IoTプラットフォームから生まれる新たなユースケース

SoftBank IoT Developer Conference 2018 講演レポート 後編

IoTプラットフォームから生まれる新たなユースケース
  • デジマとIoTのデータ融合がもたらすデジタルシフト
  • NB-IoTの仕組み —— 脱インターネット NIDDとは
  • スマートロジスティクスを超えて

2018年11月7日、コンラッド東京(東京・新橋)で開催されたソフトバンク主催「IoT Developer Conference 2018」。ソフトバンクのテクノロジーやサービスを紹介した前編・基調講演レポートに続き、後編では「午後の部」のセッションの模様を採録。展示ブースの内容とともにお伝えしたい。

基調講演と各講演の講演資料を公開しています。ご入力いただいた情報をもとに、資料ダウンロード用のURLをメールにてお送りします。

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デジマとIoTのデータ融合がもたらすデジタルシフト

太田 一樹 氏

Arm IoTサービスグループ テクノロジー担当
バイスプレジデント

「2016年にソフトバンクグループが買収したことでも知られるArm(アーム)はスマートフォンやタブレット端末などに搭載されるCPUを設計する企業です。その市場シェアは、モバイル分野において95%と言われています。Armによる買収とともにソフトバンクグループ傘下に入った我々Treasure Dataは、データマネジメントのプラットフォームを提供しており、このたびArmの一員になったことにより『Arm Pelion IoT Platform』(通称・ペリオン)の国内提供を開始することを発表しました。

ペリオンにはエンタープライズ企業向けに開発されたTreasure DataのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)が実装されています。Treasure DataのCDPはすでに多くの民間企業が自社の課題解決のために導入しており、たとえば自動車メーカー・SUBARUはTreasure DataのCDPによりカスタマージャーニーの理解促進に努めています。

2035年までにネットワークで接続されるデバイス総数は1兆個にも拡大すると言われており、このほとんどがArmチップを搭載していると予測しています。それを背景に我々は総合IoTプラットフォームとしてペリオンの提供に踏み出しました。徐々にIoTそのものの社会的認知が進むなか、IoTが持つ社会的な影響力はますます大きくなっていくでしょう。ご紹介させていただいたようなパートナーシップにご興味がある方は、ぜひともTreasure Dataの活用をご検討ください」

NB-IoTの仕組み —— 脱インターネット NIDDとは

平井 亮次

ソフトバンク株式会社
先端技術開発本部 先端技術戦略部

渡邉 智

ソフトバンク株式会社
コア&トランスポート技術本部
コアネットワーク統括部 担当部長

「本日の弊社・宮川潤一からの講演にもあったように、ソフトバンクは日本初となるNB-IoT(Narrow Band-IoT)の商用サービスを開始しました。NB-IoT導入により、デバイスコストの大幅低減、電池の長寿命化、カバレッジ広域化、大量デバイスの効率的な収容等を適切に行えるようになります。少量データの送受信をターゲットに、デバイス簡素化を重視した仕様とすることがNB-IoTのめざすところです。

NB-IoTをより効率よく提供する通信方法が、NIDD(Non-IP Data Delivery)です。その名前の通り、NIDDではデバイスにIPアドレスを割り当てません。デバイスの通信先を1ヵ所に限定することにより、データ量と手順を大幅に削減。NB-IoTの特性を最大限に活用しながら、デバイスとアプリケーションサーバーの通信を可能とします。Non-IP SCEF Based Data Delivery方式では、デバイスとの通信のため、デバイス個々にメールアドレスの形式(NAI)の識別子(External-ID)を割り当て、ネットワーク側にあらかじめ設定します。アプリケーションサーバーは、中継装置であるSCEFが提供するRESTful APIを用い、External-IDでデバイスを指定してデータの送受信を行うことができます。

IP Data Deliveryやスマートフォンのような『1対多』の通信ではなく、NIDDのように『1対1』の通信であればIPプロトコルは不要で、用途を限定すれば構造はとてもシンプルです。NB-IoTでは、IP Data Deliveryとともに、ITとの親和性が高くLPWA(Low Power Wide Area)に最適化したNIDDのサービスを、これからも提供していきたいと考えています」

スマートロジスティクスを超えて

園田 崇 氏

株式会社ウフル
代表取締役社長 CEO

「ウフルは2006年に設立したIoTによるサービス、ソリューション等を提供する企業です。ソフトバンクとは2018年6月にIoT事業分野で資本・業務提携を結んでいます。

