POSって何?POSの活用で何ができるのか

2020年8月19日掲載

POS, Point of Sale. Concept with keywords, letters and icons. Colored flat vector illustration. Isolated on white background.

最近POSシステムやPOSレジという言葉を耳にする機会が増えました。例えば店頭での買い物やカフェでコーヒーを飲んだときの会計にタブレットが使われていることがあります。それもPOSレジのひとつで、POSシステムを利用したサービスです。では、従来のレジや精算方法とどう違うのでしょうか。またPOSを利用すると何ができるようになるのでしょうか。今回はPOSで実現できることを探ってみましょう。

目次

POSって何

POSと一般的に呼ばれるものとしてPOSシステム、POSレジ、パソコンPOSなどがありますが、POSというのはPoint of Sale(販売時点情報管理)といって販売されたモノの売上実績を単品単位で集計することをいいます

POSシステムとPOSレジの違い

POSシステムとPOSレジ、あるいは単にPOSと表現する場合、同じような意味合いで使われていることが多いのが現状です。しかし、POSシステムとPOSレジは完全に同じ意味を示している言葉ではありません。ここでは違いを明確にしておきましょう。

POSシステムというのは「仕組み」を指します。POSのみで表現される場合、このPOSシステムを指すことが一般的です。

一方、POSレジというのは「POSシステム(仕組み)を組み込んだレジスター」のことです。つまりPCにPOSシステムを組み込みレジスターとして使えるようにすればパソコンPOSレジとなります。タブレットにシステムを組み込めばタブレットPOSレジとして活用できます。

ではもう少し詳しく、どのような活用の仕方があるのかについてもPOSシステムとPOSレジについて確認しておきましょう。

POSシステム

POSシステムは売上を商品単位で集計して、その結果に基づいて売上分析をしたり、在庫管理に活用したりするためのシステムです。例えば、POSシステムを組み込んだレジやパソコンをPOSレジやパソコンPOSとして活用します。そしてPOSシステムを組み込んだレジで集めた情報、例えば、日々の売上を商品ごとに集計したり、どのような商品がよく売れたのか、どういった顧客が購入したのかなどのデータを分析したりして、その結果を経営やマーケティング戦略に使います。

では、POSシステムにはどのような機能が備わっているのでしょうか。主な機能を確認してみましょう。

  • 売上登録機能:基本的な機能です。販売した商品コードを読み取る、あるいは入力して、その商品が「いつ」「どのような決済方法で」「いくつ」売れたのかといった情報をデータベースに登録する機能です。その後、管理されたデータは集計・分析に活用することができます。

  • 釣銭計算機能:取引の際、預かった金額から商品販売合計金額を差し引きし、釣銭金額を計算する機能です。

  • 決済機能:最近では現金取引のみならず、クレジットカードや電子マネーを用いた決済が普及しています。それらに対応した機能です。

  • 売上分析機能:売上を集計して分析するための機能です。在庫の調整や、特定の商品の販売促進をするために活用します。また、どのような顧客がこの商品を購入するかといった分析をし、顧客層に最適な商品情報を提供したり、キャンペーンをお知らせするなど効率的な営業活動に利用します。

  • 売上ジャーナル機能:売上ジャーナルというのは、顧客に渡すレシートと同じ内容を店舗側で保管するものです。売上ジャーナルは7年間保管することが法律で義務づけられています。基本的には紙(帳簿)として保管することになりますが、税務署へ申告しておけば、POSシステムに登録されている電子データのままで保管することも可能です。
    また売上ジャーナルは顧客が返品を希望した場合の確認や照合にも使用されます。そのほか、金額の打ち間違いや売価の確認などにも活用されます。
    こうした売上ジャーナルには両替操作、キャンセル操作などレジの操作を記録することができます。

  • 商品情報登録機能:商品に関するさまざまな情報を登録します。商品の種類(分類)、名称、値段、メーカなどが主に登録される情報です。

  • 顧客情報登録機能:店舗で購買行動を取った顧客に関する情報を登録します。来店日時、注文した商品やサービス、決済方法などが登録されます。こうした情報を登録しておくことで、顧客の好み、行動パターンなどを分析することができます。その分析結果を利用すれば、顧客満足度を高める施策に活用することができます。

