人材不足解消につながるデジタル技術とは

人材不足解消につながるデジタル技術とは

(2021年1月29日掲載)

少子高齢化が進む日本は、多くの企業で人材不足に悩まされています。事業の継承や労働力確保が難しい、新たなビジネス展開ができないなど、人材不足がもたらす影響は大きいと言えるでしょう。本稿では人材不足に悩む代表的な業種5つに的を絞り、解決策としてのデジタル技術の活用を紹介します。

目次

人材不足が及ぼす影響とは

現在、業種を問わず企業を悩ませている課題のひとつが人材不足です。しかし、人材不足は企業のみならず社会全体へも大きな影響を及ぼす課題でもあります。まずはこの課題に潜む社会動向と、人材不足が社会に及ぼす影響について確認しておきましょう。

日本社会全体に影響を及ぼす人材不足

2018年9月に公表された「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」(経済産業省)の中の「高齢者と現役世代の推移予測」によると、2020年代では65歳以上の人口の増加幅は落ち着くものの、15歳~64歳までの現役世代といわれる年代の人口の減少は継続。その後、2030年代では65歳以上の人口の増加幅が増加する一方で現役世代の減少幅が拡大し、さらに2040年代以降では65歳以上も15歳~64歳までの現役世代もともに減少すると予測されています。つまり今後の日本社会では、労働人口の減少が継続するとともに、高齢化社会が継続すると考えられます。言い換えれば、多くの企業で求人をしても求めに応じる年齢層の人が少なく、必要な人材の確保が難しい時代が続くと言えます。そうなると、どのようなことが起こるのでしょうか。企業活動が滞り、製品やサービスの需要に対して供給が間に合わないという現象が発生するかもしれません。こうした状況では労働環境の悪化も懸念されます。一人の従業員が担う役割、作業量が増えることになると、離職率の上昇を招く恐れもあります。この現状はさらなる人材不足の悪循環を生みます。

医療・介護福祉業では、必要な人に必要な医療や介護福祉サービスの提供ができないケースが出てくるかもしれません。また、製造業では、必要な製品の生産数やサービス提供状況が維持できず、価格が高騰する可能性もあります。

労働人口の減少、人材不足は企業活動のみならず、日常生活にも大きな影響を及ぼすことになると考えられるのです。

5つの業種における人材不足

ここからは、それぞれの業種における人材不足の状況に注目していきましょう。日本で人材不足の影響を大きく受けている代表的な業種5つ「建設・建築・土木業」「運輸・流通業」「医療・介護福祉業」「飲食・サービス業」「製造業」を取り上げます。これらの業種における人材不足の状況とその原因はどこにあるのでしょうか。

建設・建築・土木業

現状:
労働力調査(基本集計)2020年11月分析結果」(総務省統計局)において建設業の就業者数の推移を見ると、2000年頃から前年同期比で減少トレンドにあることが分かります。 また、「建設産業をめぐる現状と課題」(国土交通省)のデータによると、建設業の就労者構成は55歳以上の占める割合が高くなる一方で、29歳以下が占める割合は低くなり続けており、年々、高齢化が進んでいることを示しています。

さらに「一般職業紹介状況(令和2年11月分)」(厚生労働省)の中の「職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))」を確認すると、建設業関連の専門的・技術的職業における有効求人倍率は5.32倍、土木の職業では6.07倍を示し、全体を示す職種計が1.00倍であるのに比べるとかなり高い数値です。それだけ人材不足である状況が続いていることがうかがえます。

原因:
こうした傾向に拍車をかけたとされるのが、リーマンショック以降の職人離れの激化です。リーマンショックをきっかけとして金融危機が世界中を襲ったなか、日本でも建設需要の落ち込みが起こりました。その結果、建設業の従業員の仕事が減り、転職、退職を余儀なくされた人が増えました。社会経済が金融危機から回復し、建設需要も持ち直した後も、転職や退職をした建設業の従業員の復職や、新たな求職者がなかなか増えない状態が続いたと考えられます。

