2026.7
もうすぐ100周年! 革新を続けるアマノのタイムレコーダーは「1NCE」搭載で未来を創る
本導入事例は、ASCII.jp(株式会社角川アスキー総合研究所)に掲載された記事をもとに、ソフトバンクにて一部箇所を追記の上、再編集したものです。元記事: https://ascii.jp/elem/000/004/414/4414032/ 文:大塚昭彦/TECH.ASCII.jp
概要
今から100年近く前の1931年、日本で初めてタイムレコーダー(時刻記録機)を製造したアマノ。“時間と空気の会社”を掲げる現在でも、その系譜は受け継がれている。時間を管理し、効率的に使うためのソリューションや製品を、時代の変化に合わせて進化させ続けている。
そのアマノが2026年春、発売した新製品が「ALEX(アレックス)」だ。同社のTimeP@CK(タイムパック)シリーズの新しいタイムレコーダーである。ALEXでは、新たにモバイル通信(LTE)機能を搭載し、クラウド経由の打刻データ収集も可能にして、「設置場所の柔軟性」や「勤怠管理業務の効率化」といったニーズに応える製品となった。そして、この新製品が内蔵する通信回線に選ばれたのが、ソフトバンクがアジア19カ国・地域で独占販売パートナーを務める1NCE(ワンス)のプラットフォームである。
今回は、ALEXの事業企画に携わったアマノの田中泰輔氏、技術開発の川畑幸広氏に、同製品のコンセプトや特徴、そして1NCEの採用によって得られたメリットをうかがった。
課題
- クラウド連携機能を利用しやすくするには、設置場所の通信環境やWi-Fi設定に左右されず、購入後すぐに使い始められる仕組みが必要だった。
- 以前からモバイル通信対応は検討していたものの、エンドユーザーによる通信会社との個別契約や通信回線に関するコスト・管理負荷がハードルとなり、実現に至らなかった。
- 部品のように扱える「1NCE」のIoT SIMを製品へ組み込むことで、エンドユーザーによる通信会社との個別契約を不要に。通信機能を含めてパッケージとして提供できる形を実現。
- 設置場所でのWi-Fi接続などの初期設定を不要にし、購入後すぐにクラウド連携機能を利用できる環境を実現。多拠点の勤怠データ収集を効率化する付加サービスの利用ハードルを低減。
導入サービス
“届いたらすぐに使える”タイムレコーダー、TimeP@CKシリーズ
ALEXは、従業員の出退勤時刻を正確に記録するタイムレコーダーだ。2001年の登場から25年の歴史を持つTimeP@CKシリーズの最新機種として登場した。プロモデル、スタンダードモデルの2モデルがラインアップされている。
TimeP@CKシリーズの新製品「ALEX」(左:プロモデル、右:スタンダードモデル)
TimeP@CKシリーズは、小規模な事業拠点向けの製品シリーズである。特徴は、タイムレコーダー本体に、出退勤データを集計する勤怠管理ソフトが付属したパッケージ型製品である点だ。ECショップなどで購入して「届けばすぐに使える」ため、新規出店の多い飲食業、小売業、薬局などでの採用も多いという。
さらに、買い切り型製品で長期利用コストが抑えられること、導入支援や給与ソフト連携支援などのサポート(オプション)が用意されていることも、TimeP@CKシリーズの人気の理由となっている。
ALEXのプロモデル(pro)、スタンダードモデル(std)の機能概要
ALEXを含むTimeP@CKシリーズには、タイムレコーダーのデータを取り込み集計するPCソフト「サッと勤怠」も付属している
25年の歴史の中では、さまざまな技術進化も経験してきた。例えば、タイムレコーダー内に記録された出退勤データをPCソフトに取り込む方法も、「USBケーブル」「メモリカード(SDカード)」「Wi-Fi/有線LAN」と、職場のIT環境の変化に追随するかたちで拡張を続けている。
こうした機能進化を検討する中では、当然、モバイル通信回線への対応も検討されたという。Wi-Fi対応モデルを発売したところ、設置場所でのWi-Fi接続設定に手間取るユーザーが多かったため、モバイル通信対応にしてしまえばその問題が解決すると考えたのだ。
ただし、それは技術的には可能だったものの、TimeP@CKシリーズの製品コンセプトや販売モデルを考えると、実現のハードルは高かった。
「製品購入後に、通信会社との回線契約手続きが発生してしまうことがハードルでした。お客さま自身でご契約いただくのは手間がかかりますし、アマノや販売店のスタッフがお手伝いするならば、その人件費を製品価格に上乗せしなければなりません。そもそも、回線契約に時間がかかれば『届いたらすぐに使える』製品コンセプトから外れてしまいます」(田中氏)
それに加えて、通信回線の基本料金が毎月発生すれば、「購入後のランニングコストを抑えられる」という買い切り型のメリットも失われてしまう。繰り返し検討されたものの、良い解決策は見つからず、実現に向けて話が進むことはなかった。
「部品のように扱える」1NCEの発見がブレイクスルーをもたらす