  • 注文管理機能:飲食店で多く使われる機能です。タブレットやスマートフォンなどのモバイルツールを活用し、顧客からの注文を受け付けた際に情報として登録します。

  • 在庫管理機能:日々の在庫管理のほか、棚卸しまでを管理する機能です。会計情報との連動によって、入出庫情報や効率的な発注へとつなげることができます。

  • 予約管理機能:インターネットを利用した予約の受付のほか、電話受付をした際の情報、顧客が前回利用したときの情報、リピートしたときの情報などを管理することで、顧客視点での接客へとつなげることができるようになります。

  • 勤怠管理機能:従業員やパート社員などの勤怠状況を登録する機能です。

  • ECサイト連携:店舗で集積したデータとインターネットショップから集積したデータを同期する機能です。この機能によって、商品情報、販売情報、顧客情報、在庫情報など総合的な動きを把握することができます。

POSレジ

最初にレジ(レジスター)というものについて確認しておきましょう。レジスターとは主に飲食店や小売店などで店頭の取引を登録するための機器を指します。基本的には店頭で代金を精算する際、どんな商品をいくつ、いくらで販売したかを記録するためのものです。

レジスターからPOSレジへ

POSレジが登場し、多くの店舗で見かけるようになったのは最近のことですが、レジスターが誕生し、店頭での取引内容の金額を表示させるだけの機器として活用されはじめたのは19世紀の後半のことです。

レジスターはアメリカのカフェ経営者によって作られました。それが世界最初のレジスターだといわれています。発明の理由はカフェ店員による売上金のごまかしを防止するためだったそうです。取引内容の金額を表示して、客と店員がそれを確認するだけの機能しか付いていませんでした。

日本でレジスターが本格的に導入されたのはアメリカで発明されてから約30年後。大手デパートで取り入れられました。その後、さらに消費が拡大するとともに日本でもレジスターの需要は増え、取引金額を確認するだけの機能から、取引内容を顧客に示すための機能が追加されました。そして、提供したサービス内容やその合計金額を表示したレシートを発行できるようになりました。

世界初のレジスターが誕生してから、約1世紀を経て、POSレジが開発されます。取引を記録するだけではなく、商品の管理や在庫管理、顧客情報など、詳細な売上に関する管理をするために開発されました。バーコード技術が進化することでPOSレジはさらに便利になり、商品登録といった作業ができるようになって、急速に普及しました。そして会計処理のみならず、経営管理の基盤としても活用することを目的に導入する店舗も増えました。

POSレジの機能はさらに開発が進んでいます。iPadといったタブレットにアプリをインストールするだけで、POSレジとして使用できるようになるタブレット型POSレジも多くの店舗で利用されています。

このようにレジスターは時代の変化とともに変化を続けています。取引の記録を残すだけでなく、経営管理の基盤として、必要に応じて進化し続け、POSシステムを完備したレジ、POSレジが広く使われるようになりました。現在では、POSシステムをインストールすることでパソコンやタブレットがPOSレジとして使えるようになります。では、次にレジの種類と特徴を確認しておきましょう。

POSレジの種類と特徴

POSレジにはターミナル型、パソコン型、タブレット型の3種類があり、それぞれに特徴があります。

  • ターミナル型POSレジ:ターミナル型POSレジはコンビニエンスストアやスーパーマーケットをはじめ多くの店舗で使用されています。POS専用に作られたレジのため、さまざまな機能が利用できます。例えば自動釣銭機能がついたレジやセルフレジがあります。従来のレジスターと変わらない操作で作業ができるものが多く、POSレジへと切り替えを考える大型店舗のようなところには導入しやすいタイプだと言えます。ただし、導入コストはほかのPOSレジに比べて高額になります。
    また、レジ機能とPOS機能が一体であるため、システムの老朽化が進んだ場合、あるいは機器そのものが故障した場合には全体を買い換えることが必要となるケースもあります。