その背景には、厳しい労働環境があります。建設・建築・土木業の仕事は、決められた納期に間に合わせるために長時間の作業が必要になる場合があります。また、大型機器類を扱うことが多い他、高所作業や危険な場所での作業など、精神的にも肉体的にも負担が大きいことが想像できます。さらに、納期遅れを防ぐために休暇日数が確保されにくいこともあるでしょう。こうした労働環境が求職者の増えない原因と言えます。

運輸・流通業

現状:
「労働経済動向調査(2020年11月)の概況」(厚生労働省)に示された労働者過不足判断D.I.(労働者数について、調査日現在の状況で「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値)を確認すると、正社員等労働者の過不足状況において、調査産業計はD.I.値が25であるのに対して、運輸業、郵便業では37ポイントを示し、人材不足感が高いと評価されています。さらにパートタイム労働者の過不足判断D.I.を確認すると、調査産業計で16ポイントであるのに対して、運輸・郵便業では20ポイントとこちらも人材不足感が高くなっています。

また、「一般職業紹介状況(令和2年11月分)」(厚生労働省)では、運輸・郵便事務の職業が1.85、自動車運転の職業が2.12と、求人倍率が高いことが確認できます。

原因:
社会の動きから運輸・流通業の様子を探ってみると、インターネットを活用した販売チャネルの増加・拡大によって、物流需要が増加していることが推測できます。中でも個人向け配達量の急激な増加が考えられます。個人を対象とした配送のため、宅配先の不在による再配達の回数も増加していると言えるでしょう。つまり、配達効率の悪い作業が急激に増えているというわけです。ただし、2020年4月に国土交通省が行った調査によると宅配の再配達率は大幅に低下しています。これは現状で考えると新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、外出自粛要請が出ているほか、職場においてもテレワークを推奨されているため、消費者の在宅時間が増加し、1回での宅配物受取が増えてことによるものと考えられます。とはいえ、販売チャネルの増加・拡大によって物流需要が拡大するにともない、宅配を担う人の長時間労働を生み出す可能性は高くなると考えられます。

さらに運輸・流通業で物流を担うためには、大型一種免許や特殊車両免許などの資格が必要になるケースが多く、これが求職者にとって障壁となっていることも考えられます。

医療・介護福祉業

現状:
平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(厚生労働省)によると、2018年12月31日時点で、全国の届出医師数は32万7,210人で、平均年齢は1986年の40歳から毎年上昇を続け2018年には44.8歳と高齢化が進んでいます。人口10万人に対する医師数では、徳島県、京都府で300人以上の医師が確保できているのに対して、埼玉県では170人弱、茨城県では190人弱という地域差が確認されています。

地域による医療体制の格差については、「令和元年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果」(厚生労働省)によると無医地区は全国で601地区(2019年時点)。北海道が最も多く76地区、続いて広島県の59地区、大分県39地区でした。

一方、「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(厚生労働省)のデータから看護関係の職種従事者の現状を見ると、2018年末時点で、就業している保健師は5.3万人ほど、助産師は3.7万人ほど、看護師は121.8万人ほどで、いずれも2016年度との調査比では増加しています。雇用形態を確認しても正規雇用が多く、安定しているように見受けられます。

地域による医療格差はあるものの、医師数、看護関係職種従事者数を見ると、日本全国では人数が減っていないため、人材不足に直面しているという危機感がわきにくいのですが、従事する人数の増加だけでは現状は把握できません。人材不足となっているかどうかは、需要と供給がどのようなバランスになっているかという視点が重要です。高齢化社会が進むに伴って、医療や介護福祉を必要とする人は確実に増えています。そうした状況は、前述の「一般職業紹介状況(令和2年11月分)について」(厚生労働省)を見ても分かります。医師の有効求人倍率は1.99倍、看護師免許が必要な職種として保健師、助産師等が1.98倍と、必要とされている医師、看護関係職種従事者に対して、ほぼ半数の人材しか求職していないことを示しています。このことが、慢性的な人材不足を招いていると考えられます。

