分散データを活用し業務を変革。半年で約8,000時間削減した生成AI活用

2026.7

分散データを活用し業務を変革。半年で約8,000時間削減した生成AI活用

概要

株式会社オープンアップグループは、エンジニア人材の提供を通じてお客さまの課題解決に貢献するとともに、グループのパーパスである「幸せな仕事を通じて、ひとりひとりの可能性をひらく社会に」の実現を目指しています。同社は、個人情報を安全に扱える生成AI基盤として「生成AIパッケージ」を導入。統合アシスタントエージェントなどの機能を業務に定着させることで、グループ内に散在するデータを横断的に活用できる体制を整えました。それにより、面談準備やスキルシート作成の効率化では、導入6カ月で約8,000時間の業務削減を実現しています。

課題

  • 人材派遣業という事業特性上、履歴書や職務経歴書など機密性の高い個人情報を扱うため、外部サービスにデータを置けず、AI活用の障壁となっていた。
  • グループ各社でデータが偏在し、ナレッジの共有が事業会社内に限定され、業務の属人化が課題となっていた。
  • セキュアな専用環境の構築により、個人情報を安全にアップロードして解析・活用できる環境が整った。
  • 統合アシスタントエージェントや社内データ連携により、散在していた情報を束ねて活用できる仕組みが実現した。

定量的な数値効果

サポートスタッフの利用率と一人あたり平均利用回数

41.6%(2026年5月時点)

53.0回/月(導入時の2.8倍に増加)

業務効率化実績
面談準備時間を1件あたり30分削減 、スキルシート作成時間を1件あたり20分削減
半年間の試算効果
削減時間 約8,000時間、削減コスト 約2,800万円相当

導入サービス

目次
「ROIの可視化は難しい部分もありますが、まずは広範囲にAIを展開し、使うことで活用方法を見つけることが重要です。ソフトバンクの生成AIパッケージは、スピード・柔軟性・コストを兼ね備えており、十分に検討する価値があると思います」
株式会社オープンアップグループ データサイエンス部 部長 鏑木 紀彦氏
株式会社オープンアップグループ データサイエンス部 部長 鏑木 紀彦氏

AI活用の背景にある、人材マッチングとデータ活用の課題

株式会社オープンアップグループは、エンジニア⼈材サービスを中⼼に事業を展開する持株会社です。

国内にある14社のグループ会社を通じて、⾃動⾞・電機・半導体製造・IT・建設領域をはじめとした⽇本の基幹産業を⽀える専⾨性の⾼い技術者⼈材の派遣・受託開発などを行っています。データサイエンス部 部長の鏑木氏は、同社の役割を次のように語ります。

「オープンアップグループは、『幸せな仕事を通じてひとりひとりの可能性をひらく社会に』をパーパスとしています。人材派遣では、企業とエンジニアの間にニーズのずれが生じやすく、これを私たちが両者の間に立って調整するということが、幸せに働くということにつながるのではないかと考えています」(鏑木氏)

しかし、同社がAI活用を本格化させる背景には、人材業界特有の課題もありました。

「我々の業界では(サービスとして)人を扱うため、個人情報を多く扱います。そのため、履歴書や職務経歴書などのデータも活用できるAI環境が必要でした。これらデータを使いたい人もいるのに、会社として活用できない状態は事業競争力の観点でも課題でした。しかし、個人情報を扱う分、外部サービスにデータを置きたくないとも考えていました」(鏑木氏)

また、オープンアップグループは、グループ内に複数の事業会社があるものの事業会社ごとにデータが独立しており、グループ全体でのナレッジ共有や横断的なデータ活用が難しい状況にありました。

「事業会社ごとにデータが偏在していて、有効活用すると言っても垂直方向にしかできませんでした。そうではなく、AIの技術でデータをまとめて、組織全体の競争力を高めていこうという狙いがありました」(鏑木氏)

グループ共通AI導入の背景と目的

(出典:株式会社オープンアップグループ)

