ニューノーマル時代の事業継続 ーソフトバンクの新たな営業手法とはー

2020年8月12日掲載

目次

現在、「ニューノーマル」と呼ばれる新たな日常が始まりつつある。「ニューノーマル」とは2008年のリーマンショックの際、世界経済が回復しても以前の姿には戻れない、との意味で生まれた言葉であるが、今回のコロナ禍ではリーマンショック時以上の大きな変化があらゆる領域に押し寄せている。 ビジネスにおいては、テレワークをはじめ、従来とは違う発想で事業の生産性を向上していく必要性に迫られている。これからのニューノーマル時代で事業継続していくために、企業はどのように変化していかなければならないのだろうか。

中堅・ベンチャー企業経営者の支援を目的として設立されたダイヤモンド経営者倶楽部 7月定例会においての、ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井康之の講演を抜粋し、ニューノーマル下での事業継続について考えたい。

事業継続にむけたソフトバンクの取り組み

冒頭で今井は、ソフトバンクのテレワークの取り組みとテレワークを体験した社員へのアンケートの結果を説明した。

今井「ソフトバンクは、約10年前から『いつでもどこでも働ける環境』を目指し、iPhoneやiPadでの業務体制の構築やペーパーレス化、RPAによる定型業務の自動化といった環境整備を進めていました。その結果として、コロナ感染の拡大期にはソフトバンクショップ、ワイモバイルショップを除く全従業員のテレワークを実現し、在宅勤務率は95%を達成しました。感染状況が落ち着いた時期でも出社人数は50%以内になっています。現状、お客さまとの打ち合わせも83%がオンラインでの実施です。」

「在宅勤務時に気になるのが業務の生産性がどう変化したのか、という点ですが、在宅勤務を実施した社員を対象にしたアンケートでは、個人の生産性に関しては約80%が『向上・変化なし』、組織の生産性についても約70%が『向上・変化なし』との回答となりました」

今井「このような経験をふまえ、ソフトバンクはテレワークに関するさまざまなご要望にお応えする『SoftBank Telework Support』という施策を展開しています。リモート会議やリモート営業を支援するZoomミーティングやG Suite 、使い慣れたアプリでコミュニケーションを活性化するLINE WORKS、リモートに伴うリスクを排除するセキュリティ強化ソリューションなどを、お客さまのニーズにあわせて無償や割引で提供しています。」

今井「在宅勤務を推進する一方で、機密情報を取り扱ったり、保守対応をする部門、コールセンターや、押印作業が必要となる社員は出社せざるを得ません。出社が必要な社員の安全を確保するのは、会社の責任です。このニーズにこたえるのが、AI温度検知ソリューション『Sense Thunder』です。 約11万の温度点から額の位置を検知し、サーモグラフィだけでなくAIが体表温・室温などから体温推定AIを活用して、わずか0.5秒で顔認証と体表温度の検知を行います。マスク着用での顔認証も可能です。 『Sense Thunder』は、企業だけでなく、官庁、病院といったさまざまな施設やシーンで導入が決定しています。」

ニューノーマル時代の営業手法ーハイブリッド営業へ

ソフトバンクの法人事業は、在宅勤務や社員の健康管理といった課題にテクノロジーをもって対応していく一方で、ニューノーマル時代にむけて営業手法も進化させているという。

今井「ニューノーマル時代の課題は営業活動です。これまでは、直接お客さまと会ってこその営業という先入観がありましたが、今や、営業現場では、オンラインとオフラインを融合させた『ハイブリッド営業』が効果を発揮しています。

具体的には、ウェビナーにより1対多数のお客さまへのアプローチを行うことが可能となりました。先日実施した日本マイクロソフト社との共催ウェビナーへの参加者数は、1,200名を超えました。オフラインに比べ、圧倒的多数へアプローチできる環境が整いつつあります。商談もオンラインで実施することによって、場所にとらわれず効率的に実施できるようになりました。 さらに、このような活動で集めた顧客データに、Web行動履歴や営業活動情報、企業情報を掛け合わせて興味関心をスコア化し、ターゲティングを精緻化することで、成約効率を高めることができます。ターゲティング予測分析の実施以前と比べ、メールマーケティングでのクリック率は約3倍になりました。

メールマーケティングとオンライン商談を組み合わせたハイブリッド営業で、問い合わせ後10日でスピード受注が決まった案件もあります。ニューノーマル時代における営業手法は確実に進展しています。」

今井「営業は、まだまだお客さまと直接会わなければとの意識が根強いですが、B to B における購買意識は変化しています。ある調査では、顧客の70%がオンライン購買に抵抗なしという結果もでています。顧客の意識、そして時代は大きく変わりつつあります。

この流れはコロナ禍の影響で急激に加速してはいますが、実は、将来的に普及したであろう営業手法が、前倒しで確立されつつあるというだけです。我々はもう以前の営業手法に戻ることはないでしょう。」

出典)BAIN&COMPANY社 B2B買い手(=240)と売り手(=66)に対するBain-Dynateのサーベイ 出典)BAIN&COMPANY社 B2B買い手(=240)と売り手(=66)に対するBain-Dynateのサーベイ

最後に、今井は次のようなメッセージで講演を締めくくった。

今井「ビジネスのデジタルシフトは確実に進んでいます。ケータイがスマホになり、オンプレミス環境がクラウドになるように、アナログな営業手法はデジタル化していきます。 デジタル化しない企業はこれからの存続価値が危うくなる、そんな世界がきています。ニューノーマルを生き抜く企業として、ともに企業のデジタルシフトを推進していきましょう。」

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