Future Stride

「AI Design Workshop」に学ぶ、
AI導入を成功に導く3つのこと

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AIを導入すれば、どんな経営課題もただちに解決できる——。企業経営者あるいはAIプロジェクト担当者は、AIは魔法の杖だと勘違いしがちだ。しかしAI導入を成功させるには3つの壁を乗り越える必要がある。それは、ユーザの潜在的な課題を抽出する発想の壁、AI導入に関して最低限のリテラシーを持つノウハウの壁、そしてそのサイクルのなかでプロジェクトに挑む組織の壁である。

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なぜAI導入は失敗する?失敗事例から学ぶ傾向と対策

ソフトバンクでは3つの壁を突破するための解決策として「AI Design Workshop」を提供している。その内容を詳らかにしながら、AI導入を成功に導く諸要素について解説していく。

株式会社スノーピークビジネスソリューションズ
取締役 事業戦略本部長
藤本 洋介
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
戦略事業統括部
ソリューション営業推進部
課長
大池 一生
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
戦略事業統括部
ソリューション営業推進部
村上 真也
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
戦略事業統括部
AI・ロボティクス事業推進部
二瓶 浩輝

現場視点で考えるAI導入支援サービス
——「AI Design Workshop」

AI導入の成功要因には目標設定、担当者の知識、周囲の理解・協力などさまざまな事象が影響する。ソフトバンクではAIの基礎知識の習得のみならず、AIを活用すべき課題の明確化、プロジェクトを推進するチームビルディングを支援している。それが“現場視点で考えるAI導入支援サービス”として新たに展開される「AI Design Workshop」だ。

「AI Design Workshop」は1社単位の個別開催で行われ、参加人数は1チームあたり5〜6名(最大2チームの参加が可能)。部門横断的なチームもあれば、日頃からともに仕事をしているチームで参加するケースもある。

株式会社スノーピークビジネスソリューションズとの協業のもとで提供される最長4日間のプログラムは、チームビルディング(DAY1)、AIセミナー(DAY2)、デザイン思考ワークショップ(DAY3〜4)の3ステップに大別されている。ここから3つのプログラムについて解説していこう。

“関係の質”を高める「チームビルディング」

AI導入における組織の壁。IT部門がプロジェクトを主導したため、現場のニーズとはかけはなれたプロダクトが生まれたり、トップマネジメントの肝いりではじまったがプロジェクトメンバーに熱量がないなど、AI導入における最初にして最大の壁である。

DAY1では組織の壁を打破するべくスノーピークビジネスソリューションズの監修のもとチームビルディングのためのプログラムを実施する。2016年7月に設立された同社は、アウトドアを取り入れた働き方改革や、アウトドアワークショップを得意とする。

本プログラムは、同社が提供する自然に囲まれた屋外空間「キャンピングオフィス」で半日間開催される。キャンピングオフィスは、まるでキャンプをしているかのように人と人が心を通わせ、人間らしくワクワク働けるようなオフィス環境や空間のこと。気持ちのいい青空の下、テントやタープで行うワークショップは、いつものオフィスでは味わえない解放感、意外な視点、前向きで思い切った意見が生まれやすくなる。

ワークショップは、おいしいコーヒーを淹れることを目的に、テントの設営、コーヒーの焙煎、焚火を囲んだ対話…といった内容を、あまり慣れていない仕事の関係者間で行う。「AI Design Workshop」と言いながら、DAY1の内容はほとんどAIと無関係。しかし、そこにこそAI導入を成功に導く秘訣があると、DAY1のプログラムを担当するスノーピークビジネスソリューションズの藤本洋介氏は語る。

このプログラムが「AI Design Workshop」に組み込まれた背景には、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム氏が提唱する「組織の成功循環モデル」という考え方がある。

その理論のなかでダニエル・キム氏は、組織作りは“関係の質”から始めよ、と提唱している。チーム内で意見の言い合える関係性が最初から構築できていれば、メンバー各人から解決策やアイデアがおのずと生まれやすくなり、チーム内で互いに意見も言いやすい。そうしてチームの協働によって生まれたアイデアから成果・結果が生まれやすい。すなわち、関係の質から思考の質、行動の質、そして結果の質こそが組織作りのよいサイクルである、とする考え方だ。藤本氏は次のように話す。

「AI導入に限らず、何ごとも会議室であれこれ考えているだけでは頭の中にメンバーの話す内容が入ってこず、面白いアイデアも育まれないものです。ましてや上司や先輩、見知らぬメンバーがいればバイアスがかかるもの。アウトドア空間で右脳を使いながら行う、直接体験型の学びのもとなら、そんな関係性を超えて思ったことを自由に出し合える。誰かの指示を待つこともない。さまざまな作業を通じ、その場その場で自分の役割を全うしようとすることで、思っていることを自由に話せる関係の質が高まっていくのです」(藤本氏)

