経営・事業戦略としてのBCP(事業継続計画)を考える

"経営・事業戦略としてのBCP(事業継続計画)を考える"

(2020年1月20日掲載)

目次

地震、台風といった自然災害のほか、テロや大規模なシステム障害、あるいは感染症の拡大のような緊急事態が発生したときでも、企業の知的財産を守り、事業が継続できる環境を構築しておくことは重要です。そこで、今回はBCPの考え方を改めて確認し、どのような対策をとっておくべきかを考えてみましょう。

BCPとは何か

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、事業を継続するための計画のことを指します。冒頭でも触れたように、自然災害や緊急事態が発生した際であっても、事業資産の損害を最小限に抑え、企業の中核となる事業の継続、早期復旧を可能とするための対策です。

ふたつの視点

BCP対策を行う上で、もっとも重要視するべきは、何かしらの災害が起きたとしても「事業を継続すること」と「早期に復旧すること」です。災害により事業の操業度が一時的に低下しても、中核となる事業が継続できれば、損失も最小限に抑えることができるうえ、ほかの事業が復旧するまでの時間を短縮しやすくなります。早期の復旧ができなければ、顧客の流出が起こり、中核事業が継続できたとしても企業を存続させていくことは困難です。そのため、常に「事業継続」「早期復旧」の視点を持って対策を進めていくことが求められます。それぞれの視点で、取り決めておくべきことは次の点です。

事業継続で考えておくべきこと: 業務資産を守るための事前準備

早期復旧で考えておくべきこと: 従業員の安否確認の手順、人材確保、資材確保、資金確保といった事業を具体的に動かすための方法

必要な対策をとるための準備

では緊急時にどのような対策をとっておくべきでしょうか。大まかな進め方としては、リスクを洗い出し、それぞれのリスクに対して、影響の大きさ、事業継続に必要なリソースを考え、それが失われた場合の対処を決めておきます。具体的には次のようなことに関して、詳細を詰めていく必要があります。

事業に優先順位をつけて把握

災害による被害状況にもよりますが、基本的にすべてを同時に復旧させることはほぼ不可能です。どれもが中途半端になってしまい、かえって復旧が遅れてしまう要因になります。まずは復旧させる事業の優先順位を決め、その上で、緊急時に守るべき業務、そして業務復旧までにかかる時間を明確にします。
また、復旧のための計画だけを立てても、それぞれの従業員がどういった役割を持ち、状況に応じてどういった行動を取るのかを決めておかないと、混乱を招く可能性が高まります。そのため、災害の発生時から復旧に至るまでの間、従業員がどのように行動をするのか、その具体的な行動内容の順序を決めておかなくてはなりません。その上で全従業員がこれを理解しておくこと、そして、定期的に訓練を行い、災害発生時でも落ち着いて迅速な行動が取れるようにしておくことが重要です。

リスクを洗い出す

次に災害発生時に起こりうるリスク、特に次の5項目に関するリスクの洗い出しを行います。


緊急事態に対応できる従業員を確保できるのか。また、大きな損害を受けることで従業員の士気低下、労使紛争、人材流出などが考えられます。

モノ(事業資産・情報など)
情報や業務を継続するための機能が確保、早期復旧できるかどうか。そして、災害でサーバが壊れてしまうことによるデータ喪失、個人情報漏えい、コンピュータウイルス、ハッカーによる攻撃なども発生する可能性が高いでしょう。

取引先
自然災害発生時は自社だけではなく、取引先も同様の被害を受ける可能性があります。そのため、原資調達が困難になる、納品ができない、物流機能が不全になるといったこともありえます。

資金
災害状況によって長期的に事業の再開ができなくなった際、その状況を乗り切るための財務的な裏付けがあるか、また何ヵ月まで持つのかなど短期的、長期的な財務リスクを把握しておく必要があります。

