ソフトバンクの竹芝新本社がスマートシティの実験場に。展示会場レポート|SoftBank World 2019

ソフトバンクの竹芝新本社がスマートシティの実験場に。展示会場レポート|SoftBank World 2019
  • ソフトバンクの竹芝新本社はスマートシティの実験場に
  • 「清掃ロボット」「水循環シャワー」etc…デジタライゼーションが暮らしを豊かに
  • 5Gによって「触覚」も伝えることが可能に

(2019年9月19日掲載)

「SoftBank World 2019」展示会場内のソフトバンクブースでは「Digital Japan 〜今、テクノロジーで日本を変える」と題して、「CITY」「VISION & TECHNOLOGY」「LIFE」「WORK」の4つのエリアで社会課題解決の最新ソリューションが紹介された。

今回の記事では、「CITY」と「LIFE」を中心に注目を集めていた展示をピックアップする。

【CITY】ソフトバンク×東急不動産による竹芝スマートシティの全貌が明らかに

ソフトバンク×東急不動産による竹芝スマートシティの全貌が明らかに

2020年に本社を竹芝エリアに移転するソフトバンク。それに向けて、東急不動産との共創による竹芝エリアのスマートシティ化計画が進んでいる。

「CITY」エリアでは、竹芝地区開発計画のコンセプトを紹介する動画とエリア全体のジオラマを展示。災害や緊急時の対応に最適化された最先端ビル、浜松町駅と竹芝駅をつなぐペデストリアンデッキなど、その全貌が公開された。

また、竹芝地区開発計画ではソフトバンクの最新テクノロジーが導入され、スマートシティを実現するための「実験場」となることが明らかにされており、展示された注目ソリューションを紹介する。

次世代IoT活用スマートシティ&スマートビル

次世代IoT活用スマートシティ&スマートビル

竹芝地区開発計画のキーテクノロジーとなるのが、「Vantiq」を用いたソフトバンクの次世代IoTシステムだ。「Vantiq」とは、リアルタイムビジネスを加速するソフトウェア開発のプラットフォームのこと。

従来の見える化などのシステムではデータを集めて可視化し、それを人が分析・処理していたが、それでは街全体のデータ処理は追いつかない。
今回導入される次世代IoTシステムでは、人の手を介さずにリアルタイム処理が可能となる。

例えば、電車の到着、祭事、天候不良といったエリア内で今起きている出来事の情報を集めて、リアルタイムに分析。どの場所、どの時間帯に、どのような属性の人がいるのかといった情報をリアルタイムで配信する。

これにより、エリア内の事業者はプラットフォーム上で混んでいるエリアの確認や店舗の空き状況などができ、効率的な店舗運営、広告配信につなげることができる。

さらに、スマートビルのソリューションにもVantiqのシステムが用いられている。

スマートビルのブースに集まる来場者

今回の展示では、カメラで館内のどの場所にどんな属性の人がいるのかを監視し、不審者を検知したらすぐに最寄りの警備員に通報されるシステムのデモンストレーションが行われた。人がデータを確認する手間がかからないため、迅速に効率的な対応ができようになる。

次世代IoTシステムによって、ビルの中、街の中で今起きている情報をリアルタイムに配信し、価値化していくことが可能となる。さらに、データの可視化によって街のにぎわいやブランド価値の把握にもつながる。ソフトバンクではこうしたIoT活用によるスマートシティの実現に今後取り組んでいく。

自動飛行ドローン&「センチメートル級測位サービス」

自動飛行ドローン&「センチメートル級測位サービス」

ドローンを用いた高所や危険箇所でのインフラ点検ソリューションは以前から登場しているが、今回展示されたソリューションでは、新たにAIによる自動飛行技術が追加された。それを可能にしたのが「センチメートル級測位サービス」だ。

RTK(※)技術と全国3,300ヵ所以上のソフトバンク独自の基準点を活用することで、測定の誤差わずか数センチメートルを実現。

※RTK…リアルタイムキネマティック。測位衛星と地上の基準点2ヵ所からの電波を送受信することで、測位精度を高める技術

この「センチメートル級測位サービス」によって、自動車の自動運転、ドローンの自動飛行の精度が増し、実用化に近づいた。竹芝地区開発計画では、敷地内のテラスでのドローン運用が予定されているという。

Vayyar 地滑り検知ソリューション「Displacement Sensor」&「Pointcloud」

「CITY」エリア内にはVayyar社が手がける3Dイメージセンサを導入した2つのソリューションも展示された。

高精度電波変位センサを応用した地滑りソリューション「Displacement Sensor」は、山の斜面や災害危険区域などに設置することで、誤差数ミリメートルレベルの変異量を測定できるソリューションだ。

Vayyar 地滑り検知ソリューション「Displacement Sensor」&「Pointcloud」

1ヵ所につき最小2つのデバイスを設置することで約20メートルの範囲をカバー。天候に影響されることなく、地滑りや災害が起こる前に変異を検知できるため、減災対策につながるといわれている。

「Pointcloud」は、超広帯域の無線周波数を利用した電波の反射波で、人や物の位置や物質などを特定するソリューション。壁を透過し、カメラを使用しないため、暗所や煙の中などでも対象物の検出ができる。ユースケースとしては、ビル内の居残り検知、エレベーターの混雑度測定などがある。

スマートシティを作る3D画像センサ:Pointcloud

リアルタイムに交通状況をモニタリング「Valerann」

リアルタイムに交通状況をモニタリング「Valerann」

道路上にセンサを組み込み、交通量や自動車の位置情報、車間距離などを可視化し、ドライバーや道路管理車にリアルタイムで通知するシステム。渋滞緩和、事故の抑止につながる最新のIoT交通ソリューションだ。