パッケージによる「スピード」と「コスト」を選択

同社は当初、他社によるAIソリューションの導入を検討し、プロジェクトを進めていましたが、要件との不一致や開発コストの不透明さから計画は難航していました。そんな中、2024年10月にソフトバンクの拠点(EBC)を訪れ、その場ですぐにソフトバンクからの「生成AIパッケージ」の導入を決断したといいます。選定の決め手は、「短期間で全社導入できるスピード」「社内データと連携できる拡張性」「全社利用に耐えるコスト構造」の3点でした。

生成AIパッケージが、ID課金でなかったところは大きな判断ポイントでした。サポートスタッフは約2,000人いますが、まずIT部門だけにAIを使わせてみるのでは現場に根付かずに上手くいかないと考えていました。とにかく最初からサポートスタッフ全員が利用できるように、一気に入れようというのが前提としてありました。

また新たにAI導入に取り組むにあたり、一からスクラッチで構築するには、工数面でもコスト面でも難しさを感じていました。その点、生 成AIパッケージは『パッケージ』であり導入しやすいところも大きかった と思います」(鏑木氏)

2024年10月の導入決定からわずか4カ月後の2025年2月には「生成AIパッケージ」の運用を開始し、サポートスタッフ全員が利用できるAI環境をスタートしました。

生成AIパッケージの説明図

(生成AIパッケージ:さまざまな業務ツールや社内データと連携し、企業で活用しやすい生成AIプラットフォームを提供するサービス)

統合アシスタントエージェントが現場の「メインツール」に

導入当初は、生成AIパッケージの機能であるFile SearchやCode Interpreter、インターネット検索、Teams連携などを組み合わせ、日常業務で使いやすいAI環境を構築しました。2025年6月には、独自データ連携プラグイン機能の追加により、社内データと連携できる基盤を整え、社内活用を高度化していきました。そのような中で、特に利用を牽引しているのが、2026年1月にリリースされた「統合アシスタントエージェント」だったと鏑木氏は言います。

「従業員に、OPEN UP AI(今回構築したオープンアップグループで利用する生成AIの名称)の利用アンケートを取ったときに、議事録が作れたらいいなとか、スライドの資料作成ができたらいいなとか、いろんな要望がありました。『統合アシスタントエージェント』は複数の機能を一つにまとめて利用できるため、現場の幅広い業務ニーズに応えられる点を評価し、導入を決定しました。今では『統合アシスタントエージェント』がオプション機能の中で最も多く使われています。

また、我々は Microsoft 365 の環境を利用しているため、SharePoint 内の情報が活用できる点も大きなメリットでした」(鏑木氏)

生成AIパッケージの統合アシスタントエージェントやPluginsの機能イメージ

(生成AIパッケージの統合アシスタントエージェントやPluginsの機能イメージ)

加えて、AIでさまざまなデータを活用するため、データ整備と精度検証を伴走的にご支援する「TASUKI Annotation 生成AI用データ構造化代行サービス」も活用し、生成AIが社内データを利用しやすい環境整備も進めました。

半年で約8,000時間・2,800万円の削減効果

具体的なユースケースの一つとして、エンジニアの「面談サポート」があります。同社には約2万人のエンジニアが在籍しており、担当者(サポートスタッフ)が一人一人の状況を把握するための準備負荷が課題でした。

「担当者は面談する前に、社内にある複数のシステムから対象者の情報を探して準備しなければいけませんでした。分散していたデータをPlugins機能で一元化することで、OPEN UP AIに対象者の社員番号を入力すれば、属性情報に加えて前回の面談内容やWebサーベイ、勤怠情報などをまとめて確認できるようになりました。また面談では、この内容を話すべきという点も教えてくれます。複数の社内システムを横断して確認する必要がなくなり、業務効率と情報の一貫性が大きく向上しました」(鏑木氏)

