LINE WORKSから始める給食卸企業のDX アナログ文化を打破し、持続可能な経営へ

2026.3

LINE WORKSから始める給食卸企業のDX
アナログ文化を打破し、持続可能な経営へ

概要

創業70年を迎え、関東一都四県で学校・保育園向けの給食調理受託事業と東京都・千葉県にまたがり食材卸売事業を展開している日本給食株式会社。長年、FAX中心の受発注や紙の回覧文化などアナログな業務運営が続いていましたが、人材不足や業務負荷の増大を背景にDXへ着手しました。まずは情報共有の可視化や車両予約のデジタル化を実現するためにLINE WORKSを導入。さらにAI-OCRやWeb受発注システムの導入を進めることで、営業の生産性向上と業務効率化を図り、持続可能な経営基盤の構築に挑戦しています。

課題

  • 【社内連絡や資料共有は紙の回覧や口頭伝達が中心で、誰が見たか分からず、伝達漏れが起きていた。
  • 営業車両や会議室の予約は、空き状況を電話や対面で確認する必要があり調整に手間がかかっていた。
  • LINE WORKSの掲示板機能と既読確認により、情報共有をリアルタイムに可視化。全員が同じ情報を同時に確認できることで伝達ミスが減少。
  • 設備予約機能で車両・会議室を一元管理でき、空き状況が即時に分かるようになった。

定量的な数値効果

連絡事項の共有時間
5.8時間/日削減
スケジュール確認時間
3.5時間/日の削減

導入サービス

目次
「 LINE WORKSの導入によって、情報の一元化・透明化できました。電話確認や部門間の分断といった長年のアナログ業務を見直すきっかけとなり、DX推進の第一歩になったと感じています」
萩原 宏偉 氏
日本給食株式会社 統括部長代理 兼 卸売事業部長 萩原 宏偉 氏

業界特有の「アナログ文化」が招くリスク

安心・安全な食を届ける給食サービス企業として食材調達から配送を担う卸売事業部と給食調理業務委託運営を担う受託事業部を有し、地域に根ざした体制で安定供給を実現している日本給食株式会社(以下、日本給食)は、長年培ったノウハウと現場力を強みに持続可能な事業運営と品質向上に取り組んでいます。

そんな日本給食が取り組んでいる学校や保育園給食の現場は、依然としてFAXや電話が主体の「アナログ文化」が根強く残っており、情報のデジタル化は極めて困難とされてきました。日本給食ではこの業界の慣習が将来的にリスクになりかねないと捉え、アナログ文化がもたらす事務作業の属人化や慢性的なドライバー不足に強い危機感を抱いたと言います。そこで、DXを「単なるツール導入」ではなく、「将来的な競争力確保のための経営戦略」と位置づけ、抜本的な改革へと踏み出しました。

現場の課題感と「FAX文化」の壁

学校や保育園の給食食材は、毎日決まった時間に、決まった品質で届けられることが当たり前とされています。その裏側では、膨大な受発注処理、厳密な規格確認、配送管理、そして人材確保という複雑な業務が日々動いています。その現場を支えていた業務フローは、決して効率的とは言えないものでした。

「学校現場にはPCもメールアドレスもない現場もあり、FAXと電話がほぼ唯一の通信手段。創業以来続くこのアナログな慣習を、今の業界では当たり前として受け入れてしまっていました。学校からの発注は『この日、この量を使う』という独自の数字で連絡が来ます。例えば『ケチャップ400gを○月○日に納品』といった形です。しかし実際の規格は500g単位なので、事務担当者が規格品に脳内変換してシステムに打ち込みます。さらに営業担当者がFAX原本と入力データを1枚ずつ手作業で突合。取引先の約650社分を毎日繰り返しており、この非効率作業を目の当たりにしたとき、真っ先に改善すべきはここだと確信しました」(萩原氏)

DXの原点は「人手不足」という危機感

給食業界は「人がいれば事業は伸びるが、人がいないとやりたい仕事ができず事業が止まる」といった典型的な労働集約型産業です。同社はグループ全体で約1,600名を雇用していますが、本来外へ出て価値を生むべき卸売事業部の営業担当は非効率な発注作業に縛られており、ドライバーの確保も深刻な状況で、慢性的な人手不足が続いていました。

「競合となる物流業界の配送ドライバーは高収入ですが、一方で給食配送は固定ルート・固定時間のため、労働条件は安定しているものの、高収入を提示する他業種と同じ土俵で戦うには待遇面で見劣りしてしまいます。だからこそ、業務効率化によって生まれた原資をドライバーや長く働いてくれている従業員に還元していきたいと考えました」(萩原氏)

そうして検討されたDXは、単なる効率化やコスト削減ではなく、持続的に人材を確保するための人材戦略そのものだったと言います。

業務変革を支える4つのDXプロジェクト

同社では現在「事務負担の削減」と「ミス防止」の両立を目指し、卸売事業部で4つのプロジェクト、全社でも複数のプロジェクトを並行してDX推進にあたっているそうです。

①社内コミュニケーション基盤の刷新

まずその第一歩は従業員同士のコミュニケーション改革。従業員の多くがすでにLINEを使っていたので、そのビジネス版であるLINE WORKSを導入。年齢層の高い社員も含め、まずは慣れたインターフェースで社内の情報共有をデジタル化することから始めました。

「従来は個人のLINEグループや紙の回覧板を利用していたが、誰が見たのか分からなかったり、情報が部門ごとに分断されてしまう、といった状況が常態化していました。また、営業車両や会議室運用はExcelによるアナログな管理をしていました」(萩原氏)

