“いつも安全につながる”家電が暮らしを豊かにする|パナソニック×ソフトバンク 最強タッグで叶えるIoT家電

“いつも安全につながる”家電が暮らしを豊かにする

(2019年5月10日掲載)

「2035年までに1兆個のIoTチップが供給される」世界が近づいている。これは、あらゆるモノがインターネットにつながることで、過去にない価値を生み出すことを意味する。現在のIoTはBtoBが主流だが、今後BtoCやGtoCへとその潮流が広がることは間違いない。

その代表格のひとつが「IoT家電」だ。日本の家電を変革し続け、人々の生活を快適、便利に進化させてきたパナソニックは今、IoT家電に力を入れる。ソフトバンクとパナソニックは、常時接続するIoT家電の実証実験を通じ、新しい価値の創造に挑んでいる。

家電がネットにつながることで、我々の暮らしはどう変わるのか。また、そのために必要な通信技術はどんな進化を遂げているのか。パナソニック アプライアンス社の小塚雅之氏とソフトバンクの丹波廣寅氏が、すぐそこに迫りくる未来を語り合う。

■本記事はNewsPicks Brand Designの制作のもと、2019年3月29日にNewsPicks上に掲載されたものです。

消費者が本当に求めているIoT家電とは

家電の新潮流として、ネットにつながる家電、いわゆる「IoT家電」が話題です。しかし、以前からネットにつながる家電はありました。なぜ今、改めてIoT家電の可能性が注目されているのでしょうか。

小塚:

我々、パナソニックは2000年代から「スマート家電」というかたちで、時代に先駆けてネットにつながる家電を販売してきました。

例えば、初期のインターネットテレビはその名の通り、インターネットにつながりWebサーフィンができるテレビでした。しかし、お客さまの手元にはパソコンやスマホがあるのに、わざわざテレビをインターネット接続する顧客メリットはあるのかと疑問のところもありました。つまり、パソコンではなく、テレビでインターネットを使う方が快適であるという用途提案ができていなかった。これらは、インターネット技術ありきの商品だったかもしれません。

小塚雅之 パナソニック アプライアンス社 技術本部 デジタルトランスフォーメーション戦略室 室長
1984年松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社。本社技術部門配属、以来、DVD、SDカード、Blu-ray、3D、HDR等の研究開発、国際標準化と事業化を推進。関連技術の米国特許(200件超)が登録済み。2018年4月から現職。主な表彰歴:近畿発明表彰:文部科学大臣賞、発明協会会長奨励賞。全国発明表彰:発明賞(2件)、中国3D産業影響力人物賞、市村産業賞、中尾記念賞。
 

現在はNetflixなどのインターネット動画配信サービスが普及しており、これを小さな画面のスマホやパソコンで見るより、大画面のテレビで視聴したいというお客さまの要望が明確です。「テレビがネットにつながることで、より便利に多種多様な映像サービスを利用できる」ように開発がされています。

つまり、技術ありきではなく、お客さまの要望やサービス主体の開発へ軸足を移してきたのです。IoT家電でも、技術主導ではなく、ユーザー・サービス主体の製品を提供していきたいと考えています。

通信を自由に選べる環境が整った

丹波:

お客さまの生活を本当に便利にするものを届けるというのは、すごく重要な考え方ですよね。加えて、IoT家電はネットワークにつながっている必要があるわけですが、そのネットワーク回線の選択肢が広がりつつあることも注目されている背景のひとつです。

丹波廣寅 ソフトバンク IoT事業推進本部 本部長
日本デジタルイクイップメント(現HPE)、Openwave、Aicentを経て、2004年Vodafone(現ソフトバンク)に入社。コンシューマー・法人関連向け企画、プログラムマネジメント部門などを担当後、移動機の戦略・企画・開発・検証・品質管理・技術的検討を行う部門の本部長を担当。現在はIoT事業推進本部の本部長を担当し、新規ビジネス・顧客の獲得や、新しい技術の獲得・実現、先端のビジネスモデルを実現する新規パートナーの発掘などを行っている。
 

ネットワーク回線には、「通信がつながる頻度」「通信速度」「通信できるデータ量」という3つの要素があります。コストもこの3つの要素がベースとなって決まってきますが、3G回線やLTE(4G)回線では、この3要素がすべて固定されていました。

例えば、高画質の動画を視聴する際には、常につながり高速で大容量のデータをやりとりするネットワークが必要です。

しかし、センサーを搭載したIoT機器を使ってトイレの開閉状況を伝えるようなシステムの場合、開閉のときだけ、ごく小さなデータをゆっくり通信できればいい。こういった通信に、LTEは必要ありません。

そんなIoT機器と相性がいい通信が「LPWA(ローパワーワイドエリアネットワーク)」です。通信速度は遅いけれど、通信距離が長く、また、通信コストやモジュールも安い。

用途に合わせて広がるIoTネットワーク
 

LPWAの規格が充実して普及が進めば、用途によってLTEと使い分けることができるので、より実用的なIoT家電が生まれるはずです。

普及の糸口は「つながっている」家電

パナソニックとソフトバンクは「LPWA」の規格のひとつである「NB-IoT」と「NIDD(IoTのデバイスにIPアドレスを割り当てずにデータ通信を行うことができる通信技術。よりセキュアで、また、小さなデータの効率的な伝送に向いている)」を組み合わせて、常時接続IoT家電の実用化に向けた実証実験に取り組んでいます。

丹波:

NIDDにはさまざまなメリットがあります。なかでもIoT家電と相性がいいのは、NIDDに対応したデバイスはネットワークの初期設定が不要で、電源を入れるとすぐにつながるという点。

