(2020年11月11日掲載)
コロナ禍で働き方が大きく変わった。在宅勤務やオンライン会議が増えたことで、社内外のどこからでも速やかに業務ができる安全なネットワーク環境を整えることは、企業にとって急務だ。
本記事では、次世代ネットワークやデジタルワークスペース、コールセンターのデジタル化といったソリューションを提供する企業による4つのセッションをダイジェストで紹介する。
目次
眞﨑浩一氏DX時代の次世代ネットワーク戦略
執行役員 エンタープライズ ネットワーキング事業担当
コロナ禍で、リモートワークとオフィスワークが混在するワークスタイルのハイブリッド化が加速しました。これに伴い、企業のマルチクラウド化が進むとともに、クラウド環境へどこからでもスムーズかつシームレスにアクセスできることが不可欠となりました。
近年では、テレワークに端を発するID・パスワードの不正流出や情報漏えいリスクも高まってきています。これらを解決するためには、ネットワークが正常かつ安全に動作しているのか、現在と過去のトラフィックの状況を確認できなければなりません。つまり、ネットワークを「可視化」できることが重要です。
シスコシステムズではネットワークをより効果的に制御できるソリューションを提供しています。オフィス(キャンパスサイド)やテレワーク環境、クラウドサイド、そしてそれらをつなぐWANの部分、それぞれ3つの領域で「Cisco DNA Center」「Cisco SD-WAN」「Cisco ACI」といったSDN(Software-Defined Networking)を開発してきました。
「Cisco DNA Center」がオフィス(キャンパスサイド)やテレワーク環境でルーターやワイヤレス機器の管理・自動化を行い、「Cisco SD-WAN」がキャンパス間・クラウド間を取りまとめる。そして、「Cisco ACI」がデータセンターを管理します。
さらに、LAN・WANネットワークからクラウドサービスまでエンドツーエンドで可視化するツールとして「ThousandEyes」というアクティブモニタリングのソリューションを買収しました。
DXを進めるにあたって重要なのは、自動化による俊敏性とセキュリティ、そして導入後の柔軟性です。これらを網羅することが次世代ネットワークとして重要な基盤となります。こうした考えの下、シスコシステムズでは製品開発を進めています。
企業におけるゼロトラスト適用手順「はじめの一歩」

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佐野誠治 氏
株式会社ソリトンシステムズ
プロダクト&サービス統括本部 部長
IPアドレス制限で社外からの通信を制御していた場合、テレワーク社員の全員が毎回VPN回線へアクセスする必要があり、回線の逼迫(ひっぱく)、業務の遅延が起こります。
社員の生産性とセキュリティを両立するためには、IPアドレス制限に頼らず、情報資産へのアクセスを都度検証する、ゼロトラスト型のセキュリティモデルが求められています。
ゼロトラストモデルを導入するためには、「ID認証基盤の整備」「エンドポイント・セキュリティの強化」「VPNなしでも社内システムへアクセスできる手段の設定」「クラウド利用の監視」の4つのSTEPがあります。
ゼロトラストモデルでは社内ネットワークを介さずにクラウド上に存在する情報資産にインターネットから直接アクセスするので、利用者認証に加えて、正しいデバイスかどうか、ユーザに不審な振る舞いがないかなど複合的な要素で検証することが求められます。
ソリトンシステムズでは、日本企業でも導入しやすい社内アクティブディレクトリ連携、デジタル証明書認証、FIDO2認証、社員のスマホで利用できるAuthenticatorアプリ、リスクベース認証をサポートしたIDaaSサービスとして「Soliton One Gate」をリリースしています。
「Soliton One Gate」において利用者が情報資産にアクセスする際は、デジタル証明書によるデバイス認証、MFA/ADアカウントによるユーザ認証を受けると、アクセス権限に応じたクラウドアプリが利用できます。この3ステップでクラウドアプリへの不正アクセスを確実に防止できます。デジタル証明書は認証サービスにアクセスするための暗号化通信確立の際にチェックされ、不正な証明書であれば通信が確立できず、攻撃者はログイン画面に辿りつくこともできません。
境界型セキュリティからゼロトラスト型セキュリティへの移行をご検討する際には、ぜひソリトンシステムズにご相談ください。
デジタルワークスペースを実現するカギとは

