情報革命はどのように起こる?5G、IoT、AI、それぞれの今

SoftBank World 2018 講演レポート1

情報革命はどのように起こる? 5G、IoT、AI、それぞれの今
  • 情報革命はどのように起こるのか?今回目玉となった講演の一部をレポート
  • ソフトバンクでは5Gのフィールドトライアルをすでにスタート
  • 華為技術日本はNB-IoTのモデルケースとして、中国・江西省の鷹潭市を紹介

7月19日、20日の2日間にわたって開催されたソフトバンクグループの法人向けイベント「SoftBank World 2018」。イベント冒頭の基調講演で、孫正義は「ソフトバンクグループは会社の創業期から情報革命に取り組んできた企業」と述べ、「情報革命=AI革命というような状況が今からやってくる」と、来るべきシンギュラリティに備えてAIとその周辺技術に取り組む重要性を強調した。

情報革命をもたらす鍵となるのが、エッジ側とクラウド側それぞれでのコンピューティングをつなげる5G×IoTのネットワークだ。まずは、ソフトバンクの5Gに関する取り組みを紹介した講演をレポートする。

5G×IoTで描く世界

湧川 隆次

ソフトバンク株式会社
先端技術開発本部 本部長

「高速大容量」「低遅延」「多数同時接続」を実現する5Gネットワーク。ソフトバンクではいち早く5Gに取り組み、グループの最新テクノロジー企業と連携しながら、さまざまなソリューションを開発しています。
2020年からの5Gの実現に向けて、ソフトバンクではどのようなサービスを作っていくか、どのようなインフラがお客さまにとって使いやすいかを、実証実験を通して検証しています。例えば、東京4ヵ所で5Gのフィールドトライアルの実施、5Gを活用した隊列走行実証実験などを行っています。

では、5Gによってどのような世界が実現するのでしょうか。
3Gは音声を運ぶネットワークとして成長しました。4Gになるとデータネットワークができて、スマートフォンが広まりました。私たちは、5Gはサービスをデリバリーするネットワークだと考えています。5Gを使ってサービスを開発し、それをお客さまに提供する。これが5Gの将来像です。例えば、5Gを活用することで、隊列走行による流通効率の改善、遠隔医療、建設機器の遠隔監視・制御、VRを活用したリアルタイム観戦などが実現するでしょう。

ソフトバンクではグループ企業、サービスを提供する企業と手を組み、5Gを活用したサービスを共創していきたいと考えています。お客さまに5Gの環境を実際に体験していただき、共創を検討する場として、2018年6月には「5G×IoT Studio お台場ラボ」を開設しました。5Gの検証ルームの提供、最新デモの展示などを行っていますので、まずは実際に体験して、5Gの有効性を感じてほしいと思っています。

■関連リンク

次世代移動通信システム「5G」に向けたソフトバンクの取り組み
https://www.softbank.jp/biz/5g/


2020年に訪れる5G×IoTの世界を先出し
ソフトバンク の「5G×IoT Studio」お台場ラボ レポート
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/iot_5g/20180622/


5G×IoTは相性抜群。ソフトバンクの本気な「共創戦略基地」
ソフトバンク 湧川隆次 × テックショップジャパン 有坂庄一
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/iot_5g/20180705/


“インターネットの父”村井純と語る。5Gで何が変わるのか
慶應義塾大学環境情報学部教授 村井 純氏 × ソフトバンク 湧川 隆次
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/iot_5g/20180412_1/

日建設計とソフトバンクのビジネスシナジー
~将来のオフィス・都市の価値を向上させるIoT~

関根 雅文 氏

株式会社 日建設計
エンジニアリング部門 設備設計
グループ設備設計部長

中村 公洋 氏

株式会社 日建設計
エンジニアリング部門 IoT推進室
チーフコンサルタント

日建設計は50カ国以上で2万5000を超える設計に関わり、都市開発やオフィス、IoTを含んだ設備の開発などを行ってきた建築設計事務所です。建築とIoTを組み合わせて新たな価値を生み出すため、2017年11月にソフトバンクと業務提携を開始しました。

オフィスを選ぶ判断基準として、従来は立地やコスト、耐震性といったハード面が中心でしたが、最近ではオフィスのソフト面、つまり機能で選ぶ傾向が高まっています。オフィスワーカーの知的生産性を高めることは賃料や光熱費の削減よりも経済的効果が大きい場合もあるため、人に着目した評価指標も世界では浸透しつつあります。また、「ESG投資」というキーワードも世界では広がっています。