ライフライン
電気、水道、ガス、通信などのライフラインが止まってしまった際の影響、復旧が遅れた際の対応などを考えます。

取るべき行動と対策を考える

BCP対策をする上で、考えうるリスクを洗い出したら、次にはそれぞれのリスクを回避する、もしくは最小限に抑えるための行動と対策を講じます。


まず、優先すべきは安否確認です。就業時であれば社内や外出先での確認をします。就業時以外であれば、自宅や本人に連絡を取り、安否の確認を行います。次に事前に決めた災害時の行動内容を改めて従業員に示し、状況に応じて行動を開始します。その際、従業員はもちろん、その家族の状況も把握し、配慮をすることも忘れてはなりません。

モノ
情報やデータに関しては、デジタル化した上でクラウドストレージに保存します。これにより、万が一、社内サーバに被害が及んだとしても、重要なデータの喪失を免れることが可能です。またクラウドストレージなど情報を守るという視点では、たとえばソフトバンクが提供しているセキュアなネットワーク環境をいち早く整えるためのインフラサービスなどの活用も有効です。

取引先
災害時の対応については、連絡手段や顧客情報の安全確保などについて双方で事前に話し合いをしておきます。また、最悪の事態に備え、資材の仕入れ先については複数確保しておくことも重要です。

資金
災害時に備え、準備金を用意しておきます。災害保険への加入時や準備金不足といった際、公的支援にはどういったものがあるのか、金融機関からどの程度の融資を得られるのかといったことも検討しておくようにします。

ライフライン
自家発電、水の備蓄など自社内でどの程度が確保できるかも想定した上で、準備しておけるものは準備しておくようにします。

BCPはなぜ必要なのか

BCPは緊急事態が生じたときにも、いち早く復旧し、事業を継続することを目的とした計画ですが、それ以外にもBCPを策定する利点には次のようなものがあります。

事業の重要度を明確にできる
BCPでは緊急時でも継続させるべき中核となる事業を決めます。そのため、自社にとってもっとも重要な事業が何であるのか、そしてそれ以外の事業の優先順位も明確になります。これにより、平常時であっても業務の効率化を進めることが可能です。

企業の強み弱みが明確にできる
中核となる事業、それ以外の事業の優先順位が明確になることで、自社の強み弱みが見えてきます。中核となる事業をさらに伸ばしていくことも重要ですが、弱みになる部分を強化していくことも可能になり、結果として企業全体の底上げにもつながります。

信頼を得られる
BCPが着実に講じられている企業であれば、取引先として安心できることから、事業拡大の要素にもなります。また、早期復旧を実現できれば、商品やサービスを求めている顧客からも信頼を得られるうえ、雇用の拡大も可能になり、地域からの信頼獲得にもつながります。

従業員の自主性向上にもつながる
BCPでは、緊急時に従業員がどういった行動を取るべきか、そのルールを作成しますが、緊急時には想定外のことが起こる可能性も高く、常に自身で考え最善の行動が取れるように準備をする必要があります。その結果、平常時でも自身で考え行動する姿勢が身につき、自主性の向上につながります。

専門知識のある企業を活用し確実に取り組む

BCPへの取り組みは想像以上に細かな作業になると考えられます。業務の把握をし、重要業務を見極め、優先順位をつける。同時に、どのようなリスクが存在し、そのリスクの発生頻度なども考え合わせ、対策を練る必要があります。
ただし、リスク内容によっては、自社内だけでは対応できないものもあります。特に「モノ」にかんするリスクを解決するには、専門的な知識をもった企業の協力は重要です。たとえば、ソフトバンクのような専門知識と提供事例のある企業に相談し、自社の状況を把握し、どのような手順で進めるのが効率的で確実な対策になるのかを決めていくのが最適解のひとつでもあります。
ソフトバンクでは、一極集中している自社サーバを分散し、セキュアな接続環境の構築で事業継続を実現するためのさまざまなインフラサービスを提供していて、お客様の情報資産を安全に保持します。企業の経営戦略としても重要なBCPへの取り組みをはじめましょう。

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