ソフトバンクのグループ企業CEOが語る、データとテクノロジーによって変革する社会|SoftBank World2020ダイジェスト

SoftBank CEO Summit ソフトバンクのグループ企業CEOが語る、データとテクノロジーによって変革する社会|SoftBank World2020ダイジェスト

(2020年11月26日 掲載)

目次

コロナ禍をきっかけに日本企業での働き方が大きく見直される中、ソフトバンクのグループ各社は今後どのように舵を切っていくのか。

SoftBank World 2020の特別プログラム「SoftBank CEO Summit ソフトバンクのグループ企業CEOが語る、データとテクノロジーによって変革する社会」では、ソフトバンクグループ傘下のZホールディングス、SB C&S、SBテクノロジー、PayPay4社のCEOと、ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙、代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井 康之によるパネルディスカッションが行われた。本記事ではセッションの内容をダイジェストで紹介する。(本講演は、2020年11月29日、30日に「東京ポートシティ竹芝 ポートホール」よりライブ配信された。)

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙

宮内 謙

ソフトバンク株式会社
代表取締役 社長執行役員 兼 CEO
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井 康之

今井 康之

ソフトバンク株式会社
代表取締役 副社長執行役員 兼 COO
Zホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO ヤフー株式会社 代表取締役社長 CEO 川邊 健太郎 氏

川邊 健太郎 氏

Zホールディングス株式会社
代表取締役社長 CEO
ヤフー株式会社
代表取締役社長 CEO
SB C&S株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 溝口 泰雄

溝口 泰雄

SB C&S株式会社
代表取締役社長 兼 CEO
SBテクノロジー株式会社 代表取締役社長 CEO 阿多 親市 氏

阿多 親市 氏

SBテクノロジー株式会社
代表取締役社長 CEO
PayPay株式会社 代表取締役 社長執行役員 CEO 中山 一郎 氏

中山 一郎 氏

PayPay株式会社
代表取締役 社長執行役員 CEO
ファシリテーター 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ 上席研究員 大和田 尚孝 氏
ファシリテーター

大和田 尚孝 氏

日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ
上席研究員

コロナ禍における働き方の変化

コロナ禍における働き方の変化|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

——まずは「最近の企業の働き方の変化について」。コロナ禍での各社の取り組みをご紹介ください。

川邊氏:情報技術を駆使した新しい働き方に完全に移行しました。それに伴い、2014年に導入した「どこでもオフィス」(オフィス以外の好きな場所で働ける制度)は回数無制限とし、フレックスのコアタイムも廃止。一方で、ヤフー以外で本業に従事する人材を副業として受け入れる「ギグパートナー」の募集を開始し、10〜80歳まで4,500名以上の応募がありました。

「どこでもオフィス」については生産性向上を示すデータもあります。昨年4〜9月と今年4〜9月の私自身の業務状況を比較したところ、1日15%ほどを占めていた移動時間が激減。その分、業務対応可能量(社内業務に割く時間)が59.1%から78.8%に上がりました。今夏に「オンラインに引っ越します。」と銘打った新聞広告を打ち出しましたが、企業が新しい働き方を取り入れるためにも、一斉にオンラインへ引っ越しすることを我々はおすすめしたい。

情報技術を駆使した「新しい働き方」に移行|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

溝口:当社は3年前から在宅勤務に取り組んでいました。しかし実際にはなかなか思うように進まず、昨年には「オフィスを半分にする」とも宣言しましたが、それでもなおブレイクスルーは起こりませんでした。

そんな最中でコロナウィルスが流行しました。テレビ会議、Web会議などのインフラを整えながら「原則在宅勤務」へ移行しています。お客さまへのコンタクトの数、メーカとのセミナーの数がともに1.5〜2倍に増えるなど、生産性向上も実証されました。

