AI分析の導入事例~属人的な運用から脱却した方法~

AI分析の導入事例 (2021年10月4日公開)

「AI」や「DX」のように、デジタルに関するワードがビジネスシーンでトレンドになっています。しかし、総務省の令和3年版「情報通信白書」の業務におけるデジタル技術の活用状況によると、クラウドやデータ分析と比べてAIは多くの企業が活用できていません。
今回のブログでは、ソフトバンクがAIプラットフォーム「DataRobot」を導入した際に直面した2つの課題を例に、AI分析の課題解決プロセスと、改善された業務について紹介します。

目次

データとAIの活用に関する課題

ソフトバンクでは、業務を行う上での予測や分析、分類、判別などにさまざまなデータを活用しています。しかし、膨大なデータの活用と、それを解決するために導入したAIの活用においてそれぞれ課題がありました。

データ活用の課題:属人化され、低い精度のままの運用

AI導入前のデータ分析業務は、担当者のノウハウやスキルに依存、つまり属人化されていました。担当者が異動や退職でいなくなった場合、分析方法がブラックボックス化する可能性が高く、運用が安定しません。
また、100種類ものデータを組み合わせての予測や、数千、数万の膨大なデータ処理を人が行うことは現実的ではありませんし、精度を上げようとしても限界があります。
そこで、安定的で高精度なデータ活用のため、ソフトバンクではAIの導入を決めました。

AI活用の課題:人員不足とスピード感

導入したAIを最大限に活用するための課題は以下となります。

1.データサイエンティスト不足

AIを活用して各案件の予測モデルを作成するためには専門的な知識が必要だったため、事業部門では対応できず、技術部門に所属するデータサイエンティストが担当していました。
しかしソフトバンクでは多くの案件が並行して進行しているため、所属するデータサイエンティストが足りず、全ての案件に対応できませんでした。

2.スピード感

予測モデルの作成者が技術部門に所属していると、データの取得方法や具体的な用途を担当部署に確認しながら進めなくてはいけないため、1つの予測モデル作成に時間がかかっていました。
誰でも高精度なデータ分析がクイックにできるようになるために、データサイエンティストではなく事業部門の担当者がAIによる予測モデル作成スキルを身につける必要がありました。

2つの取り組みでAI活用スキルを習得

事業部門の担当者がスキルを習得するために、ソフトバンクは2つの取り組みを実施しました。

推進チームの新設

事業部とデータサイエンティストをつなぐ推進チームを新設しました。チームのメンバーは、各事業部の業務に関する知識を持ち、データサイエンティストと協力して各事業部に最適なサポートを実施します。

AI活用において失敗するポイントとして、よく挙げられるのが誤った課題設定です。
業務課題とAIの活用設計がズレているため予測モデルを作成しても活用場面がない、ゴールが決まっていないため精度を求めすぎてしまって運用に進めないといった事態が起こる可能性があります。 業務知識を持っている推進チームがサポートを行い、事業部が課題設定を正しくできるように体制面から整えました。

ワークショップの開催

推進チームからのサポートのほか、事業部門の担当者がAIに関する知識を学ぶ必要もあります。ソフトバンクでは、AIに関する基礎知識の研修を行い、課題創出のためのワークショップを開催しました。
知識と経験の両面から事業部にノウハウを蓄積させ、課題設定から結果分析まで、全てを事業部のみでできる姿を目指しています。

AI分析を導入した業務

そうした取り組みを経て、ソフトバンクでは次のような業務でAIの活用が成果を出し始めました。

①DM送付によるターゲティング

ソフトバンクでは、ダイレクトメール(以下DM)を送付してサービス加入を促進させる施策を実施しています。
従来の手作業では、サービスごとに予測モデルを作成する必要があり、かつ複雑な組み合わせによる精緻なターゲティングが検討できず担当者の勘と経験に頼っていたため、Conversion Rate(以下CVR)向上が難しい体制でした。
属性や地域、店舗、契約情報など顧客に関する基礎データをAIに学習させ、効果が高いと予測できる顧客のみをターゲティングしてDMを送付。約1~3ヵ月運用を続けるとCVRが約5倍向上しました。

②コールセンターの入電予測

顧客からの問い合わせを受け付けるコールセンターの入電数の予測にも「DataRobot」を導入。こちらも従来は担当者の勘と経験で入電数を予測していましたが、精度が低く、予測モデルの作成にも工数がかかっていました。
しかし、過去入電数の実績や平均、合計など、約3ヵ月分の派生特徴量を「DataRobot」に追加することで、約95%の精度を実現しました。

ソフトバンクは独自の分析パッケージをご提供

ソフトバンクでは、自社での取り組みを通じて培った「DataRobot」による分析ノウハウをパッケージ化してご提供いたします。これにより「ターゲティング」や「需要予測」、「マーケティング効果測定」といった貴社のデータを生かしたAIのビジネス利活用が可能になります。
詳細はサービスページでご確認ください。

また、今回のブログで紹介したターゲティングや需要予測以外にも、AIはさまざまな業務に対して変革をもたらします。
具体的な活用方法やその課題は、ダウンロード資料でご確認ください。

(文:岡田)