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ソフトバンク株式会社の鈴木 岳彦です。
Alibaba Cloud は中国のアリババグループ(NYSE:BABA)の事業部門としてグローバルのお客様のオンラインビジネスとアリババグループのEコマースのエコシステムに対応するクラウドコンピューティングサービスを提供しています。
一言で言うと中国に強いAlibaba Cloud、誤解を恐れずに言えば中国に関しては他社クラウドにない圧倒的な強みを持つAlibaba Cloud について、“日本と中国をつなぐ”をテーマに計6つのソリューションを紹介します。
前編では“1.日本のコンテンツを中国に配信する”について、後編では”2.日本と中国をネットワークで接続する”以降が対象となります。
まず初めにコンテンツ配信の例をあげます。
日本にあるコンテンツを中国全土の14億に迫る人々(日本の10倍超の市場!)に届けるということです。
また、コンテンツについて情報システムの観点で分類し、それぞれに最適な配信手法を考える必要があります。
詳細は後述しますが、静的コンテンツにはAlibaba Cloud CDN を、動的コンテンツにはDynamic route for CDN を、ライブストリーミングはApsaraVideoLive とAlibaba Cloud では全方位に対応可能なプロダクトを提供しています。
上記の静的・動的・ライブストリーミングという区分に加えて、データの機密性・完全性・可用性もソリューション選定を考える中で重要な要因となります。 配信するコンテンツについて多少の誤差、例えば時系列的な誤差、が許容される場合はキャッシュテクノロジーを利用するCDNのアプローチを適用可能です。 一方、多少の誤差も許容されない場合はCDNの利用は不適で、トランザクションを処理するサーバとクライアントが常に通信し処理を進める必要があります。
それではAlibaba Cloud によるソリューションを紹介していきます。
Alibaba Cloud CDN を利用することで画像やHTMLファイルを中心とする静的コンテンツを中国全土に配信することが可能です。 1,200を超えるキャッシュノードと100Tbp の帯域幅により、中国全土のエンドユーザへの高速なコンテンツ配信を実現することが可能です。
Alibaba Cloud のCDN を利用するメリットを3点ほどご紹介します。
Alibaba Cloud CDNは上記の3点以外にも様々な特徴を持っています。 以下の公式ドキュメントをご確認ください。
Alibaba Cloud 利点
Alibaba Cloud Dynamic route for CDN (以下、DCDN) は動的コンテンツの高速化を実現するソリューションです。 DCDNは静的コンテンツと動的コンテンツを自動的に判別します。 静的コンテンツはクライアントに近いノードのキャッシュから配信し、動的コンテンツは直接オリジンサーバからコンテンツを取得します。この時、DCDNが持つノード間ネットワークの最短経路を利用することで動的コンテンツの応答を高速化します。
Dynamic route for CDN は静的コンテンツにも対応していますのでAlibaba Cloud CDN とどう使い分ければよいのか判断に迷うかもしれません。マトリックスにまとめてみました。DCDNはCDNの上位互換となり、基本はDCDNを利用するで問題ありません。 あえて言えば、静的・動的コンテンツを自動判別することを避けたい場合にCDNを使うことになるかもしれません。
項目 | Alibaba Cloud CDN | Alibaba Cloud Dyamic route for CDN |
---|---|---|
高速化の対象 |
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高速化の方式 |
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オリジンサーバ側の対応 |
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DCDNの利用シーンも併せて紹介します。
ECサイト | オンライン決済を高速化 |
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ソーシャルメディア | コメントやオーディオ・動画コンテンツを高速化 |
行政と企業 | 信頼性向上のためにDCDNを使用 |
ゲーム | ログイン、トランザクションが必要な処理(アイテム購入など)を高速化 |
続いて紹介するのはAlibaba Cloud Global Acceleration (以下、GA)です。 GA を利用することで日本にあるオリジンサーバを中国本土のパブリックIPで公開することが可能となります。 例えると、中国側にNAT Gateway があって、日本のオリジンサーバをそのNAT Gateway で公開するという感じです。
静的コンテンツも動的コンテンツも対応するDCDN が提供されている中、このGA が有効活用出来るのはどのような場面となるのでしょうか? 例をいくつかあげます。
GAの利用がもっとも適しているのはゲームコンテンツと言えます。 日本にあるゲームを提供するオリジンサーバを簡単に中国に公開することが可能です。 この時、日本と中国間の通信帯域は確保されるためエンドユーザに快適なゲーム実行環境を提供することが可能となります。
コンテンツ配信の最後に紹介するソリューションはライブ映像の配信を実現するAlibaba Cloud ApsaraVideo Live です。
基本的な動作フローはCDNと近いものがありますが、ライブストリーミングに特化したプロダクトとなっています。 ApsaraVideo Live ならではの機能を以下にピックアップしています。
詳細は以下の公式ドキュメントを確認してください。
ApsaraVideo Live 機能
「日本と中国をつなぐ」をテーマにコンテンツ配信を実現するAlibaba Cloud の4つのプロダクトを紹介しました。 ここでは利用シーン視点でまとめます。
利用シーン | CDN | DCDN | GA | ApsaraVideo Live |
---|---|---|---|---|
静的コンテンツ中心のWebサイト | ◎ | ◎ | ▲ | N/A |
動的コンテンツを含むWebサイト | ▲ | ◎ | 〇 | N/A |
一意性の管理が必要なWebサイト | ▲
| ▲
| ◎ | N/A |
HTTP/HTTPS以外のサービス | N/A | N/A | ◎ | RTMP/FLV/HLS |
帯域確保が必要なサービス | N/A | N/A | ◎ | N/A |
ライブ配信 | N/A | N/A | N/A | ◎ |
概要レベルの紹介ではありましたが考えうる利用シーンそれぞれに対応できるプロダクトをAlibaba Cloud は提供していることを紹介できたと思います。 もちろん、同様なサービスを他の事業者が提供していることもありますが、サーバ含めて一元的に提供できること、オンデマンドかつ従量課金で利用できること、そして日本で契約し日本円で利用できるという点はAlibaba Cloud の強みとなっていると考えます。
なお、ICPライセンスの考慮は4つのソリューションそれぞれで必要です。 CDNでもDCDNでもオリジンサーバが中国本土外にあり、例えば日本、コンテンツを中国本土に配信するという点でICPライセンスは必要です。 GAもApsaraVideoLiveも同様です。 Alibaba Cloud はICPに関する支援も対応します。中国展開を考えるお客様には非常に頼もしいクラウドサービスとなっています。
前編はここまでです。 “2.日本と中国をネットワークで接続する”は後編となります。
後編の目次
2.日本と中国をネットワークで接続する
2.1. Express Connect によるリージョン間接続
2.2. Cloud Enterprise Network によるリージョン間接続
3. まとめ
Alibaba Cloudは中国国内でのクラウド利用はもちろん、日本-中国間のネットワークの不安定さの解消、中国サイバーセキュリティ法への対策など、中国進出に際する課題を解消できるパブリッククラウドサービスです。
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