ナミックス株式会社様sXGP導入事例

2026.4

ナミックスはなぜsXGPを採用したのか「音質とBCPの観点で優位性」

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概要

製造業の社内コミュニケーションツールとして現在も広く利用されている自営PHSだが制約も多い。半導体向け液状封止材で世界トップクラスのシェアを持つナミックスも自営PHSを利用してきたが、ソフトバンクのsXGPに入れ替えた。その採用理由は何だったのか。

課題

  • 社内限定のPHSと携帯電話の2台持ちが必要で、在宅勤務や出張時の連絡が取りづらくなっていた。特に電話帳の更新は1台ずつ手作業で行っており、現場に負担がかかっていた。
  • 自営PHSからWi-Fiへの移行を検討していたが、Wi-Fiは音質が安定しないという課題があった。
  • 落雷によりPBXが破損するリスクもあり、災害対策や事業継続(BCP)の観点からも自営PHSやPBXの運用面に課題が生じていた。
  • スマートフォン1台で内線・外線・データ通信を統合し、現場の利便性向上と業務効率化、働き方の柔軟性向上を同時に実現した。
  • sXGPはPHSと同じ1.9GHz帯であるため、Wi-Fiと比較しても障害物に強く、安定した通信環境が実現できた。
  • クラウドPBXの導入により保守負担を大幅に削減し、障害時の迅速な対応と安定した運用を実現し、BCP強化にも貢献できた。

導入サービス

目次

拠点内で電話連絡などを行うコミュニケーションインフラとして、現在も多くの企業に利用されているのが自営PHSだ。「工場内や港湾にあるプラントなど携帯電話の電波が届かない場所をカバーできる」「音声通話の品質が高くて会話しやすい」といった魅力は捨てがたく、構内設備を更新しながら利用し続けている製造業も数多くある。

一方で、自営PHSの利用に際してはさまざまな制約が避けられない。代表的な課題は、対応端末としていわゆるガラケーのようなPHS専用端末しか選べない点だろう。誰もがスマートフォンに慣れ親しんだ今、機能面で劣りUI(ユーザーインタフェース)もチープなPHSは“時代遅れ感”が否めない。さらに2023年3月に公衆PHSが終了した今、自営PHS専用設備の製造や保守が縮小されるなど、将来的に継続利用が不透明な状況にユーザーの不満も募りがちだ。

新潟市に本社を置くナミックスも、そういった自営PHSを社内のコミュニケーションインフラとして利用してきた製造業である。

ナミックスの本社・工場の外観
ナミックスの本社・工場の外観

電子機器に欠かせないエレクトロケミカル材料の製造・販売を手がける同社は、「絶縁」材料と「導電」材料という対極的な技術を併せ持つのが特徴だ。中でも主力の半導体向け液状封止材は非常にニッチな分野の製品であり、参入企業はそれほど多くない。この分野に限るならば、同社は世界でもトップクラスのシェアを有する材料メーカーなのだ。

一言で液状封止材といっても顧客の仕様に合わせて多様なタイプの材料が必要となる。このため同社は顧客の要望に応じて配合などをカスタマイズしており、実質的には少量多品種生産となっている。こうした柔軟な生産体制が顧客からの高い評価につながっている。

ナミックスで顕在化したコミュニケーションインフラの課題

それでは、これまでナミックスはどんな形で自営PHSを利用してきたのだろうか。同社は本社・工場(新潟市北区)を中核として、研究開発部門のナミックステクノコア(新潟市北区)や月岡工場(新潟県新発田市)といった開発と製造の主力拠点を新潟県内に展開している。まさにこの3拠点におけるコミュニケーションインフラを、長年にわたり支えてきたのが自営PHSなのである。

自営PHSの利用環境には多くの課題が顕在化していた。同社 管理本部 総務グループ 総務業務チーム サブリーダーの大倉佑介氏は「当社では主力3拠点の内線電話として自営PHSを使っていたのですが、当然のことながら社内にいるときしか通話ができず、休日や深夜などの工場設備の異常などで連絡を取りたい場合は別の携帯電話端末が必要でした。要するに端末を2台持ちしなければならない不便がありました。また、携帯電話端末を貸与する従業員は主に営業職や役職上位者のみとしており、在宅勤務や出張のときは連絡がとりづらい環境でした」と振り返る。