LED蛍光灯一体型の高機能防犯カメラ「IoTube」

LED蛍光灯一体型の高機能防犯カメラ「IoTube」

Wi-Fiと4Gデータ通信でリアルタイムにカメラ映像を転送し、遠隔地から映像を確認できるソリューション。2019年5月から東急大井町線に試験導入されており、車両内でトラブルが発生した場合の対応の迅速化につながっている。

【LIFE】デジタライゼーションで暮らしをスマートに

デジタライゼーションで暮らしをスマートに

AI、ロボット、IoTはすでに私たちの暮らしの中に広まりつつある。

「LIFE」エリアでは、ソフトバンクと世界中の企業の共創によって生まれた生活密着型の最新テクノロジーが紹介された。デジタライゼーションによって少子高齢化、労働人口の減少、災害対策といった社会課題をどのように解決していくのか。いくつかのソリューションを紹介する。

AI清掃ロボット「Whiz」

AI清掃ロボット「Whiz」

近年、清掃業界でも人材不足は大きな課題だ。そのソリューションとなるのが、自律走行可能なソフトバンクロボティクスのAI清掃ロボット「Whiz」だ。清掃ルートを記憶させると、2回目以降はスタートボタンを押すだけで自動清掃がスタート。センサが障害物や人の動きをキャッチし、回避しながら清掃していく。さらに、AIによって清掃効率を最大化。安心してビルの床清掃を任せることができる。

IoT福利厚生サービス「スマートマルシェ」

IoT福利厚生サービス「スマートマルシェ」

IoTを活用し、キャッシュレス決済が可能な福利厚生サービス。専用ラックに陳列されたお菓子やパンをPayPayや交通系電子マネーで購入できる。運用負荷がなく、従業員満足度の向上につなげることができるため、中小規模のオフィス、病院などへの導入が進んでいる。

IoT鍵遠隔管理サービス「スマカギ」

IoT鍵遠隔管理サービス「スマカギ」

複数の鍵を管理者が遠隔管理できるサービス。ソフトバンクのIoTプラットフォームを活用し、遠隔で解錠用暗証番号を発行、解錠権限付与などの設定が可能。鍵の紛失トラブルの削減や受け渡しのための人件費削減につながり、ホテルや民泊などで活用されている。

パーキング・シェア・サービス「BLUU スマートパーキング」

パーキング・シェア・サービス「BLUU スマートパーキング」

駐車スペースの予約から料金決済までスマホで完結するサービス。事前に目的地周辺の駐車場を探して予約ができるほか、リアルタイムで駐車場の空き状況を確認できる。駐車場探しと決済の手間を簡略化でき、スムーズな移動を実現するサービスだ。

高齢者の転倒を検知する「Walabot HOME」

高齢者の転倒を検知する「Walabot HOME」

Vayyar社の3Dイメージセンサを利用し、人の存在や転倒を電波で検出し、助けが必要な状態のときに自動でヘルプコールをするサービス。カメラを使用しないため、自宅のプライバシーエリアでも設置可能。高齢者の見守りサービスとして注目されている。

【VISION & TECHNOLOGY】遠隔操作を可能にする「触覚」を伝えるテクノロジー

「VISION&TECHNOLOGY」エリアでは、ソフトバンクが手がける2つの最新ソリューションの実機デモンストレーションが行われた。

「5G×力触覚付き遠隔操作」は、5G回線を使って遠隔地からロボットを操作する技術。遅延がなく、遠隔地の物体の力触覚、動作の記録や再生を正確に伝達できる。建設現場や倉庫などの省人化、効率化につながるソリューションとして開発が進められている。

リアルハプティクス(触覚技術)

「リアルハプティクス(触覚技術)」は、物体の触覚を離れた場所に正確に伝える技術。会場では、柔らかいスポンジと硬いスポンジの触感を伝えるデモンストレーションが実施されていた。将来的には、遠隔医療や農作物の収穫などに応用できるという。

リアルハプティクス(触覚技術)

【WORK】働き方を変え、生産性を上げるソリューションを多数紹介

働き方を変え、生産性を上げるソリューションを多数紹介

近年注目を集めている働き方改革。労働環境の改善、業務効率化を図るために、企業はテクノロジーを活用したフレキシブルな対応が求められている。「WORK」エリアでは、ソフトバンクが自社で導入しているソリューションを含めて、さまざまな最新テクノロジーのデモンストレーションが行われた。

AI・RPAの領域では、AI導入支援ソリューション「フレームワークサービス」やAI画像認識ソリューションなどを展示。

AI導入支援ソリューション「フレームワークサービス」やAI画像認識ソリューションなどを展示

コミュニケーション領域では、ピュアクラウド型ビジネス電話システム「Dialpad」、AIによるチャットボットやコールセンター向けソリューションなどが紹介された。このほか、ロケーション分野、セキュリティ分野でも最新サービスのデモンストレーションやセミナーが開催されていた。

後記

「SoftBnak World 2019」の2日間、常に多くの人でにぎわっていたソフトバンクの展示ブース。すでに実用化されているサービスから、近い将来の実用化を目指すサービスまで40を超えるソリューションが展示された。中でも、2020年のソフトバンク本社移転に関連する展示には多くの人が注目。スマホの登場によって人々のライフスタイルが変わったように、スマートシティの実現によって暮らし方、働き方が再び大きく変わろうとしていることを、会場にいた多くの人がリアリティを伴って実感したに違いない。5G、IoT、AIの組み合わせによって今後どのようなソリューションが登場するのか、期待したい。

関連リンク

SoftBank World 2019

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