中国で人気のクラウド婚(雲婚礼)に学ぶ、アフターコロナ時代の婚礼ビジネス

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ビリビリのオンライン結婚式
(2020年4月27日掲載)

3月20日、新型コロナウイルスの脅威がある真っただ中で、300万とも400万ともいわれる動画サイト「ビリビリ」の結婚式のライブ動画の視聴者が、10万を超えるおめでとうのメッセージを送り祝福しました。新郎は11万人のフォロワーを持つビリビリの配信者ではありますが、暗い雰囲気を吹き飛ばすビリビリ動画上のオンライン結婚式とあって、フォロワー数を超えた人々がその祭りに乗りました。複数メディアがこの盛り上がったイベントを紹介したことから、ネットで視聴するオンライン結婚式は認知は高まったといえるでしょう。ちなみにオンライン結婚式は「雲婚礼」という用語が使われることが多いです。「雲」はクラウドなので、クラウド婚礼というわけですね。

本来、2020年はキリのいい年なので、結婚数が増えるといわれていましたが、新型コロナウイルスのためにそれが止まっています。大手結婚情報サービスの「婚礼紀」が行った、新型コロナウイルス下の結婚に関するアンケートでは、「来年に結婚を延期してもいいか」という質問に82%が「年内に行いたい」としています。年はできるだけ変えたくない。とはいえ、準備するにも式場予約にしても記念写真撮影にしても、多くの店は開けられない状況でした。

90%が利用する「雲備婚(=オンライン結婚準備)」サービス

数年前から「雲備婚」というサービスが数社から登場しました。「雲」はクラウド、「備」は準備の備、「婚」は結婚の婚の字であり、オンライン上で結婚の準備を行うサービスというわけです。このアンケートが行われたときには外出が厳しく制限されていましたが、アンケート対象者である結婚を考える人の90%が雲備婚のサービスを利用しているとしてます。そのうちの87%は1990年代生まれ、20代です。大都市の若い中国人は新しい結婚情報サービスを積極的に利用しています。

「雲備婚」とはどんなサービスかというと、結婚に必要な様々なサービス提供者を紹介するサービスです。利用者は全てが入ったブライダルパッケージではなく、「会場」、「会場の内装」、「式で流す映像作成」、「式でのビデオ撮影」、「司会」、「招待状のデザイン」、「結婚写真」、「旅行」、「ハネムーン」まで、カスタマイズして選ぶことができるサービスで、ハネムーンだけなど単体でも業者に連絡して相談することができます。また画像や映像のクリエイターの紹介の場にしつつも、招待状や式で流す映像を作成するアプリも用意されています。結婚に関わる各種サービスを提供する業者の価格比較サービスなので、総額をサイト上で算出することも可能です。

昔から自分色を出すのが好きな世代と言われている1990年代生まれの志向に刺さったカスタマイズできるサービスと言えます。またカスタマイズできるだけでなく、値段的にも明朗会計でわかりやすいのが特徴です。アンケートによれば、利用者の半数以上は毎日2時間半以上サイトを見ては、ベストの業者を探すそうです。外出が不安な時期に実施されたアンケートですが、利用者は新型コロナウイルスの脅威が減少するだろう今年秋以降の結婚式を目指しているということ。将来の結婚式に向けて、早いうちから家の中で式のカスタマイズをするわけです。

雲備婚サービス提供業者の「ライブストリーミング」への取り組み

アンケートを行った「婚礼紀」は代表する雲備婚サービス提供業者です。新型コロナウイルスが猛威を奮った2020年1月と2月には、同サイトへの登録業者数が4倍増となりました。つまり企業の受け皿となったわけです。また婚礼紀は、同サービスに登録した業者をサポートし、さらなる業者を呼び込むため、ライブストリーミングで結婚ビジネスに関するノウハウを配信しました。

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婚礼紀のサイト。業者の紹介ほか、簡易動画作成アプリも用意

また同種の雲備婚サービスに「蜜匠婚」は、4月にオンライン結婚式が提供できるようになりました。ライブストリーミングで結婚式を中継するオプションを加えたわけです。冒頭にあげた「ビリビリ」のオンライン結婚式のようなことがオーダーメイドでできるようになりました。

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蜜匠婚によるライブストリーミング結婚式

サービスによってはVRで撮影する業者を紹介するサービスもあるそうです。新型コロナウイルスが年内で収束しそうになければ、オンライン結婚式が普及していくことでしょう。

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密匠による式場内装例。ビデオ撮影に絞った式なのでスペースが狭い

現在、新型コロナウイルスにより、多くのクリエイターが在宅を強いられています。彼らを活用すればオリジナリティある結婚式を実現できるでしょう。結婚に限らず、例えば講演会や発表会などの運営をも、こうしたサービスが登場すれば、客側でカスタマイズできるのではないでしょうか。カスタマイズできるサービスがリリースされ、選択肢のひとつとなることで、内容や品質や価格に満足する利用者もいることでしょう。

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山谷 剛史
中国アジアITライター
山谷 剛史
1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。 2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。
主な著書に『中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか?(星海社新書)』『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち(ソフトバンク新書)』など