加えて自営PHSのハードウェアは十数年以上も前からほとんど進化がなく、基本機能もガラケー時代からストップしたままだ。「実務で一番困っていたのは電話帳機能です。各端末には最大でも400件程度しか登録できず、これでは必要な連絡先はとても収まりません。また、電話帳そのものも端末の配布時に設定されたままで、更新をかけるには端末を1台ずつPCにケーブルでつなぎ手動で設定する必要がありました」(大倉氏)。

さらに災害対策や業務継続の問題もあった。冬の積乱雲の影響を受ける日本海側に位置する新潟県は、特に落雷が多いエリアでもあり、これによって自営PHSを制御するシステムが瞬低(瞬時電圧低下)を起こすことは珍しくない。最悪の場合、拠点内で運用しているPBX(構内交換機)が破損してしまうリスクもある。大倉氏は「いったんシステムが停止した場合、どこにトラブルが起こったのか、原因を特定するのも困難で、復旧までに長時間を費やすことがありました。BCP(事業継続計画)の観点で大きな問題と言えます」と語る。

Wi-Fiシステムから急転直下で方針を転換してsXGPを採用

こうした数々の課題に限界を感じたナミックスが、自営PHSに代わる新たなコミュニケーションインフラとして採用したのがソフトバンクのsXGP(shared eXtended Global Platform)である。

ナミックスの本社・工場内のカフェテリア。柱の上部にsXGPのアクセスポイントが設置されている
ナミックスの本社・工場内のカフェテリア。柱の上部にsXGPのアクセスポイントが設置されている

SXGPとはPHSの後継としても注目される通信規格で、携帯電話と同じLTE方式を用いることから「プライベートLTE」とも呼ばれている。自営通信は免許取得の手間がネックとなることが多いが、sXGPはその必要はなく、データおよび音声の無線ネットワークを手軽に構築できるのがメリットだ。しかもsXGPで利用する電波は、PHSと同じ回り込みやすい特性を持つ1.9GHz帯であるため障害物に強く、特に製造業にとって最適なコミュニケーションインフラとなる。

もっとも、ナミックスは最初からsXGPを自営PHSの代替候補としていたわけではない。既存設備の保守終了期限が迫る中で、当初はWi-Fiを使ったコミュニケーションインフラを導入する予定だったという。「まさにその最終段階に差しかかっていた2024年5月ごろ、情報システム部門のメンバーからsXGPに関する情報提供を受けたのです。早速ソフトバンクに問い合わせたところ、Wi-FiよりもsXGPの方がはるかにわれわれのニーズに合致していることが分かり、急転直下で採用を決めました」(大倉氏)。

システム提案に当たったソフトバンク 法人プロダクト本部 sXGPサービス開発部の西田優奈氏は「2台のスマートフォンと1台のアクセスポイント、サーバー(小型PC)をセットにしたデモキットをお客さまの現場に持参し、sXGPの実際の音声品質や使い勝手などを確認していただきました」と強調する。

このデモキットによる体験が奏功し、ナミックスはsXGPの導入へと一気に傾いていったのである。

大倉氏は「Wi-Fiのシステムは音質の安定感に欠ける懸念がありましたが、sXGPでは全く不満を感じることはなく、PHSにも劣らない音質の良さが決め手となりました。そもそも音声通信はWi-Fiから完全分離しておきたいという思いが強く、さらにPBXをクラウド側で運用できるなど、設備管理の負荷軽減でも大きなメリットがありました」と説明する。

そして2024年にsXGPの導入を正式決定したナミックスは、ソフトバンクや協力会社と共に要件定義や電波環境の調査を進め、月岡工場を皮切りに、本社・工場、ナミックステクノコアへと順次展開。作業は2025年3月までに完了し、新たなコミュニケーションインフラの運用が全面的に開始された。

sXGPによって実現した利便性向上と付加価値創出、保守・運用の簡素化

自営PHSからsXGPへの切り替えに伴い、ナミックスのコミュニケーションインフラには劇的な改善効果が生まれている。

まずは、ユーザーの利便性の向上だ。従来のPHSとスマートフォンの2台持ちは完全に解消され、ユーザーと管理者の双方の負担が軽減されている。「sXGP導入後は、内線通話、社外通話、データ通信を1台のスマートフォンで全て対応できます」(大倉氏)。