まだ現実的な課題はあると思いますが、ウィズ コロナのうちに、今あるテクノロジーを積極的に使い、大胆にチャレンジしてみる姿勢が大切です。

新型コロナウィルスへの対応 速やかな「原則在宅勤務への移行」|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

阿多氏:セキュリティの観点からお話したいのですが、これまで多くの企業においては、受付会議室のようなレベル1からデータセンターのレベル5まで、5段階の境界型で社内セキュリティが保たれていました。

しかし、これからデータもアプリケーションもクラウド上にあるという世界に進んだときには「安全な場所はない」という前提に立ったゼロトラストセキュリティへ移行しなければなりません。

現状、我々はレベル4・レベル5にあるお客さまのシステム運用をお預かりしていますが、そのレベルになるとなかなか全員在宅というわけにもいかないでしょう。DX、そしてクラウド化を進め、ゼロトラストを考えていただく、そのことが我々にとっての命題です。

従来の境界型セキュリティからゼロトラストセキュリティへ|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

中山氏:当社ではこの状況のなかWeWork神谷町トラストタワーに移転すると同時に、新しい勤務制度「Work From Anywhere at Anytime(WFA)」を導入。自宅あるいはサテライトオフィスは「作業をする場所」、本社オフィスは「チームワークによる新しい価値を創出する場所/従業員のエンゲージメントを高める場所」と再定義し、原則在宅勤務に切り替えています。

東京では約1,000名が働いていますが、本社の座席数は250しかありません。当社社員は約30ヵ国の国籍の方で構成されていますが、これからは日本にありながらグローバルスタンダードを追求する、そんな働き方を進めていきたいと考えています。

オフィスのありかたの再定義|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

——各社の新しい働き方についてお話しいただききました。これを受け、ソフトバンクとしていかがでしょうか?

今井:ソフトバンクの在宅勤務率は全社で76%、本社で83%です。法人事業を担っている我々としては、テレワークの仕組みなどを含め、我々自体がどんなことをやっているのかを紹介しながら、お客さまに対するサポートをしています。

そんな中、昨年に比べ当社のお客さまへのコンタクト率は5倍、オンライン商談の数も1.2倍に増えました。今日この場にソフトバンクグループのCEOにお集まりいただきましたが、これからもグループの知恵を結集し、お客さまの働き方のサポートをしていきたいと考えています。

ソフトバンクの在宅勤務率|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

宮内:働き方という観点でのパラダイムシフトが本当に起こった年だったと感じています。また、アフター コロナになっても働き方は元には戻らないと思います。

ソフトバンクの働き方の方針としては、とにかく「自由」で「超フレックス」。そのためにデジタルシフトが必要で、それによって紙の資料や来客へのお茶出しといった「無駄な作業」なくなってきました。

先般、WeWorkにて全国 6 都市 30 以上の拠点を自由に利用できる「All Access」プランが発表されましたが、そうした場所・時間にとらわれない働き方をこれからも追求していきたい。本当に安心してどこでも自分の力を発揮できる場所——それこそビーチの前のほうが力を発揮できる人はそこで開発作業を行えるような、そんな時代を作りたいです。

ニューノーマル時代のデータ活用・データの重要性

ニューノーマル時代のデータ活用・データの重要性|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

——ニューノーマル時代におけるデータ活用、データの重要性については、皆さんはどのようにお考えでしょうか。

川邊氏: 2018年1月、ヤフーは「データの会社になる」と宣言しました。いまやYahoo! JAPANは「データドリブンの塊」。当社では600名の社内データサイエンティストがアルゴリズムを発見し、その後AIが24時間365日少しずつ改善していく、そんなサイクルでデータドリブンによるサービス開発を進めています。

その取り組みにおいては、一見すると「人間がやったほうがもっといい成果が得られそう」みたいなケースが発生しがちですが、実はそこが最大のポイント。

なぜならば最初こそ「0.01%」の成長でも、年数をかけ続けていくと“複利”で巨大な成長がやってくるから。皆さまにもソフトバンクのいろいろなソリューションを使い、この複利で得られるデータドリブンの果実を享受いただきたいです。

