フォーム読み込み中
2021年7月28日掲載
中国アジアITライター・山谷剛史さんが、中国国内で話題になったITニュースをピックアップする連載企画です。今回は、2021年5月~6月の中国主要インターネットニュースについてまとめました。
今では京東だけでなくアリババの「天猫(Tmall)」をはじめ様々なECサイトが競うようにキャンペーンを行っている。
今年もアリババ、京東、蘇寧などの各ECサイトで過去最大の取引額を記録(特に京東は生鮮スーパーの「京東超市」について大きく売上を伸ばした)、天猫の販売額は2156億元となった。また中国新興ブランドブーム「国潮」の中で、ライブコマースを活用することで、様々な新ブランドが大きな売上とともに飛躍した。
例年の618セールや独身の日「双11」セールはプラットフォームの仕掛けや、またスマートフォンの売上が話題になる。ただ今年はチップ供給不足問題が顕著なことから、本来はこの時期に合わせて発売される新しいスマートフォンのモデルもファーウェイから分社したHonorの「栄耀(Honor)50」が100万台以上の売れ行きを記録したくらい。これまでに比べて「最も盛り上がらなかった618セール」と評されている。
アリババは新しい仕掛けとして、アリババ系のフィンテック企業アントグループのブロックチェーン部門「アントチェーン」から「文昌星伝統文化換新計画」という計画を発表。IP化されたデザインをブロックチェーンによって保護し、天猫の「IPMart」で無料でデザイナーに開放、各ショップはそれを任意で使って商品化すると、売れた分だけ自動的にデザイナーに利用料が支払われるという仕組みとなっている。「国潮」ブームによって中国デザインが評価される中で、デザイナーを応援し、経済がまわる仕組みを提供した。
ファーウェイは6月、同社が開発したHarmony(鴻蒙)OS 2を発表。多くの機種を利用可能対象とした。Harmony OSは米国の対ファーウェイ制裁でGoogle Mobile Services(GMS)が入れられず、Googleの各種サービスが利用できないことを背景に開発がされたもの。
単なるスマートフォン向けAndroid互換OSにとどまらず、スマートウォッチやスマートテレビなど様々な機種に搭載される。パソコン・スマートフォン・タブレット・スマートテレビ・コネクテッドカーなど複数の情報端末で画面共有・拡張し、ファイルのやりとりを簡単に行える、つまり複数台のディスプレイ付情報端末をディスプレイの数だけ有用に活用できるのをコンセプトとしている。
Amazonに出品している傲基、沢宝、宏博偉智、洪堡などの年商数十億元のトップ企業をはじめとした中国企業が軒並み凍結された。例えば天澤信息の子会社の有棵樹は340のアカウント1億3,000万元の資金が凍結されたという。またこれらの企業の株価も大きく下落した。
これはAmazonでサクラなどを利用して、つまり金銭を与えることで有料レビューを行う行為を行ったことにより、Amazonのガイドラインに違反したのが原因だ。世界でAmazonが占めるEC市場の割合は大きく、中国から越境ECで販売したい業者に大きな痛手を与えた。アカウントが凍結されてしまった企業は在庫を別の所に動かさなければならず、ここでもまた痛い出費を行った。その結果、人員カットや破産申告をする企業も出てきている。
四川省、青海省、貴州省などでの仮想通貨のマイニングが政府の方針により禁止された。これにより使われなくなった巨大マイニング施設が報じられ話題になったほか、ビデオカードや発電機などマイニングに必要なものが中古取引ECサイトの「閑魚(Xianyu)」に売られるようになった。(参考リンク)
マイニング業者はカザフスタンなどより電力の安い、政府がバックアップしているところでマイニング業務を立ち上げると報じられている。
長らくマイニングのニーズでビデオカードの供給不足が中国でも発生し、これが各地方政府のマイニング禁止により幾分不足は解消しそうだ。しかし、それでも業者は他国でマイニングを継続するわけで供給回復は楽観視できなさそうだ。
成長著しいライブコマースが、ニセスマホ販売の温床になっていることが話題になった。ライブコマースで「mate40」なるスマホが1万円程度で販売されていた。mate40といえばファーウェイのハイエンドモデルの名前だが、これはファーウェイ製ではなく「朶唯(Doov)」製のmate40であり、山寨と呼ばれるニセモノのようなものだ。ライブコマースでは最初に6,999元で販売していたのをすぐに699元で販売、値段的魅力をアピールした。この現象は昔から様々なECサイトであったが、今回もネットで話題に。
5月末には快手は、同社のライブコマースでDoovのスマホには品質的に問題があるとし、「Doov製品は今後扱わない」と決定。特に問題と認定した「朶唯12Pro」については、購入額9倍の返金を行うと発表し、この施策で話題を呼んだ。加えて同社ZTE、朶唯、SUGAR、天語、酷派、紐曼などを販売禁止ブランドとした。(参考リンク)
市場調査会社のCanalysによれば、2021年第1四半期スマートフォン出荷では、OPPO、vivo、ファーウェイ、シャオミ、Honorなど主要メーカーで89%のシェアを獲得しており、残りの11%、四半期で980万台売れたうちの一部メーカー製品がNGリストに加わったわけだ。
6月17日、有人宇宙船「神舟12号」が打ち上げられた。宇宙船内では無線LANでインターネット接続が可能で、ダウンストリームは1.2Gbpsと5G相当の速度となっていると報じられている。これは地球を周回する3基の中継通信衛星「天鏈」によるもの。これにより飛行中、宇宙船内と地上でビデオチャットを行っている。(参考リンク)
中国のライドシェアをけん引してきた「滴滴(Didi)」が6月末、ニューヨーク証券取引所に上場、近年では最大規模の中国IT企業の上場となった。その後中国当局から「中国国家安全法」や「中国網絡安全法」に触れてないか、すなわち利用者の個人情報や中国の地図情報が米国に漏れていないかとチェックするという名目で、中国のアプリストアから滴滴関連の25のアプリが消えた。ただ利用は可能になっていて、大きな混乱は起きていない。滴滴は「決して外部に個人情報は漏らしていない」とコメントしている。
条件に該当するページがございません