コロナ禍の今、訪れたデジタルシフトのチャンス|SoftBank World 2020ダイジェスト

SoftBank World 2020  宮内・今井基調講演

(2020年11月27日掲載)

目次

コロナ禍を乗り越えるために企業は今、何をすべきか。「SoftBank World 2020」の基調講演でソフトバンク CEO 宮内 謙は「デジタル化に適応した企業がこの時代を生き残る」と語った。また、COOの今井 康之は「困難を乗り越えるカギとなるのがデジタルトランスフォーメーションである」と語った。

本記事では、ソフトバンクの自社の取り組みや、パートナー企業との共創事例を挙げながら、企業のデジタルシフトについて語られた両名の基調講演の内容をダイジェストで紹介する。 (本講演は、2020年11月29日、30日に「東京ポートシティ竹芝 ポートホール」よりライブ配信された。)

【宮内 基調講演】デジタルシフトで日本は変わる

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙

宮内 謙

ソフトバンク株式会社
代表取締役 社長執行役員 兼 CEO

コロナ禍でいろいろな変化がありました。デジタル化している企業は簡単にリモートワークができますが、そうでない企業は営業活動すらできなくなってしまう世界になりました。デジタル化に適応した企業がこの時代を生き残ることができるのです。

現在の日本は、世界と比較してICT投資額やIoT導入率が低く、その差は年々拡大しています。この遅れに悲観する必要はありませんが、我々はがんばらないといけないところに来ていると思います。

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これから世の中を大きく変えるのは5Gネットワークです。今後3年で5Gネットワークが全国どこでもつながるようになり、モノとモノがつながる世界がやってきます。その膨大なデータを処理するのはAIです。また、RPAを導入して毎日繰り返す作業をコンピュータに置き換えることが世界では当たり前になっています。我々が取り組むべき課題はたくさんあるのです。

デジタル化を行う上での障壁として、「過去からの慣例」「業務特性上できない」といった声がありますが、実はそんなに難しいことではありません。高品質な製品やサービスを生み出してきた日本企業であれば、こういった課題を乗り越えていけるでしょう。今はデジタルシフトをする、まさに一番の好機です。チャレンジングですが、これは絶対に避けては通れない重要なことだと思っております。

ソフトバンクでは10年以上前から、本格的に働き方をデジタルシフトする取り組みを行ってきました。iPhone・iPadの導入、クラウドの活用などによって、いつでもどこでも働ける環境を作りました。

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近年進めているのがAIの活用です。 すでに人事、技術、営業、コールセンターでもAIを使い、省力化を図っています。また、昨年からRPAを活用する「デジタルワーカー4000プロジェクト」を進めており、すでに2000人工分の仕事を生み出しています。

SoftBank World 2020  宮内講演3

このようにデジタルシフトを推進してきたので、コロナ禍でリモートワークに切り替わった最初の1カ月は戸惑いがあったものの、それ以降は完全リモートワークで仕事ができると確信しました。

2020年、ソフトバンクはさらなるデジタルシフトを進めています。まず、業務を加速させるために、コミュニケーションを密にするツールとして、Slackを全社導入しました。使ってみるとやっぱりすごい。世界中のグループ社員がSlackを活用することで、グループシナジーを創出しやすくなると思っています。

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営業部門では、オンラインとオフラインを融合したハイブリット営業にシフトしています。マーケティングからセールスまでをデジタライゼーションすることで案件発掘、商談、契約、運用などの効率化を図った結果、商談数は去年の1.2倍、トータルの顧客コンタクト数は5倍になりました。

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ソフトバンクショップでは、Zoomやクラウドを活用してオンラインスマホ教室を開催し、高い顧客満足度を維持しています。また、量販店でのイベントをリアルタイムで多拠点へもオンライン配信することで、イベントによる獲得実績もアップしています。

コールセンター業務では、機密情報を扱う業務は実際のコールセンター、機密情報を扱わない業務は在宅勤務とするハイブリッドコールセンターになりつつあります。また、機密情報を扱う業務においても、AI顔認証カメラを導入し、セキュリティ環境をしっかり整えた上で在宅勤務を拡大していく検討も進めています。

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基地局の建設業務や保守業務でもデジタルを徹底活用しています。電波のチューニングを手動で行うと1日30局ほどしか対応できなかったのが、AIを使うことで1日600局のチューニングが可能になりました。こういったデジタル活用により、技術部門の社員1000名ほどが新規事業などへシフトしました。

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このように、我々自身がデジタルシフトをまさに体験しており、その効果を体感し、ノウハウを熟知しています。あらゆる環境下でのデジタルシフトを皆さまに提供することが我々の使命であると思っています。ソフトバンクが持つプラットフォームやソリューションを組み合わせて、日本全体のDXを図っていきたいと考えています。