ここでブレイクスルーとなったのが、1NCEの“発見”である。
アマノ社内には要素技術の調査部門があるが、ある日、TimeP@CKの事業企画部門に「これは使えるんじゃないか」と紹介されたのが、1NCEだったという。検討したところ、1NCEの通信サービスは、買い切り型のTimeP@CKとの相性がとても良いものだった。
1NCEは、170以上の国と地域で、IoT製品の開発/運用管理を支えるソフトウェアおよびコネクティビティプラットフォームを提供しているサービスだ。10年間で合計500MBのデータ容量(期間/データ容量ともに追加契約可 ※注)を、2,000円の利用料と、1枚あたり200~400円のSIMカード代だけで利用できる(いずれも税抜、送料別)。製品に組み込んで販売すれば、エンドユーザー側での回線契約は必要なく、クラウドサービス利用料以外の料金もかからない。この1NCEを発見したことで、これまでモバイル通信対応をはばんでいたハードルが消え去った。
注:後述するとおり、タイムレコーダーは長年にわたって利用されるケースが多い。ALEXの通信機能も、10年以上にわたって利用できる仕組みが用意されている。
技術開発を担当した川畑氏は、1NCEの通信サービスは「部品のように扱える」「製品ライフサイクルが長い製品でも契約を気にせず使える」のが大きなメリットだと評価する。
「お客さまにご購入いただいたタイムレコーダーは、一般的には5年から6年以上使われます。1NCEであれば、製品としての利用期間をカバーできる長期利用前提のプランですので、製品に組み込んだ“使い切りの部品”の1つという扱いですね。長期利用が前提の製品でも、通信の契約や設定を意識する必要がなく、電源をつなげばすぐに使えるようになるのは、お客さまにとっては使いやすいですし、われわれもありがたいところです」(川畑氏)
さらに、Wi-Fiのようにユーザーが接続設定をしなくてもインターネットにつながるため、クラウドの付加サービスが利用しやすくなる。1NCEがソフトバンクを含むマルチキャリア対応でカバレッジエリアが広く、つながりやすい点も好都合だった。
「ほかのサービスも調べて比較しましたが、やはり他社は料金が高額になり、10年契約も困難でした。また、10年を超過する利用も弊社側の仕組みで延長できることが分かり、結果的に“1NCE一択”でしたね」(川畑氏)
アマノ株式会社 川畑 幸広 氏
モバイル通信の内蔵で、クラウド付加サービスの提供も可能に
こうした背景から、TimeP@CKシリーズの最新モデル・ALEXでは、1NCEによるモバイル通信の搭載と合わせて、新たなクラウドサービスも提供されることになった。ALEXの打刻データをクラウドで収集し、多数の拠点から出退勤データを集める業務を効率化するサービスだ。
「多数の事業拠点がある会社だと、毎月の出退勤データを回収する業務は大変です。従来は、各拠点の担当者がタイムレコーダーからPCにデータを吸い出し、それをメールで送るという、面倒な作業が必要でした」(田中氏)
ALEXの場合、従業員がカードで打刻すると、そのデータをすぐさまクラウドへと自動送信することができる。この方法ならば、遠隔地にいても打刻の状況をリアルタイムで確認することができ、もちろんデータをまとめてダウンロードすることも可能だ。
アマノでは、この新たなクラウドサービスの開始に合わせて、オフィス外からスマートフォンで出退勤記録ができる「Web打刻」機能も追加し、包括的な有償サービス(タイムパッククラブ)をスタートさせている。利用するかしないかはユーザーの判断だが、便利な付加サービスが提供できれば、顧客の満足度向上につなげることができる。
ALEXがモバイル通信(LTE)機能を搭載したことで、遠隔拠点の出退勤データもクラウド経由で回収できるようになった
これからの展開についても、やはりクラウドサービスの拡充が大きな鍵を握っているようだ。田中氏は、タイムレコーダーのデータがクラウドに集まる仕組みを作れたことで、新たな展開が期待できると話した。
「ALEXは、標準機能だけで、中小企業向けのタイムレコーダーに必要な勤怠管理機能を満たしています。ですから、これからクラウドで提供する付加機能は、勤怠管理に限定されないものも出てくると思います。例えば、最近のトレンドであるAIとタイムカードを結びつけることも考えられるでしょう」(田中氏)
国産タイムレコーダーの誕生から、もうすぐ100年。長い歴史を経てもなお革新を続けるアマノを背後から支えるのは、1NCEのプラットフォームだった。
お話をうかがった方
事業企画課 部長
田中 泰輔 氏
商品開発センター ファームウェア開発部 主幹
川畑 幸広 氏
兼 時間管理機器事業部長 理事
晝間 明弘 氏
掲載内容は2026年6月現在のものです。
本事例での導入サービス
1NCE IoTフラットレート
プリペイド型の低容量向けグローバルIoT通信サービスです。低価格でありながら、 IoT通信に必要な機能を追加費用なしで利用可能。購入や設定などをオンラインで完結できるため、費用と業務工数の両面でメリットを得られます。