イカゲーム風番組「イカの勝利」が話題/微博に「コメント爆破機能」が追加(山谷剛史の中国ITニュースまとめ 2021年9-10月)

2021年11月30日掲載

優酷(YOUKU)が配信したコンテンツ「イカの勝利」

中国アジアITライター・山谷剛史さんが、中国国内で話題になったITニュースをピックアップする連載企画です。今回は、2021年9月~10月の中国主要インターネットニュースについてまとめました。

 

目次

イカゲームが爆発的な人気に。グッズや類似コンテンツも続々

世界的にヒットしている韓国発のNetflixドラマ「イカゲーム」が、中国でも話題に。その話題性から海賊版を見てる人も相当多く、動画サイト「優酷(YOUKU)」が、イカゲームにそっくりなコンテンツ「イカ勝利」の配信をはじめた。また中国の各ECサイトでは非公認のイカゲームグッズが続々と登場、中国国内外で販売されている。

中国の大手インターネット企業の平均年齢は35歳以下

大手ネット企業の社員の平均年齢(出典:騰訊網

脉脉数据研究院は中国の大手インターネット各社の社員の平均年齢についての調査結果を発表。いずれの企業も27~33歳というアラサー世代に収まった。特に企業自体が若いバイトダンスとピンドゥオドゥオは27歳と若い結果に。とはいえ、インターネット企業としては老舗のアリババ、テンセント、バイドゥ、新浪(Sina)、捜狐(SOHU)、ネットイースも30歳前後だ。また、ITエンジニアは早めに離職することが明らかになった。

微博に「コメント爆破機能」が追加

微博のコメント爆発機能(出典:微博オフィシャルアカウント)

10月末、ミニブログ「微博(Weibo)」に「コメントの爆破」機能が追加搭載された。コメントの横にある小さな爆弾をクリックするか、コメントを長押しして「爆発」オプションを選択することで、コメントを爆破することができる。

コメント爆発機能は、相手のコメントを爆発した後、自分の画面から削除することができる。つまり他の人にはそのまま残り、他の人はそのコメントを見たり返信したりすることができる。ネットユーザーの反応を見てみると、「人が罵っているのを見るのが我慢できないときに使える」と前向きな評価も。

今年先だって微信(WeChat)に、タイムラインで爆弾を爆発させる機能が実装され、爆発のエフェクトが気持ちよくて面白いと話題になっていた。そのトレンドに追随した可能性があり、今後他のSNSなどにも実装される可能性がある。

顔認証ハックによる犯罪が明るみに

顔を自動作成するAIが登場しているが、それを活用した顔認証をハックする犯罪が明るみとなった。

中国の各ネットサービス利用は実名登録が必要なので、電話番号につき1アカウントが基本だ。したがって本来は無数のアカウントを活用して悪事を働かせることは中国ではできない。ところが顔を作成するソフトウェアによりゾンビアカウント(作成されたものの使われていないアカウント)を復活させて不法収益を上げる犯罪が明るみとなった。

通信ネットワーク詐欺やオンラインギャンブルなどの犯罪組織が、顔を自動作成するアプリと特定のスマートフォンのセキュリティの抜け穴を利用して、数万の制限された微信アカウントの復活させ、逮捕されるまで数百万元の違法な利益を得ていた。

容疑者5名は全員逮捕され、犯行現場では30台以上の携帯電話と6台のパソコンが押収され、パソコンからは大量の市民の個人情報が発見されたという。

最近の中国ではセキュリティや個人情報の観点から顔認証のあり方が問われ、導入が消極的になっている。別件では、盗んだ身分証カードの写真と犯人の顔が似ていることから、犯人は銀行の顔認証システムを利用して審査を通し借金をして逃亡したという事件もあった。

中国中央電視台(CCTV)が顔認証の脆弱性について紹介する番組を放送することも。最近では一枚の写真を用意するだけで、別の人の顔の動きに合わせ別人の顔を作ることができ、顔認証を通過してしまうという問題を紹介した。権威的なCCTVが紹介していることもあり、今後の導入は厳しそうだ。

美団とアモイ市、デリバリースタッフに強制的に休息をとらせる方針

9月中旬、福建省アモイ市は、市内のフードデリバリーのプラットフォームに対し、4時間以上連続して注文を届けた場合にはシステムが疲労警告を発し、20分以内にそれ以上の注文が出されないようにすることを求めた。この警告は労働法監督によるもの。   これに先立ち美団CEOの王興氏は、規制は同サービスの持続的な発展に寄与すると考えており、デリバリースタッフの福祉の観点から、強制的な休息を導入するとコメントしている。

