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2021年4月16日掲載
これまでの連載で、世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)に選出された「ライトハウス(Lighthouse、灯台)」のうち、服装製造業界の代表として「アリババの迅犀(シュンシー)デジタル工場」、自動車製造業界の代表として「上汽大通(SAIC Maxus Automotive)の南京工場」を電子製品製造業界の代表として「フォックスコン(鴻海)のスマート工場」を紹介してきました。
今回は、家電製造業界の代表として、美的集団(Midea=マイデア)のライトハウス工場を踏まえながら、そのDX(Digital Transformation=デジタルトランスフォーメーション)の進め方を紹介したいと思います。
Mideaは、中国家電業界のリーディングカンパニーとして「ヒューマナイジングテクノロジー(Humanizing Technology)」をスローガンに、エアコン、冷蔵庫、電子レンジなどの生活家電の製造販売に取り組んできました。2016年には東芝の白物家電部門を買収し、日本向け事業も展開しています。
MideaのDXは「マネジメントトランスフォーメーション」と「ITトランスフォーメーション」という2つの観点から考えられます。マネジメントトランスフォーメーションは、R&D、マーケティング・セールス、サービス、製造、調達、意思決定などビジネスのマネジメント領域において伝統的な方法を脱してデジタル化を図っています。
マネジメントトランスフォーメーションに伴い、ITのデジタルトランスフォーメーションも実施されています。伝統的なPDM、CRM、ERP、OAなどから自動化、データ化、モバイル化、スマート化を実現します。
デジタル化を進めていけば、フェーズも取り組む重点領域も変わります。デジタル1.0からインターネットプラス(Internet+)、そしてデジタル2.0。その後、インダストリアルインターネットプラットフォーム「M.IoT」を経てアップデートする際、ブランドとして「美擎(メイチン)」という名称を付けました。いまは、DX戦略として「全面的デジタル化・全面的スマート化」という段階に入っています。
「美擎」は、Mideaグループ内のDXノウハウを集約した、いわば「MideaのDX実践の集大成」とも言えます。特に広州、順徳の2工場がライトハウス工場として認定されたことにより、これに貢献した「美擎」として中国での知名度が高まっています。
DX全体のキャバシティ、サービス、ビジネス、インダストリーといったレイヤーで分けられ、家電、自動車、食品、化粧品などの産業に向けてトータルソリューションを提供しています。
Mideaは現在、「Midea Cloud」というDXに特化した専門会社を設立し、スマートファクトリー、ビッグデータ、デジタルマーケティングなどを含めたDXサービスを展開しています。
「美擎」はMideaのベストプラクティスを凝らしたものであり、大きな特徴としては、以下の5つが挙げられます。
Mideaは、インダストリアルインターネットの中核領域であるスマートファクトリーや工場自動化技術に投資し続けてきました。特に、2017年にドイツに本社を置く産業ロボットおよびファクトリーオートメーション機器メーカーであるKUKAを買収し、産業ロボットやスマートファクトリーの能力をさらに増強しました。
KUKAは、ファナック、安川電機、ABBと並んで世界4大産業用ロボットメーカーのひとつとして広く知られています。Mideaグループに入ることで、MideaのDXに追い風を吹かせることでしょう。
Mideaは、「全面的デジタル化・全面的スマート化」を実現すべく、今後の3年間に向けて、以下3つの目標を掲げています。
これらの目標から見ると、データドリブン、AI(人工知能)、デジタルプラットフォームなどはいずれもDXの根幹です。Mideaは、既にDXの土台ができており、これらの目標は、ゼロからの再スタートではなく現在の延長線にあると考えています。DXへの推進力が既に企業のコアコンピテンスとなっているこのデジタル時代で、Mideaは果たしてこれらの目標を実現できるのでしょうか、今後も引き続き注視していきたいと思います。
・世界経済フォーラム報告書(PDF)
「Unlocking Sustainability through Fourth Industrial Revolution Technologies」
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