では、福祉・介護関係ではどのような状況でしょうか。「福祉・介護人材確保対策について(2019年9月18日)」(厚生労働省社会・援護局)を見ると、介護関係職種の有効求人倍率は、2018年で3.9倍を示しています。この数値は全職業の1.45倍に比べると高い水準にあります。また、同資料に示された「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」を確認すると、団塊の世代と呼ばれる人たちが75歳以上となる2025年度末には、およそ245万人の介護関係職種に就く人材が必要とされると推計されています。さらに、離職率をみると、2017年度の離職率は介護職員が16.2%、他の産業計では14.9%であり、離職率でもやや高い数値を示しています。

原因:
高齢化社会において、医療や介護福祉を必要とする人が増えていることが人材不足のひとつの原因です。 その原因は、責任が重く一人が担う業務が多い、長時間労働になりやすいという就労環境の過酷さにあると考えられます。そのため、心身ともに負担を感じることで、離職率が高くなっていると考えられるでしょう。さらに看護職については、潜在看護師の多さも人材不足を招いています。例えば結婚や出産をきっかけに看護師の職から一旦離れた人が復職をしていないケースが少なくないのです。復職・再就職しない理由は、労働条件への不満や長時間労働になりやすく家庭生活との両立が難しいことなどが挙げられます。

飲食・サービス業

現状:
2020年2月以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、政府による緊急事態宣言発令がなされました。そして外出自粛や飲食店への時短営業等が要請されました。この措置のため、飲食・サービス業における人材不足は緩和したとする結果がでています。帝国データバンクが公表している「人手不足に対する企業の動向調査(2020年10月)」によると、正社員が不足している割合は飲食店では25.5%、旅館・ホテルでは40.5%でした。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けていない2020年1月のデータを見ると飲食店で正社員が不足していると回答した割合は56.4%、旅館・ホテルにおいては61.5%を示しています。

原因:
2020年2月以降の新型コロナウイルス感染症が拡大したことによる動向は特別な状況であると言えますが、上記に示したデータから考えると、飲食・サービス業においては、人材不足が慢性的にあると言えるでしょう。その原因のひとつとして考えられるのが顧客満足度を高めるための営業時間の延長です。競合相手の多い飲食・サービス業では、深夜営業や休日営業など、他社に比べてより長くサービスを提供するための工夫として、営業時間を延長する傾向にありました。また、接客の他にも事務処理、商品管理などの作業が多く、過重労働になりやすい環境であったとも言えます。こうしたサービスの利便性拡大や作業量の多さが、従業員の長時間労働、休暇の取得しにくさに結びつき、離職者の増加につながっていました。

また、求職者の数が増えない要因としては、給与水準の低さが挙げられるでしょう。「平成29年賃金構造基本統計調査の概況」(厚生労働省)によると飲食・サービス業における平均賃金は年間271.4千円で最も低いという結果が出ています。

アフターコロナでも、これら原因によって人材不足になる可能性は高いと考えられます。

製造業

現状:
製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について」(平成30年 経済産業省製造産業局)を見ると、2017年に行った調査結果として94%以上の大企業・中小企業での人材不足がすでに顕在化しており、29.4%の大企業および32.2%の抽象企業ではビジネスにも影響が出ていると回答しました。

人材不足の中でも特に技能職が不足しているという調査結果も出ており、技能職の確保は中小企業ほど難しい状況にあります。そのため社内のシニアやベテラン人材の継続確保、ベテラン人材の採用強化を進めると同時に、デジタル化による改善への期待が高まっています。

原因:
少子高齢化によって労働人口が減少するなか、労働環境が厳しい製造業への求職者が伸びないということがひとつの原因に挙げられます。また、製造業では、匠の技といわれるような高い技術力を身につけるまでには、長い年月と経験が必要とされており、懇切丁寧に教えるという風土がなく、技術は見て覚えるとことが慣習になっており、若い層の技術者が育ちにくい状況であったことも、定着率を下げる原因になっていたと言えるでしょう。