当社が開発した製品・ソリューションの1つに『enebular(エネブラー)』があります。デジタルトランスフォーメーションを加速させるIoTオーケストレーションサービスで、2018年1月よりエンタープライズ・プランの提供を開始しました。世の中にはありとあらゆるプラットフォームや製品が存在しますが、そこに付帯するテクノロジーをいかに調和させていくかが社会的にも大きな課題です。そこで我々が出した答えが『IoTオーケストレーション』でした。すなわち、ウルフはIoTプラットフォームを目指しているわけではありません。すでに素晴らしいIoTプラットフォームはたくさん存在するので、AIやアプリケーション、クラウド、ゲートウェイ、エッジ等を最適なかたちで分散協調させる役割を担っていきたいと考えております。

ここからは当社とのパートナーシップの一例として、日立物流の事例をご紹介いただきます」

藤谷 寛幹 氏

株式会社日立物流
執行役常務 営業統括本部長

「日立物流は、2018年10月にウフルとの業務提携契約を締結しました。目的はAI、IoT等のテクノロジー活用による物流領域の強化と、既存事業や業界の垣根を超えたイノベーションの実現です。新たなビジネスコンセプト『LIGISTEED』(LOGISTICS+Exceed、Proceed、Succeed&Speed)のもと、当社のコア事業である3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)のさらなる強化を図るとともに、スマートロジスティクスを超えた新たな領域を目指していきます。

スマートロジスティクスを超えた世界とはどのようなものか。その一例をご紹介しましょう。たとえば今夏は記録的な猛暑となりました。すると飲料品が飛ぶように売れ、想定をはるかに超えた物量が動いたため、物流センターのスペースや作業員、輸送・配送を担うドライバーが逼迫する状況となりました。こうした予期しないイレギュラーな波を平準化するソリューションが物流業界ではかねてより求められています。

あらゆるものの自動化・可視化ツール、物流センター管理システム、そしてスマートロジスティクスコンフィギュレータ等で構成されるスマートロジスティクスを超え、LOGISTEEDがめざす姿は『Global Supply Chain Solutions Provider』——。旧来型の狭義の意味でのロジスティクスに留まることなく、領域を超えてサプライチェーン全般の課題を解決したいと考えています」

SoftBank IoT Developer Conference 2018展示会場

SoftBank IoT Developer Conference 2018の展示会場では、新たに世に打ち出したソリューションの数々が展示された。そのいくつかをここでも紹介しよう。

●ドローンによる社会インフラ保全サービス

ソフトバンクが2019年春から提供開始。本サービスではまず、人が容易に立ち入れない基地局などをドローンで空撮。画像から距離誤差わずか数ミリ程度の高精度3Dモデルを生成する。高精度3Dモデルから対象物を計測することで基地局等の歪みや傾きなどを確認できる。パソコン上から対象物の状態を視覚的に確認するが可能。今後、異常検知や予防保全などの先進的メンテナンスサービスの提供をめざすという。

●リアルタイムデータ可視化ツール 「Alibaba Cloud DataV」

企業に集約された大量のデータをリアルタイムで可視化する「高機能データ可視化ツール」。ビッグデータをAlibaba Cloud上に投入すれば、DataVで作成したライブダッシュボード上で、豊富なテンプレートやグラフパターン、さらには地図と融合した視覚化機能等で可視化表示させられる。駐車場モニタリング、生産工程の管理や交通状況の分析を行う企業等のユースケースがあるが、一般企業における広報活動、展示会などでも活躍しそうだ。

●準天頂衛星対応トラッキングサービス

2018年11月、準天頂衛星システム「みちびき」による衛星測位サービスが正式に稼働開始。ソフトバンクは「みちびき」の他、GPS(米)・GLONASS(露)・屋内測位技術のIMESの複数の信号に対応した、商用受信端末 マルチGNSS(Global Navigation Satellite System)端末を開発しリリース。位置測位精度を高めるため、「みちびき」の測位衛星軌道は天頂に位置し、測位精度を向上させる補強信号(L1S補強信号-準天頂衛星サブメーター級サービス)が送信されている。 また、ソフトバンクの「準天頂衛星対応トラッキングサービス」では、みちびきの衛星軌道情報と「L1S補強信号」を処理し、サブメーター級の測位を可能とし、屋外において誤差精度期待値約±3mの位置管理を実現する。

※ソフトバンクの実測ベースでは、誤差範囲期待値1.0~1.8mを記録

■後記

あらゆるモノとモノがIoTによってつながる時代。デバイス、デバイス同士をつなげるブロードバンド、それらを束ねるプラットフォームと、さまざまなプレイヤーが連携することでIoTによる社会変革は実現する。今後もソフトバンクはさまざまな企業との共創により、IoTによるイノベーション創出を行っていく。