Yahoo! JAPANのサービスはデータドリブンの塊|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

薬600名の社内データサイエンティストが毎年様々なデータ利活用を研究・実用化|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

溝口:当社はソフトバンクショップに並ぶアクセサリーの企画・製造・販売を担っているのですが、以前ショップから「欠品率が高い」とのクレームをいただいたことがあります。いろいろと対策は講じたのですがなかなか欠品率は下がらず…。それでショップごとのユーザデータと売上状況を把握した上でアルゴリズムを組み、ビッグデータとAIで解析したところ、欠品率が18%から3%へと大幅な改善が見込まれました。当然それに伴い、お客さま満足度も向上しました。

不良在庫も減り、営業が週に1回実施していた打ち合わせもいっさいなくなりました。情報効率化のみならず、今までできないと思っていたところにもビッグデータとAIを使うと、新しい生産性を強烈に生むことができますので、データ活用は非常に大きな可能性を秘めていると感じております。

定型業務をAI・RPAへシフト|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

阿多氏:当社が参画する東京竹芝の「Smart City Platform」のプロジェクトには「VANTIQ」というソリューションが実装されています。 これは人や街中に配置された機械やIoTデバイスをリアルタイムに監視し、都市機能を制御するさまざまなリアルタイム・アプリケーションを開発、運用できるプラットフォームです。

本プロジェクトでは「データをどう使うのか」をみんなで知恵を絞りました。データを何に使うのが最も意味があるのか、天気、電車遅延、渋滞などの情報をどういうタイミングでお知らせするのがベストなのかなど、実にさまざまな議論が交わされました。

まだまだ先の長い大きなプロジェクトですが、このプロジェクトを通じ、データ活用の重要性を示していきたいと考えています。

Smart City Platform|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

中山氏:これからは数字を含めたデータで意思決定していくのが最も効率的で合理的な判断になると考えています。そのためにも当社は、プロダクトも営業もマーケティングもすべてデータドリブンで意思決定をしています。例えばコロナ以降、オフィス街で行われていた決済はオンラインと市街地に分散化が進んでいるのですが、こうしたことも私たちはデータで確認しています。その上で、的確に必要なプロダクトをタイムリーに出していこうと考え、2020年6月には飲食店向けの事前注文サービス「PayPayピックアップ」をリリースしました。 PayPayはデータがなければ事業ができません。それほどデータの力は大切だと思っています。

テイクアウト需要に迅速に対応|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

——ソフトバンクとして、いかがでしょうか?

今井:これからは産業の中にあるコミュニケーション、これらがすべてデジタル化していくでしょう。我々は今デジタルオートメーションとかデジタルマーケティング、そういうものをお客さまに提供しています。データやAIを抜きにして企業の成長はあり得ません。データをきちんと管理・運用できる企業だけが生き残れる、そのような方向に進んでいくのではないでしょうか。

宮内:これからはここに集まった5社によるネットワークの世界が到来します。今はコンシューマの世界で「5Gは速い」ということが注目されていますが、5Gの本質は「大容量多接続と低遅延多接続」。これが本当に実現できると完全にモノがデータ化されると同時に作業をコンピュータに置き換えられるようになります。デジタルデータ化しない限り改革はできないと言っても過言ではありません。

各社が考える未来への貢献

各社が考える未来への貢献|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

——最後に、皆さんが考える日本の未来について、そしてその未来に各社がどのように貢献していきたいか、お話しください。

川邊氏:当社は新たにLINEとの経営統合を予定しています。当社とLINE、そしてソフトバンク、韓国最大手の検索ポータルサイトを運営するNAVERを含めた4社の技術を融合すれば、世界をリードするAIテックカンパニーになっていくことができます。 そして、企業のDXや企業同士のデータ連携の助けになるようなAIサービスをこれから共同開発・提供していきたいと思っております。

