IoTを実現する通信の特性

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(2020年5月26日掲載)

「モノのインターネット」と言われるIoTは、身近なところでも盛んに導入されています。今までインターネットに接続されていなかった家電や自動車などの“モノ”をインターネットに接続することで、外出先からエアコンのスイッチをオン・オフしたり、留守番しているペットの様子をカメラで確認したりできるようになりました。

便利で活用範囲も広がってきたIoTですが、その背景には無線通信技術の発展があり、さらに活用の幅を広げるには、高速大容量の通信や低コストで省電力の通信を可能にする技術が必要になります。今回は、IoTを実現する通信として注目されている5GとNB-IoTの特性について見ていきましょう。

目次

IoTの価値を最大限に生かすために必要なものとは

すでにIoTが身近なものになっている今、現状の通信技術でも十分なのではないかという疑問を持つ人もいるかもしれません。なぜここへ来て、IoTにますます注目が集まっているのでしょうか。その理由は、新しく画期的な通信技術が登場し、より多くのデータを、スピーディかつ安全に、しかも安価で収集できる可能性が高まっているからです。

IoTの発展について語る上で外せないキーワードのひとつに、「スマートシティ」があります。スマートシティとは、IoTの技術によって、電気・ガス・水道をはじめ、交通やデリバリーシステム、ショッピングといった生活に関わるインフラやサービスを効率的に管理し、継続的な経済発展を目指す“新しい都市”を意味します。

産業分野でも、IoTやICT、ロボット技術を用いて、省力化や品質向上を実現する「スマート工場」をはじめとするスマート化の取り組みが始まっています。

今、世界中でスマートシティや産業のスマート化が急いで進められている背景には、人口の増加と都市部への人口集中があります。多くの国々では、人口増加に伴って急増するエネルギー消費を、IoTを活用して効率的にまかなうことで環境負荷を減らし、交通渋滞の増加や大気汚染といった社会課題を解決しようとしているのです。

スマートシティや産業のスマート化を実現するためには、膨大な量のデータを収集し、解析して活用する仕組みをつくる必要があります。そのために欠かせないのが、高速に大量のデータを送受信できる通信技術です。

5G3つの特性

2020年3月から、ついに日本でも第5世代移動通信システム「5G」の商用化がスタートしました。5Gの登場で、どのようなことが可能になるのでしょうか。次に、5Gの3つの特性と、それによって期待できることを紹介します。

1. 高速・大容量

5Gでは、大容量のデータを高速で送受信が可能になります。高速大容量の5Gを導入すると、ドローンを使った高精度な測量や建設機器の遠隔・自動操縦なども実現できます。また、同じように高精細なカメラを搭載したドローンを活用してインフラの整備点検を行えるようになり、危険な場所での作業が軽減されるほか、作業時間の短縮、人件費の削減、さらにはAIによる画像解析とあわせることによる点検精度の平準化にも期待が高まります。

2. 超高信頼低遅延

5Gでは、通信の遅延を最小限に抑えて、より安定した接続ができると言われています。通信の遅延とは、データを送信した時間と、受信した時間とのズレ、つまりタイムラグのことで、5Gは4Gの約10分の1と言われています。そのため5Gは、トラクターや田植え機といった農業機器の自動運転やロボットの遠隔操作など、ほぼリアルタイムでの通信が必要とされる場面での活躍を期待されています。

3. 多数同時接続

さらに5Gでは、基地局からの通信の仕組みがシンプルになるため、同時に接続できる端末が大幅に増えます。4Gでは同時接続できる端末がスマートフォンやPCなど数台に限られていましたが、5Gでは身の回りのあらゆる端末やセンサを同時にインターネットにつなぐことができるようになるのです。そのことから、5Gの商用化スタートは、IoT発展の大きな契機になると考えられています。もちろん、IoTをフル活用したスマートシティの試みも、大きく進歩するはずです。

NB-IoTの特性

IoTの可能性を広げる通信技術は、5Gだけではありません。IoT時代の到来に向けて、消費電力を抑えて広範囲の通信を可能にする新たな通信方式「LPWA(Low Power Wide Area)」が登場し、注目を集めています。

「NB-IoT(Narrow Band IoT)」も、そんなLPWAのひとつで、省電力性の高さが特長とされています。

NB-IoTは、家電や環境センサのような、少量のデータ通信で処理できるIoTに適した通信といえます。活用法としては、水道やガスなどの公共サービスのメータリング(メータボックスに設置して使用状況を収集・解析すること)、家電の遠隔操作、防犯機器の警報通知、シェアサイクルやパーキングの管理といった例が考えられます。消費電力もコストも抑えられるNB-IoTは、これからのIoT通信において主流になるといわれています。

「NIDD」でNB-IoTでの通信がより安全に

2018年、ソフトバンクはNB-IoT向けの技術「NIDD(Non-IP Data Delivery)」の商用環境での接続試験に、世界初の成功をおさめました。

NIDDとは、通信上のルールであるIP(Internet Protocol)を使わずにデータ通信することができる技術のことです。従来のデータ通信では、発信元と着信先がそれぞれ機器を判別するためのIPアドレスを持っていましたが、NIDDを使うとIPアドレスを割り振らなくとも通信可能なので、端末を狙ったサイバー攻撃を受けにくく、高いセキュリティを保つことができます。IPアドレスがない分、接続する機器への初期設定の手間がかからないのもメリットです。

また、従来のデータ通信で必要だったヘッダ情報などのデータが削減されるため、通信時に使用する電力を抑えて、バッテリーを長持ちさせることができます。さらに、データ量が削減されることで通信の成功率が高まるため、通信エリアの拡大にもつながります。NIDDは、セキュリティ、消費電力、設定・管理コストというIoT通信における3つの課題を解決する画期的な技術といえます。

新しい技術が社会や事業を変える

5Gをはじめとする次世代型の通信が普及していくことで、私たちの生活は大きく変わると言われています。あらゆる産業で、5GやNB-IoTなどの通信技術を活用した新しい事業や商品・サービスが生まれ、周囲の至るところで通信が行われるようになるでしょう。より快適で環境にやさしい暮らしを実現するスマートシティへの取り組みも大きく前進するはずです。

一口にIoTといっても、その企業が実現したいこと、形にしたい商品によって、必要となるシステムや通信方式は異なります。目的に応じて、事業規模やコストに見合ったソリューションを選ぶことが大切です。

ソフトバンクでは、NIDD をはじめ最先端の通信技術と、多様なIoTサービスを提供しています。また、企業や行政にIoTプラットフォームを提供し、各地で社会課題解決に向けた共創をスタートさせています。

豊富なノウハウを蓄積したソフトバンクのような専門の企業の力を借りることは、企業がIoTをスムーズに導入し、そこからメリットを得ていくための有効な方策のひとつと言えるでしょう。