さらに、製造現場には機械の操作、危険な場所での作業があり、高齢者や女性の進出が難しい職種であることも挙げられます。

それに加え、材料の発注、製品の配送といった作業が自動化されていることが少なく、作業効率が悪いことも、人材不足を招いていると考えられます。

5業種の人材不足の影響

人材不足に陥っている業種において、どのような影響が出ているのかを確認しておきましょう。

建設・建築・土木業

労働人口が減少するなか、長期的な人材不足で悩まされている建設・建築・土木業では、生産性の低下が懸念されます。さまざまな職種が関わる建設・建築・土木業は、ひとつの職種で人手が足りなくなると、現場の作業がスケジュールどおりに進まなくなります。慢性的に人材不足となっているので、一人の職人がいくつもの現場を掛け持ちしているケースも多く、作業工程の遅れは連鎖的にほかの現場へも広がることになります。

また、若者層の求職者が少ないことも大きな影響を与えています。製造業と同様に、長年の経験によって技術力を高めていくのが常とされてきた業界では、技術の継承ができなくなりつつあるのです。例えば、有能な左官職人が育ってきていないのはそのせいだと言われています。こうした状況が続けば、生産性の低下を招き、働く環境がさらに悪化することが懸念されます。

運輸・流通業

運輸・流通業における人材不足は、ニューノーマル時代になって加速していると考えられます。前述の原因で確認したように、販売チャネルが増加したことや個人利用が増えたことで物流需要が増えています。そのため対応が追いつかず、荷物の遅延が起こる可能性が出てきているのです。それを防ぐために、輸送の際に積載率が低くても配送を行うことになり、さらに人手が必要となるといったように、非効率な業務状態を生み出しています。

また、若い層の就労者が確保できないことにより、輸送を担当するドライバーが高齢化してきています。このまま若い層のドライバーが確保できない状況が続くと、輸送手段となるトラックはあるのに、ドライバーが足りなくなります。

こうした状況が改善されないことで、輸送運賃の値上げや輸送期間の長期化につながる可能性があります。

医療・介護福祉業

医療・介護福祉業における人材不足は、就労している医療従事者、介護福祉従事者の負担をますます増加させています。こうした状況が続くことによって、医療を必要とする人、あるいは介護を必要とする人が医療を受けられない、介護施設に入所できないなどの可能性が高まっています。

例えば、医師不足、看護師不足に伴い、救急科、呼吸器外科といった特定診療科の医師や看護師が不在となり、それらの診療ができなくなる病院・施設が出てきています。

医療体制の格差や専門医療格差については、前述の現状でも確認したように、都市部と地方・僻地(へきち)とで大きな違いが存在します。例えば、医師や看護師といった医療従事者にとって都心の大学病院であれば医療体制も充実しており、専門的なスキルを身につけられる可能性も高くなるため、人材確保が比較的しやすいと言えますが、地方や僻地の医療施設にはそうした要素が少なく、 医師や看護師の確保や定着が難しくなっています。

介護福祉の提供状況も同様に地方と都心部では大きな差があります。地方は高齢化・過疎化が深刻な問題となっています。若い層が地方から都心部へと生活の場を変える一方で、地方は高齢者が占める割合が高くなっています。つまり要介護者は多いのに介護者が不足している状況が都心部以上に進んでいるのです。

飲食・サービス業

「令和元年版 労働経済の分析 人手不足の下での『働き方』をめぐる課題について」(厚生労働省)の「人手不足が企業経営や職場環境に与える影響について」を見ると、人材不足が企業経営や職場環境に影響を及ぼしている企業は全体の72.4%であり、飲食・サービス業ではこの状況は特に高まると示唆されています。また、現状でもその影響は、残業時間の増加、休暇取得数の減少のほか、働きがいや意欲の低下、さらなる離職者の増加として表れています。

こうした状況は、安定した経営の継続を難しくすることにつながります。離職率が高く、次々に人が入れ替わるため、ノウハウの蓄積もできにくくなります。さらに、人材不足によって、顧客への対応が十分に行えません。そうなると顧客が離れていく可能性が高まり、さらなる経営悪化を招くことも起こり得ます。

