ゼロトラストとは? 分かりやすく解説

2025年11月27日更新
2022年3月9日掲載

ゼロトラストとは? 分かりやすく解説

サイバー攻撃の被害は年々深刻化しており、攻撃手法も巧妙化しています。従来のセキュリティ対策では、もはや十分と言えない状況になってきました。

本ブログでは、そうした背景のもと注目されている「ゼロトラスト」について、基本的な考え方や従来モデルとの違い、導入メリットを分かりやすく解説します。

→関連ページ:ゼロトラストセキュリティを実現するネットワーク構成例
→関連資料:クラウド時代のセキュリティリスクから企業を守る SASE製品の選定ポイント

目次

ゼロトラストとは

ゼロトラストとは、「全ての通信を信用しない」という考え方のもと、全ての通信に対して安全性の検証を行うセキュリティモデルのことです。

従来のセキュリティモデルでは「社内からのアクセスは信用できる」とされてきましたが、そのような通信であっても信用せずに安全性の検証を都度行うことで、内外どこからの脅威に対しても備えることができるという特長を持ちます。

リモートアクセスの増加やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴いクラウドサービスの利用機会が増えるなど、近年ITインフラのあり方は大きく変化しました。そのため、ネットワーク境界内だけでなく境界外にも保護すべきデータが存在するようになり、従来の「境界防御型セキュリティモデル」では最新の脅威から企業を守ることが難しくなっているといえるでしょう。

ゼロトラストでは侵入前(侵入されないようにする)の対策だけでなく、侵入後の対策も想定し構成されているため、ランサムウェア・標的型攻撃など、企業があらゆるサイバー攻撃への対策を実現する上で基礎となる考え方と言えます。

ゼロトラストと従来のセキュリティモデルの違い

パスワードなどでの認証に代表される「従来の境界防御モデル」では、ファイアウォールなどを設置することで最初のゲートでのみ信用評価が行われており、社内からのアクセスのように、一度「信用できる」と評価された通信はその後も安全であるとされてきました。このような境界防御モデルでは、境界の内側にさえ入ってしまえばウイルスやマルウェアなどが簡単に拡散されてしまい、悪意のあるサイバー攻撃への対策としては不十分でした。

一方、ゼロトラストでは、社内外問わず全てのアクセスに対して都度安全性の検証を行うことで、境界内部に侵入した脅威も検出・阻止することが可能です

ゼロトラストモデルを分かりやすく解説する図版

ゼロトラストのメリット

1. データ流出リスクの低減

年々企業が抱えるデータ量は増大を続けており、顧客データや取引先の機密情報、社員の個人情報など、膨大な重要データが企業には保管されています。これらのデータ流出は、企業に罰則が課せられるだけでなく、損害賠償や社会的な信頼が低下するリスクにつながります。これらリスクに備えることは企業の存続において、大変重要な課題であると言えるでしょう。

そのような状況の中で年々サイバー攻撃は増加し、手法も高度化しているため、境界防御モデルではデータ流出リスクを抑えきれなくなっています。

ゼロトラストには、ユーザーに対して、必要に応じた最小限の権限しか与えない「最小権限の原則」という考え方があるため、仮に、端末がマルウェアに感染するなど 攻撃者が不正侵入に成功しても閲覧できる情報はごく限られ、データ流出のリスクを最小限に抑えることができます。

2. インシデント発生時の検出時間の短縮

急速に進化するサイバー攻撃に対し、100%侵入を防ぐことは困難です。ファイアウォール(Firewall)やアンチウイルスなど侵入を防ぐための製品は多くありますが、攻撃者がそれを破る改良を常に行っているため、どれも100%の防御を担保できるものではないのです。

そのため、世界的な各種ガイドラインでも「侵入を完全に防ぐ」のではなく「侵入後、いかに早く攻撃を検知し、正確に影響範囲を特定し、迅速に対処するか」という侵入後対策の重要性が叫ばれています。