2021年世界インターネット会議の烏鎮サミットが閉幕

世界インターネット大会(出典:世界互聯網大会オフィシャルサイト

2014年から毎年開催される中国最大のインターネットフォーラム「世界互聯網大会2021」が浙江省の烏鎮で開催された。

当大会では、20のサブフォーラムが開催され、5G、人工知能、オープンソースエコロジー、次世代インターネット、データとアルゴリズムなど、ネットワーク技術の新しいトレンドやホットスポットに焦点を当て、データガバナンス、ネットワークの法治、インターネットの企業の社会的責任、グローバルな反伝染病、国際コミュニケーションなどの問題について討論。中国メインではあるが、海外企業も参加した。

また中国は、今回の会議を通して中国の技術を活用した未来を構築するためのインターネット世界運命体のプラットフォームを作るよう提案している。

中国版Instagram「小紅書」で観光地紹介のヤラセが話題に

ネット記事とリアルであまりに違うと小紅書が問題に(出典:解放日報

中国から海外旅行に行けなくなっている中、「ここがあの観光地に似ている」とばかりに、中国版インスタグラムと呼ばれる「小紅書(RED)」で日本の鎌倉や京都、ギリシャのサントリーニ島に似た風景の場所が中国全土で何十カ所もユーザーによって紹介され、映えスポットになっている。

とくに中国の連休時期(中秋節・国慶節連休)には、小紅書のユーザーが登録した景勝地に多数の写真やテキストが書き込まれた。しかしそれは第三者によって4、5元程度の金銭をもらい、訪問して写真を撮り感想を書き込むよう依頼されたサクラ評価だったことが話題に。法律違反の疑いがあるとして、ユーザー、企業およびプラットフォームはそのような行動をやめるべきだという風潮となった。またあわせて、「実際に小紅書で勧められているところに行ったら、あまりに写真と違って貧相だった!」とも話題になった。

小紅書によると、2021年3月末現在、同サイトの月間利用者数(MAU)は1億人を超え、プラットフォームには4,300万人を超えるコンテンツ作成者がおり、3億を超える記事が公開されているという。

通州北京副都心が「北京デジタル人民元パイロットゾーン」に

北京副都心と呼ばれる通州区で、「北京デジタル人民元パイロットゾーン」を積極的に導入していく。そのために主要国有銀行6社が取り組みを行うという。 またデジタル人民元の決済・交換方法の革新、スマートウェアラブル決済デバイスの普及、デジタル人民元交換機の展開をとくに進めていき、「現地通貨と外貨をデジタル人民元に両替して活用しても問題ない環境を構築していく」とのこと。

バイトダンスCEOの張一鳴氏が中国のネット企業富裕ランキングでトップに

フォーブスの富裕ランキングで、TikTokで知られるバイトダンスCEOの張一鳴氏が、テンセントのポニーマー氏を抜いて中国のネット企業富裕ランキングでトップに。中国全体でも第2位に。張氏は今年の5月にCEOを退任することを発表している。

ゲーム「王者栄耀」の累計売上が100億ドルを突破

テンセントの人気ゲーム「王者栄耀」の累計売上が100億ドルを突破した。これはモバイルゲームとしてははじめて。

王者栄耀は中国で知名度のあるキャラクターを選んで5VS5のチームに分かれ、互いの拠点を攻撃し合うMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)と呼ばれるオンライン対戦ゲーム。絶頂期よりは利用者は減っているがそれでも9月現在のMAUは1億4900万人とのこと。

ダブルイレブン(双11)セール前に「返品可能」と「カート共有」機能を追加

11月11日を中心に今年も開催された、中国最大のECセール「ダブルイレブン(双11)」。

その中心にあるアリババのECサイト「淘宝(タオバオ)」「天猫(Tmall)」では、未出荷の商品に対して返金申請を行うと、加盟店の審査を経ずにプラットフォームが自動的に返金を行い、出荷済みの商品に対しても、審査を経て迅速に返金を行うことができるというスピーディな返金サービスを導入した。

また、ショッピングカートを友人に転送できる「ショッピングカート共有」機能を導入した。ネットユーザーの中にはこれらの機能について、「これまで出てきた中で一番の機能だ」という声があり、評判は上々のようだ。

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