  • パソコン型POSレジ:一般的なパソコンにPOSシステムをインストールしてPOSレジとして使用するものです。パソコンさえあれば簡単にPOSレジとして使用できるので導入しやすい一方で、キャッシュドロアーやレシートプリンタといった周辺機器は別途用意する必要があります。そのため、大型店舗において、たくさんのPOSレジを用意する必要がある場合は、コストがかさむ可能性もあります。
    POSシステムをインストールしたパソコンは、本来のパソコンとしての機能を使うこともできます。
    また、パソコンが故障した場合や、POSシステムのバージョンアップをする場合など、それぞれに変更が必要なものだけを更新すればよいので、効率的だと言えます。一方で、従来型のレジスターからパソコン型POSレジへ切り替えた場合は操作性が異なるため、操作を修得する必要があります。

  • タブレット型POSレジ:iPadやAndroidのタブレット端末にPOSシステム用のアプリをインストールしてPOSレジとして使用します。タブレットを利用するので持ち運びができ、レジの設置場所や決済するための場所を決める必要がありません。タブレット型POSレジの場合も、パソコン型と同様にレジ周辺機器は別途用意する必要があります。

POSレジを活用するとできるようになること

POSレジを活用することで従来のレジでは得られなかったメリットが得られます。

  • 会計業務の効率化:商品や取引明細書などに記載されているバーコードを読み取ることで商品の金額や種類といったデータがすぐに入力され、正確な会計をすることができます。顧客を精算時に待たせることなく対応できるだけでなく、レジ締め作業の効率化も図れます。

  • データ一元管理による複数店舗管理:POSレジを使って精算した売上のデータは一元管理されます。例えば複数の店舗がある場合でも、店舗ごとの売上データを管理しやすくなります。

  • 売上管理を活用した商品展開の改善:POSレジでは「どのような顧客が、いつ、どの時間帯に、どの商品を、いくつ購入した」といったデータが記録されます。それらを分析することで「売れる商品」「売れない商品」が明確になります。またどの季節にはどういった商品が動きやすいか、どの商品とどの商品がセットで購入されやすいのか、といったことも分析することができます。そうしたデータを活用して、商品展開を考えたり、季節に適した売り方を工夫したりすることができます。
    さらに顧客データと売上を結び付けて分析検証することができるので、顧客へのアプローチ方法や、商品開発、価格構成の改善などに生かすことができます。例えば、顧客の誕生日にクーポンを配布したり、購入履歴のある商品についての情報提供をすることで次のリピートへとつなげたり、さまざまなマーケティングに活用可能です。

  • レジ担当者の不正防止:レジの使用ログが残るので、誰がいつ会計作業を担当したのかが分かります。そのため、レジ担当者による不正を防ぐことにつながります。また、バーコードの読み込みで商品の金額やほかの情報が入力されるため、レジ担当者が商品の価格や情報を覚える必要がありません。

  • ミス防止:バーコードを読み込む、あるいはあらかじめ商品の金額や情報を登録しておくことができるので、精算時の打ち込みミスの心配がありません。セール期間やキャンペーン対象商品といった価格の変更を事前登録しておけば、レジ担当者がうっかり通常価格で販売することを防止できます。

  • 会計業務の効率化による顧客満足度アップ:精算をするとき、スタッフが金額の入力をする必要がないので、顧客の待ち時間が少なくなります。また、在庫管理機能があるので、商品の在庫切れを防ぐことができます。こうした面からも顧客の要望にスムーズに対応でき、満足度を高めることができます。

  • 決済方法の多様化への対応:現金を持ち歩かない顧客が増える現在、クレジットカードや電子決済サービスなどさまざまな決済方法に対応でき顧客利便性が向上します。

  • 業務に適したレジの種類を選択できる:POSレジはターミナル型、パソコン型、タブレット型と種類があるので、店舗規模や導入しやすさ、POSレジに求める機能によって選ぶことができます。

まとめ:戦略的マーケティングに活用しよう

POSシステム、POSレジは気軽にタブレットをPOSレジとして利用でき、小さな店舗や催事会場においても売上管理ができるだけではありません。データを蓄積し分析できるシステムと連携することで、戦略的マーケティングを行うこともできるようになります。

POSレジにあたっては、事前に必要な機能を確認し、最適なPOSレジを導入することが大切です。まずは、自社が抱えている課題を洗い出すことから始めてみましょう。

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