日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーへ|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

溝口:クラウドの分野で日本は遅れをとっています。このままではいつまで経っても企業の生産性が上がらない。インフラとしてのソフトウェアを日本に普及させることが、我々のできる貢献だと思います。今はその1つとして「ClouDX」というプラットフォームを作りました。それにより、メーカとエンドユーザがダイレクトにつながり課金処理の手間を省くことができるようになります。おかげさまでサブスクライバー数は500万超を見込んでおります。ここを徹底的にドライブし、日本の企業の皆さんがクラウドサービスを自由に使える、そういう文化を作っていきたいと思っております。

クラウドサービスの拡大|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

阿多氏:全社員の80%がSEである当社では、3年に1度「10年後どうなっているか」を全社員で議論します。2年前に出た答えは「SEはいらなくなる」でした。これから情報システム部門は事業部門に駆り出されていきます。

当社社員がどんどんとそっち側に移っていったとき、我々は単なるSEではなく、ITや5Gを駆使しながら「システムをデザインできる力」が試されます。一番はソフトバンクグループに対しての貢献ですが、グループ以外でも建築関連や製造業、農業という部分で貢献していきたいと考えています。

豊かな情報化社会の実現|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

中山氏:PayPayは自治体と協力しながら「あなたのまちを応援プロジェクト」というキャンペーンを打ち出しています。この先はやはり日本の行政のデジタル化をPayPayが支援していきたい。PayPayであれば24時間365日いつでも行政サービスが受けられる、そうした価値を全国に広げていきたい。そしてキャッシュレスで日本を元気にしていきたいです。いつでもどこでも使える、そんなPayPayの世界観を築いていきます。

あなたのまちを応援プロジェクト|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

——最後にソフトバンクのお二人からも、今後世の中にどう貢献していきたいか、教えてください。

今井:やはりソフトバンクとしてはさまざまな生活産業でDXのユースケースを生み出していかなければいけません。そのためには行政の皆さまの力も必要です。今は54の自治体と包括連携協定を既に組んでおりますが、行政の皆さまが実際にデジタル化していく、それによって人々の生活がデジタルで利便性が良くなっていく、そうした日本を作り出していきたいです。

課題はたくさんありますが、このコロナの時期に行政の考え方ががらっと変わり、みんなでやろうという気運が生まれています。当社の「4つの基盤」を強みとしながら、そこに暮らす人、働く人、そして新たな産業のため、ソフトバンクグループのソリューションを結集させていきます。

DXを実現する4つの基盤|SoftBank World 2020「SoftBank CEO Summit」

宮内:まさしくSDGs、サステナブルな成長に尽きるのだと思いますが、その意味でも非常に重要な先端テクノロジーになってくるのが5Gです。日本は製造業、建設業、サービス業、そのどれをとっても品質が高いのですが、デジタル面では少しビハインドなところがあります。

我々が向かうべき進路は、DXのノウハウそのものを世界に持って行けるような未来。「将来の日本はどうなるんですか?」ということについて、私は非常にポジティブです。コロナ前後の変化は日本が一番だと思います。朝9時に出社して仕事して……という世界が180度変わりました。だからこそ今置かれている状況は、デジタルシフトを一気に進められるチャンスでもある。あとはそこに日本の産業界の優秀さを掛け合わせれば、日本の未来は相当に明るいと思っています。

後記

ソフトバンクグループのトップが一堂に会したパネルディスカッションは、日本の未来を予測する上で非常に力強い言葉に満ちあふれたセッションとなった。
SoftBank 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内は、働き方改革やデジタルシフトに遅れをとっている日本だからこそ、コロナ禍は「変革のチャンス」であり「日本の未来は相当に明るい」と提言した。その変革の大きさは誰もが肌で感じていることだろう。この機を逃してはいけない。

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