こうした中、日建設計ではIoT化によるスマートビルディングを推進しています。コンセプトは「建物のスマートフォン化」。建物内設備のためにOSを定義して、建物に入る企業・個人にさまざまなアプリケーションが提供可能となるプラットフォームを構築しようという発想です。具体的には、日建設計が保有するソフトウェアを使って、基本情報や管理情報、運用情報などをソフトバンクのIoTプラットフォームとAPIでデータ連携するといった取り組みを実施しています。また、人が持つ端末の屋内位置測位をして、照明や空調、エレベーターなどの制御を最適化し、人にとって便利で効率的な建物を実現することで、働き方改革をバックアップしていこうという取り組みも行っています。この他にも、気象情報や交通情報、建物の情報、人の情報、センサー、オープンデータなどを組み合わせて、さまざまなサービスを提供しながら、都市環境のPDCAサイクルを実現する取り組みもしています。
IoTは人間中心の社会を実現する技術として活用しなければなりません。日建設計はIoT・建築を通して人々の幸せをデザインして行くことを目指していきます。

新しい価値創造を促すIoT
~ビジネススタイルの変化と新たなチャレンジ~

郭 宇 氏

華為技術日本 株式会社
技術戦略本部 キャリア技術事業部 部長

これからはIoTによりあらゆるモノがつながっていきます。2025年には世界のIoTデバイスの接続数は1,000億に達すると予測されており、ビジネススタイルの大きな変革が起こるでしょう。
IoTによる接続の約70%を占めるのが、データ量は小さく、リアルタイムに伝送する必要がないデータです。例えば、家の電気・ガス・水道メーターなどです。これらのIoT接続に向けた無線通信技術が「LPWA(Low Power Wide Area)」の1つである「NB-IoT(Narrow Band IoT)」です。既存の4Gネットワークを利用できるので新たな投資が必要なく、キャリアグレードの信頼性も持ちつつ低コストで提供できるのが特長です。ゆえにNB-IoTの産業チェーンは早くもワールドワイドで広がりつつあります。華為でもIoTトータルソリューションを提供しており、世界各地でNB-IoTオープンラボを開設しています。

NB-IoTによって劇的に変化を遂げているのが、中国・江西省の鷹潭市です。同市はスマートシティのモデルケースとなっており、さまざまなNB-IoTの実証実験が行われています。人口約130万人に対してNB-IoTの基地局は970に達し、街灯や駐車場、水道メーター、浄水機、ゴミ置き場、シェア自転車などにNB-IoTが利用されています。中でも、水道メーターをIoT化することによって検針正確率が上がったばかりでなく、漏水率削減にもつながりました。また、街灯をスマートライトにすることで周辺の明るさや交通量に合わせて自動的に消灯・点灯を行い、電力消費量削減につながったという実証実験結果もあります。
このようにIoTによって、すでにビジネススタイルの変革が起きています。華為では、今後もあらゆる人、家庭、組織にデジタル化の価値を提供し、すべてがつながったインテリジェントな世界を実現することを目指していきます。

AI(+RPA)を活用したインフラビジネスの競争力強化と効率化改善

安田 亨 氏

パシフィックコンサルタンツ 株式会社
技術研究センター長 技師長 技術理事

建設コンサルタントとは、社会インフラサービスを“計画+調査+設計+管理”という側面からプロデュースする仕事です。私たちパシフィックコンサルタンツは、東海道新幹線事業、東名高速道路事業をはじめ、さまざまなインフラ事業を手がけてきました。

2017年にIoTを活用した災害避難や渋滞回避の手法「スマートインフラソリューション」の共同開発を目指して、ソフトバンクと業務提携しました。私たちが持つ設計マネジメント力とソフトバンクの通信ネットワークを組み合わせて、安全・安心で豊かな街づくりに貢献することが狙いです。例えば、災害インフラの課題解決のソリューションとしては、IoT技術を使って河川の氾濫や土砂崩れなどを遠隔で監視し、センサーでデータを集め、AIで解析・予測を行い、住民へ情報を配信する仕組みを開発。また、社会インフラの課題解決のソリューションとしては、IoTデータを活用して交通量や都市部の混雑を解析・予測することで、快適な街づくりに活かされています。

AIは社内の業務効率化の面でも活用しています。現在、パシフィックコンサルタンツでは公募案件の競争力強化の取り組みとして、AIとRPAを導入。RPAによって情報表作成、文書PDF化、継続的更新という一連の流れをシステム化することで、1人1日あたり30分かかっていた作業が10分に短縮できました。さらに、取り込んだ情報を業務分野・担当部門ごとに分類する作業にAIを導入。過去データを機械学習させて読み取らせた結果、人が主導で対応してきた作業の効率化を図るとともに、人的ミスの削減にもつながりました。
この他、トンネル点検などの業務にもAIは導入されています。AIの支援によるインフラマネジメント推進は今後もますます進んでいくでしょう。

■後記

孫正義は基調講演で「AIがあらゆる産業を再定義する」とも述べた。そんな日が遠くない将来に訪れるとして、それはAI単体で成されるものではない。今回のイベントで、複数の登壇者の話にあったように、IoTにより世の中のあらゆるものがインターネットでつながり、それらの通信のインフラとして5Gが下支えする。このようなネットワークやデータの基盤があって、はじめてAIは産業を再定義するに足る存在になるのだろう。そしてそれこそが、ソフトバンクが課せられた、情報革命のためのミッションである。

■SoftBank World

https://sbw.tm.softbank.jp/