企業の通信にパラダイムシフト。有線不要・高品質の法人向けモバイル回線「SmartVPN Twin アクセス」

企業の通信にパラダイムシフト。有線不要・高品質の法人向けモバイル回線「SmartVPN Twin アクセス」

  • モバイル回線の課題だった「安全性」「品質」
  • 「Twinアクセス」がモバイル回線の課題を解決
  • 約50社によるトライアル。「導入検討したい」が88%

業界や業態を問わず、ビジネスにはネット環境が欠かせない。一般的なオフィスであれば固定回線、多くが光回線を契約する。そのため、NTT東日本・西日本ではメタル回線の撤去を進めており、メタル回線を使用するフレッツADSLサービスは2023年に終了予定。同じくメタル回線を使用するディジタルアクセスと呼ばれる専用線サービスも、近年料金の値上げが続いている。企業にとってはこれらの代替サービスを探すことが急務である。

この流れを受け、近年存在感を増しているのがモバイル回線(移動系通信)だ。期間限定の事業所や小規模店舗など、通信が大容量でなければモバイル回線で事足りる場合もある。しかしビジネスで使うのであれば、通信の安全性や品質では妥協したくないところだ。セキュリティに関しては言うまでもない。

2019年4月より、ソフトバンクはSmartVPNの新しいラインナップとして、モバイル回線を活用した法人向けアクセスサービス「Twinアクセス」の受け付けを開始した。NECと協力し、モバイル回線で懸念されていた通信の安全性と品質の課題を解決し、モバイル回線ならではの導入の手軽さを生かしたアクセスサービスとなる。ソフトバンクで開発を担当した齋藤毅氏と営業企画を担当する森田裕二氏にお話を伺った。

齋藤毅

ソフトバンク株式会社
法人事業統括
ICTイノベーション本部
ネットワークサービス第2統括部
法人データサービス部

森田裕二

ソフトバンク株式会社
法人事業戦略本部
コア事業統括部
音声・データ事業推進部

安全・高品質の「Twinアクセス」が提供する4タイプのサービス

ソフトバンクが提供するモバイルアクセス「Twinアクセス」の特色は「VPN」と「Twin(2つ)」であることだ。VPN技術を用いて安全性を確保し、さらに2つのモバイルネットワーク回線を常時アクティブに使用することで品質向上に役立てている。
本サービスはサービスタイプと速度により、全部で4タイプに分かれている。サービスタイプは「タイプSD」と「タイプSS」の2つ。前者はソフトバンクと他キャリア回線を1つずつ使用し、後者はソフトバンク回線を2つ使用する。速度は「ハイスピード」と「ロースピード」の2つ。前者は最大10Mbpsで月ごとに容量制限があり、後者は最大128kbpsで容量制限はない。サービスタイプと速度の組み合わせで合計4タイプとなる。

本サービスは2つのSIMが入った回線終端装置からVPN網までソフトバンクが提供する。モバイル回線なので工事不要であることが、ユーザ側の導入時のメリットである。

固定回線に並ぶサービス品質とセキュリティを備えつつ、コストも抑える

今回のサービス開発に携わってきた齋藤毅氏は「メタル回線が縮小に向かうなか、ADSLの代替となる通信サービスが求められていました」と話す。メタル回線で実現できていた品質や信頼性を、広く普及したモバイル回線で提供することが求められていた。

しかし、先述したように、これまでのモバイル回線には安全性と通信の品質の問題があった。

一般向けのモバイル回線では、インターネット網を経由することがリスクとなる。そこでVPNだ。ソフトバンクではクラウドと親和性が高いVPNサービス「SmartVPN」を提供している。インターネット網を経由することなく、暗号化もされているため、通信は守られる。

もう1つの問題は通信の品質だ。モバイル回線は固定回線に比べると、場所や時間で品質が変化する。そこでソフトバンクはTwin、つまり2回線を併用することを選択した。ソフトバンクとドコモの2回線、あるいはソフトバンクを2回線、常時アクティブで用いることで品質を向上させる。齋藤氏は「タイプSDではソフトバンクとドコモの回線を使うため、問題が起きた時でも、もう片方のキャリアでカバーできます」とメリットを強調した。

「Twinアクセス」には、パケットコピー技術(PCC:Packet Copy Capsuled)という技術が採用されている。今回のサービスのためにソフトバンクとNECが共同開発した独自の通信プロトコルとなる。クラウド側に設置される局内終端装置とビジネス現場に設置される回線終端装置の間で、パケットを複製し、ロスしたパケットを相互に補完することでモバイル網内における不安定さを改善する。発信側となる装置でパケットを複製して2回線に同時送信し、受信側に早く到着したパケットで再構築する。現在、本サービスの一部においては、既に特許出願済だ。

