新型コロナウイルス対策でテレワークを実践した企業とその取り組みについて

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行拡大するなか、感染拡大防止策のひとつとして、閉鎖空間に長時間集まること(3密)を回避するように言われています。同じ場所に長時間、多くの人が勤務するオフィス空間も措置を講じるべき場所のひとつです。今回は、対策を実施している企業とその内容を紹介します。

(2020年5月13日 掲載)

目次

新型コロナウイルス感染防止のための大手企業の対応

世界各国で感染拡大している新型コロナウイルスに対して、本格的に各企業が対応をはじめています。その中でいち早く行動を起こしたのがいくつかの大手企業です。ここでは大手企業の対応を(テレワーク関連を中心に)見ていきましょう(2020年2月26日時点)。

GMOインターネットグループ

東京にグループ本社を置き、大阪、北九州、宮崎にグループ第2本社を設定しているGMOインターネットグループはインターネットインフラ事業をはじめ、インターネット広告、メディア事業、インターネット金融事業を展開している企業です。同グループでは、1月16日の段階で注意喚起メールを全パートナー(従業員)に向けて配信したことを初動として、1月26日にはグループ代表が在宅勤務体制への移行を発表し、27日から2週間をめどに実施。この時点での対応範囲は渋谷、大阪、福岡を拠点とする従業員が対象でした。

2月3日には全ての従業員に向けた在宅勤務状況に関するアンケートを実施し、2月7日には感染流行の長期化に備えた体制への移行を決定しました。

新型コロナウイルス感染防止の対策に関する動きを決定したのが、新卒および中途採用者の採用時期ともなる季節であったため、応募者との選考面接などを、2月25日にオンラインで実施しています。その後も、在宅勤務体制開始から1ヵ月が経過し、長期化する在宅勤務の課題についての2回目のアンケートを実施しています。そして、1,960件の回答から課題を抽出しています。その結果分析レポートもまとめています。

それによると浮き彫りになったのが「通信環境」「自宅の作業環境」など環境面での課題でした。また、在宅勤務の時間が増えたことで「光熱費の増加」が指摘されたほか、外出する機会が減ったために腰痛やストレスの蓄積といった「体調面」での課題も目立ったとしています。

一方、コミュニケーションツールの活用を通じてWeb会議や打ち合わせのルールを決めたり、円滑なコミュニケーションの維持を図ろうとしたりする動きが活発になったことは良かった点として評価されました。

こうした対応の結果、新型コロナウイルスの問題終息後も在宅勤務を制度化していくことを望む声が強かったこと、そのために光熱費を含めた生活費が増加する分の会社負担をはじめとする経済的な体制も充実させてほしいという要望が上がったことを報告しています。

武田薬品工業

医薬品開発、製造、販売などグローバルに手がける武田薬品工業ではグローバルでの危機管理委員会「グローバル クライシス マネジメント コミッティー」を立ち上げ、従業員向けのガイダンスを出しました。それによると2月17日の段階で日本の従業員に対して可能な限り在宅勤務を推奨するとしています。また出勤が必要な場合でもフレックスタイム制を活用して通勤ラッシュを避けることを推奨しています。

さらに新型コロナウイルスに関する特設ページをイントラネットに用意し、従業員が必要かつ最新の情報を得られるようにしました。同時に従業員からの新たな質問が寄せられるたびに内容を更新し、従業員にタイムリーに共有できるように図っています。

パソナグループ

人材派遣、人材紹介などを行っているパソナグループでは新型コロナウイルスの感染拡大予防対策として新型肺炎対策本部を設置しています。そして、以下の対策を実施してきました。