【今井 基調講演】DXがもたらす社会の変革

ソフトバンク株式会社代表取締役 副社長執行役員 兼 COO
今井 康之

今井 康之

ソフトバンク株式会社
代表取締役 副社長執行役員 兼 COO

コロナ禍でさまざまな産業がビジネスモデルの変革の必要性に直面しています。小売ではeコマース、飲食ではフードデリバリー、不動産ではオンライン内見などを取り入れなければならない状況です。

この困難を乗り越える鍵となるのがDXです。ソフトバンクでは約3年前にデジタルトランスフォーメーション本部を作りました。いろいろな業界、企業の現場に入り込み、共創とテクノロジーで社会変革を起こすという手法を取っています。

今回は、ソフトバンクが共創で取り組んでいる産業と街のDXをご紹介したいと思います。

まず、物流のDXです。物流業界では今後120万人の労働力が不足すると言われており、従来のやり方では人手不足を解消することはできません。そこで、物流業界全体のDXを推進することで課題解決を目指します。

1社目はソフトバンクの出資先であり、荷主とドライバーをマッチングするサービス「Pick Go」を提供するCBcloudです。ドライバーを約1分で見つけることができ、ドライバーの評価も可視化されているので安心して取引ができます。この会社は急成長しており、現在登録ドライバーは2万人を超えています。

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2社目はソフトバンクの100%子会社で、AIによる配送効率化を取り入れているMagicalMoveです。位置情報や指定時間などをAIが分析し、最適な配送ルートや荷物の置き場所を示すことでドライバーの業務を効率化します。注文当日に受け取りが可能で、早朝から深夜の配送にも対応。98%という高い顧客満足度を達成しています。

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3社目は日本通運様とソフトバンクで設立した新会社MeeTruckです。中小運送会社向けのクラウド型配車支援サービスを提供します。物流業界は大きな配送会社の下に一次受け、二次・三次受けがあり、多くの中小の運送事業者が活躍していますが、その7割以上が配車管理システムを導入していません。この部分に着目し、使いやすいシステムを作り上げることを目指してスタートしました。

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次にご紹介するのは製造業のDXです。工場のオートメーション化が進む一方で、人に頼らざるを得ない業務もまだあります。こうした業務を映像の力で効率化する取り組みがスタートしています。

映像活用のキーテクノロジーとなるのが、5G通信とエッジコンピューティングです。工場の様子を映像に写し、クラウドにあげてAIで解析するというのは以前からできていましたが、大容量データになるとクラウドにあげるのに時間がかかり、遅延が発生します。

そこで、工場内にエッジサーバを置いてデータ処理を工場内で完結させる、さらにはデバイス側で処理を完結させることで、超低遅延を実現する取り組みが始まっています。これによって、例えば作業現場での危険をリアルタイムに検知し、アラートを出すといった安全管理などに活用できます。

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ソフトバンクではこうしたAI、IoT、エッジ処理、5Gを用いて、企業課題の解決をワンストップで支援していきたいと思っています。

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続いて、街のDX事例をご紹介します。

1つ目はソフトバンクの本社ビル、東京ポートシティ竹芝でのスマートシティの事例です。街のさまざまなデータをつなぎ合わせて、必要な情報をお客さまや働く人にリアルタイムで提供します。例えば、電車の遅延情報をスマホに通知して帰宅方法を提案したり、天候や人流データを分析して入店客数が20%以下のときはクーポンを自動配信する仕組みです。

2つ目にご紹介するのは、自治体のデジタル化の取り組みとして進めている会津若松市の事例です。会津若松市では行政とともに市民目線で都市OSを作り上げています。この都市OSを基盤として、その上にさまざまなデジタルのサービスが乗っています。今後はこのモデルを全国の自治体に提供していきたいと考えています。

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日本の未来はDXにかかっています。DXを実現する4つの基盤として「コミュニケーション基盤」「デジタルオートメーション基盤」「デジタルマーケティング基盤」、それらを下支えする「セキュリティ基盤」が欠かせません。ここにAIの力が加わっていきます。これらをソフトバンクが提供していきたい。そして、日本発のDXモデルを世界に展開していきたいと思います。

SoftBank World 2020  今井講演8

編集後記

デジタルシフトについて、宮内からはソフトバンク社内における取り組み、また今井からは共創による社会課題解決に向けた取り組みが語られた。コロナ禍で、日本全体が未踏のデジタルシフトに挑戦しなければならない中、ソフトバンクは自らが変革を遂げ、そこで培ったノウハウを社会に向けて還元しようとしている。奇しくも2020年はコロナ禍によって本当の意味でのDX元年となった。ソフトバンクによるデジタルシフト、そして日本社会の変革は、これからが本番だ。

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