日経BP総研とソフトバンク特別セミナー Enterprise IT Infrastructure 2020 レビュー ~基調講演~

"日経BP総研とソフトバンク特別セミナー Enterprise IT Infrastructure 2020 レビュー ~基調講演~"

(2020年3月2日 掲載)

目次

デジタル技術を活用し、新たなサービスやビジネスモデルを創出する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が進展している。これに伴い企業活用を支えるITインフラにもさまざまな変化が起こりつつある。クラウド型のコミュニケーションツールやAI/IoTの活用によって、ネットワークトラフィックが爆発的に増加しているのはその一例だ。

また、経済産業省のDXレポートにもあるように、レガシーインフラからの脱却も急務となっている。DXを継続的に展開していくためには、基幹システムにとどまらず、ネットワークまで含めたモダナイゼーションを図っていく必要があるだろう。

こうした次世代に向けたインフラの在り方をさぐるため、日経BP総研とソフトバンクが開催したのが「Enterprise IT Infrastructure 2020~DX時代に向けたレガシーインフラの刷新と共存~」だ。本セミナーでは先進企業の事例を紹介しつつ、DXを進展させ、レガシーインフラから脱却する解決策が提示された。

デジタル時代の企業を支えるためシームレスな通信サービスを提供

ソフトバンク株式会社 法人プロダクト&事業戦略本部 ソリューションサービス統括部 統括部長 森田 明宏

森田 明宏
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
ソリューションサービス統括部 統括部長

空と陸の両方でインフラを構築

法人成長戦略として 「Beyond Carrier」 を掲げるソフトバンク。AIやIoTなど新領域でも事業を拡大させている。「ただし、あくまでも根幹は通信事業にあります。来る5Gの商用化に向けても早期整備に向け2つの戦略を推進しています」とソフトバンクの森田 明宏は語る。

戦略の1つは 「4G基地局の活用」だ。ソフトバンクは全国で約23万ヵ所に携帯電話基地局を展開しており、これらとの相互補完によって5Gの展開スピードを圧倒的に加速できる。もう1つは他社との「インフラシェアリング」であり、既に昨年から検討を開始している。

「5Gはコンシューマーだけでなく、産業界に大きな可能性をもたらします。これからあらゆる産業が5Gによってアップデートされることになるはずです。すでにソフトバンクでも5Gを活用したユース検証を開始しています」(森田)

自動車業界において5GおよびセルラーV2X技術(車両間、交通インフラと車両間、ネットワークと車両間、歩行者と車両間などで通信をする技術)を活用した安全運転支援・自動運転に関する取り組みを行っていることはその1つだ。また製造業では、工場内に設置されたカメラやセンサーから、設備の稼働状況や人の動きなどのデータをリアルタイムに収集。収集したデータをAIによって分析し、設備の稼働や人の行動などの変化や異常を自動で検知する実証を行っている。

その一方でソフトバンクは、宇宙や上空からのネットワーク提供も積極的に推進。その1つが「OneWeb」だ。これは約600基の低軌道衛星によって全世界をカバーするというもの。従来の衛星に比べ約100倍となる下り最大400Mbpsを実現するとともに、アンテナの小型化・低コスト化が可能。2019年2月には衛星打ち上げを成功させており、2021年にサービス提供を開始する予定だ。

また成層圏通信事業の企画・運営を行う「HAPSモバイル」も推進。 こちらは気流の安定した成層圏に基地局を浮かべることで、既存のスマートフォンから直接モバイル通信を利用でき、災害時にも途絶えない通信の実現が可能となる。2023年ごろにサービス提供を開始する予定だ。

最終的に目指すのはAIとの融合

空と陸の両方でインフラを構築し、いつでもどこでもつながる世界を創り出しつつあるソフトバンク。企業はこのインフラをどのように活用することができるのか。その1つとして森田が挙げるのがSD-WANだ。これによって、「Office 365 」などのSaaSトラフィックやWindowsアップデートのオフロード※が可能になる。既にソフトバンクではこのニーズに対応しており、今後はIaaSにも適用にしていく予定だ。またSD-WANとクラウドプロキシによって、セキュリティの一元管理も実現しているという。
※指定したトラフィックのみWANを経由することなく、各拠点のエッジ装置から直接インターネットへ通信させる仕組み。これによりWAN内におけるトラフィックの集中を防止することができる

こうした現状のネットワーク活用に向けた取り組みだけでなく、ソフトバンクでは今後を見据えた構想も進めているという。「企業ネットワークは20年前から同じ課題を抱えており、おそらく20年後もその課題は普遍的テーマだと考えています。それは、トラフィックの爆発的な増大、セキュリティ、運用の複雑化です。これらに対応するため、当社は3つの将来構想を持っています」と森田は言う。

1つ目は「アクセス回線のミックス」だ。これは、固定網、モバイル5G、OneWebのようなサテライトを組み合わせ、最適な経路にトラフィックを分けることで、増大するトラフィックに対応するもの。

2つ目が「高セキュア・マネージド」だ。LAN・WAN、クラウド、モバイルなどすべての通信の状況を一貫して見える化することで、セキュリティ全体を可視化・制御していく。

そして最後の3つ目が「AI活用による自動化」だ。「トラフィック予知による帯域の増減やオフロードへの切り替え、トラブル予知、自動修復までも視野に入っています。すでに商用ネットワークの一部にAIを実装していますが、最終的には『AI-Defined』なネットワークを目指しています」と森田は話す。

"AI Defined Network"

ソフトバンクが目指しているAI Defined Network

AIはネットワークとの親和性が高く、両者を組み合わせたプラットフォームによって、企業の普遍的な課題を解決できるという

今後も同社では、こうした取り組みを加速することで、普遍的な課題を解決し、企業ネットワークの活用をサポートしていく考えだ。