RPA×パブリッククラウドで働き方改革を日本全国に

RPAソリューション「SynchRoid」と「Alibaba Cloud」のコラボレーション

RPA×パブリッククラウドで働き方改革を日本全国に

2018年6月29日に働き方改革関連法が成立し、生産性の向上を目指す機運が高まるなか、さまざまな企業でITを利用した業務効率化が推進されている。なかでも現在急速に領域を拡大し、注目を集めているのが「RPA(Robotic Process Automation)」。これまで人力で行っていた事務処理などの単純な間接業務を自動化するソフトウェア型のロボットだ。

ソフトバンクでも、処理手順を登録するだけで事務作業や書類業務を自動化できるRPAソリューション「SynchRoid(シンクロイド)」を提供。株式会社Cogent Labsと提携し、手書き文字認識(OCR)技術「Tegaki」を組み合わせたAIソリューションの共同開発を発表するなど、定型業務に限らず、非定型業務にまで自動化の領域を広げている。

ソフトバンクのSynchRoidにおける取り組み、Cogent Labsとの共同開発については、Future Strideの以下の記事が詳しい。

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AIを活用した非定型業務の自動化など、RPAの先端領域への投資を積極的に行ってきたソフトバンクの次なる一手。それがパブリッククラウド「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」と「SynchRoid」のコラボレーションだ。

SynchRoidのベーシックパック(RPA開発者を複数人同時育成、複数ユーザで同時利用なプラン)では、クライアントサイドで業務自動化のためのロボットの作成、動作確認などの開発を行い、実際にロボットが動作する環境やユーザ管理、ロボットの管理はサーバサイドで行う構成になっている。つまりSynchRoidの利用に際してはサーバの準備が必要だ。

働き方改革におけるRPAが、もはや大企業のものだけではなく中小企業においても重要な経営課題になっている昨今。RPAの導入を検討する企業のITリソースにばらつきがあり、それがRPAの普及の阻害要因のひとつにもなっていた。

ソフトバンクグループのSBクラウドが提供する「Alibaba Cloud」とのコラボレーションが、ユーザにどのようなメリットを提供し得るのか。ソフトバンクの木下 貴士氏に話を聞いた。

木下貴士 氏

ソフトバンク株式会社
プロセスマネジメント本部 サービス事業統括部 事業管理部 部長

Alibaba Cloud で検証済みの環境をそのままお届け

木下:

SynchRoidの利用に自社サーバや他社クラウドサービスを利用する場合、検証やサイジング、インストールが必要でした。今回、Alibaba Cloudとのコラボレーションでは、お客さまは既に検証済みの環境を利用することができます。また、サーバの構築からRPAのインストールまで一連のマニュアルを用意させていただくので、お客さまが迷うことなく構築することができます。

クライアント企業側がRPAのためのサーバを用意するにあたって、2つのハードルに直面するケースがある。ひとつはサーバスペックや動作環境調査、検証にかかる開発リソースだ。SynchRoidを導入する前段階でサーバ調査、検証にリソースが割けず、導入に躓いてしまうケースがある。

そしてもうひとつが、既存サービスやシステムへの負荷。既存のパブリッククラウド上でサービスやシステムが可動している場合、SynchRoidを使用した際の負荷が、既存サービスに影響を及ぼしてしまうこともある。

すでにSynchRoidの動作検証を行った「Alibaba Cloud」を利用すれば、クライアント側で設備を用意する必要はなくなり、これらの懸念を払拭することができる。

またパブリッククラウドならではのスケーラビリティも特長だ。

木下:

Alibaba Cloudは拡張性が優れているため、利用事業所や利用部署が増えたり、ロボットの実行数が増えた場合でも、即時にメモリやディスクなどの環境の追加ができます。RPAによる大量の作業が一時的に発生する際にもサーバインスタンスを追加購入いただくことで一時的に増強が可能です。

アリババグループが提供する「Alibaba Cloud」は、中国においてAlibaba.com、Tmall.com、Alipayなどの大規模サービスの基盤となるプラットフォームで、中国のインターネット通販最大の商戦日である「独身の日」には1日で約2.9兆円分のトランザクションを捌いた実績を有する。Alibaba Cloudの強固な基盤がSynchRoidの安定的なサービス提供を下支えする。

ソフトバンクグループだから可能なサポート体制

RPAツールであれ、パブリッククラウドであれ、新たなツールの導入にあたってはカスタマーサポートの存在が不可欠だ。そして2つのツールを連携させているような場合、トラブル解決の難易度はツール単体だった場合よりも高くなる。

マニュアルやFAQで解決できないトラブルがあった場合、それはどこで起こっているのか、どちらのカスタマーサポートに問い合わせればよいのか。時にはカスタマーサポートにたらい回しにされることさえある。

木下:

SynchRoidとAlibaba Cloudはともにソフトバンクグループで提供しているサービスです。そのため、サポートを連携することが可能なのです。両サービスのヘルプデスクで連携するため、お客さまが誤ってSynchRoidの内容をAlibaba Cloudのヘルプデスクに問い合わせしてしまっても、迅速に回答することが可能になります。また、お客さま側でRPAの問題なのか、サーバの問題なのか切り分けができないような場合にも、適切なサポートができるようになります

自己解決できない事象に対してサポートがあるのはもちろんだが、RPAツールをまったくの新規で導入する企業の多いSynchRoidには、ロボットの作成から運用まで充実したマニュアルが用意されているほか、オプションで対面での導入支援、e-learningや検定試験、スキルトレーニング、そして開発支援までさまざまなメニューが用意されている。

RPAを通じて日本の企業に真の生産性を提供する

最後に木下氏は「SynchRoid」の展望について語った。

木下:

RPAの領域は、まだまだ始まったばかりです。一般的な認知度も高いとは言えません。働き方改革が注目を集め、企業が生産性向上に取り組み始めたまさに今が、RPAにとって非常に重要なタイミングだと考えています。RPAを大企業だけでなく中小企業も含めてもっと多くの企業に利用していただくためにも、導入のハードルは極力下げていきたいとが思います。

RPA導入の目的は業務の自動化による効率化にとどまらない。自動化によって削減された時間をより事業の成長に寄与する業務に当てることで、真の生産性を獲得することにある。「働き方改革」をバズワードで終わらせないために。より多くの企業が真の生産性を獲得し、日本の経済が再び競争力を取り戻すために。

取材日 2018年5月31日

ソフトバンクとSBクラウドは「SynchRoid」と「Alibaba Cloud」によるコラボレーションにより、ソフトバンクグループの緊密なリレーションシップを実現。

ソフトバンク 木下 貴士氏(写真左)とSBクラウド 代表取締役 兼 CEO 内山 敏氏(写真右)