製造業

世界に誇る技術を維持してきた日本の製造業ですが、技術者が高齢化しているなか、若い層の人材が確保できないことによる、技術継承問題が表面化しています。

また、人材不足によって生産効率が悪くなり、納期の遅延、製品の精度の低下といったことも発生する可能性が出てきます。それを補うために長時間労働をせざるを得ない、安全性の確保が十分でない状態での作業を行うなど、さらなる労働環境の悪化を招く可能性もあります。

人材不足の解決策

5つの業種ではそれぞれ、いずれも人材確保が難しい状況があり、慢性的な人材不足が大きな課題となっています。では、それぞれの業種で人材不足を解消するためには、どのような取り組みが必要なのかを考えてみましょう。

建設・建築・土木業

建設・建築・土木業における解決策は働き方改革の推進です。例えば、前項で確認した過酷な就労環境を解消するために、作業量の削減や長時間労働の是正をしたり、誰もが働きやすい環境を構築することなどが考えられます。

具体的には、ICT活用を進め、可能な限り作業の自動化や省人化を検討することが重要でしょう。例えば、施工状況の報告・記録・共有といった作業を自動化したり、作業メンバーとの連絡や打ち合わせにコミュニケーションツールを活用して、いつでも、どこにいてもお互いのタスクなどを確認できるようにしたりなど、日常業務で発生する作業の効率化を図ります。

また、建設関連の職種には長年の経験と勘によって培われる技術があります。そうした技術をデータ化し、従業員に職業訓練・教育できる体制の整備も検討するべきでしょう。

さらに、IoT技術を活用した機器やロボットの遠隔操作による作業やドローンによる測量など、運用管理の一元化などで省人化・自動化につなげる効率的で安全な労働環境の構築も進める必要があります。

これらにより誰もが働ける業種へとシフトしていけるのではないでしょうか。

運輸・流通業

運輸・流通業の慢性的な人材不足を解消するために、2016年に「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」が施行されました。国土交通省によると、これは物流分野における労働力不足、多頻度小口輸送の進展等を背景として、物流分野における省力化及び環境負荷低減を推進するため、「2以上の者の連携」による幅広い物流効率化の取り組みを支援するための法律であり、流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)の一体的な実施や、「輸送網の集約」「モーダルシフト」「輸配送の共同化」などを含めた輸送の合理化、流通業務の効率化を図る事業計画の認定や支援措置を行うとしています。

こうした支援を活用するためにも、業界全体のデジタル化の促進が必要です。例えば、共同で配送業務を行うために、あらゆる荷物を集約できる輸送連携型の倉庫を設けることも必要です。その倉庫で輸送ルートや積載量、冷凍・冷蔵といった輸送方法などさまざまな条件で荷さばきや流通加工を行い、複数の運輸・流通会社で効率よく輸送できるように運用・管理をしなくてはなりません。また、「モーダルシフト」とはトラックによる輸送を船、鉄道などの輸送機関に転換することですが、荷物の種類や配達期日などの管理を自動化できるシステムを活用することも重要になるでしょう。

さらに、配送ルートの最適化と、配送にかかる時間やコストの削減を図ることは、データ分析のようなAIを活用した管理システムの導入によって実現できると考えられます。

医療・介護福祉業

超高齢化社会を迎える日本では、認知症など要介護の高齢者は増加し、医療、介護福祉の需要はますます高くなると予想されます。しかし、医療従事者、介護福祉関連の職種従事者は、需要に追いつくほど増えてはいません。また、地域格差も解消しなければならない課題です。