そこで従業員同士の意思疎通を円滑にするために、約10年ぶりに基幹システムの刷新を検討したそうです。

「LINE WORKSでは掲示板機能で情報を一元化でき、既読管理で進捗の可視化も可能になりました。本社に約10台ある営業車両についても、以前は空き状況確認のために共有で使用している他部署へ電話をかける必要がありましたが、今は設備予約機能で管理でき、一目瞭然になりました。また、特に良かったのは情報の透明化ができたことです。ドライバーから『営業が何を売っているのか知りたい』という声が以前から上がっていたのですが、共有を始めたところ、先方のニーズをドライバーが得て情報をLINE WORKSで営業へフィードバックすることによって、部門の隔たりがなくなり組織の循環が生まれました」(萩原氏)

②電話発注による対応漏れ防止

2つめは受発注システムの導入で、こちらは現在進行中の取り組みです。民間保育園や施設からの電話による発注は、急な追加注文にも柔軟に対応できる一方で、口頭でのやり取りによる認識違いや、繁忙期の対応漏れといった課題がありました。

「どうしても言った言わないのトラブルが発生してしまうので、これを解消し作業を効率化するためにECサイト型の受発注システムの導入を進めています。取引先がシステム上で発注を行うことで、注文内容がデータとして正確に記録されます。発注締切が明確になり、メーカーとの調整もスムーズになります。また、履歴が残るため責任所在が明確になり、電話対応の削減にもつながります。業務担当者の事務負担が軽減され、1人あたりの担当件数を増やすことが可能になるので、増員しなくても回る体制が作れると考えています」(萩原氏)

③AI-OCRによるFAX自動読取で入力業務の自動化

3つめがAI-OCRによる、学校などから届くFAX発注書の自動処理です。FAXをPDF化し、AI-OCRで読み取り、基幹システムへ自動入力する仕組みを構築中です。今まで手作業で行っていた入力業務の自動化を図ります。

「実現できれば、営業が週3日費やしていた確認作業がゼロになる可能性があります。400gの発注を実際の規格である500gに変換するような規格補正についても、AIに学習させる仕組みを実装予定です。規格変換が300種類以上あるので、そこが一番の山場です」(上田氏)

「この仕組みが実現すれば、営業担当者の確認作業は大幅に削減される見込み、かつ現在7名体制で行っている事務業務を4〜5名体制へ最適化する構想を描いています」(萩原氏)

④上記のシステムを円滑に運営できる基幹システム及び在庫管理システムへの移行

4つめが卸売事業部のDXへの取り組みをしっかりと支えることのできる基幹システムの導入です。現在使用しているシステムは長年にわたり機能を追加してきた結果、アナログ業務を前提とした構造となっており、柔軟性に欠ける状態となっています。今回のDX推進にあたり、まず5年先、10年先に卸売事業部としてどのような姿を目指すのかというゴールを明確に設定。この将来像を定めたことで、必要とされる基幹システムの要件やあるべき姿を具体的に描くことができたそうです。

「ゴールを明確に定めたことで、必要とされる基幹システムの要件やあるべき姿を具体的に描くことができました。現在はそのビジョンを基にメーカー選定を進めており、目指す方向性が明確であるため、先方担当者との打ち合わせもスムーズに進んでいます」(萩原氏)

変革を成功させる鍵は「人」

DXで最も難しいのは、技術ではなく現場の納得だと言います。まずは社内の業務プロセスを見直すという方針で進めて業務フローを洗い出し、どこに無駄や属人化があるのかを可視化しました。

「業務工程を見える化し、『この工程が減らせる』と具体的に説明をしました。自分の仕事が楽になると分かれば受け入れてくれるはずと信じて、何度も説明会を重ねて現場の理解を得ました」(萩原氏)

また、元配送ドライバーである上田氏をDX専任のリーダーとし、現場を知る人物が橋渡し役となることで現場の抵抗感を最小限に抑えられました。その結果、現在、LINE WORKSは従業員にほぼ100%活用されるまで定着したと言います。

DXの先に見据える未来

子どもの数は減少している一方で高齢者施設など新たな需要は拡大しています。同社は着実に成長を続けていますが、萩原氏は危機感を隠しません。

「このままでは数十年後に会社は残らない。100年企業を1つの通過点としつつ、従業員への手厚い還元をするためには事業拡大が必須ではあるが、アナログ管理では限界があります。LINE WORKSの導入を手始めとしたDXは、そのための経営基盤づくりだと考えています」(萩原氏)

今後は全従業員の人事・労務システム刷新にも着手予定であり、全社横断のデータ統合を見据えていると言います。

「今取り組んでいるDX推進によって創出された余剰リソースを、配送員などの待遇改善に充て、自社の労働環境のさらなる改善につなげていきたいと考えています。そして常に挑戦と変革の姿勢で会社の成長と発展はもちろん、未来の子どもたちに給食の素晴らしさをしっかりと伝えていけるような企業を目指していきます」(萩原氏)

伝統ある給食卸企業の情熱溢れるリーダーが、テクノロジーを駆使して進めるこの変革は、同様の課題を抱える企業にとって一つの先行指標となるでしょう。

日本給食株式会社 外観

お話をうかがった方

萩原 宏偉 氏
日本給食株式会社
統括部長代理 兼 卸売事業部長
萩原 宏偉 氏
上田 裕太 氏
日本給食株式会社
食材卸売事業部 支援課 リーダー
上田 裕太 氏

本事例での導入サービス

LINE WORKS

企業向けに設計されたビジネス版LINEです。LINEでおなじみのチャットやスタンプはもちろん、掲示板、カレンダー、アンケート、Drive(ファイル管理)といった仕事で使いたい機能がまとまっています。仕事の仲間をつないで、情報共有をスピードアップします。

サービスページを見る

お問い合わせ

関連導入事例