ソフトバンクのRPA活用事例4選

RPAによる働き方改革事例4選
まずはソフトバンク社内で「やりましょう!!」

(掲載日:2018年8月13日 更新日:2021年6月28日)

新型コロナウイルス感染症に対する不安が続く中で、改めてテレワークを検討したり、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進したりする動きが加速している。そんな中、RPA(Robotic Process Automation)を本格的に活用しようという動きが出てきているようだ。

本記事ではRPAソリューション「SynchRoid(シンクロイド)」を提供するソフトバンクが、同ソリューションを活用して取り組んだ4つの事例を紹介する。みなさんの企業におけるニューノーマルな働き方のヒントになれば幸いである。

RPAの導入目的は「働き方改革」から「ニューノーマルな働き方」へ

もともとRPAが注目されるようになったのは、日本経済再生への取り組みとして、2017年3月に政府が発表した「働き方実行計画」だ。長時間労働の是正、非正規雇用の待遇改善など、さまざまな指針が示された背景には、日本の労働生産性への危機感があった。
MM総研が2021年2月に発表した「RPA国内利用動向調査 2021」によると、2017年度から2018年度にかけて年商50億円以上の企業でRPAの導入が急激に増加。その後2020年度までは横ばいだったが、2021年度以降再び増加が見込まれており、年商50億円未満の企業においても2021年度には2020年度の倍以上になると予測されている。

 

RPA導入率の推移
出典:MM総研「RPA国内利用動向調査2021」

2017年当初は「働き方改革」を目的に大手企業を中心に導入が進んだRPA。コロナ禍により企業規模に関わらず半強制的に「ニューノーマルな働き方」へのシフトが求められている中で、RPAによるデジタル化がその対応策の一つとして検討されはじめているのではないだろうか。

ソフトバンク43部門から約2,000のロボット、「やりましょう!!」

ソフトウェアによるPC業務の自動化はこれまでもなかったわけではない。「SynchRoid」のようなRPAソリューションの特徴は、わかりやすく、直感的に操作可能なインターフェースにより、実務担当者が自らロボットを作成し、業務内容が変更しても柔軟に作り変えることができるという点にある。

実務担当者レベルでRPAが推進されれば、これまでIT投資の対象から外れていた粒の細かい日々の業務までカバーでき、大幅な業務効率改善が実現する。これにより働き方は大きく変わることが予想される。

ソフトバンクはその実証のため、社員自らが「SynchRoid」を活用した、働き方改革を実施することを決定した。あらゆる業務ニーズに対応するため、法人営業、人事、法務、技術、総務など社内43部門がプロジェクトに参加。RPA開発事例・手法を蓄積していった。

営業エスカレーション、OCR集計、週次資料作成、日報作成など、多数のRPA自動化アイデアを社内から収集。ソフトバンクではその中から効果が高いと思われるアイデアを厳選し、約2,000のロボットでの業務効率化を予定している。

今回はその中から代表的な4つの事例を紹介していく。

ソフトバンク社内のRPA導入事例

事例1:【入力・登録業務】デモ機の返却管理のステータス変更

モバイル端末を扱うソフトバンクにはデモ機の貸し出し業務がある。一度貸し出したデモ機が返却されているか管理するため、入力・登録業務が発生していた。

Excelにまとめられたデモ機の貸し出し台帳の中から、返却対象の管理番号をコピーし、Web管理システム内のステータスを変更。再び、その処理結果をExcelの台帳に入力するというシンプルな業務ではあるが、人の手で行うと1件当たりの処理時間が約2分かかっていた。結果的に月に4,000件、約100時間分の業務がRPAによって自動化された。

事例2:【入力登録業務】登録内容をWebシステムへ⼊⼒する業務

ソフトバンクで提供する固定電話音声サービスでは、新規開通の際に登録内容をWebシステムへ入力する業務が発生していた。

サービスの新規申し込みの内容をWebシステムに入力する上記の業務プロセスを人の手によって行うと1件当たり約17分。月に2,650件の登録が発生し、約760時間分の業務が発生していた。単純な時間短縮に留まらず、ロボットが実施することで正確性が担保されることも、RPA導入の大きなメリットとなった。

事例3:【アップロード/ダウンロード業務】Webシステムからのファイルダウンロード業務

ソフトバンクから発注を請けた工事業者が現地調査の結果をソフトバンクに作業報告するためのシートをWebシステムへアップロード。ソフトバンク側では内容確認や証拠保管のためシートをダウンロードする業務が発生していた。

工事業者がWebシステムにアップロードした現地調査をダウンロードするための一連の業務プロセスでかかっていた時間が1件当たり1.5分。月に1,500件ほど発生し、総時間コストや約30時間ほどかかっていた。ソフトバンクではこの一連の業務プロセスをRPAにより自動化することに成功した。

事例4:【検索・抽出業務】データベースでの検索及び確認業務

ソフトバンクで取り扱っているiOS端末のレンタル機に盗難・紛失時に端末とデータを守るためのアクティベーションロックがかかっているかを、進捗管理ツールで検索し、確認する業務が発生していた。

社内で進捗管理用に使用しているAccessのデータベースから対象の端末のIDを調べ、Apple社のサイトでアクティベーションロックがかかっているか否かのステータスを確認。再びAccessにステータスを反映させるという一連の業務プロセスにかかっていた所要時間は1件当たり30秒。月6,000件が発生し、約50時間かかっていた業務をRPAにより自動化した。

ソフトバンクは、全社的にRPAに取り組むため、初期の6ヵ月間は少数の部門でRPA活用のためのコミュニティを形成。その後の6ヵ月でプロジェクト事務局を設置し、導入部門を徐々に増やし、さまざまな定型業務に自動化するに至った。1年間経過後は、プロジェクト事務局の名称をRPA推進室へと変更し、全社的なRPA導入に取り組んでいる。

今後は、人間が行ってきた定型業務の自動化に留まらず、自動化の中で「学習データ」を蓄積、収集することでAIを利用したより高度な非定形業務の自動化も視野に入れている。

RPAを通してニューノーマルな働き方を伝えていく

企業の多岐にわたる部署や業務の中には、大小さまざまな定型業務が存在する。RPAによる自動化を推進していくにあたっては、これまで人の手によって行われていた作業の棚卸しを行い、ロボットを含めた適切なワークフローを再設計していかなければならない。

RPAに限らず、システムやツールが企業の中でワークしていくためには、そのノウハウをサービス提供者側が理解し、利用者に伝えていく必要がある。ソフトバンクは自らの働き方改革の経験に基づき、今後も企業の生産性向上のための提案を行っていく。

ソフトバンク内の小さな改革の積み重ねが、日本の働き方を変えていくことを信じて。