例えば、購入後、電源を入れたらまずネットワーク設定を求められる「IoT炊飯器」を想像してみてください。「私はおいしいお米を今すぐ食べたいのに、どうして今ネットワーク設定をしなきゃいけないんだ」と思いますよね(笑)。

誰もが使いやすいIoT家電実現のためには、スイッチを入れたらすぐに利用でき、その裏側ではしっかりと通信が確保されている状態、「つなげる」家電ではなく知らぬ間に「つながっている」状況が必要です。

小塚:

現在の家電でも、スマホのタップでWi-Fi設定が終わるようにするなど、接続を簡単にする努力はしていますが、LPWAのようにスイッチを入れたらすぐにつながって使えることは理想的です。

IoTのネットワークについて語り合う小塚氏と丹羽氏

つながる家電は生活をどう変えるのか

そもそも、家電がネットにつながることで、ユーザーにはどういったメリットがあるのでしょうか。

丹波:

カーナビのアップデートで感じた便利さが参考になるかもしれません。昔のカーナビはCD-ROMに内蔵された地図を使っており、新しい道ができても地図は古いままで更新されませんでした。

しかし、近年のカーナビはネットにつながり、常に最新情報の地図を使って案内されることが当たり前になりました。さらに、ナビを搭載したクルマの走行データを吸い上げ、あるルートでは裏道を使う人が多いなどの事実があると、その情報を基にルート案内の精度も最適化されています。本当に生活が変わりました。

小塚:

パナソニックでは、すでにIoTを活用した家電を販売しています。そのひとつが、洗剤と柔軟剤を自動投入する洗濯乾燥機です。

クラウドに各メーカーの洗剤・柔軟剤の情報が登録されており、スマートフォンのアプリで利用する洗剤等の銘柄を選ぶと、その情報が洗濯乾燥機にダウンロードされます。洗剤を事前に入れておけば、その情報を基に、自動で計量され、投入されるという仕組みです。

もちろん、新しく洗剤が発売されれば、クラウドの情報も更新され、洗濯乾燥機にも反映されます。ちょっとしたことですが、毎日の手間が軽減される便利さがあります。

ほかには、IoTに対応したエアコンもあります。これは個々のお客さまのお宅のセンサーから得られる住環境データと、気象サイトなど外部サービスプロバイダーから得られるその地域のその日の花粉情報などを基に、空気清浄機能を制御するというものです。

丹波:

その意味では、ソフトバンクが持っている基地局にセンサーを装着して、その地域の環境状況を調べれば、有益なデータを集めることができます。そのデータをパナソニックさんに提供し、地域にあった制御機能を持つIoT家電の開発も考えられますね。

家電IoTについて語り合う小塚氏と丹羽氏

買った“後”も進化する家電が現実に

IoT家電の本質は、集まったデータの活用にあるように感じます。

小塚:

まさにその通りです。データはクラウドに集められてAIが分析します。

「このお客さんは、こんな使い方をしている」「この人はAの機能は使わないけれど、Bの機能はよく使っている」といった情報がわかれば、そのお客さまのニーズに合わせた製品のアップデートが将来可能になります。個人個人でユーザーインターフェースも変えられるようになると思います。

私たちは、IoT家電を通じてお客さまの真のニーズを予想し、それに合わせた個別最適化を行い、生活の質を向上させることを目指しているんです。昨年、パナソニックの創業100周年の際に発表した、このコンセプトを「くらしアップデート」と呼んでいます。家電に関して我々は一番でありたいと思っていますから、どこよりも早くこの便利な世界観を作り上げたい。

丹波:

今の家電は、購入したときが最も価値が高く、時間が経つごとにその価値は低下していくのが通常です。しかし、くらしアップデート対応のIoT家電であれば、ソフトを更新することで機能を向上させ、購入後に価値が高まるようになるかもしれませんね。

小塚:

はい。目指しているのは、購入後もどんどん使いやすく便利になる家電です。

また、IoT家電から収集されたデータによって、事前に不具合の兆候などを察知することもできます。場合によっては、壊れる前にメーカー側からアラートを上げることも考えられるでしょう。

エアコンなど複数のIoT家電の稼働状況を基にした、高齢者の見守りなども可能です。

すべてはお客さまの生活のアップデートのために

パナソニックは、家電だけでなく、住宅、建材も手掛けています。家中の機器がIoTでつながった世界では、「体重計で測って体重が増えていたら、その情報を受けて、キッチンでは最適なレシピが提案される」といったこともできそうです。

小塚:

確かに考えられますね。ほかにも、IoT目覚ましが道路情報とつながれば、道路が混んでいる日はいつもより早く起こしたり、AIスピーカーと照明、エアコンがつながれば、明るさや部屋の温度、音を調整して睡眠を深くしたり浅くしたりする制御もできます。これらをウェアラブルデバイスで取得した生体情報と連携させれば、より便利になるかもしれません。

データを集めるというと、どのように使われるのかを心配される方もいるかもしれませんが、パナソニックには100年積み重ねてきた安全・安心、快適、信頼感があります。これは、我々が持つ一番のアセット。

私たちが家電をネットワークでつなげ、そのデータを活用するのは、お客さまの生活を考えてのことなので、その要望にしっかりと応えていきたいです。

すべてはお客さまの生活のアップデートのために
丹波:

パナソニックさんのように、100年もの間、製造業という背景を持ち、数々の知見を持っている企業と一緒に取り組めることは本当に光栄です。厳しい品質基準を持ってモノづくりをするというのがどういったことなのか。

その姿勢を学びながら、ともにみなさんの生活をより便利にするIoT家電の提供を実現したいです。

(取材・構成:林田孝司 編集:樫本倫子 写真:北山宏一 デザイン:國弘朋佳)