パケットコピー技術

「2回線併用で品質向上につなげるという構想自体はより早い段階からありました。NECさんと共同開発を決めたのが2016年はじめです。新しいプロトコルで品質が向上できても、コストが高くついてしまっては意味がありません。モバイル回線で固定回線の品質に近づけつつ、コストを抑えることを念頭に開発しました」と齋藤氏は話す。

また、フィールドでの検証も入念に実施した。約1年半かけて、ビルが密集する場所、通勤で混雑している時間帯など、多くのフィールドテストを実施した。音声・データ事業推進部 森田裕二氏は「最終的には完成度を高めることができました」と自信を持って話す。

ユーザトライアルで「導入検討したい」が88%実運用に耐えうると多くが評価

ソフトバンクはサービスの正式提供開始を前にユーザトライアルを実施した。
参加したのは約50社。森田氏は「サービス利用後のアンケートでは『通信品質・速度に満足』と回答した企業は86%、『導入を検討したい』は88%に上り、「予想以上に好評でした」と手応えを感じている。

利用企業のなかには「従来のモバイル回線サービスにはない可用性を持っており、今後さまざまな場所で導入可能であると判断する。ただし、周りの電波環境に左右されるため、重要なシステムに適用できるかどうかは今後の動向に注目したい。全体を通じて、不具合等にも迅速に対応していただき、大変満足がいくトライアルだった」とのコメントもあった。

ユーザトライアル事例1 技術サービス業D社

実際のユーザトライアル事例を見ていこう。まずは技術サービス業のD社。顧客の工場に数ヶ月から半年ほど常駐し、機器の点検や検査を行う。作業現場が顧客企業内なので、電源は借りられても、ネットワーク回線までは借りられない。顧客の企業ネットワークに入り込むことになるからだ。当然、顧客先なので固定回線を引くこともできない。作業現場が工場のためか、モバイルの電波状況が良くないことも多かった。

これまでは作業現場からのデータ送信には、現場作業員が持参したモバイル回線を用いていたが、データ送信に時間がかかり、現場作業員の生産性を下げていた。本サービスを使用したところ、データのアップロード時間が従来の1/10に短縮できたという。現場作業員の作業時間もストレスも大いに減った。

ユーザトライアル事例2 ホテル予約システムの開発・運用 S社

次にホテル予約システムの開発と運用を行うS社。システムを利用するホテルからサーバまでの回線はメインを光回線、バックアップをADSL回線で構成している。先述したようにADSL回線はサービス終了となるため、代替サービスを模索しているところだ。

T社のシステム管理者は「(ADSL回線の代替として)モバイル回線をシングルで実運用することは厳しいと判断していましたが、本サービスで遅延の揺らぎが大幅に改善し、実運用で許容可能と判断しました。2キャリアを利用して通信の安定化を図るという狙いは成功だったのではないかと思います」とコメントした。

他にも期待されている用途が銀行ATMだ。実際に複数の金融機関がトライアルに参加して、本サービスを評価した。森田氏は「ATMは駅やショッピングセンターなどの片隅に設置されたりします。こうした場所では新たに固定回線を引くのは工事的にもコスト的にも難しいという事情があります。また通信量は少ないものの、通信回線は安定している必要があります。そこに本サービスはうまくご要望に応えられると思います」と話す。金融機関以外にも、催事場での期間限定利用や小規模店舗でも同様だ。

今後さらに求められる安全・高品質・手軽なオンライン環境

近年、小規模の小売店や飲食店でタブレットやスマートフォンを用いたレジをよく見かけるようになった。初期導入の簡易さに加えて、最近では電子決済が急速に普及している影響もあるだろう。

さまざまなヒト、モノ、コトがネットワークでつながる時代、ビジネスにはネット回線が欠かせない。また目まぐるしく変化するビジネス環境に対応するために、ネット回線にはどんな場所でもすぐに導入できる手軽さや柔軟さが求められる。

モバイル回線の手軽さがありつつ、固定回線に並ぶ品質があり、VPNで通信の安全性も確保されている「Twinアクセス」。本サービスが企業のネットワークを、そしてビジネスのスピードと柔軟性を下支えしていくことを期待したい。

PHOTO:河合信幸

■後記

2020年から段階的に開始されていく予定の次世代通信「5G」。本サービスは4Gを想定したサービスであるため、現在の装置では5G回線を利用することはできない。しかし、5G回線に対応するアップデートも視野に入れているという。大容量・低遅延の5G回線が利用できるようになることで、モバイル回線がさらに企業のネットワーク利用において存在感を増すことは、想像に難くない。

■関連リンク

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