2025.11
属人化した発注業務をAI需要予測で改革。
売れ残り削減と現場の不安解消を実現
概要
和菓子の製造販売を手掛ける有限会社 竹隆庵岡埜(以下、竹隆庵岡埜)では、日々の発注業務が店長の経験に依存し、売れ残りや欠品による販売機会損失が課題となっていました。そこで導入したのが、AIによる需要予測サービス「サキミル」です。過去の販売データや天候情報を組み合わせた予測値を参考にすることで、発注数の判断を客観的に支援します。売れ残り削減と販売機会の最大化を実現し、従業員の発注業務に対する精神的負担も軽減しました。今後は他店舗への展開や、さらなる業務効率化を視野に入れています。
- 経験に基づく発注判断が属人化しており、売れ残りや欠品が頻発していました。
- 発注判断において売れ残りに責任を負う従業員の心理的負担が大きく、少なめ発注となる傾向がありました。
- AI需要予測を導入することで、発注精度が向上し販売機会損失を大幅に削減しました。
- AIの予測根拠を提示することで判断の裏付けが得られ、安心して発注できるようになりました。
定量的な数値効果
導入サービス
老舗和菓子店が抱えていた“勘と経験頼み”の発注課題
竹隆庵岡埜は、東京都の上野を拠点に地域の人々に愛される老舗和菓子店です。看板商品の「こごめ大福」をはじめ、季節ごとの生菓子を毎朝手作り、その日のうちに売り切ることを基本とした運営を行ってきました。
しかし、発注業務は各店舗の店長やベテランスタッフの経験に依存しており、販売数量の予測は「勘」に頼らざるを得ませんでした。常務取締役の吉原氏は次のように語ります。
「各店の店長が経験から『明日はこれくらい売れるだろう』と発注数を決めていました。うまく的中すればいいのですが、売れ残れば処理に困り、逆に欠品すれば販売機会を逃してしまいます。そのため、どうしても『売れ残りは避けたい』という心理が働き、少なめに発注してしまう傾向が強かったです。また、特に気温が高い日や寒い日には来客数が変動しやすく、販売計画を立てづらい状況でした」(吉原氏)
フルーツを扱う商品の場合は、原材料となる果物を数日前に発注する必要があり、先の天候や来客動向を正確に見極めることが難しいという構造的な課題もありました。期間限定商品の「ぶどう大福」では、50個発注したうち20個が売れ残る事例も発生しており、課題は顕在化していました。
コロナ禍を経て再認識した需要予測の重要性
同社は以前にもAI予測サービスを検討したことがありましたが、コロナ禍の影響で店舗運営が不安定になり導入を断念しました。その後、再び需要予測の重要性を認識し、Web検索を通じてソフトバンクのAI需要予測サービス「サキミル」に出会いました。
「問い合わせをした際の対応がとても丁寧で信頼できたこともあり、まずはトライアルを実施してみることにしました」(吉原氏)
トライアル中は毎日の予測値を現場に提示し、実際の来客数との乖離を確認しました。すると「予測は大きく外れない」という実感が現場で共有され、当初は懐疑的だったスタッフからも理解を得られるようになりました。
AI需要予測サービス「サキミル」導入の決め手
本契約の決め手となったのは、予測精度と使いやすさ、そしてコストでした。
「日本語で提供されるサービスなので現場への展開がしやすいこと、そしてトライアルの時点で予測がかなり的確だったことが大きな理由です。さらに、価格の面でも手頃で導入のハードルが低いと感じました」(吉原氏)
導入効果 ― 売れ残り削減と心理的負担の軽減を両立
導入後、日暮里店を中心に運用を開始した結果、売れ残りが減少し、販売機会を逃すリスクも抑えられるようになりました。
「サキミルの予測を根拠に『この数字で発注しました』と説明できるので、担当者は安心して判断できるようになりました。売れ残りが一番の悩みでしたが、そのストレスが軽減されたのは大きいです」(吉原氏)
従来の属人的な「勘頼み」から、客観的な「データに基づく判断」へと意識が変化しました。さらに、AI予測が共通の基準となったことで、スタッフ間の会話や意思決定もスムーズになったと言います。
「一番理想なのは閉店時間ギリギリに売り切れること。サキミルを活用するようになってから、昨年度と比較し、約57%廃棄を削減できました」(吉原氏)
こうした取り組みにより、欠品や過剰在庫のリスクを抑えながら、販売機会の最大化を実現しました。従業員の心理的余裕も生まれ、接客や販売といった本来の業務に集中できる環境づくりに寄与しています。
今後の展望―他店舗への展開とAI活用のさらなる拡大へ
「現在は日暮里店のみで活用していますが、将来的には本店や他店舗にも展開したいと考えています。人手不足の中で現場の負担を減らすことが大きなテーマです。AIによる需要予測の活用を広げ、スタッフには接客や販売といった本来の業務に専念してもらいたいですね」(吉原氏)
さらに、竹隆庵岡埜ならではの顧客特性を踏まえたAI活用にも期待を寄せています。
「うちのお客さまは年齢層が高いので、天候や年金支給日などの要素で来客数が変わります。将来的には、そういった要因を少し調整できるような仕組みになったらいいなと思います」(吉原氏)
今後は、AIを店舗運営の“判断パートナー”として位置づけ、より地域密着型の販売最適化を目指す方針です。
伝統的な和菓子づくりの精神を守りながら、データとテクノロジーの力で次世代の店舗経営に挑戦していきます。
お話をうかがった方
吉原 一行 氏
本事例での導入サービス
AI需要予測サービス「サキミル」
店舗データ・商圏の人流データ・気象データを活用し、来店客数/売上をAIで予測。低価格かつ1店舗から導入いただけます。