  • オフピーク通勤制度を新設:ラッシュアワーを避けて通勤することを認めました。
  • 在宅勤務制度:全社員を対象に在宅勤務が推奨されました。
  • メディカルコンシェルジュ:健康に関する相談窓口の機能を強化しました。
  • モバイルカウンセリング:希望者を対象にして、人材派遣や人材紹介の登録面談をモバイルによって行うことを決定しました。
  • 派遣先・委託元企業への在宅勤務・オフピーク通勤の要請:派遣スタッフや受託従事社員が派遣先や委託元企業で仕事をする際、在宅勤務やオフピーク通勤の実施がある場合はその制度を適用する旨の要請を行いました。
  • 新型コロナウイルス感染症 総合対策サイトを開設:従業員および派遣スタッフ等向けに、新型コロナウイルスの発生状況や予防法、仕事の悩みごと解決などの情報を提供するため、「新型コロナウイルス感染症 総合対策サイト」を開設しました。
  • 在宅勤務者5min WEBエクササイズ:在宅勤務を実施する企業の従業員向けに、自宅でできる簡単なエクササイズプログラム(5分間)をトレーナーがオンラインで提供してきました。

参考)
https://www.pasonagroup.co.jp/news/index112.html?itemid=3380&dispmid=798
https://www.pasonagroup.co.jp/news/tabid312.html?itemid=3414&dispmid=821
https://www.pasonagroup.co.jp/news/index112.html?itemid=3431&dispmid=798

見えてきた大手企業の姿勢

紹介した大手企業の対応・対策を見ると、どの企業もいち早く行動を起こし、その行動が徹底していることが伺えます。従業員の不安をかき立てる原因として情報の不確かさや情報不足などがありますが、大手企業では情報がタイムリーに従業員に共有されるように工夫をしています。また、従業員からの質問に対しても、新たな情報として共有し、疑問や不安の解消に努めています。

さらに、テレワークを推奨するのみならず、対象となる従業員の業務遂行に関して、ストレスを軽減するための措置、たとえば、会議はテレビ電話やWeb会議を活用するなど、オフィスで業務にあたる環境と変わらない環境を提供することに重点をおいた対応がなされています。

言い換えれば、情報の共有をはじめとした環境を構築しておくことが、今回のような緊急事態あるいは今後想定しておくべき自然災害時にも迅速で的確な対応がとれる準備となると言えます。

テレワーク導入に役立つコラム

緊急時に備えテレワークの導入と実施を検討したいと考える場合、どのような点に注意しながら導入をすれば失敗せず実用化されるのかが気になります。次に紹介するコラムを参考に自社にあった導入方法を検討してみましょう。

テレワーク導入が注目される理由は? 失敗しないための導入のポイント

このコラムはテレワークが社員・会社双方にメリットのある働き方のひとつであることを解説し、勤務形態の多様性を紹介しています。さらに、導入する際には、まずテレワーク導入の目的を明確にすること、社員の勤務実態の現状を把握すること、それに適した導入計画を立てること、さらに試行と検証を繰り返し問題点の解決をしたのち、本格的な導入に移るのが失敗しないポイントだと指摘しています。

テレワークに!無料で使えるWeb会議のメリットとポイント

テレワークを効率的に活用するには、コミュニケーションがスムーズに行え、さらに情報共有環境が整っていることが前提です。このコラムではテレワークの実施を促す環境のひとつとしてWeb会議に着目してそのメリットや活用できるツールを紹介しています。テレワークを導入し、実施するにあたり、環境構築を考えるときの参考になります。

緊急時に迅速に対応出来る環境作りは
日常の業務改善への取り組みでもある

今回は新型コロナウイルス感染拡大防止に関する大手企業の対応を中心に、どのような対策と姿勢が重要であるかを見てきました。その中で注目しておきたいのが、従業員の不安を軽減させるためには、タイムリーに情報共有できる環境の構築と、柔軟な働き方が確立されていることの重要性でした。なかでもテレワークの導入と実施については、日常の業務改善への取り組みとしても、今後、各企業が進め、充実させていくものでもあります。今回紹介した対応策などを参考に、自社に適した取り組みを計画してみましょう。