(2020年5月19日 掲載)
「ワーケーション」という言葉はご存じだろうか?アメリカで生まれた、ワークとバケーションを組み合わせた造語である。
どこにいても仕事ができる、ということは森の中でキャンプをしながら、海を眺めながら仕事をすることが可能ということ。
キャンプが趣味である上司の「いつか、キャンプ場からプレゼンしたい」という希望が叶うのはいつになるのか?ワーケーションを実現するためには何が必要なのか?
実際にテレワークをしながら、3回のレポートで考えていきたい。
第1回 1週間のテレワークで見えてきた課題(今回)
第2回 どのITツールが便利?「テレワーク会議」を効率的にするコツ
第3回 管理職目線でみた「チームのテレワーク」 チームリーダーにインタビュー
目次
1週間のテレワークで見えてきた課題
【1】紙文化の壁
結果を言うと、テレワークができなかったメンバーもいた。月初だったこともあるが、以下の業務のためだ。
①契約書の製本と郵送
②請求書の原本を経理に提出
③経費精算に必要なレシートの原本を提出
④提出書類への押印
紙や社印という物理的なものが必要になると、どうしても出社せざるをえない。
しかし、以下の取引先とは、メールをベースとしたやり取りで処理を終えることができた。
- 経理処理にEDIを導入している取引先
- 電子契約を導入している取引先
ITツールにより、セキュアに、そして利便性高く紙をデータに置き換えられる時代は来ている。
ペーパーレス化まではあと少し、という印象だ。取引先を選定する際に、「ペーパーレス化しているか」がカギになる日も来るかもしれない。
「③ 経費精算に必要なレシートの原本を提出」は社内処理だが、画像ファイル等での提出を可能するなど、こうした状況にも対応できるペーパーレス環境を整えることが、昨今話題の「HRテック(※)」と言えるかもしれない。
※HRテックとは…ヒューマンリソーステクノロジーの略称。人材の確保や定着のためのテクノロジー活用のこと
【2】コミュニケーションの壁
個人差はあると思うが、自分ひとりで行う業務は非常に捗ると感じた。
では、チームコミュニケーションはどうだろうか?
チャットの変化
チャット自体はテレワークの前から活用していたが、口頭でのコミュニケーションが減ったせいか、より活発にチャットを利用するようになった。
1対1よりもチームでチャットすることが増え、目を離した隙に未読が30件、なんてことも。読み返すときに雑談が混ざっていて、どこを読めばいいのか分からないということもしばしば。(会わない分、雑談したくなるようだ。)
そこで、私たちのチームでは雑談用、○○業務用、事務連絡用とチャットのグループを分けて運用することに決めた。チャットグループを分けることで、優先順位をきめてチャットを読むことができるので効率的に仕事を進められるようになった。
関連サービス
■LINE WORKS
社内コミュニケーションに加え、LINEユーザーや他社のLINE WORKSユーザーとも簡単にメッセージやスタンプを送ることができるビジネスチャット。
※外部トーク連携機能を有効にするためには、管理者画面での設定が必要。
■Microsoft Teams
Microsoft 365 におけるチームコラボレーションのハブとなるツール。 チャットによるコミュニケーションをベースに、PowerPointやExcelのファイル共有、Web会議、そしてファイルの共同編集をチーム内で実現することが可能。
会議の変化
チームでの会議は「Zoomミーティング」を活用して実施した。
カメラをOFFにしていた時は、同時に話し出してしまうという問題があったが、「カメラONをルール化」することでかなり解消できた。また、カメラをONにすることで、映っているPCの周辺機材に関する質問や、家族やペットが映り込むなど、コミュニケーションのきっかけがうまれることもあり、コミュニケーションの活性化やチームビルディングの一助にもなったと言えるだろう。
カメラONについては、強い抵抗があったものの、このような効果をみんな感じていたのか1週間経てば不平をいうメンバーはいなくなり自然とカメラをONにするようになった。
想定していなかったのは、お手洗いに行く時間がないこと。
自宅のデスクの前からほぼ動かずに連続でWeb会議に入ってしまい、会議が終わったときにはへとへと。お手洗いに行く時間もない!ということが何度か発生した。そこで、チームでの会議はできる限り5分前に終了し、各自小休憩がとれるようにルールを決めた。
こうした課題が顕在化したのも、チームで雑談できる雰囲気をつくれたことが大きいと思う。閉塞的になりがちなテレワークにおいて、それぞれがストレスを溜めないようにチャットや会議の場で「雑談できる空気」も大切になると思う。『仕事の内容でないから』と雑談に罪悪感を持たないことがテレワークを上手く進めるコツかもしれない。
ワーケーションに向けての課題は大きく分けて、「紙」と「コミュニケーション」になるようだ。次回は会議についてもう少し掘り下げ、会議で利用するITツールについて考えていきたい。