ゼロトラストでは、ユーザーが情報へアクセスするためには都度認証を行う必要があり、リアルタイムでアクセス履歴を残すことができます。

インシデントが起こった際には、アクセス履歴からアクティビティの確認を行うことで、問題点を早期に特定することが可能です。インシデント発生元の早期特定は被害を最小限に抑えることにつながるため、備えとして非常に有効だと言えるでしょう。

3. 管理コストの削減

境界防御モデルでは、ファイアウォールの増強や物理サーバへのアクセスの煩雑化(生体認証やカードキーなど物理的なブロックの区分け)などが情報漏洩対策として行われていました。これらの対策は、ハードウェアの保守運用に莫大な費用がかかります。また、攻撃者が深い階層まで侵入してしまうと物理的な対応も必要になるため、素早い防御ができないというリスクも孕んでいます。

ゼロトラストはクラウドベースで認証が行われるため、有事の際の二次被害・三次被害の阻止に強い構成となっています。セキュリティ管理もクラウド認証に一元化しやすく、ハードウェア関連のコスト削減にもつながります

4. リモートワーク環境下での柔軟な働き方を支援

境界防御モデルでは、ユーザーは基本的に社内ネットワークでの作業(オフィス出社)、もしくはリモートワークではVPN接続が求められていました。

ゼロトラストでは、デバイスに対して認証を行うので、ネットワーク内外という概念がなくなります。ユーザーは認証を受けている限り場所を選ばずに作業を行うことができるほか、クラウドなどでの作業が可能になるため、安定した通信環境の提供や作業効率の改善につながります。

ランサムウェア対策としても注目されるゼロトラスト

情報処理推進機構(IPA)が2025年に発表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」 によると、組織向けの脅威としてランサム攻撃(ランサムウェア)による被害が1位に挙げられています。

攻撃対象も、情報を窃取したいターゲット企業に直接ではなく関連するサプライチェーンへ攻撃が行われるケース、リモートワークなどの働き方による脆弱性が狙われるケースなど、高度化が進んでいます。これらの脅威は、自組織やオフィスだけを境界内とする境界防御モデルでは対策が困難なケースも増えています。

そのため、ランサムウェア対策としてゼロトラストの注目が集まっています。

まとめ

ITインフラの分散化とサイバー攻撃の高度化により、従来の境界防御モデルだけでは企業を守り切れなくなっています。ゼロトラストは、「すべてを信頼しない」という前提で通信を都度検証し、侵入前・侵入後の両面から対策を強化できる新たなセキュリティモデルです。

データ保護、インシデント検知、管理コストの削減、リモートワーク対応など多くのメリットがあり、今後の企業セキュリティの基盤として重要性がますます高まると考えられます。

関連資料もチェック:
トラフィック輻輳の解消とセキュリティを強化するネットワーク構成

課題から見つけるセキュリティ対策のヒント

AIによる記事まとめ

この記事は、企業におけるセキュリティモデル「ゼロトラスト」について解説しています。ゼロトラストは「内外を問わず通信は信用しない」という前提で、すべての通信やアクセスを認証・検証する方式です。これにより、従来型の「境界防御モデル」の限界 — 内部侵入後のリスク — を克服できます。ゼロトラストは、データ流出リスクの軽減、インシデント発生時の迅速検知、リモートワーク環境での柔軟なアクセスや管理コスト削減を可能にします。

※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。

関連ページ

ビジネスブログ「Future Stride」編集チーム
ビジネスブログ「Future Stride」編集チーム

ビジネスブログ「Future Stride」では、ビジネスの「今」と「未来」を発信します。

DXや業務改革をはじめとしたみなさまのビジネスに「今」すぐ役立つ最新トレンドを伝えるほか、最先端の技術を用いて「未来」を「今」に引き寄せるさまざまな取り組みにフォーカスを当てることで、すでに到来しつつある新しいビジネスの姿を映し出していきます。

同じカテゴリーの記事をみる

Tag
セキュリティ強化
Display
part
/common/fragments/sidebar