ナミックスの社員向けスマートフォンの画面。画面左上を見ると、1台の端末で社内向けのsXGPと社外向けの通信キャリアの両方が利用できるようになっていることが分かる
ナミックスの社員向けスマートフォンの画面。画面左上を見ると、1台の端末で社内向けのsXGPと社外向けの通信キャリアの両方が利用できるようになっていることが分かる

次に、端末のスマートフォン化による「電話以外」の価値創出である。PHSでは不可能だった、さまざまなアプリの利用が可能となった。

大倉氏は「Microsoft 365のメールやTeamsを利用できるようになり、通話以外のコミュニケーションも同じスマートフォンでできるようになりました。さらに現場の意見で点検・保全系アプリの活用を始めたり、設備に起こったトラブルの状況を即時撮影して社内クラウドへアップロードして報告したりするなど、将来のスマート工場施策を見据えた端末基盤としても活用が進んでいます」と述べる。

クラウド化による保守・運用の簡素化も大きなメリットだ。システムがオンプレミスからクラウドに移行したことで機器の定期更新や落雷・瞬低対応などの現地作業の工数は大きく軽減された。加えて拠点内のネットワークやアクセスポイントの状態を遠隔監視することも可能となり、障害発生時にどこが原因か、どこまで影響しているかを即座に把握できる。「実際に、月岡工場で計画停電を行った後にsXGPのアクセスポイントが復旧しないことがあったのですが、このケースでもブレーカーが上がっていないことを即座に特定し、迅速に対処できました」(大倉氏)。

最新の電話帳を一斉送信してアップデート

さらにナミックスは、従来の自営PHSで最大の課題となっていた電話帳機能の抜本的な改善を実現している。

これを支えたのが、社員の携帯電話の電話帳データを一元管理できるソフトバンクの電話帳配布サービスだ。さらに法人向けMDM(モバイル端末管理)サービスであるビジネス・コンシェル・デバイスマネジメント(BCDM)も活用することで、機種やOSが異なる複数台のスマートフォンを一元管理できる。ウイルス対策を含めたセキュリティ強化に加え、各種設定やアップデート、アプリの配布やアンインストールなどを一括して行うことが可能となり、運用の効率化と管理業務の負担軽減が実現できる。

西田氏は「この電話帳配布サービスの仕組みを利用すれば、最新の電話帳を最大5000件まで一斉配信できます。全ての端末でリアルタイムに電話帳のアップデートが可能になったことで、ユーザーや管理者の不満を解消できました」と述べる。

電波環境の最適化によって、アンテナ設置数も大幅に削減できた。従来の自営PHSでは3拠点合計で116台のCSアンテナが設置されていたが、現在のsXGPのアクセスポイントは半分の58台に抑えられている。「工場内の金属壁で囲まれたクリーンルーム内にも電波を行き渡らせる必要があり、技術面で高いハードルとなりましたが、この難題にもしっかり対応できました」(西田氏)。

同様の課題は工場の他にも数多く存在する。製鉄所やデータセンター、水再生施設なども、ソフトバンクが納入を進めている顧客の一部だ。ソフトバンクは、電波環境の制約が厳しい現場に適したソリューションとして、ナミックスをはじめとする製造業やBCP施策などに課題を抱える企業への提案活動をさらに積極的に展開する方針である。

ナミックスの大倉佑介氏(左)とソフトバンクの西田優奈氏(右)
ナミックスの大倉佑介氏(左)とソフトバンクの西田優奈氏(右)

お話をうかがった方

ナミックス株式会社 大倉佑介氏
ナミックス株式会社 管理本部 総務グループ 総務業務チーム サブリーダー
大倉 佑介 氏

本事例での導入サービス

sXGPサービス(プライベートLTE)

PHSの後継サービスとして注目されるsXGP。病院や工場内におけるスマートフォンを活用した内線利用のほか、安定した通信でIoTを支え、高速・大容量のローカル5Gとも連携できるインフラとして、企業のDXをサポートします。

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