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荒堀太郎 氏
ヴイエムウェア株式会社
エンドユーザ コンピューティング営業部
シニア セールススペシャリスト
新しいワークスタイルが広がる中で従業員をITで支援するには、多様なデバイス、あらゆるアプリケーションを用いて、ユーザがあらゆる場所からアクセスして業務できる環境が必要です。一方で運用の課題となるのがセキュリティ面です。こうした課題を解決するデジタルワークスペースは数多く存在していますが、ポイントソリューションではなく全体を包括していることが重要です。
デジタルワークスペースを作る上で重要となるポイントは、「最新のIT環境」「従業員のデジタル体験」「ゼロトラストセキュリティ」の3つです。ユーザはどこからでもどんなデバイスからでも作業ができて、かつ管理の手間もかからないこと。そして、これまでのように会社のネットワーク内だけを強化するのではなく、さまざまな場所からアクセスできるように1つずつチェックポイントを設けて検証することが重要になってきます。
この3つのポイントを満たしたデジタルワークスペースプラットフォームが「VMware Workspace ONE」です。場所や時間が分散する働き方が広がる中で、あらゆるアプリケーションをシンプルかつセキュアに管理できます。デバイス管理、アクセス管理、マルチプラットフォームのエンドポイント管理などの機能が統合されており、オンプレミス環境への展開も可能です。
例えば、新入社員が入社するときは個別に書類やメールをやりとりして手続きを進めることが多いですが、「VMware Workspace ONE」を活用すると、必要な手続きを全てアプリケーション上で完了し、業務に必要なアプリがインストールされた状態でデバイスを渡すことも可能です。
デジタルワークスペースを実現するためには、「物理的な制約のない組織を実現する」というマインドが必要です。既存の社内ネットワークに閉じるだけでなく、広い世界で拡張していける準備をしておくことが重要になります。
withコロナで進むコールセンターのデジタル化

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村田健太郎 氏
株式会社ベルシステム24
ソリューション推進本部 マーケティング部
新型コロナウイルスによって、在宅コールセンターは従来の数十倍となる約1,000席まで拡張しています。在宅コールセンター業務のうち70%はノンボイス、つまりチャットやメール、事務処理であり、さらにノンボイスの80%は個人情報を取り扱わない業務です。
在宅コールセンターがこれまでなかなか広がらなかった理由として、セキュリティ、品質管理、システムの3つの課題がありました。当社ではこれらの課題を解決することで、お客さまのコールセンターの安定的な運営をサポートし、在宅コールセンターを今後3年間で4,000席に拡張していきたいと考えています。
今後5年間でテキストチャットでの問い合わせが2倍に増えると見込んでいます。こうした状況に対応するソリューションとして「拡張型のチャットボット」が挙げられます。
「拡張型チャットボット」は従来のFAQ型のチャットボットを拡張し、ログイン認証のほか、基幹システムやコールセンターと連携することでログを残したり、返答したりすることが可能になります。定形的な業務は「拡張型チャットボット」で対応し、イレギュラーな対応が必要な問い合わせに対しては人が対応することで業務の効率を上げることができます。
また、音声の問い合わせに対するソリューションとして注目されているのが、AIにトークスクリプトなどを読み込ませ、電話の応対そのものを自動化する「ボイスボット」です。
例えば、ある情報通信系のお客さまの事例では、全ての問い合わせに共通する用件確認と本人確認の部分をボイスボットで対応することで、コールセンターのリソースを約15%削減することができました。
また当社は、2020年8月12日に無料、かつ最短即日で利用開始できるボイスボット「ekubot」をリリースしました。コールセンターの安定的な運用を目指すなら、在宅コールセンター、拡張型チャットボット、ボイスボットをぜひご検討ください。
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