こうしたいくつもの課題を解決する鍵は、DXの推進と医療・介護福祉における連携体制の構築です。

各医療施設や介護福祉施設が情報ネットワークを作ることや、各施設においてICT環境構築による業務の効率化を図ることもそのひとつです。ネットワークが構築され、ICT環境が充実すれば、5G技術を活用したオンライン診療を実現して、遠隔地からの医療提供をすることが可能です。オンライン診療が可能になれば、専門医がいない地域の高齢者にも必要な医療を提供しやすくなります。また、遠隔放射線画像診断のようなものを活用すれば、病理医が在籍していない施設でも病理判断を遠隔で行うことが可能となり、充実した診療を提供できるようになるでしょう。また医療、介護、予防、生活支援といったサービスを一体的に提供できるような地域包括ケアシステムを構築することも必要です。自治体が中心となって、ITCインフラの整備・利活用を行うことで、緊急通報システムも含めた一体型のケアシステムを構築すれば、連携する医療施設や介護福祉施設が情報共有をし、対応することが可能になります。

飲食・サービス業

飲食・サービス業では接客を必要とする業務がありますが、タッチパネルを活用した注文システムやキャッシュレス決済によって、ある程度接客業務を自動化することが可能です。さらにPOSレジやIoT技術の活用などを利用して売り上げの把握や商品管理、在庫管理、顧客情報のデータ化を進めることで、業務の効率化を図ることができるばかりでなく、在庫や仕入れ食材を最適化することによるコスト削減や新たな営業戦略や顧客育成(ナーチャリング)にもつなげることができます。

ビッグデータを活用して、顧客のニーズや消費行動の変化にいち早く対応できる環境を構築することで、人手不足の解消はもちろんのこと、ビジネスチャンスの拡大も見込めます。

製造業

長時間労働、単純作業や重労働といった労働環境が原因で人材確保が難しい状況を解決するには、IoTやロボットなどの導入によって、業務の効率化、自動化を図り、生産性を向上させるとともに、働き方改革を推進することです。また、建設業同様に技能の継承が難しくなっている現状を打破するにも、AIを活用して技術の見える化、平準化を行い、多くの従業員がスキルを習得しやすいマニュアルや研修カリキュラムを作成する必要があります。さらには、技能をデータ化しロボットなどの生産設備につなげ自動化することで、人的コストを削減しながら高精度の商品を短納期で加工することも可能になります。

5GやIoTなど最新のデジタル技術を活用して可能な限り自動化を図れば、採用できる人材の幅も広がるでしょう。また、ネットワークを構築して取引先との連絡、資材の発注、輸送手配などが一元管理できるようになれば、紙で印刷して書類を郵送するといった非効率な作業が省略でき、人的コストも削減できるようになります。

このように人材不足や働き方改革への対応の遅れが、デジタル技術の活用、DXの導入促進によって解消されると考えられます。

課題解決と持続可能なビジネスモデルへシフトするためのデジタル化

少子高齢化が進むなか、多くの企業にとって人材不足は大きな課題です。そして、業種によって人材不足を招いた原因は異なるため、人材不足によってもたらされる影響もそれぞれの業種ごとに異なります。そのため、人材不足の解決策として別の業種と同じ手法を導入しても、期待したほどの効果が実感できないことにもなりかねません。そこで大切なのが、自社の抱える人材不足の根本的な原因を探っておくことです。そしてそれぞれの原因を取り除き、課題解決ができるようにデジタル化に取り組むことが重要です。

デジタル化を進めることで、人材不足の解消、業務効率の向上、生産性の向上、新たなビジネスモデルの創出などが期待できます。一方で、デジタル化を進めるにはデジタル化に対応できる人材の確保や、デジタル化への投資が必要になります。自社内で専門スタッフを用意することでノウハウの蓄積にもなりますが、人材不足の現状を考えるとかなり難しいとも言えます。

そこで、デジタル化を進めるなら企業のDX推進を支援しているソフトバンクに相談することも有効な手段です。自社で考える範囲の課題や潜んでいるリスクを把握したつもりでも、実行に移した途端、想定外のリスクが発生することも考えられます。リスクを回避するためにも、経験と知識のあるソフトバンクのような専門企業との連携もひとつの手段だと言えるでしょう。

人材不足や新しいビジネスモデル創出のためにデジタル化を考えはじめたら、相談できる専門企業探しも同時にはじめましょう。

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