的で効果的な農作業データとして広く活用できるようにしました。

京都府与謝野町

農業用IoTソリューション「e-kakashi」を稲作に活用、ベテラン農家の栽培技術を新規参入者へ効率的に継承

不動産・住宅

総合不動産業のいちご株式会社は不動産に新たな価値を創造するためにさまざまな取り組みを進めるなか、ホテルのリノベーションにおける物件価値の向上を図っています。しかし、近年の訪日外国人の増加によるホテル需要の高まりに対して、スタッフの人手不足が大きな課題となっていました。そこで、IoTサービスを積極的に導入。シリンダーキーに代えて客室のカギを遠隔管理できるシステムに変更した上でAPI連携したホテル管理システムを設置。さらに自動チェックイン機と連携させることで、チェックインからチェックアウトまでを無人で行えるシステムを構築しました。このようにIoTを活用することで従業員の負担軽減の実現とともに、顧客の利便性の向上が実現されています。

医療・介護

IoTの活用は人手不足が続いている医療・介護の分野でも広がりつつあります。たとえば、パラマウントベッドが提供するスマートベッドシステム™️は、ベッドを利用している人の体の動きをセンサで収集し、睡眠、覚せい、呼吸数、心拍数といったデータをベッドサイドの端末やスタッフステーション、電子カルテなどに表示し、リアルタイムに医療スタッフが共有することができます。また急変などを知らせることも可能です。
このように、継続的な身体データを収集し、蓄積することで、身体状況の把握ができます。それにより変化をより早く察知し、治療へと結びつけることができます。収集したデータはすべて記録されるので、看護スタッフによる作業の軽減にもつながります。データは関係者に共有されるため、チーム医療の充実、継続的な療養環境の安定も実現されています。

IoTの可能性と課題

IoTの可能性

IoTにより、あらゆるモノがインターネットでつながり、新しいビジネスチャンスが創出されるようになりました。日本国内にとどまらず海外とつながるビジネスとしても発展の可能性があります。
自治体での活用、医療・介護分野での活用、各分野の企業での活用など、家電への利用のみならず、さまざまなところで、IoTは今後一層進化していき、都市と地方の格差を是正することができるかもしれません。地域医療の充実を実現できる可能性もあります。このように、IoTのさらなる普及によって、仕事の負担軽減だけではなく、「場所」「時間」といった制約からの解放へとつながり、多様な働き方や生き方の選択が可能になるでしょう。

IoTの課題

一方、IoTの普及に伴い、重要となるのがセキュリティ対策です。ネット家電をはじめ、IoTが身近になればなるほど、インターネットにつながっているという意識が希薄になり、ユーザのセキュリティ意識は低くなりがちです。実際に、IoTを狙ったサイバー攻撃も起こっています。
国は2018年11月から「電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律」を施行。2019年2月には総務省と国立研究開発法人情報通信研究機構、複数のインターネットプロバイダが連携し、サイバー攻撃に悪用される恐れのあるIoT機器の調査プロジェクト「NOTICE」を開始しました。
このプロジェクトの存在からもわかるように、IoTの普及には、デバイスや設備における強固なセキュリティ対策が大前提となります。

まとめ

日常生活やビジネスシーンにおいて、IoTの活用シーンは拡大すると予想されます。
IoTが普及するにつれ、あらゆるモノがインターネットといった情報通信システムとつながり、新しいビジネスチャンスが創出されるようになります。IHSマークイット社の調査によると、2018年のIoT機器の出荷数は年間約100億台に上り、この動きは今後も継続すると分析しています。また、IDC Japan社の調査では、国内のIoT市場の規模は2022年までに12兆円近くになると予測しています。

爆発的に拡大する一方で大きな課題があるのも事実です。社会が抱える少子高齢化による労働者不足に対応するため、あるいは自由な働き方を実現するためのツールとしてIoTを活用するために、利用者として利便性だけを享受するのではなく、セキュリティ面などの課題を理解し対策をとることが大切です。

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