AIの理解はユーザーの潜在的な課題の抽出
——AIセミナー&ワークショップ

チームビルディングを経て、DAY2からはワークショップ会場をコワーキングスペース&オフィス「WeWork」へ移す。ここで行われるのが「AIセミナー」と「デザイン思考ワークショップ」だ。ソフトバンクの大池氏は、その経緯を次のように説明する。

「もともとソフトバンクでは『AI Design Workshop』を展開する以前より『デザイン思考ワークショップ』を提供してきました。そのなかで2つの課題が見えてきました。1つが、チームビルディングの必要性。そしてもう1つがAIに対する理解が足りないことでした」(大池氏)

AI導入に関するノウハウの壁を打破することを目的とした、DAY2プログラムのAIセミナー。最先端のAIを日本国内でいち早く展開し、自社でもAIによる業務効率化に取り組んでいるソフトバンクの数々の経験から、AI導入のノウハウを学ぶ。

具体的には一般的なAIの知識の習得に始まり、過去の成功事例・失敗事例から、AIにできること、できないことを段階的に理解していく。「AIの定義も人それぞれです。その定義がプロジェクトメンバー間で違っていると、後のワークショップで課題解決のためのアイデアが分散してしまいがち。AIセミナーはAIでできることを理解するとともに、メンバー間で共有する狙いもあるのです」(村上氏)。

翌日から始まるDAY3〜4プログラムのデザイン思考ワークショップでは、ユーザの潜在的な課題を抽出するための発想の壁を打破する。ワークショップ2日間の作業プロセスは、デザイン思考による現場視点の課題抽出から解決策の評価と導入計画、という流れで進められる。

具体的には、研修に参加する企業の現場における業務プロセスの洗い出しに始まり、その後、ペルソナ定義・シナリオマップ作成を通じて優先して解決すべき課題の可視化を実施する。その後、課題解決となるアイデアの検討・評価を行い、ワークショップ1日目は終了する。

2日目からはアイデアのストーリーボードを作成。さらにダーティプロトタイピング(粘土やモックアップを用いて簡単な試作を行うデザイン手法)によって、実際の利用シーンも具体化する。その後は創出されたアイデアの実現に向けた推進体制やスケジュール等も考え、最終的にはプロジェクト計画書のドラフト版を作成する。

DAY1〜2を体験した受講生はすでに関係の質を高め、かつAIの本懐を十分に理解している。その2つの段階を踏まえるからこそ、デザイン思考ワークショップのコミュニティで大きな化学反応が起こり、現場の業務に本当に必要なアイデアが生まれてくる。

3つの壁を取り払う「AI Design Workshop」

参加者たちの反応も上々のようだ。

「AIの研修と聞くと、ちょっと小難しそうな印象を受ける人が多いと思いますが、AI Design Workshopに対しては、楽しい!という声が多いですね。チームの関係の質が高まることで成果の質も高まる、そんな成功体験を経ていますから、AIプロジェクトチームが解散しても、このチームで別のプロジェクトをまたやってみたいと結束を強めているチームがとても多いんです」(二瓶氏)

スノーピークビジネスソリューションズの藤本氏も、関係の質を高めるチームビルディングの成果について次のように付け加える。

「チームビルディングで行う、おいしいコーヒーを淹れることに明確な正解はありません。なんとなくカタチにはなったけど、思っていた理想とはどこか違った味がする。でも、それでいいんです。企業のAI導入にもこれと似たようなことが言え、すなわちAI導入に関するプランニングや検討に長い時間を割いていてもいいアイデアは出てきません。とりあえずやってみる。やってみたらどこか理想と違う。ならば何が足りなかったのかチームで話し合い、次のアイデア創出へとつなげる。理想的なPDCAサイクルが回っているといえるでしょう」(藤本氏)

村上氏は、「AI Design Workshop」の目的について、こう総括した。

「AI導入を成功させるための最たる条件は、現場にいるユーザ中心であるということです。従来のシステム開発のように、IT部門が主導して何かことを始めるのは難しい。現場にあるデータと課題をどうやって発掘するのかが肝要であり、課題当事者であるユーザ部門(現場部門)を巻き込みながら、プロジェクト推進役が技術的サポートをもってプロジェクトを牽引する。そんな好循環を生み出さなければいけません」(村上氏)

■後記

ユーザの潜在的な課題を抽出する発想の壁、AI導入に関して最低限のリテラシーを持つノウハウの壁、そしてそのサイクルのなかでプロジェクトに挑む組織の壁。AI導入には必ず 3つの壁が立ちはだかる。「AI Design Workshop」は最長4日間でそれを体験できるワークショップ。自社での実施を検討してみてはいかがだろうか。

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