この取り組みにより、面談1件あたり30分の準備時間削減を実現しました。

ユースケース事例:エンジニア向け面談サポート

(出典:株式会社オープンアップグループ)

さらに、採用業務における「スキルシート作成」でも大きな成果を上げています。

「履歴書や職務経歴書の情報をもとにSalesforceに入力するのですが、これが非常に手間がかかっていました。現在は、OPEN UP AIにそれら情報をアップロードし、Salesforceに取り込みやすい形式で出力しています。職務経歴書1件あたり約20分の転記時間を削減できました」(鏑木氏)

ユースケース事例②:スキルシート作成効率化

(出典:株式会社オープンアップグループ)

このほかにも、面談内容のサマリー作成や情報伝達、採用面接官の評価、企業の募集要項などの対外向け文面の作成といった幅広い業務で活用されています。これらの取り組みにより、導入6カ月で約8,000時間の業務削減と、約2,800万円相当のコスト削減効果を実現しました 。

ITツールとしてではなく「仕事のパートナー」として浸透させる

全社展開を進めるにあたり、鏑木氏はAIを特別なツールとして扱わないよう心掛けたと言います。

「ITツールとみなしてしまうと、ITが得意な人だけがやるものになってしまいます。そうではなく、なんでもいいからまず使ってみてくださいというレベルで、AIを特定の人だけが使うITツールとして扱わないようにしていました」(鏑木氏)

推進にあたっては、経営層の巻き込みも重要な鍵となりました。

「上司に社内の推進役として動いてもらい、経営会議などで事業会社の方々に向けてAIの概要やユースケースを説明してもらいました。それが社内に持ち帰られて、推進に大きく役に立ったのではないかと思っています」(鏑木氏)

また、定着化に向けてソフトバンクの「Axross Recipe for Biz」による研修も実施しました。今期計画しているデータ活用研修には400名近くが申し込んでおり、関心の高さが表れています。

AI活用の定着化の活動も功を奏し、2026年6月には月間利用者数が600人を突破し、利用率も目標の30%を上回る42.5%に達しました。

「利用者数の増加とともに、利用頻度も導入時の約1.9倍ほどに増えていて、仕事の困ったときの助けになっているのではと思っています。個別のユースケースの利用だけではなく、困っていることを相談する壁打ち相手や、探しごとでも数多く利用されています」(鏑木氏)

インタビューの様子

(インタビューの様子)

判断を仕組化し、人材派遣業の価値創出を高める

オープンアップグループのAI活用は、単なる効率化を超え、事業の本質的な価値向上へと向かっています。

「エンジニアに寄り添った会社にしていきたい、働く人が報われる循環構造を作り出していきたいと思っています。単なる業務効率化ではなくて創造性を発揮してエンジニアを深く理解するためにAIを活用できればと考えています。
感度がいい人は顧客と会話することでマッチングしていけますが、世の中そんな人ばかりではありません。経験や勘に依存していた判断を仕組み化し、誰もが高い水準で業務を遂行できるようにAIを活用していきたいです」(鏑木氏)

最後に、AI導入を検討している担当者へのメッセージをいただきました。

「ROIの可視化など難しい部分もありますが、まずは広範囲にAIプラットフォームを展開し、社員が何に使えるかを自ら考えられる環境を作ることが重要です。実際に使うことで課題や活用方法が見えてきます。ソフトバンクの生成AIパッケージは、スクラッチ開発をせずに導入でき、スピードと柔軟性、コスト競争力を兼ね備えており、十分に検討する価値があると思います」(鏑木氏)

お話をうかがった方

株式会社オープンアップグループ 鏑木 紀彦氏
株式会社オープンアップグループ データサイエンス部 部長 鏑木 紀彦氏

本事例での導入サービス

生成AIパッケージ

ソフトバンクが提供する、セキュアな生成AI環境を提供する法人向けプラットフォーム。社内データ連携プラグインや、多様な機能を統合した統合アシスタントエージェントにより、高度な業務自動化を実現します。

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