デジタルトランスフォーメーション(DX)で物流業界の課題はどこまで解決できるのか?

” デジタルトランスフォーメーション(DX)で物流業界の課題はどこまで解決できるのか?”

(2020年3月4日 掲載)

目次

これからの企業経営にはデジタルトランスフォーメーション(DX:以下DX) への取り組みが必要だと言われています。ではDXとは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。また、DXによってビジネスの課題はどのように解決されるのでしょうか。今回は、DXの概要を確認した上で、さまざまな業種の中から物流業界が抱える課題をDXによってどこまで解決できるか考えてみましょう。

DXとは?

経済産業省が2018年にまとめた「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。もっと簡単に言えば、AIやIoTなどの新しいデジタル技術を使って、社会や企業の課題を解決することがDXだと言えます。

富士通キメラ総研が2018年8月に発表した「DXの国内市場(投資金額)」によると、2030年度の市場予測は2兆3,687億円にものぼります。これは2017年度比で4.2倍であり、今後、DX市場規模は急速に拡大していくと予測されています。

物流業界が抱える課題

では、私たちの生活にとって大きな機能を果たしている物流業界でのDXへの取り組みと効果を考える前に、現状と課題をみてみましょう。

物流業界の現状

現在、物流業界の市場規模は増加傾向にあります。矢野経済研究所が2019年7月に発表した「物流17業種総市場を対象にした市場規模推移」によると、2019年度の市場規模予測は23兆5,410億円(前年度比4.1%増)。2020年度の市場規模予測は24兆80億円(前年度比2.0%増)と順調に推移しています。

物流業界の市場規模が拡大している理由としては、医薬品・医療機器分野、チェーンストアにおける低温食品市場の伸びのほか、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ・建築需要向けの物流が堅調に推移していることが挙げられます。また、ネットショッピングが盛んになっていることで、BtoBだけではなく、BtoCにおいても好調なことが物流業界の市場規模拡大の要因です。

しかし、市場規模が順調に拡大している一方、恒常的な人材不足、特にドライバーが不足していることによる、一人一人の負担増大は大きな問題となっています。

物流業界が抱えている課題

現在、物流業界にはさまざまな課題がありますが、そのなかでも主なものとして、次の3点が挙げられます。

1.小口配送の増加
物流業界の市場規模を拡大させている要因の1つであるネットショッピングの隆盛により、BtoBの大口配送から、BtoC、個人向けの小口配送が大幅に増加しています。実際、2018年6月に三井住友銀行が発表した「物流業界の動向」によると、出荷1件あたりの貨物量は2000年に1.37トン/件だったものが、2015年には0.75トン/件まで減少しています。また、小口配送の増加に加え多頻度化も重なることで、以前に比べ、ドライバーの負担が増大しています。

2.人手不足
少子高齢化の影響による労働生産人口の減少は、業種に関わらず進んでいます。それは物流業界でも同様で、帝国データバンクが2019年7月に発表している「人手不足に対する企業の動向調査」によると、「運輸・倉庫」は全業種(10業界51種類)の中で6番目に従業員が不足(62.6%)しているという結果が出ています。また、鉄道貨物協会は2019年5月に発表した「本部委員会報告書」のなかで、営業用トラックのドライバーは、2025年に約20万8千人、2028年には27万8千人が不足すると予測。さらに人手不足が続けば、既存ドライバーの高齢化が進むことも、物流業界の大きな課題です。

3.従業員の負担増大
1と2の課題により、ドライバーの負担は年々増大しています。しかし、負担が増加するのはドライバーだけではありません。運送会社でドライバーの運行管理を担当する従業員、事務を担当する従業員もドライバー同様に人手不足が恒常化しています。結果として、ドライバーを含め物流業界全体で従業員の負担は増大していると言えるでしょう。

物流業界の課題解決にDXへの取り組みはどこまで対応できるのか

では、それら課題をDXへの取り組みを進めることでどのように解決できるか考えてみましょう。

効率的な倉庫システムの構築

1社だけではなく、2社以上が連携し、輸送や保管などの物流業務を行える倉庫システムを構築します。これにより、従来、納品先が同じであっても別々のトラックで別々の倉庫から荷物を運んでいたものが一括で行えるようになり、効率的な配送が実現します。

商品管理のデジタル化

商品の在庫、発送管理をデジタル化するとともに、AIを導入し需要予測を行うことでより効率的な商品管理が可能になります。

トラックの自動運転やドローン配送の活用

法整備が必要なものもあり、直近で実現することは困難ですが、将来的にはトラックの自動運転やドローンによる配送も人材不足や従業員の負担増大を解決する策の1つとして、期待を集めています。

AIの活用で勤務状況の最適化

ドライバーの勤務シフト作成にAIを活用することで、最適な勤務シフト作成が可能になり、運行管理担当者の手間が軽減。場合によっては人件費の削減にもつながります。

AIを活用した顧客情報の蓄積と分析による配達リスクの低減

ネットショッピングの影響もあり、個人顧客への配送が多頻度化していることから、そうした顧客の情報を蓄積、分析することで、家にいる可能性が高い時間帯をAIで予測。再配達のリスクを低減します。

AIを活用した配送ルートの最適化による業務効率の向上

AIで天候、道路の混雑状況を予測。その日の最適な配送ルートを分析することで、積載量の効率化、燃料代の削減が期待できます。

物流業界の配送効率化の取り組み:CBcloud株式会社の事例

現在、物流業界で問題となっている「IT化されていない複雑な配送ルートや再配達増加による業務効率の低下」「ドライバーの収入の低さと担い手不足」。運送会社からの配送依頼をフリーランスドライバーに紹介する配車サービスを行っているCBcloudでは、この問題を解決するため、2013年の設立以来、軽貨物と荷主をつなぐマッチングプラットフォーム「PickGo(ピックゴー)」を提供。2019年10月末時点で、全国約15,000人以上のドライバーが登録し、26,000人以上のユーザが荷主として利用するサービスにまで成長しています。

「PickGo」の特長は、ドライバーが直接、荷主から仕事を受注することで、多重下請けがないことです。これにより、ドライバーの単価が上がり、以前は月収20~30万円のドライバーが100万円以上の収入を得るケースも存在します。そして、荷主側にとっても配送量にかかわらず常に一定数の配送車両を確保する必要がなくなること、Web上でドライバーを短時間で見つけられ、出発後は、ドライバーの現在地、到着時間がリアルタイムで分かるため、遅延のリスクを軽減できるといったメリットが生まれます。

さらに同社は、不在宅のスキップを含めた効率的な配送ルートの自動策定を行い、土地勘がないドライバーでも一定の効率性を保ちながら配送ができるソリューション「LAMS(ラムズ)」を提供。今後さらなる発展が期待されています。

本事例の詳細は以下記事で公開しています
ドライバーの労働環境と社会的地位を変える、物流版Uberの正体とは?

DXの実現にはまず専門家へ相談を

デジタルを活用した改革ともいえるDXは、現状の課題解決への効果的な手段ともなります。しかし、そのためには、課題とその原因が何なのかを分析し、把握しておく必要があります。

自社にとってどのようなDXへの取り組みがもっとも効果的であるのか。それを見つけるためにも、専門的な知識と経験のある企業への相談も最適解をみつける近道でしょう。例えばソフトバンクには専門的な技術と、実例があります。ぜひDXへの取り組みをはじめる段階で相談をする、という選択肢もあることを意識してください。